RIZINライト級王者のホベルト・サトシ・ソウザ(ボンサイ柔術)が右手の手術に成功。復帰を今秋から年末に定めた。
本誌『ゴング格闘技』(NO.321)インタビューで既報の通り、サトシは右の拳を、2021年12月の矢地祐介戦の前から痛めていた。
「矢地(祐介)戦の前から痛かった。硬いところに当たるとね……だから4月の試合はもっとヤバかったね」と苦笑する。
2021年6月の「RIZINライト級王座決定戦」でトフィック・ムサエフ(アゼルバイジャン)に1R 三角絞めで一本勝ちし、王座を獲得したサトシ。その後、怪我を抱えながらも大晦日の矢地戦で2R 腕ひしぎ三角固めで一本勝ち。2022年4月のジョニー・ケース(米国)との「RIZINライト級タイトルマッチ」でも、腕ひしぎ三角固めで2度目の防衛に成功している。
「ジョニー・ケース戦の前から怪我が多くて、手もヒザも足もいろいろあったけど、大事な試合だったから、キャンセルはしたくなかった。だから試合をして勝ってから、いろいろ治そうと。リハビリとかもしたんだけど、完全には治らなくて、右手がいまも腫れているから……」と、大きく腫れ上がった右手を見せていた。
2022年後半戦に向け、サトシは右手の手術を決意。痛みの原因となっていた骨折した骨を除去するために、7月15日に手術を行った。
「手術は1時間で終わったけど、全身麻酔でちょっと大変だった(笑)。3日間入院して、そんなに難しい手術じゃなくて、少し切って小さな骨を取り出した。靭帯や軟骨は何も問題なかったです」と安堵の表情を浮かべる。
【写真】左は取り除いた骨、右は右手の手術痕とともに。
練習の復帰は、柔術から。「パンチの練習にはまだ時間がかかる」といい、次戦は「9月に戻りたいけど……、回復して、そこからしっかり練習が出来ることが大事。100%の状態で戦いたい。12月には問題ないと思う」と、完治して納得できる練習が出来てから試合に復帰したい、とした。
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病に苦しむ子供を援助「チャンピオンになって分かったことは、自分のためじゃなくて、周囲の人のためにもなるんだということ」
7月28日には、自身のSNSでも呼びかけたチャリティオークションで集まった寄付金を振込む動画をアップした。
13歳で肝臓癌と診断され、社会保険適用外の肝臓移植が必要なパトリック・リューキ・サカモト君の手術代の援助のため、サトシは『RIZIN.35』で使用した道衣をオークションにかけ、さらにボンサイ柔術の仲間から集まった寄付金等も合わせ、総額50万円を妻のユリとともに「リューキ君を救う会」に振り込んだ。
「このことはポルトガル語でも話すのが難しい。ある磐田に住む若い子供のブラジル人が健康に問題を抱え手術が必要でした。子供の健康の問題には感傷的になります。なぜなら私たちは父であり子供もいます。ジムにも多くの子供たちがいます。もし自分が同じ状況になったときのことを考えたら、そのために出来るだけ努力をしたいと思いました」
道衣の落札者は、「最近、家族を失った悲しみがありリューキ君の手術に協力したい」と、オークションに参加したという。
サトシは、その道衣に「悲しみを抱えないでください。いまあなたは一人の子供の命を助けました」と言葉を添えて送ったという。
「私が優しいとか言われるけど、リューキくんの命を救うことができるのは、みんなのおかげです。RIZINに加わったときの一番の目標がチャンピオンになることでした。いま実際にチャンピオンになって分かったことは、自分のためじゃなくて、周囲の人のためにもなるんだということです」と感謝の言葉を述べたサトシ。
自身の手術も行い、活発化するライト級戦線のなかでRIZINのみならず、世界との戦いに挑むつもりだ。
「ムサエフは試合前に私が予想した通り勝ったね。私も練習に戻り、RIZIN王者の私が、世界のトップを相手にどこまで出来るかを証明したい」。