今日は自分に怒っている
「寝技になったらすぐに一本勝ちできると分かっていた」というクレベルだが、その寝技が突出して強い一方で、MMAとしての完成度にデコボコがあるのが、あらためて露になったのが今回の萩原戦だ。
被弾し、出血した打撃については「怒っている」という。
「私はもっと打撃の練習(をする)。今日は自分に怒っているから、“なんで私は、相手はストレートが強いって分かっていて間違えてるんだ”って。自分を怒れるのは自分です」
柔術という強い軸を活かしたスタイルは変えず、穴を埋めて行くと、クレベルは語る。
「長くやってきた自分のスタイルで、RIZINなら5試合出て5試合が一本勝ち。今から私が大きく変えるかといえば、それはあんまり変わらない。負けたら変えるかもしれないけど。ただ、“直している”ということは大事で、寝技、打撃、レスリング(の繋ぎを強化している)。サブミッションだけじゃなくてもっと打撃とか、もっとMMAを強くやれるようになりたい」
その決意を裏打ちするのが、日々の練習だ。
「私は練習をサボらない。試合が水曜日だったら、金曜日には練習に戻っている。毎日練習すっごい頑張って、すごいMMAを勉強しているのに、まだ間違えているよ。もちろんもっと打撃を練習したいし、レスリングもフィジカルとかメンタルとかも全部をもっと強くしたい。自分がチャンピオンになるまで、休憩とか休みは無し! さぼらない。ずっと練習頑張ってるよ、それが自分の自信になっている。みんな私の得意技は分かっている。でも自分はもっと練習して、もっと強くそれをやりたい。私は“本物のチャンピオン”になりたい」
一方、フェザー級のトップに跳ね返された萩原は悔しさを隠しきれない。
「ちょっと今は先のこととか、なかなか考えられへんというか。ちょっと考えたくないですね。やってよかったとは思うけど……すぐにそういう気持ちが出てくるんじゃないというか、複雑な感じです。やっぱりチャンスをモノにできなかった、期待に応えられなかったことが一番悔しい。
今までやってきたことが間違ってたんかな、とも考えさせられるような日ですね、今日は。全てのことじゃないですけど、ちょっと色々、間違っていたのかなと考えちゃいました」と唇を噛んだ。
持ち前の打撃の圧力で、クレベルを追い込む場面を作った。そこに組み技の技術、精度が高まれば、強くなる伸び代はある。問題は、それをどんな練習期間やマッチメークのなかで高めていくかだ。