記者からの質問に答える榊原RIZIN CEO
2022年6月19日(日)東京ドームで開催される『THE MATCH 2022』に関する緊急記者会見が、5月31日(火)都内にて行われた。
会見には、榊原信行ドリームファクトリーワールドワイド代表(RIZIN CEO)、伊藤隆RISE代表、中村拓己K-1プロデューサーが出席。正午過ぎに発表されたフジテレビの放送見送りについての経緯説明や見解についてが語られた。会見の最後には記者との質疑応答が行われた。以下はその全文。
――榊原さんにお伺いします。3点ございまして、ひとつは17年前のいわゆるフジテレビショックに続いて今回のような沙汰になったわけですが、ご自身は一点の曇りもないと、事実無根であるということを重ねておっしゃってきていると思います。なぜ前回今回とこういった報道が起きてしまって、こういった沙汰になってしまったことをどう分析されているのか。もう一点は結果的に放映がなくなることによって運営としてはかなりの損害を被ることになったと思うんですが、フジテレビ側・週刊ポスト側に対して改めて法的な措置についてお考えはあるのか。三点目は週刊ポストの記事中にあったY氏という人物ですけれども、現在どういったポジションいらっしゃるのか、まだ運営に関わっていらっしゃるのか、関わっているとすればどういう理由なのか、関わっていないとすればどういう理由なのか。最後にお三方にうかがいたいんですけれども、今日のような事態になって変わらず信頼関係というのは持ち続けて対外的にもイベントと実現していこうということで変わらずアライアンスは組んでいけるとお考えでしょうか。伊藤さんと中村さんに関しては週刊ポスト報道から今回に至るまでの流れについてどういう風に受け止めていらっしゃるか合わせてお答えいただければと思います。
榊原「私からです。ひとつは週刊ポストのことがあってこういう事態に最終発展したのだと思っていますけれど、17年前と大きく違うのは記事が書かれてからここまで早いんですね。(週刊)現代の時はもっと前に書かれて。不適切な事象があると報道されたんです。それはフジテレビさんが一方的に夕方のニュースでPRIDEとの契約を切って不適切な事象ということでもう少しショッキングだったと思いますけれど、今回はひとつは口頭合意での契約で。常にフジテレビさんとはこれまでもそうですけれど、契約書を書く手前のところで作業をしていて、契約書に至るところの手前でお互い契約条件含めて合意に至らなかったってことではあるんですね。
ポストの件も折り込みながらフジテレビさんとして総合的なご判断なんだろうなと思います。個人的には、まあ、こんなことが2度も起きるんだなという。2015年に戻ってきた時にもコンプライアンス委員会というのを立ち上げて常にコンプライアンスのことは徹底していたんですね。ただ放送局の求める放送倫理の中におけるコンプライアンスと一般常識的なお付き合いをするコンプライアンスとも若干温度差があるのかなという気がしないでもないです。
(写真)5月19日に行われた記者会見で週刊ポストの件について話していた榊原RIZIN CEO
ただ放送に耐えうるコンプライアンスを徹底してやってきても、やっぱり足を引っ張りたいと、目立つようになって話題になればいろいろ揶揄されることもあるし、非常に残念だなと思います。17年前も含めて日本のメディア環境とか何も変わっていない、旧態依然としたまま。世の中の人たちも含めてだと思いますけれど、僕からするとポストさんにもだいぶクレームを言いましたけれど、反社、交際、音声データ流出というタイトルだと、僕が反社と交際している音声データが流出したかのように捉われると思うんですけれどそういうわけでもないんですね。事実と違うことで見出しで雑誌を売りたいとか新聞を売りたいとかいろいろあると思うんですけれど、そこにも思うことはありますけれど凄いショックだな、残念だな、また同じことを繰り返すことにダメな男だなと自分自身そう思っています、申し訳ないなとそう思っています。
ポストさんには記事が出る前にそういう法的なアクションを起こすことはお伝えしています。それはなぜかと言うと、9日の記事は一方的に書かれたんですよ。普通であれば取材をあてて僕らに反対の意見なり事実を確認したあとで雑誌に載せる。僕は16日のインタビューの中でも答えましたけれど、取材には応じますと、ただ海外から戻って隔離の期間もあるし、イベントも控えているので御社の締め切りのスケジュールには間に合いませんよと。9日以降なら受けますよとお伝えしたんですけれども、締め切りの都合があるので書きますと言うことで書かれてしまう。
そういうところも天下の小学館さんの抱えるポストさんがそれはあまりにも一方的すぎないかなということで、通達を送らせていただいてはおりますけれど、本当はこんなことで争いたくないです。争っても多くの人たちは過ぎ去っていくことで、こういう風に結果負けました勝ちましたなんて、何でもそうじゃないですか。あまりみんな見てもいないので。こういう風に晒し物になる、ネタになる、的になってしまうことが嫌だなと思って生きてきたんですけけれど、それくらいTHE MATCHがインパクトがあるのかね。こういう形になってしまったので自分のことがひとつ話題になったことが申し訳ないと思っているということですね。
あとYさんという登場人物ではあるけれど、あそこの記事にコメントした通りです。ポストを読んでもらったらいいと思うんですけれど、RIZINの何ものでもない立ち位置の人なんで、フリーランスで動いている方なんですね。別にこれまで通り、何か業務を僕らが任命してやってもらってそれに対して僕らがギャランティしていることでもないので、そこもちょっと歪曲されているというか、事実と違うことなんだろうなと思っていますけれど、何か特別な関係があるということでもないです。
これは僕の個人の意見ですけれども、伊藤代表、中村プロデューサーが変わらずに僕と一緒に6月19日に向けて全力で走ってくれるといいなと、そう思っています」
伊藤「もちろん6月19日やりますよ。選手の気持ちとファンの気持ちも背負って素晴らしいイベントにしていきます。それだけですね。報道についてもまだ細かい部分が出ていない部分があるじゃないですか。我々実行委員会としてはもうあと3週間後ですよね、そこをしっかりやり遂げることが第一だと思うので、そこをしっかりやっていきたいと思います」
中村「同じですね。榊原さんと伊藤代表とで夢の舞台を作ってここまでやってきて、そこは信頼もしていますし、こうやって手を組めるからこそこの舞台と場所が出来たと思うので、これは6月19日までは引き続き全力でやっていきたいと思います。そうですね、榊原さんともこうやってお話しさせてもらってイベントを一緒に作って来たのでこれは変わらないですね」
フジテレビでのRIZINの放送はどうなる?
――榊原さんに質問ですが、今回このようになったことで今後のRIZINの放送スケジュールにも影響は出てきそうでしょうか?
「影響するでしょうね。ただRIZINもそうだけれど、17年前と比較したらアレだけれど地上波の経済的なことでのウエイトは随分と減っていてプレゼンスも凄く落ちているんですね、地上波って。残念ですけれどね。だから先ほど言ったボクシングにしても何にしてもネット配信で十分に見てもらえる。テレビのチャンネルにABEMAさんとかほにゃららさんとかみんな入っている時代ですから。本当に地上波頑張らないと、面白くなくちゃテレビじゃないってキャッチフレーズが地に落ちますよね。危ないものは放送できない、ちょっとでも嫌疑があったらダメだみたいな感じになってしまっているので。もちろんダメなものはダメでしょうがないと思いますけれど、何かチャレンジ一緒にしたいなってもう1回そう思っているのと、それでも僕はフジテレビさんに感謝もしているし、どちらかというと愛情を持っている、一方的な憧れを持っているテレビ局さんなので、いろいろなことを乗り越えながらひとつひとつまた積み上げていけたらいいな、地上波に向けてのコンテンツも作りたいし。
ただRIZINにおいてはいろいろな違うプラットホームというか、その中で十分経済的には担保されていくかなと、そう思っています」
――その辺はこれからの話し合いも含めながらというか、RIZINに関しては。
「まずいったん今回のTHE MATCHに関しての結論だと思います。本当の理由がひょっとしたら経済的に、言えないけれど凄い少ないんですよ、放映権料が。そういうのもあってお金が用意できないところもあるかもしれないし、分からないです。今回の件はいったんそれでも戻ってきてよと思っていますけれど、ダメだったとしてもまたコミュニケーションは続けて一緒にやれたらいいなと思っています」
――お話しを整理するとフジテレビ側は総合的な判断というようなリリースを出していますけれど、榊原さんの判断としては直接これがというのは分からないけれどもポストの記事をあげてフジテレビ内の格闘技をあまりやるべきではないという人たちの声が強くなってしまったのかなという感じですか?
「そうですね。格闘技ってそういう目で見られてしまうんですよね。嫌いな人もいますから。それでもやっぱりエッジの立ったコンテンツだし、ビビッドに反応するものじゃないですか。特に天心と武尊の試合はみんなに見てもらいたい、おじいちゃんおばあちゃんから子供まで、テレビの前で始まるまで待っていて欲しい、と今でも思っているし、そうなるコンテンツ。どんどん地上波向きなじゃないものに、地上波で求められるコンテンツと、ネットとか配信とか有料で見られるべきコンテンツって同じRIZINの中で違ったりするんですよね。今後の中でソフト戦略も含めてですけれど、今回は残念ながらそういう決断になっていますけれどいろいろご相談していけたらいいなと、そう思っています」
今後フジテレビとはどのような交渉をしていくのか
――榊原実行委員に質問です、先ほど体制を変えてまで放送したいとの発言がありましたが、具体的にフジテレビとはどのような交渉をこれから続けていこうとお考えでしょうか?
「何を求められるかですね。実行委員会組織なので、我々が私を中心に当社でフジテレビさんとの地上波放映権での交渉はさせていただいていたんですね。経済的な条件だと言うことだとそれでアウトなんですけれど、そうでなければ契約元を変えて、体制の中に榊原さんが残っていることが一部の役員の方たちの了解を得られないんだったら、僕が実行委員会から降りても、この大会は伊藤代表と中村プロデューサーで周りますからそれでもいいし、いかようにもします。
これは本当に分からないんですけれど、何を恐れて放送をいったん見送ろうとされたのか。これは僕がさっきいろいろな人たちからいろいろな情報を聞いた中でいうと6月のフジテレビさんの株主総会対策だ、みたいなことをいう人もいるんですよ。そんなことでやめないでよって思うじゃないですか。でも新社長を迎えて新しい体制がスタートするうえで、もし今後何かが起きたらどうするんだ見たいな、役割やポジションで見えているものが違うところもあると思うんだよね。それは分からないです。それも聞いた話なので。ただ僕は少なくともいかようにでもしてくださいと言うつもりです。それよりも地上波でフジテレビさんが放送するべきだと思っています」
――最後まで地上波の放送はフジテレビにこだわりたい?
「個人的には。他局さんでももちろんいいですけれどね、今さら無理だと思うので。枠が開いてしまっているのだから、このままいくとえっていうような映画を流すことになるのかなと思っていますね。いろいろな想いはあるんだろうけれど、僕が頭を下げたり、なにか形を変えることで済むんだったらそうして欲しいなと思いますけれどね」