現UFCライトヘビー級王者のイリー・プロハースカと、Bellator同級王者のワジム・ネムコフ。2015年の大晦日にさいたまで両者は対戦している。(C)RIZIN FF
かつてサンノゼ・アリーナと呼ばれたSAPセンターで「Bellator 277」を開催し、バンタム級ワールドGPをスタートさせたスコット・コーカーBellator代表が、大会後、プロモーター28周年の記念日に、これまでプロモートした大会を振り返り、トーナメント制を採用した経緯などを語った。
UFCとのクロスプロモーションについても問われたコーカー代表は、「ビジネスモデルが異なる」と前置きしながらも、各階級の布陣に自信を見せている。
ほぼ毎週末に世界中で開かれる大会数・選手層を鑑みれば、UFCが唯一無二の“MMA界の巨人”であることは間違いないが、そのトップどころを見渡すと興味深い関係性も見えて来る。
日本で那須川天心vs.武尊の「頂上決戦」を迎えるなか、米国でも両団体で続々と王座戦が決定しており、「夢の対決」に思いを馳せるべく、6月24日(日本時間25日)の「Bellator 282」を前にしたスコット・コーカー代表の言葉と、両団体の王者たちを紹介したい。
最強の布陣を侮るなかれ
──4月にスコット・コーカー代表はプロモーターとして28周年を迎えました。
「1994年にサンノゼ・アリーナで、最初の格闘技イベントを開催したことは夢のようだった。(現AKA主宰の)ハビア・メンデスはまだキックボクサーで、“MMA”なんて概念もなくて、大会自体がキックボクシングの興行だった。素晴らしいカードがたくさんあった。シャムロックvs.グレイシー(2006年のStrikeforce=カリフォルニア州で認可された初のMMA大会)もここでやったな。テレビの契約なんて一個もなかったし、スポンサーも全くいなくて、当時は完全にライブイベントだった。
クリス・サイボーグとジーナ・カラーノの女子145ポンド級王座決定戦をメインでやった史上初の興行もあった。女子MMAがSHOW TIMEで放送されたのも初めてだった、たしか2009年だ。ヒョードルのアップセットもここで起きたな。このステージにこれから立つファイターたちがこういった数々の歴史を受け継いで、素晴らしい試合をしていってくれることが楽しみだし、未来のスポーツレジェンドたちが、いまここに集結しているということでもあるね」
──現在、解説を務めるジョシュ・トムソンとギルバート・メレンデスもあなたの大会で名勝負を戦ってきた。ところで、あなたがトーナメントを組むことをこんなに重視しているのはどういうことなんでしょうか?
「格闘技とトーナメントというものの特性について考えるとき、それは密接に関係している。私は幼い頃から空手やテコンドーの大会に出ていたり、様々な格闘技のスタイルで成長をしていくなかで、トーナメントに参加するようになった。そして、私が日本のK-1で働いていた時に、97年、98年、99年、2000年にわたって、PRIDEがやってきたことを見て、これこそ、本当にやるべき方法だと思った。世界最高峰のファイターが集結する、まさしく“試練のような場”で、過酷な戦いを経て、たった一人のチャンピオンが決まり、その王者だけが大金を手にすることができる。
基本的に我々はその仕組みを、いまの時代に会うようにうまく再現して今日に至っている。いまBellatorで開催中のトーナメントもそうだ。ネムコフvs.コーリー・アンダーソンの試合の勝者は、即ちこの惑星で、最高のライトヘビー級ファイターであるということだ(※3R、偶発的なバッティングによりノーコンテスト)」
──この惑星には、もうひとつの頂きがあります。UFCとのクロスプロモーションはありえますか。
「完全に向こう次第。UFCのビジネスモデルとは違うからね。ただ、望むなら受けて立つ。言っとくが、ウチはフェザー級以外にもバンタム、ライトヘビーも最強だし、ゲガール・ムサシという至高のミドル級もいる。最強の布陣を侮るなかれ、だね」