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【Bellator】骨折手術から「怖かった」再起戦で「“絶対離さない”」と誓った三角絞めで一本勝ちした渡辺華奈「年末に日本でタイトルマッチが出来るように」

2022/05/14 12:05
【Bellator】骨折手術から「怖かった」再起戦で「“絶対離さない”」と誓った三角絞めで一本勝ちした渡辺華奈「年末に日本でタイトルマッチが出来るように」

(C)Bellator

 2022年5月13日(日本時間14日)英国ロンドンのSSEアリーナにて、『Bellator 281: MVP vs. Storley』が開催された。試合後、U-NEXT配信の公式カウントのスペースにて、Bellator281の解説の金原正徳氏、実況の市川勝也氏、中野玄氏がスピーカーとして、渡辺華奈を招き、試合後の感想戦を行った。

 メインカード第3試合では、日本から渡辺華奈(FIGHTER'S FLOW)が出場。女子フライ級2位のデニス・キルホルツ(オランダ)と対戦した。

 渡辺は、2021年6月の前戦でUFCでバンタム級とフライ級で王座挑戦経験のあるリズ・カモーシェ(米国)に右の強打を効かされてのラッシュで1R、35秒でTKO負け。MMAで初黒星を喫していた。

 後に王者となるカモーシェとの戦いで、渡辺は眼窩底骨折。手術を経て、約11カ月ぶりの復帰戦にして再起戦だった。

 対するキルホルツは、元Bellatorキックボクシング世界女子フライ級王者で、キック王国オランダでSLAMM女子60kg級王座に就き、WMTA世界女子スーパーバンタム級王座も獲得するなど、立ち技で47勝3敗という脅威の戦績を持つストライカー。さらに渡辺と同じ柔道のバックボーンも持ち、U15のオランダ王者、U17で準優勝、U20で3位というアスリートだ。

 2021年7月には当時王者だったジュリアナ・ヴェラスケスの持つBellator女子フライ級王座に挑戦するもスプリット判定で惜敗。欧州大会で注目されるなか、“キルホルツの再起の相手”として渡辺が選ばれたともいえるマッチアップだった。

 3位の渡辺にとっては、勝てば再び王座挑戦も見えてくる試合。しかし、序盤から課題の打撃を受ける展開に。

 柔道時代の癖である手と首を掴みに行く動作に、キルホルツは右から左を合わせて、渡辺に片ヒザを着かせる。しかし渡辺は、距離が近づいた瞬間に組み手を掴み、大内刈でテイクダウンを奪い、上を取ることに成功した。

  渡辺はスペースでの3氏のインタビューで、「今回はサウスポー構えにして、打撃は結構、練習してたんですけど……ちょっとまだ全然、見えないですね」と苦笑したが、「(打撃を)もらいながら相手との距離が近づいたから、気がついたら投げていて上を取れていました。柔道の技が咄嗟に出て」と、その瞬間を振り返る。

 投げられてもクローズドガードに中に渡辺を入れたキルホルツ。U15で柔道オランダ王者にも輝いている“ミスダイナマイト”は、下から腕十字をしかけた。

 渡辺はそれを持ち上げ、ヒジをずらして外している。「いつもだったら冷静に対処できるんですけど、ちょっとパニックになって入られましたが、徐々に冷静に対処できました」。

 パウンドを入れ、再びガードの中に入っていく渡辺。パンチのダメージを抜くと、キルホルツの2度目の腕十字はしっかり対処し、両足をさばいてパスガード。キルホルツの立ちの動きに合わせてバックを奪う。両足をかけ、アゴ上からリアネイキドチョークを狙うが、その腕を上に押し上げようとするキルホルツ。渡辺は頭後ろに組んだ形組み手をパームトゥパームに変えて、身体を伸ばすが、ゴングで1Rが終了した。

 迎えた2R目。早々にテイクダウンを奪ったのは渡辺。低めのタックルでキルホルツを倒すが、上を取り返されての足関節に、反則の蹴り上げをもらい試合が中断。「減点1」がキルホルツに告げられ、再開はスタンドからだった。

 ここも詰める渡辺は、すぐにシングルレッグからボディロック&小外がけでテイクダウン! 練習してきたレスリングに柔道の足技を組み合わせてキルホルツを崩すと、ここも相手のスクランブルに合わせて、トップに固執せずバックへ。鈴木隼人、渡部修斗らと磨いてきたバックからの攻めで勝負した。

 右足を二重がらみにし、外したキルホルツが渡辺の左足を抱えての向き直りに、三角絞めをセット。

今回、極めを練習してきて、試合で極めることができていなかったんですが、バックコントロールをすごく練習していて、そこからの三角(絞め)が練習通りにうまく入って、良かったなと思いました」

“絶対離さない”と思ってました──右ヒザ裏で足を組んで頭を引き寄せタップを奪うと、渡辺は「やった……」と嗚咽するようにつぶやいた。2R 3分03秒、三角絞めでの一本勝ち。

 試合後、あらためてU-NEXT公式アカウントでのスペースで、「いままでで一番怖かったです。前回、あんな負け方をして手術もしたので、またストライカー相手にちょっと怖いなと思ってました」と、打撃に対する恐怖心があったことを吐露した渡辺。

「課題はいっぱいあるんですけど、何とか勝てて良かったです。死に物狂いで勝たないと、と思っていたので、とりえず勝てて嬉しいです」と、安堵の言葉を続けた。

 アウェーの現地では完全なアンダードッグの扱いだった。

「言葉が通じなくて、日本語を喋れる方がいなくて、ちょっと苦労しました。相手選手は試合前もすごくインタビューを受けていたんですけど、自分は現地では一瞬も無くて(苦笑)。たぶん喋れないからなのかなと思って。試合後のインタビューも無いので、いまホテルに帰っています。相手が地元の選手ですごく期待されている選手だったので、そういうのもあるのかなと。控え室も相手選手は個室だったんですけど、自分は個室じゃなくて、“クソーッ”と思って頑張りました」

 日本食を持ち込んで調整し、「“グッドラック”を覚えて、ずっとグッドラックばかり言ってました」と笑う。

 初黒星を喫した前戦では、大きな怪我も負ったが、落ち込むことはなかったという。

「柔道のときは負けまくってたんで、負けてもその後、頑張ればいいと思ってやっていました。(打撃は)練習してきても、試合ではまだまだ難しいので頑張らないと。ほんとうに“亀”なんで、少しずつ……」と、歩みは遅いが、地道に取り組み最後に勝つことを目指して、再起戦に向かった。

 ランキング2位のキルホルツを破った渡辺。上位にいるのは、1位の元王者ジュリアナ・ヴェラスケスと、前戦で敗れた現王者のリズ・カモーシェのみ。しかし、いずれもMMAファイターとして、完成度の高い2強と言っていい。

 対海外勢で日本人の黒星が続くなか、「ほんとうに日本人の強さを見せたいなと思っていたので、何とか勝ててよかったです」と語る渡辺は、その頂きに、日本で挑みたいという。

「はっきりとは決まってないとは思うんですけど、Bellatorが日本大会を年末にやるという噂もあるので、今回、2位の選手に勝ったんで、もう1試合あるかもしれないですけど、年末にタイトルマッチが出来るように勝っていけたらと思います」。

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