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インタビュー

【DEEP】波乱のフライ級GP、勝者は何を語ったか? 伊藤裕樹、安谷屋智弘、本田良介、ビョン・ジェウンはいかに戦い、2回戦にどう向かうのか

2022/08/23 22:08
 2022年8月21日(日)東京・後楽園ホールで『skyticket Presents DEEP 109 IMPACT』が開催された。  同大会から「DEEPフライ級GP1回戦」が開幕。16選手が、8月21日の後楽園と9月11日のニューピアホールの2大会に分かれて初戦に臨む。  その前半戦となる4試合が後楽園ホールにて行われ、伊藤裕樹(ネックス)、安谷屋智弘(氷ヲ刻メ/池田道場)、本田良介(CAVE)、ビョン・ジェウン(フリー)の4選手の勝ち上がりが決定した。  5ジャッジ制で行われたGPでは判定勝ちが2試合、一本勝ちが2試合で番狂わせもあり、早くも熱戦が展開されている。勝者は何を語ったか。試合後のコメントとともに紹介したい。  なお、大会後、佐伯繁DEEP代表は、9月11日大会後に、2回戦の組み合わせを再び抽選会で決めること、さらに2回戦の日程について、「11月にやるか12月にやるのか、まだ考えています。9月の勝ち上がり選手が、2カ月スパンで試合をやるのはちょっと可哀そうかなと。でも12月はカードが決まっているという問題もあり、みなこのGPに賭ける思いはすごいので、9月11日大会の状況を見て、決めたいと思います」と、11月か12月のいずれかで実施と語っている。 【DEEP】波乱のフライ級GP、勝者は何を語ったか? 2回戦進出4選手に聞く ◆DEEPフライ級GP 1回戦9月11日(日)ニューピアホール ▼DEEPフライ級GP 一回戦 5分3R福田龍彌(MIBURO)杉山廣平(SPLASH) ▼DEEPフライ級GP 一回戦 5分3R村元友太郎(ALIVE)風我(フリー) ▼DEEPフライ級GP 一回戦 5分3R島袋チカラ(CORE)宇田悠斗(総合格闘技道場 HOPE) ▼DEEPフライ級GP 一回戦 5分3R駒杵嵩大(fightbase 都立大)松場貴志(パラエストラ加古川) [nextpage] 伊藤裕樹「正直、負けたかなと思った」 ▼第10試合 DEEPフライ級GP 1回戦 5分3R〇伊藤裕樹(ネックス)[判定4-1]※29-28×2, 28-29 30-27×2×原 虎徹(CAVE)  伊藤は、2022年5月に関原翔との死闘を制すると、7月の前戦「RIZIN.36」で宮城友一に2R TKO勝ちで2連勝をマーク。  極真空手出身の原は、「朝倉未来1年チャレンジ」出身のヒロヤを完封するなど2連勝後、柔道出身の強豪・吉野光、ボンサイ柔術の内山拓真にいずれもスプリット判定負け。7月に風我に判定負けと接戦を落としている。  試合は、3Rにカウンターの右で伊藤を後退させた原がテイクダウンからコントロールを狙うも、正対し作らせない伊藤が、ボディ打ちから原の組みをスプロール。後ろ三角絞めから打撃をまとめて勝利を決定づけた。 伊藤「GPで負けたくないという気持ちが上回って守りに入っちゃうと持ち味を出せない。散ってもいいというくらいの勢いのある試合を2回戦では見せたい」 「原選手、結構、距離感を取るのが上手くて、右のリードジャブがすごく丁寧に伸びてきたので、なかなか打撃に入り辛い距離でした。あの後ろ三角絞めで極めたかったんですけど、ちょっとテンパってしまって、パウンドに切り替えました。  3Rにちょっともらって、効いてはいないですけど、素直に相手の原選手が強かったと思います。(判定は)正直、負けたかなと思って、相手にコントロールされて負けちゃったかなと自分自身は思ったんですけど、とりあえず勝ってよかったです。 『優勝候補』と言われているけど、ほかの選手も見ていて、全員、強いし、僕が下手したら一番下かなという気持ちだったので、今回の1回戦で自分の立場を見直す、いい試合になったかなと思います。  何とか生き残ったという感じなので、このチャンスを無駄にせずに、2回戦からもっと進化したところを見せたいです。  トーナメント出るからには優勝を狙っているんですけど、優勝をするという気持ちが強すぎて、逆に負けたくないという気持ちが上回って守りに入っちゃうと、本来の僕のポテンシャルが出せないと思っているので、ここで散ってもいいというくらいの勢いのある試合を、2回戦ではしたいです。  今日はUFCでウスマンが負けたり、番狂わせが多くて、でもトーナメントは実力も大事なんですけど、少なからず残っている人は勝ち上がる秘訣を持っていると思うので、今回、僕のほかに勝ち上がった3人は、運も実力も兼ね備えていると思いました。  試合前に『完全制覇』と言ったんですけど、ちょっと仕切り直しで、2回戦からは『完全制覇』で、次は11月、進化した僕を見せたいと思うので、これからも皆さん応援よろしくお願いします」 [nextpage] 安谷屋智弘「バキバキ鳴っていた。あれは逃げれない」 ▼第9試合 DEEPフライ級GP 1回戦 5分3R〇安谷屋智弘(氷ヲ刻メ/池田道場)[1R 1分51秒 キムラロック] ※レフェリーストップ×小川 徹(TRIBE TOKYO MMA)  安谷屋は、2019年4月のDEEP大阪で福田龍彌に判定勝ちし、2021年2月には松浦貴志にも判定勝ちしている実力者。しかし、2021年6月に伊藤裕樹に一本負けし、2021年11月のRIZINでは宮城友一にTKO負けと、2連敗中。ハマれば強い、その組み力をGPでいかに活かすか。  対するTRIBE TOKYO MMAの小川は、フライ級キング・オブ・パンクラシストでDEEP初参戦。2021年10月に上田将竜を判定で退け初防衛に成功も、2022年3月21日のPANCRASEで猿飛流に判定負けで王座陥落。今回、新天地を求めた。  試合は、組んで脇をを潜ってボディロックでスタンドバックについた小川に、安谷屋が背後の小川の左手首を掴んで、左腕をオーバーフックして、クラッチの中にこじ入れ、キムラクラッチを組むと、小川のボディロックが外れ、前転して相手を回して上を取った安谷屋がキムラロックへ。最後は小川の頭を跨いで絞ると、小川はタップしていないものの動けず、レフェリーは見込み一本で、安谷屋の勝利とした。小川は両手を広げて抗議も受け入れられず。安谷屋は元修斗王者に続き、元PANCRASE王者にも勝利し、2回戦進出を決めた。 「タップ」か「セコンドが止める」か「折れるまで見る」ことを望む選手側と、「完全に極まったら止める」と判断するジャッジ。試合後の勝者は「ヒジがバキバキいってて“これ以上いったら折れるな”と思っていた」と語っている。 安谷屋「絶対に判定じゃなく仕留めてやろうと、気合が入っていた」 「バキバキ鳴ってたんで、もうちょい早い段階で止めても良かったかなと思います。ヒジがバキバキいってて、“あっ、これ以上いったら折れるな”って。頭を跨いでいて、たぶんあれ、逃げれないですね。  あのまま続いてもどっちみち、一本かKO取ってたと思います。打撃でも組みでも行けるなと思いました。DEEPは甘くないぞ、という気持ちはありました。絶対に判定じゃなく仕留めてやろうと、気合は入ってました。  このメンバーで間違いなく優勝できるなと思っています。怪我も無いので、2回戦に向けて沖縄に帰ったらすぐに練習します。絶対、優勝するので最後まで見ていてください」 [nextpage] 本田良介「やっと僕のGPが始まる」 ▼第8試合 DEEPフライ級GP 1回戦  5分3R〇本田良介(CAVE)[判定4-1] ※29-28×4, 28-29×越智晴雄(パラエストラ愛媛)  かつてCAVEでともに練習し、セコンドにもついていた両者。渋谷カズキ、曹竜也に判定勝ちの元ストロー級王者の越智は、関原翔に敗れ、フライからストロー級に戻すことも考えていたなかでの、チャンスを求めてのフライ級GP参戦となる。  本田は、修斗で2017年のフライ級新人王となり、安芸柊斗、黒澤亮平、小巻洋平を相手に3連勝後、DEEPに参戦。加藤瑠偉、駒杵崇大を下すも、7月に杉山廣平に判定負け。しかし、内容が評価されGP参戦を決めた。  試合は、互いの手の内を知るなか、飛び込む越智にカウンターを当てる本田がしつこくテイクダウン狙い。そこに得意のギロチンチョークを仕掛ける越智だが、再三の極めを防いだ本田が最後にクリーンテイクダウンを決めて、判定4-1で勝利した。 本田「勝因は、わがままにやったこと」 「とにかく勝てて嬉しいです。(GPに)出た以上、いずれ当たることになるとは思っていたので、抽選で決まってからはもう、すぐに知り合いだという感覚は無かったです。以前から練習したことがあり、自分のことをよく知っている人とどう戦うかというだけです。  ちょっと相手に作らせ過ぎたところが僕にあったので、内心(ギロチンが)極まってないから大丈夫と思っても、ジャッジがどう取るかは分からないので、そういう印象とかは意識してましたが、もっともっと強い印象を残せるようにしたいです。  勝因は、わがままにやったことかなと思いますね。7月に(杉山廣平と)試合をしたばかりで、時間を置いた方がよかったんでしょうけど、(9月ではなく)8月は抽選で決まったんですけど、ほんとうに勝ちたいというわがままな気持ちでやれたのが、かえって良かったのかなと思います。やっと僕のGPが始まります。  僕は意識してなかったんですけど、傍から見て『チャンスが少ないね』と言われることが多くて、なかなか勝ってもタイトルとか回って来なかったので、そのチャンスを無駄にさえしなければきっと輝けるんで。このGPは勝てば勝手に注目度が上がって行き、上の舞台が見えてくるので、このトーナメントをいいものにしていきたいですね。  2回戦に向け、しっかり一本、KOが取れる。なおかつアグレッシブにもっとガンガン攻めるように仕上げてくるので楽しみにしていてください」 [nextpage] ビョン・ジェウン「韓国のフライ級で僕が一番強い」 ▼第7試合 DEEPフライ級GP 1回戦 5分3R×渋谷カズキ(高本道場)[1R 4分46秒 ギロチンチョーク]〇ビョン・ジェウン(フリー)  ジェウンは、MMA2勝2敗。寝技がベースで2016年にフェザー級で今成正和に判定勝ち。2018年には元谷友貴を打撃で苦しめており、その死闘で4度も顔の手術を行ったという激闘ファイターだ。2022年5月の福田龍彌戦で敗れたものの、判定まで持ち込んでいる。  渋谷は、MMA8勝10敗1分。強いグラップリングを武器に、2019年11月から4連勝。しかし、2021年2月の藤田大和との暫定王者決定戦でカーフキックを効かされ、3R、サッカーキックによりTKO負け。フライ級のベルトを逃している。2021年9月に元ストロー級王者の越智晴雄にテイクダウンを受けて判定負け。続く2022年4月に柴田“MONKEY”有哉に3R 三角絞めで敗れ、3連敗中だった。  試合は1R、ジェウンの詰めに引き込む形となった渋谷。クローズドガードの渋谷にジェウンはインサイドから左フック。渋谷は右手で左足をすくいにいくが左腕を枕にはがすジェウン。  ブレークから、右を振り組みにいく渋谷を、ジェウンはがぶりから首を抱え、ハーフガードからギロチンチョークへ。絞り上げ、寝技師・渋谷からタップを奪った。 ジェウン「絶対にトーナメント優勝します」  日本人の知人から日本語を習っているジェウンは、試合前にすべて日本語で、「元谷選手との試合後、大きな手術をしました。辛い瞬間も悲しい瞬間も、諦める瞬間もあったけど、夢を見てここまでやってきました。どんなに状況が苦しくても、どんなに大きな悲しみや苦痛が目の前にあっても、諦めなければ希望ができるということを、トーナメントで証明したいと思います」と語っていたが、今回の勝利後も日本語で「僕の名前はビョン・ジェウンです。いろんな準備をしてくれた皆さん、ありがとうございます。韓国のフライ級で僕が一番強いと思います。絶対にトーナメント優勝します。約束します!」と語り、ケージを後にした(※会場を退出していたため、バックステージでのコメントは無し)
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