キックボクシング
レポート

【GLORY】サディクがアデグブイを衝撃的なKOで返り討ち、海外初挑戦のRISE王者・直樹がダウンを奪われウォシクに敗れる

2022/08/21 03:08
GLORY 812022年8月21日(日)ドイツ・カステロ・デュッセルドルフ ▼フェザー級 3分3R〇デニス・ウォシク(ドイツ)判定5-0 ※30-26×5×直樹(日本/BRING IT ONパラエストラAKK/RISEライト級王者)  メインカードの第1試合に登場した直樹は伝統派空手出身で、2015年RISING ROOKIES CUPスーパーフェザー級で優勝後、独特の間合い操作と当て感の良さでRISEライト級の上位選手として長く活躍。2019年11月にはムエタイ大会『スックワンキントーン』でスーパーライト級王座決定戦に勝利し、プロ初戴冠を果たした。2020年10月の「RISE DEAD OR ALIVE 2020 -63kgトーナメント」では準決勝で優勝候補の白鳥大珠を1R1分30秒、ヒザ蹴りによるTKOで破る番狂わせを演じ、決勝では原口にKOで敗れるもインパクトを残した。2021年1月には秀樹を破り悲願であった第7代ライト級王座に就き、9月には白鳥と再戦して延長戦の末に白鳥を返り討ち。前戦は今年4月に山田洸誓との王者対決でKO負けを喫している。戦績は19勝(10KO)6敗。  対戦相手のデニス・ウォシクはドイツ出身の28歳。2019年武林風ワールドカップ -63kg王者、2015年IKBO K-1ルール -70kgドイツ王者、2016年 ICBO K-1ルール -70kgドイツ王者などの経歴を持つ。戦績は35勝(9KO)8敗1分で、多彩なコンビネーションを軸としたトータルバランスに優れたファイトスタイル。2018年3月のK-1に来日経験があり、郷州征宜に判定負けしている。  直樹は国旗をマントにし、場内に姿を現わすと刀で斬るパフォーマンスを見せた。リングインした後も、リラックスした表情。  1R、直樹はバックステップで距離を作りながら右ロー、ウォシクはジャブを繰り出しながら入り込んで右ストレート、左ボディにつなぐ。距離を詰められる直樹はガードの上からでもジャブを打ち、右インローを放つ。どんどん前へ詰めるウォシクはジャブ、左フックと左のパンチを当てる。右ストレートは直樹が頭を振ってかわす。ジャブをもらう直樹はジャブを返すが、終了間際にはウォシクの左ハイがかすめた。  2R、直樹は右インローを蹴るがウォシクは構わず前へ出てジャブを当てていく。直樹が左右ボディを打つとウォシクもすかさず左右ボディを返す。直樹は左右に動いてウォシクの前進をかわして右フック。ウォシクはタイミングのいい前蹴りで直樹をコカすと、直樹が不用意に左を伸ばしたところへ右バックハンドブローでダウンを奪う。ウォシクは左ボディ、飛びヒザ、左フックと畳みかけ、直樹の左フックはかわされる。  3R、直樹はステップを止めて左右ボディ、ヒザを蹴る。ウォシクのパンチで直樹は右目の上をカットして流血。前に出るウォシクに右ストレート、ヒザ蹴り、そして前蹴りと手数を増やすが、ここでドクターチェック。左フックを連発して右ストレートを打つウォシクはバックキックも繰り出す。直樹はワンツー、左三日月蹴り。直樹は三日月を連発して逆転を狙うが、ウォシクは下がらずワンツーを打ち込む。直樹はヒザ、さらにアッパー、ウォシクは飛びヒザ。ウォシクの左フックをもらうと続く右ストレートももらってしまう直樹。最後は足を止めての打ち合いとなるが、ヒットを奪うのはウォシクだ。  そして終了のゴング。直樹はその場に崩れ落ち、悔しさを露わにした。判定はジャッジ5名とも30-26でダウンを奪ったウォシクが勝利。スピードのあるパンチと入り込みの速さで直樹の挑戦を打ち砕いた。 [nextpage] ▼メインイベント ヘビー級 3分3R〇ジャマル・ベン・サディク(モロッコ/同級2位)KO 1R 2分34秒×ベンジャミン・アデグブイ(ルーマニア/同級5位)  サディクは9歳でキックボクシングを始め、10代の頃はストリートファイトに明け暮れていたという。2011年3月にプロデビューし、2012年10月からGLORYに参戦。大晦日に日本で行われたヘビー級トーナメントでは準決勝でダニエル・ギタに敗れるも、準々決勝でレミー・ボンヤスキーから番狂わせの勝利を奪っている。さらに2013年5月のGLORY日本大会ではピーター・アーツに逆転KO負けするもダウンを奪った。2018年には今回対戦するアデグブイに決勝で勝利してGLORY 62ヘビー級コンテンダートーナメントで優勝。また、2012年にがんを患い、1年後にも再発したが克服したことでも知られる。戦績は36勝(29KO)9敗1無効試合。  アデグブイは空手、ボクシングを経験して2011年3月にプロデビュー。2012年にはK-1 GLOBALと契約し、10月に東京で開催されたK-1 WORLD GP FINAL16に出場して勝利している。SUPERKOMBATを経て2014年6月からGLORYに参戦し、リコ・バーホーベンのヘビー級王座に2度挑戦するがいずれも敗れている。2020年12月にはバダ・ハリにKO勝ち。戦績は35勝(20KO)7敗。  前述のように、2018年のトーナメント決勝以来、約4年ぶりの再戦となった。  1R、前に出るサディクにアデグブイは左ミドルと右カーフ。サディクはプレッシャーをかけてアデグブイにコーナーを背負わせると左右ストレートの連打を見舞う。アデグブイも打ち合うが離れた。さらにジャブを打ちながらアデグブイのガードを崩し、右ストレートを打ち込んでいく。  サディクのワンツーに打ち返してきたアデグブイの右フックを空振りさせ、右ストレートでダウンを奪うサディク。立ち上がったアデグブイへワンツーの連打からの右フックでグラつかせ、そして右ストレートをアゴに打ち抜く。さらに右を叩き込み、アデグブイは棒立ちとなったままもらい続けてレフェリーがストップしたところで崩れ落ちた。  サディクが衝撃的なKOで再戦も制し、場内の大歓声を受けた。そして「厳しい時期を乗り越えたけれど今は調子がいい。フィニッシュまで8発入ったがレフェリーに止められるまパンチを止めることはない。次はタイトルに挑戦したいが、ファンの声を聞きたいね。ファンを楽しませる試合をするよ」と勝利者インタビューに答えた。 [nextpage] ▼GLORYミドル級(-85kg)タイトルマッチ 3分5R〇ドノバン・ウィッセ(スリナム/王者)判定5-0 ※50-44×5×ジュリ・デ・ソウサ(ポルトガル/挑戦者)※ウィッセが防衛に成功。  王者ウィッセは16勝(10KO)1敗の戦績で現在5連勝中。挑戦者のソウサは43勝6敗1分とキャリアにはかなりの差がある。  1R、ソウサは左右に構えをスイッチさせて様子をうかがうが、ウィッセはジャブを突いて距離を詰めての左右フック。ロープやコーナーを背負わされる場面が多いソウサ。両者とも様子を見る慎重な出足。5人のジャッジは全員が10-9でウィッセ。  2Rも前に出るのはウィッセでジャブを出しながらソウサにコーナーを背負わせる。ソウサの右ローに左右フックを合わせに行くウィッセだが、ソウサもスイッチしての左ストレートを合わせに来る。コーナーに詰めたウィッセは左右ボディとヒザ、ソウサはブロックを固めて耐える。コーナーを背負い続けるソウサはストレートの連打からバックハンドブローを繰り出すが、有効な攻撃にはならなかった。  3Rはソウサが左三日月蹴りからバックハンドブロー、これはヒジが当たったと減点を受ける。再開後、さらに圧力を強めるウィッセがジャブをボディへ打ち、右ストレート、左フックへつなぐ。このラウンドもロープやコーナーを背負わされるソウサ。ウィッセはワンツーをクリーンヒットさせ、左ボディも強くヒット。ソウサも手数を出して反撃するが、強いインパクトの攻撃には至らない。  4R、前に出るウィッセに左フックを合わせるソウサは飛びヒザ蹴りを繰り出してそのまま左右フック。ローの蹴り合いはウィッセが有利か。ウィッセは三日月蹴りと左ボディ、さらにヒザ、左ボディ。ソウサは組んでのヒザ蹴りが増える。ウィッセはジャブを顔面とボディへ打ち分け、右ローを強打する。  5R、ソウサは構えを左右に変えながら左右ストレート連打で前へ出るが、ウィッセの右ローをもらって後退。その後も右ローを狙い撃ちにするウィッセにソウサはパンチを返すが、ウィッセはしっかりブロックしてすぐに右ローをリターン。ステップで離れようとするソウサの先回りをするように進路を塞ぐウィッセは右ローでダメージを与えていく。  待ちの姿勢だったソウサのカウンターをもらうこともなく、ローでしっかりとダメージを与えたウィッセが相手に1ポイントも与えない完勝の判定5-0でタイトル防衛に成功した。 [nextpage] ▼フェザー級 3分3R〇アフマド・ムーサ(ドイツ)KO 1R 3分00秒×ラフィク・ハビアト(モロッコ)  地元ドイツのムーサは観客の声援を受けての登場。1R、サウスポーのハビアトは前蹴りを多用し、接近戦になるとすぐに組んでヒザ蹴りに行く。このヒザ蹴りでペースをつかむかに思われたハビアトだが、右フックに被せたムーサの左フックでハビアトの足がもつれ、フラついて時間差でダウン。かなり効いた様子でその後もスリップを繰り返す。ムーサは前蹴りからヒザ蹴り、さらにコーナーへ詰めてのヒザ蹴りからの左フックでダウンを奪う。  日本なら即KO負けとなりそうなダウンをしたハビアトにダウンカウントが数えられ、何とか立ち上がろうとしたハビアトだが足がもつれ、GLORY初参戦のムーサの豪快KO勝ちとなった。 [nextpage] ▼ヘビー級 3分3R×ノルディン・マヒエディン(アルジェリア/同級4位)KO 1R 2分52秒〇シハド・ケペネ(トルコ)  ケベネクは21勝(15KO)6敗とKO勝ちが多いが、GLORYでは1勝2敗。マヒエディンは27勝(12KO)14敗でGLORY戦績4勝1敗。  1R、マヒエディンは左右フック&ボディから左右ローにつなぐコンビネーションを繰り出す。ずんぐりとした体型からは想像もできないような俊敏な動き。ケベネはガードを固めて前へ出ると左右フックを繰り出していくが、マヒエディンも負けじと打ち合って左フックの相打ちに。マヒエディンはヘビー級では珍しい顔面前蹴りをヒットさせると、左ハイキックも繰り出す。ケベネは連打でロープに詰めていくと、マヒエディンの右フックに左フックを返してダウンを奪う。  カウントが数えられ、座り込んだマヒエディンはカウント9で立ち上がろうとしたが立つことが出来ず、ケベネのKO勝ちとなった。ケベネはGLORYでの初のKO勝ちをマーク。 [nextpage] ▼ライト級 3分3R〇ストヤン・コプリブレンスキー(ブルガリア)判定5-0 ※29-28, 29-28, 30-27, 30-27, 30-27×ゲリック・ビレット(フランス)  ストヤンはアマチュアムエタイ世界王者の実績があり、GLORYでは5勝4敗2分。ビレットはGLORYで4勝2敗。現在3連勝中でアグレッシブなスタイル。ローを得意とする。  1R、ビレットは遠心力を活かした右ロー、左ローとローを蹴ってワンツーへつないでいく。ストヤンはジャブを突き、右ローを帰していくがビレットの右ローを何度ももらう。ストヤンが左ボディを打つとビレットもすぎに左ボディ。ビレットはパンチのコンビネーションから左右ローへ上手くつなぐ。ストヤンはジャブを突いて右ストレートを当てに行く。  2R、ビレットが右ローを蹴ろうとすると過剰に反応するストヤン。ビレットはタイミングよく右ローをしっかり当て、ビレットはヒザと左ミドル、そして左ボディとボディを攻める。前に出るビレットは左右ロー、ストヤンも右ローを蹴り返して両者ともカットすることなく相手のローをもろにもらう。ストヤンはハイキック、顔面前蹴りと上にも蹴りを放つ。  3R、ストヤンは長い距離でワンツーを打ち、そのまま接近してボディやアッパー&フック、そしてヒザ蹴りと距離に応じて流れるようなコンビネーション。ビレットもワンツーを繰り出すと、ストヤンは“もっと打ってこい”とカモンゼスチャーをして左右フックから右ハイキック。ストヤンはパンチ打って距離が近くなると肩で相手を押して距離を作り、再びパンチのコンビへとつないでいく。左右アッパー、左右フックとビレットのガードの隙間を狙い撃ちするストヤン。さらに前へ出てくるビレットを左手で回していなし、自分の攻撃を当てる。  テクニックを見せつけたストヤンが判定5-0で勝利。リングには現ライト級王者のティジャニ・ベスティニがリングに上がり、コメントした。現在ランキング1位のストヤンはタイトル挑戦が濃厚視される。
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