2022年9月19日(月・祝)後楽園ホールにて「プロ修斗公式戦 2022 Vol.6」が開催された。
セミファイナルの第9試合では、現修斗世界ライト級王者の西川大和(西川道場)が、ウェルター級で草・MAX(TEAM CLIMB/GRABAKA赤羽)と対戦。5分3Rを通して、すべて立ち技で戦い、フルマークの判定3-0(30-27×3)で勝利。修斗&VTJで10連勝、MMA戦績を21勝3敗6分とした。
MMAの実戦のなかで、立ち技のみで相手をコントロールした西川は何を考えて15分を戦ったのか。試合後に訊いた。
無理な減量をしないから試合数をこなせる
──「謎かけ」のような試合でした。なぜこの試合は立ち技のみになったのでしょうか。
「色々と『試合』でやったことというのは、自分の宝物になる、今後にかなり響くので、そういった試合をしたくて、ああいう試合をしました」
──それは最初から決めていたのですか。
「決めていました。試合でやったことは一生、自分の身体に残ることなので、試合数も大事なので、僕はこの体重(ウェルター級)でやっているんですよ」
──現在は修斗世界ライト級(70.3kg)王者でもありますが、ウェルター級(77.1kg)で山田崇太郎戦、チェ ・ジウン戦、草MAX戦と3試合が続いています。ライト級でも試合のオファーがあれば、行いますか?
「いや、いまはしないですね。そうなると、とんとん拍子での試合は出来ない。通常体重は83kgほどで、ライトに落とすと試合数はこなせない。みんな年に2、3試合と限られるのは減量苦があるから。僕はかなり試合数が多い方だと思います。年間6試合をしたこともありますし、4、5試合はしている。それは無理な減量をしていないからです。以前の天心選手もそうだった。高校時代に何週間置きで試合をして“あの子、何回試合をするの”というくらいやっていたように」
──草MAX戦では、スイッチを見せていました。
「足を引かれるのは分かっていたので、キックボクシングでは使えてもMMAでは通用しない打撃があります。僕はどちらかと言うとキックボクサー寄りの動きをするので、MMAで使うためにスイッチとか、重心を低くするとか、そういうことも試合のなかでやっていました」
──前手を回して、高い前蹴りも見せていました。木人戦法のような、あれは練習していた動きなのでしょうか。
「正直なところ、打撃の練習はほとんど出来てなかったです。珍しい動きをすると思ったかと思います。札幌では打撃の相手をしてくれる人がいなくて、空手出身の子たちとの練習しか出来なくて、それを試合のなかでやりたかったです。
結局、みんな練習通りの動きは試合で出来ていない。それをほぐすには試合慣れするしかないと思うんですよ。そういう意味で試合をこなすというのは大事だと思っています。那須川天心選手が一番、飛びぬけているのは場数の踏みどころだと思います。子供の頃から、何十人、何百人が見ている前で、試合をやり慣れている。自分もそういう風にMMAでなりたいと思っています」
──だから試合後「すぐにまた、11月に出たい」とアピールしたのですね。
「そうですね、やりたいですね。ほかの団体からもオファーがあれば全然、やりたいです」
──「若い選手を使いたい」というONE、一時は対ストラッサー起一選手の名前も出したRIZINなどとの交渉も、試合で勝ち続けて待つという状況でしょうか。
「そうですね。無いものねだりをしても仕方ないと自分は思っていて、実績に何もプラスにならないまま、ただ人生が過ぎていくんだったら、天心選手のように試合をして、自分が場慣れしていくことの方が大事だと思っています」