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【ONE】DJのKO復活に世界が衝撃! モラエス、セフードが「トリロジー」の決着戦を希望。DJは「もし組まれれば、僕と彼はやるだろうね」

2022/08/29 15:08
 2022年8月27日(土)シンガポール・インドアスタジアムにて、ONE Championship『ONE Fight Night 1 : Moraes vs. Johnson』が開催された。  前日の『ONE160:Le vs. Tang』に続く連続大会の2日目は、北米では、ONE Prime Videoで配信され、多くのファイターや練習仲間、ライバルたちが“DJ”の復活に反応している。  メインイベントでは「ONE世界フライ級(※61.2kg)選手権試合」(5分5R)として、王者アドリアーノ・モラエス(ブラジル)と、挑戦者にして元UFC世界王者&ONEフライ級ワールドGP優勝者のデメトリウス・ジョンソン(米国※DJ)が再戦に臨んだ。  2021年4月の前戦では、2Rにモラエスが右アッパーを効かせてグラウンドでの左ヒザ蹴り、パウンドと畳みかけてDJをKO。初防衛に成功している。  今回の再戦では、1RにDJの蹴り足を掴んでテイクダウンを奪うモラエスが上に。足を越えさせないDJはヒジ打ちを当ててモラエスの額をカットさせるが下の展開。  2Rには、モラエスが右ハイを当てると、効かされたDJが後退。がぶりからのヒザを浴びたDJが立ち上がるも、再び蹴り足を持ち上げたモラエスがテイクダウンを奪い、初回に続き王者のラウンドに。  3Rに驚くべき心身のスタミナを持つDJが反撃。身体の大きさが際立つモラエスだが、疲労からか見る場面が増え、DJの左の飛び込みや右ストレートを被弾。右を当てて押し返すモラエスだが、DJが勢いを取り戻したラウンドに。  そして迎えた4R、予告通り前進を続けるDJは、モラエスの左フックをダックでかわして、飛び込むように右のショート! 足が泳ぎながら下がるモラエスを金網に詰めて、左の跳びヒザ! ヒザから崩れ落ちてダウンしたモラエスにDJは勝利を確信し追撃せず、背を向けた「ウォークオフKO」で右手を挙げた。  4R 3分50秒、36歳のDJが見事なKO勝ちで王座を獲得。大きな黄金のベルトに肩にかけ、その重さに後方に倒れてみせた。ONE世界フライ級新王者となったDJは5万ドルボーナスを獲得。その後、王座戴冠の知られざる思いを明かしている。 [nextpage] ジムで前に出続ける「ゾンビ」を練習してきた  ケージのなかでMCのミッチ・チルソンからインタビューを受けたDJは、「MMAは進化している。とにかく前に出て手を出すことがゲームプランだった。ハーフガードで彼はパスガードできず、それ以上のことはできないから、だから自分がいい感じで(下から)エルボーが出せるだろうと。で、ご覧の通りだ! よし、よし! とにかくめちゃくちゃ頑張ったんだから、めちゃくちゃ気分いいよ。 (フィニッシュシーンを見返して)ずっとジムでボコボコにされてきたんだよ、アドリアーノに負けてから、これって初めてなんだけど『俺はこれを取り返さなきゃいけないんだ!』って思ったんだ。だから自分を危険な状態に追い込んだ。受け入れ難いことだったから。ジムでめちゃくちゃやり合って、なんて言うか、もう練習を越えてこじ開けていくような、『ゾンビ』って呼んでたんだけど、とにかく前へ前へと進んで行くっていう。うん、もうとにかくジムでハードに練習したんだ。 (「前回ヒザ蹴りを当てられて、跳びヒザのウォークオフKOで取り返す、こんなことある?」と聞かれて)心から信じてた、それは36歳になってもまだ成長できるってことを、だ。それは自分の周りにはチームがいるから。ジェームズ、トニー、AMCのみんな、グラップルクラブのみんな、そしてプロフェッサー・ヤン。自分はまだまだ良くなってるって実感してる。アドリアーノ戦のあと、ロッタンとの試合後、手懐けられた飼い犬のように殊勝にジムで練習してきた。負ける時は、負ける。勝つときは、勝つ、さ。だから(アドリアーノの)あの様子を見た時……よっしゃ!って感じた。ありがたいことだよ。 (5万ドルボーナスを獲得し)それで税金を払って、子供達の大学資金にあてて、あとどれくらい残るかな、妻に渡して、あとはー、まあコーラでもちょっと飲めるかな」と満面の笑顔、北米でも放送されたONEで戴冠を語った。  階級違いかと感じさせるほど大きなモラエスを相手に、序盤でピンチに陥りながら、ペースを乱すことなく戦い、その回転体MMAで最後はフィニッシュ勝利したDJ。  メインの両者と対戦経験を持つONEフライ級3位の若松佑弥は、解説席で「DJ落ちてるって言ってるやつ、何なの? 落ちてねぇよ!」と、そのハイレベルな攻防に興奮を隠せなかった。  王者の帰還に、アジアのみならず北米ファイターたちも大きな反応を示している。 [nextpage] DJはまだ「殺し」を持っている  右膝の前十字靭帯損傷のため、欠場中の現Bellator世界バンタム級王者のセルジオ・ペティスは、この試合後「デメトリアス・ジョンソン、リベンジおめでとう」と復活を祝福。  現UFCのテレンス・マッキニーは、「マイティマウスはまだ“殺し”を持っている。あの反撃を見ていると、UFCがフライ級のGOATをベン・アスクレンとトレードしたのは今でもクレイジーだった」とDJの復活を賞賛した。  そして、2008年北京五輪フリースタイルレスリング55kg級金メダリストにして、元UFC世界バンタム級&フライ級王者の“トリプル・C”ことヘンリー・セフードは、「マイティマウス! この男は、MMAファイターとして歴代トップ2の実力を持っているはずだ」と、自身に続くGOATだと、独特の表現で、練習仲間にもなったDJの勝利を讃えた。  試合後、セフードはDJとの電話を公開。DJからの「君のサポートに感謝する。君には愛情しかない」「一緒に練習する機会をくれて感謝している」の言葉に、セフードも「リスペクト。このスポーツで信じられないようなことをやってのけた人間との関係は金には変えられないものだ。光栄だよ」と答えている。  モラエスとの試合に向け、セフードの指導も受けたDJ。この両者は過去2回対戦しており1勝1敗で、そのトリロジー(3戦目)を期待する声はいまでも絶えない。  セフードは、2019年にフライ級王座を返上後、2020年5月にバンタム級王座暴利後に、現役引退を発表していたが、MMAに復帰するため、再びUSADA(米国アンチ・ドーピング機構)の検査リスト入りを果たしている。 [nextpage] セフード「DJとはいつやっても分からないくらい、互いにイカれてるんだ」 2016年4月はDJが1R TKO勝ち。写真の2018年4月はセフードがスプリット判定で勝利している。(C)Zuffa LLC/UFC  試合後の会見で、練習仲間にもなったセフードとの3戦目の可能性について問われたDJは、「もちろんありうる。もしそこにお金があれば、僕と彼はやるだろうね。僕とヘンリーは仲がいいけど、彼は赤ん坊のオムツのために大金を稼がなければならないから、僕たちは戦うだろうね。彼はもっと子供が欲しいだろうし、生活を維持するために、もしヘンリーと戦ったら……2人で大金を稼ぐんだ。そして試合後、勝った方も負けた方も、お互いにビールをおごるよ(笑)」と、否定はしなかった。  セフードのもとで練習をしたDJは、“トリプルC”がまだ非常に高いレベルで動きを保っていることを語る。 「彼は僕と一緒にトレーニング出来るし、ヘンリー・セフードはまだいい選手だよ。僕たちは2つの異なる組織にいる。彼はUSADAプールに戻ってきたばかりだ。彼はまだUFCと契約している。ヘンリーは“クアドラプルC”を狙っているから、アレクサンダー・ヴォルカノフスキー戦を望んでいるんだ」と、現実的にはセフードがフェザー級での王座獲りを視野に入れていることを語った(※ヴォルカノフスキーはライト級との二階級制覇も視野に入れているが)。  しかし、今回の試合後、YouTubeを更新したセフードは、DJとのトリロジーについて興味を示している。  UFC4連勝中のオリンピアンであるマーク・マドセンの隣りで、DJクッションを脇に試合を視聴したセフードは、「もし、私がフライ級に戻りたかったとしたら、1人しかいない。それは100%デメトリアス・ジョンソンだ」という。 「きっとこれはMMA史上、最大のトリロジーになるだろうね。考えてもみてほしい。“二階級チャンプvs.UFC史上最も王座防衛した男”の闘いだ。いい響きだろ? ONEで? それは分からない。僕もデメトリアスもやりあうほど仲がいいというか、いつやっても分からないくらい、互いにイカれてるんだ(笑)。金になると言うなら、友情のことはさておき、だよね(笑)」と、DJと同じく、それが実現するなら三部作の決着をつけたいとした。  しかし“トリロジー”はDJvs.セフードだけではない。今回の試合で1勝1敗となったアドリアーノ・モラエスも試合後に、3戦目を望んでいる。 「僕は大丈夫だ! 今日は僕の日ではなかった。デメトリアス・ジョンソンおめでとう。素晴らしい戦いをありがとう。再びあなたとサークルケージを共有できて光栄だった。トリロジーマッチで会いましょう!! 1x1(1勝1敗)」。  36歳にして、ONE世界フライ級王座を戴冠したデメトリアス・ジョンソン。次の相手は誰になるか。フライ級の古豪のKO復活は世界に衝撃を与えた。
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