2022年7月9日(日本時間10日)、米国ネバダ州ラスベガスのUFC APEXにて「UFC Fight Night Vegas 58:Dos Anjos vs. Fiziev」が開催された。
【メインイベント】
▼ライト級 5分5R〇ラファエル・フィジエフ(アゼルバイジャン)12勝1敗(UFC6勝1敗)※UFC6連勝 155lbs/70.31kg[5R 0分18秒 KO]×ハファエル・ドス・アンジョス(ブラジル)31勝14敗(UFC20勝12敗)156lbs/70.76kg
メインイベントは、ライト級のランカー対決。7位のRDAことハファエル・ドス・アンジョス(ブラジル)は37歳で、MMA31勝13敗(UFC20勝11敗)。対するハファエル・フィジエフ(アゼルバイジャン)は10位で29歳。MMA11勝1敗(UFC5勝1敗)でUFC5連勝中。
両者の対決は当初、2月に組まれていたが、フィジエフのビザの問題で3月に延期になり、そのときも試合1週間前にフィジエフがコロナ陽性で中止となっていた。
2015年3月にアンソニー・ペティスを破り、ライト級王者となったドス・アンジョスだが、2016年7月のエディ・アルバレス戦で王座陥落。トニー・ファーガソンに敗れて連敗したことでウェルター級に転向。
3連勝後に、コルビー・コビントンとの暫定王座決定戦で判定負けで二階級制覇ならず。カマル・ウスマン、レオン・エドワーズ、マイケル・キエーザに敗れ、ライト級に戻った。
2020年11月にポール・フェルダーに、2022年3月にヘナート・モイカノに、いずれも緊急出場の相手ながら判定勝ちで2連勝中だ。ライト級でフィジカルの強いフィジエフを相手に得意の組みで上回ることが出来るか。
対するフィジエフは、ムエタイを武器にUFC5連勝中。2019年4月のオクタゴンデビュー戦こそマゴメド・ムスタファエフの右スピニングバックキックに敗れたものの、以降はアレックス・ホワイト、マルク・ディアケイジーに判定勝ち、ヘナート・モイカノを左フックでKOに降すと、ボビー・グリーンに判定勝ち。
2021年12月の前戦はアデサニヤと同門のブラッド・リデルを右スピニングバックキックで3R KOに下している。強い体幹から放たれる重いパンチ、首相撲&ヒジ・ヒザの近距離の打撃でも強いフィジエフが、いまだオクタゴンでは見せていない組みの強さも見せるか。
1R、サウスポー構えのドス・アンジョス。オーソドックス構えから右の蹴りで牽制はフィジエフ。ドス・アンジョスも左ミドル。さらに左ストレートで飛び込む。
圧力をかけるドス・アンジョス。ニータップから組みに。左で差し上げるフィジエフは金網背に。左で差して押し込むドス・アンジョスに右で小手に巻くフィジエフが突き放すと、右の跳びヒザ。
ドス・アンジョスはまたも左ミドルを返す。右跳びヒザをなおも狙うフィジエフ。右ハイをかすめると、ドス・アンジョスはカーフ狙い。さらにダブルレッグも、すぐに右で小手に巻くフィジエフ。離れ際にドスアンジョスはヒジを打ち込む。ブロックするフィジエフは回転速く左右! 一瞬、ドスアンジョスの足が止まる。
2R、左ミドルを当てるドス・アンジョス。ワンツーの右をボディストレートに突くフィジエフ。ドス・アンジョスは左ミドルをヒット。フィジエフも速い右ミドルを返すと、前手がアイポークに。中断後、再開。
右アッパーから左と繋ぐフィジエフ。ドスアンジョスは遠間からシングルレッグを切られ際でなおも近づき組むが、すぐに正対し離れるフィジエフ。
ドス・アンジョスの左ミドルハイをスウェイでかわしたフィジエフは右アッパーから左フックに繋ぐ。いいタイミングでダブルレッグに入るドス・アンジョスだが、左で小手に巻いて内股で跳ね上げたフィジエフが突き放す!
なおも四つに組むドス・アンジョス。体を入れ替えるフィジエフが押し込み、離れる。右から左フックを突くフィジエフ。ドス・アンジョスの足が止まる。フィジエフは右の前蹴りも腹に突く。
3R、右前蹴りを腹に突くフィジエフ・ダブルレッグから押し込むドス・アンジョスを右で小手に巻くフィジエフ。左で差して崩そうとするドス・アンジョスはバックから煽って前方に崩してバックテイクを狙うが、ここで崩し切れず、フィジエフは正対し離れる。
右の蹴りをジャブのように使うフィジエフ。ドス・アンジョスは遠間からダブルレッグでドライブ。しかし金網背に体をすぐに入れ替えたフィジエフが突き放す。
ワンツーで飛び込むドス・アンジョスに右で差して押し込んだのはフィジエ。ドス・アンジョスも突き放す。右跳びヒザで押し戻すフィジエフは右の蹴りを上下に散らすと、ドス・アンジョスも右ボディストレート。フィジエフはワンツーを入れたところでブザー。
4R、中央を取るフィジエフ。ワンツーに脇を差して押し込むドス・アンジョスは左で差して金網まで押し込むが、突き放すフィジエフが左から右アッパーと上下に突く。
組みに来たドスアンジョスに右で差して跳びヒザも狙うフィジエフ。ドス・アンジョスは左跳びヒザ! さらにテイクダウン狙いもフィジエフは崩れず。ドス・アンジョスのワンツーをかわすフィジエフ。ドス・アンジョスの組んでの足払いもかわすと、ドスアンジョスはダブルレッグでドライブし、クラッチ! 持ち上げてついにテイクダウンを奪う。
金網背に座るフィジエフ。腰を引いて寝かせようとするドス・アンジョスだがフィジエフは引き出されず。ドス・アンジョスは右ヒジを入れる。
5R、フィジエフは、右跳びヒザのフェイントから近づき、そのまま歩いて右フックから回転の速い左フック! 後方に倒れたドス・アンジョスに2発パウンドし、すぐにレフェリーが間に入った。フィジエフはUFC6連勝。ライト級上位陣に名乗りを挙げた。
試合後、フィジエフは「まずありがとう。今日、誰が一番強い“ラファエル”か分かっただろ。今度は誰がスポーツで最高の“ラファエル”かを決めてやる。ラファエル・ナダル、ここへ来いよ! ごめん、質問忘れちゃった……(笑)。すべてのラウンドでフィニッシュを狙ってた。5ラウンドまで行ってめっちゃ疲れたけど、俺に『カーディオが無い』と言ったやつはどいつだ? 俺が『テイクダウンされてサブミットされる』と言ったのは誰だ?1回だけだろ、彼がテイクダウンしたのは。俺は問題無かったし立ち上がれたよ」と、ナンバーワン“ラファエル”として語った。
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【コ・メイン】
▼ミドル級 5分3R〇カイオ・ボハーリョ(ブラジル)185.5lbs/84.14kg[判定3-0] ※30-27, 29-28×2×アルメン・ペトロシアン(アルメニア)185.5lbs/84.14kg
ミドル級戦。
MMA11勝1敗のボハーリョは、Contender Series 2021での追加試合で1R TKO勝ちでUFC入りを決めた。2022年4月の前戦UFCデビュー戦では、ガジ・オマルガジエフを相手に反則のグランド顔面ヒザ蹴りで減点されるも、テクニカル判定勝ち。
MMA7勝1のアルメン・ペトロシアンはContender Series 2021で勝利し、2022年2月のUFCデビュー戦でグレゴリー・ホドリゲスにスプリツト判定勝ち。ジョルジオ・ペトロシアンの弟・アルメン・ペトロシアンと同姓同名の別人。
1R、サウスポー構えのボハーリョは左ハイ、左ストレートの飛び込み。さらに遠間からダブルレッグテイクダウン。オーソドックス構えのペトロシアンの立ち際にリストコントロールからバック狙い。両足をかけて4の字ロックもペトロシアンは首を守りブザー。
2R、右インロー、右ハイを狙うペトロシアン。スウェイでかわすボハーリョは右前手の飛び込み。さらにダブルレッグテイクダウン。金網まで這うが、横に寝かせるボハーリョはサイドからマウントもリバーサルしたペトロシアンが上に。体を離し、立ち上がり蹴る。
ブレークでスタンド再開。右インロー、右ヒジを当てるペトロシアン。しかし、右の蹴りの打ち終わりに、またも簡単にダブルレッグテイクダウンを奪われる。立ち際にバックに回るボハーリョは背後に引き込み。バックからパンチを突く。
3R、左の蹴りで前に出るボハーリョ。ヌルマゴメドフも左右の蹴りで押し戻し、右フックを狙うが、ボハーリョもダブルレッグへ。ここは右で脇を差し上げるペトロシアン。金網背に右で小手に巻き、ボハーリョのダブルレッグへの移行を差し上げる。
左で差して押し込むボハーリョは脇を潜りスタンドバックからデラヒーバ的に引き込みも落ちて下に。蹴るペトロシアンにスタンド再開のブレーク。
スタンドで追うペトロシアンにダブルレッグでドライブして尻餅を着かせるボハーリョ。金網使い立ち上がるペトロシアンに両脇を差して押し込むボハーリョ。ローブロー後再開で前に出るペトロシアンもタイムアップ。
判定は3-0(30-27, 29-28×2)でボハーリョが勝利。オクタゴン3連勝を決めたボハーリョは、「自分が打撃ができることは知っているし、1Rはパンチも当たってよかったけど、自分は馬鹿じゃない。格闘オタクで、すべてを計算しているんだ。一番計算していたのは、彼がこっちのテイクダウンをディフェンスしていなかったから、彼をダウンさせることだった。仕事をやり遂げたんだ。それが大事なことだ」と語った。
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【メインカード】
▼バンタム級 5分3R〇サイード・ヌルマゴメドフ(ロシア)16勝2敗(UFC5勝1敗)135.5lbs/61.46kg[判定3-0] ※30-27, 29-28×2×ダグラス・シウバ・ジ・アンドラージ(ブラジル)28勝5敗(UFC6勝5敗)135.5lbs/61.46kg
バンタム級戦。アンドラジはUFC2連勝中。2022年2月の前戦でセルゲイ・モロゾフに先にダウンを奪われたものの2RにRNCで一本勝ち。
サイードはUFC4勝1敗。2020年10月にマーク・ストリーグルに1R TKO勝ち後、2022年1月の前戦ではコーディ・スタマンに1R ギロチンチョークで一本勝ちで、こちらも2連勝中。
1R、ともにオーソドックス構え。サイードの回転蹴りの打ち終わりに組み付いたシウバ。ボディロックも正対したヌルマゴメドフが金網背に。右で差すシウバが押し込むもヌルマゴメドフがヒザ、ヒジから左で小手に巻いて投げて離れる。
右の長い蹴り、さらに左の蹴りをスナップを効かせて蹴るヌルマゴメドフ。右の後ろ廻し蹴りでシウバを下がらせる。
シウバの左ハイはかわすヌルマゴメドフは右のサイドキックも。シウバの左右に一瞬、ヌルマゴメドフはバランスを崩すが、すぐに立て直すとバックフィスト狙い。
シウバは左ミドルで前に出る。左右で飛び込むシウバをさばき、ハイキックを狙うヌルマゴメドフ。シウバのバックフィストを掻い潜ってボディロックから崩してブザー。
2R、後ろ廻し蹴りを見せるヌルマゴメドフ、さらに右足でカーフキック! シウバも右ロー、右関節蹴り。ヌルマゴメドフは高い打点の前蹴りを狙う。
サウスポー構えからオーソで右ミドルハイのヌルマゴメドフ。シウバも左ローを返し、中に入るが、そこにヌルマゴメドフはジャブのように左前足でハイキックで迎撃。
右バックフィストを見せてそのままサウスポー構えになると、ステップで体を入れ替え右ハイを見せる。詰めるシウバにヌルマゴメドフはカウンターの跳びヒザ。その蹴り足を掴もうとするシウバだが足を抜かれる。
シウバの右ローを掴んでダブルレッグに入るヌルマゴメドフだが、ここは切るシウバが前に。そこに左ミドルを当てるヌルマゴメドフだが、シウバの右バックフィストにダウン! ヌルマゴメドフは頭を抱えながら足を効かせて凌ぐ。
3R、両手を合わせた両者。ヌルマゴメドフの右バックヒジの打ち終わりに組み付き、ボディロックからテイクダウンで尻餅を着かせるシウバ。すぐに立ち上がるヌルマゴメドフはスイッチから正対し離れる。
右カーフを当てるヌルマゴメドフ。バックフィスト狙い。シウバの後ろ蹴りがローブローとなり中断。再開。
シングルレッグに入り回してテイクダウンはヌルマゴメドフ。潜りから立ち上がるシウバの立ち際に右ハイ! しかし、詰めるシウバはヌルマゴメドフの後ろ蹴りを潰して上に。捨て身気味に下になるヌルマゴメドフは背中を着けたまま蹴り上げを狙い、シウバを入らせない。ブレーク。
スタンド再開。ヌルマゴメドフは若干、スタミナが厳しいか。ヌルマゴメドフの蹴りに右オーバーハンドを狙うシウバ。ヌルマゴメドフのヒザ着きのダブルレッグを切ると前に出るが、そこに右の前蹴りはヌルマゴメドフ。判定へ。
判定は3-0(30-27, 29-28×2)でサイード・ヌルマゴメドフが勝利。試合後、ヌルマゴメドフは「ある程度予想はしていたけどすごくタフな相手だった。今後は誰が相手でもいいけど、トップ10ランカーと対戦したい」と語った。
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▼ヘビー級 5分3R〇チェイス・シャーマン(米国)16勝10敗(UFC4勝9敗)253lbs/114.76kg[3R 3分10秒 TKO]×ジャレッド・バンデラ(米国)12勝9敗(UFC1勝5敗)263.5lbs/119.52kg
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【中止】
▼女子フライ級 5分3R-シンシア・カルビーヨ(米国)9勝4敗(UFC6勝4敗)126lbs/57.15kg-ニーナ・ヌネス(米国)10勝7敗(UFC4勝4敗)125.5lbs/56.93kg※試合直前にヌネスが体調不良により中止に
※試合直前にヌネスが体調不良(ウィルス性の胃腸炎で計量直後に体調を崩す)で中止
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▼バンタム級 5分3R〇エイマン・ザハビ(カナダ)9勝2敗(UFC3勝2敗)135.5lbs/61.46kg[判定3-0] ※29-28×3×リッキー・トゥルシオス(米国)11勝3敗(UFC1勝1敗)135.5lbs/61.46kg
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▼ライト級 5分3R〇ジェイミー・ムラーキー(豪州)15勝5敗(UFC3勝3敗)155.5lbs/70.53kg[判定2-1] ※29-28×2, 28-29×マイケル・ジョンソン(米国)20勝18敗(UFC12勝14敗)155.5lbs/70.53kg
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【プレリミナリー】
▼ミドル級 5分3R〇コーディ・ブランデージ(米国)8勝2敗(UFC2勝1敗)185.5lbs/84.14kg[1R 3分50秒 TKO] ※右フック→パウンド×トレーシアン・ゴア(米国)3勝2敗(UFC0勝2敗)185.5lbs/84.14kg
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▼女子フライ級 5分3R〇アントニーナ・シェフチェンコ(キルギスタン)10勝4敗(UFC4勝4敗)124.5lbs/56.47kg[判定2-1] ※29-28×2, 28-29×コートニー・ケイシー(米国)10勝10敗(UFC6勝9敗)126lbs/57.15kg
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▼フェザー級 5分3R〇デビッド・オナマ(ウガンダ)10勝1敗(UFC2勝1敗)145.5lbs/66.00kg[2R 3分13秒 肩固め]×ギャレット・アームフィールド(米国)8勝3敗(UFC0勝1敗)145lbs/65.77kg
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▼ライトヘビー級 5分3R〇ケネディ・エンジーチュク(ナイジェリア)10勝3敗(UFC4勝3敗)205lbs/92.99kg[3R 2分19秒 TKO]×カール・ロバーソン(米国)9勝6敗(UFC4勝6敗)202.5lbs/91.85kg
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▼バンタム級 5分3R〇サイードヨクブ・カフラモノフ(ウズベキスタン)10勝2敗(UFC2勝0敗)136lbs/61.69kg[判定3-0] ※30-26, 30-27×2×ロニー・ローレンス(米国)8勝2敗(UFC2勝1敗)135.5lbs/61.46kg