空手の“見せ方改革”
――当日は劇場で行われるということで、通常の大会とは異なる演出も用意されているのでしょうか。
「光と音と舞台装飾に力を入れていて、舞台装飾は団体形のシンクロ性、空手が持つ和の雰囲気と美しさを引き立てるものにデザインして頂いてます。今回はいきなり3位決定戦から始まって、その前に何が起きたんだ? という方たちもいらっしゃると思うので、予選のダイジェストやルール説明動画も流して、“予選を勝ち抜いた人たちが今ここにいます”といった演出もさせて頂きます。初めて見る方も多いでしょうし、自分が初めて空手を見た時の気持ちは大切にしたいと思っています。今はそういった全空連における“見せ方改革”の真っ最中です」
――愛好者だけをターゲットにするのでなく、新しい、より広い層に訴えていくと。
「そうでないと競技として普及・発展ができないですよね。他のプロスポーツは見せ方の工夫で、パッと見て2、3秒で何が起きているか分かることができます。そこが私たちと決定的な違いだと思います。スポーツで普及を目指すなら、やはり理解してもらわなければ普及に繋がらない。分からないものは誰もやりたがらない、というところに尽きます。団体形を今回劇場でやる理由はそこにあって、これが一番いい伝え方なのかなと思っています。たた“劇場でやりたいから”という、そういう考えではないんです」
――より団体形の魅力と意味合いを伝えるために劇場を選択されたと。興味はあるけどこれまで観たことがない、初めてだけど空手を観てみたい、そういった人たちも今大会は入り込みやすそうです。
「金曜日の夜6時から始まって、映画より少し短い90分ですので、その後で飲みに行ってもいいかと思います(笑)。90分という長さはちょうどいいかなと思って設定しています。短過ぎても物足りない感じがありますし、“もう少し観たい”“また来たいな”と思ってもらえれば。それにはやっぱり流れやロジックがあるので、そこはブルーマングループのツアーを制作するトリックスターエンターテインメントさんの知見を借りて、そういった流れを設計させて頂いています。伝統に革新をもたらす表現を五感で堪能して頂きたい」
――新たな形の“空手エンターテインメント”が今回の全日本選手権で誕生することになりそうです。
「団体形は海外の大会では終わった後でスタンディングオベーションが起きるんです。日本だと静かに観戦する雰囲気が あるのですが、劇場だともう少し観客と一つになれる空間なのかなと思いますし、外国の方にも多く足を運んで頂きたいと思います。最後にスタンディングオベーションが起きるのを一つのKPIに置きたいです(笑)」
――大会を楽しみにされる方たちへ最後にメッセージをお願いします。
「全空連で初めての試みとなる空手の表現を五感で楽しんで頂きたいです。今年の連盟のスローガンは「Break Through ~伝統に革新を~」で、これは“伝統を大切にしながら進化を目指す”という意味合いです。私たちなりの“伝統に革新を”というところが今回の表現の仕方に繋がっているので、そこを堪能して頂きたいです」