MMAの魅力を一人でも多くの人に伝えられるように、自分の戦いに興味を持ってもらえるように戦って「勝つ」だけです
──さて、練習期間がコロナ感染でいったん止まり、キックボクシングのエキシビションを経て、25日の『超RIZIN』での試合に向けて、今回のMMAにまたアジャストしてきたかと思います。
「そうですね。ちょっと、ムエタイへの恐怖心がついてしまったので、今回の試合でそれを払拭できればと思っています。ブンチュアイ選手は、自分よりボクシングも、ムエタイも50戦くらいやってるみたいで、試合のキャリアは豊富ですけど、MMAだったら自分でも戦えるんだっていうのを証明したいという思いがあります。ブアカーオ選手がムエタイで何もさせない圧力をかけるように、自分もMMAでは何もさせない圧を身につけて出したいと思っています。もちろん、お客さんに楽しんでもらいたいですけど、何より自分自身がMMAで大丈夫だっていう自信を持てるような試合にできたらなって思っています」
──そのためにやっていることは?
「タイでもMMAの練習をやっていました。BRAVEに戻って、組みの強化もそうですし、もちろん打撃の対策もやってきたので、全局面で本当に上回りたいです。MMAだったらムエタイの選手にも、ボクサーにも勝てるんだ、って自分で自分に証明したいですね」
──タイでも組みを入れて練習していたんですね。
「タックルに入るフェイントだったり、エキシビションでも本当はそういう動きも一瞬見せようかなと思ったんですけど、キックルールだったので。でも、MMAの距離で戦うことを常に頭に入れていたので、準備はできています」
──ブンチュアイ選手の動画はなかなか見当たらなかったです。ご覧になっていますか。
「ボクシングの試合は見ました。サウスポー構えで、結構回転力があってパンチが速くて振ってもくるので、タックルに入ることも出来そうです。ただ、ムエタイもこなしてヒザ蹴りとかも持っていそうなので、そんな簡単では無いと思うので、いろんな入り方を練習して、打撃でも引けを取らないようにしたいと思います」
──タイでの経験をプラスにしたいと。
「そうですね。試合後にブアカーオ選手からも精神的なアドバイスをもらいました。『まだ若いし(20歳)、本当に今回色々吸収できたと思うから頑張ってほしい』と。それに、言葉以上にブアカーオ選手は姿勢で、ファンに対する姿勢とか、プロとして試合に臨む姿勢とか、立ち居振る舞いだったり、いろんなものを見せてくれて、そういうものもすごい勉強になりました」
──さきほど「その競技の鉄人的な人になるには、その競技を誰よりも好きでいないと続けていられない」と仰いました。三浦選手はデビューから、ブアカーオとのエキシビション、さいたまスーパーアリーナでの試合など、ほんとうに得難い舞台で大きな経験をしていると思います。でもそれは、今のところ三浦選手が──望むと望まざるとに関わらず──三浦知良選手の息子である知名度によって抜擢されています。サッカーなどほかの競技で、2世であることでその枠を獲得することはとても難しい。そんな状況下でチヤンスを得て戦うことについて、ご自身ではどんな思いで取り組んでいますか。
「自分自身は三浦知良の息子として生まれてきて、こういう舞台に立たせてもらえていることをポジティブにとらえて戦うだけです。自分から有名にさせてくれ、とお願いしたわけでもないですし、もちろん自分で手に入れたものではないけれど、その境遇を人に興味を持っていただいて、こういう舞台に出させてもらっている以上は、自分の戦いを通して、MMAの魅力を一人でも多くの人に伝えられるように、そして自分の戦いに興味を持ってもらえるように戦って、勝つだけです」