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【RIZIN】朝倉海が榊原CEOの紹介でUFCダナ・ホワイト代表と面談「いますぐにでも契約する」の言葉に「RIZIN代表としてUFCで戦いたい」。王者スターリングと練習、メイウェザージムでスパーリングも

2022/05/02 12:05
 2022年5月1日(現地時間4月30日)、朝倉海(トライフォース赤坂)が米国ラスベガスでの武者修行を現地から、2回目のYouTubeライブで報告。  UFCダナ・ホワイト代表&RIZIN榊原信行CEOと海との3者顔合わせによるUFC参戦の可能性、現UFC世界バンタム級王者アルジャメイン・スターリングとのスパーリング、フロイド・メイウェザーJrのジムでのボクシングスパーリング、そしてRIZINパフォーマンス・インスティテュート(PI)設立の夢などを語った。 近々、UFCとの契約になるかもしれない  4月15日に日本を発ち、現地の同日夜にラスベガスに到着。一軒家を借りて、同地のシンジケートジムや、UFCパフォーマンス・インスティテュートでトレーニングを行っている朝倉海。  4月20日のYouTubeライブに続き、2回目のライブ配信では、RIZINファイターとしてのUFC参戦に大きな進展があったことを報告した。  それは、RIZIN榊原信行CEOの紹介による、UFCダナ・ホワイト代表との面談での「オファー」だったと朝倉は言う。  ハワイで「Bellator」を視察した榊原CEOは、ラスベガスに移動。朝倉海と合流し、サプライズで大物たちと引き合わせていった。 朝倉は興奮を隠しきれない表情で、「一昨日に急に榊原さんから『ここに来てくれ』と呼ばれた場所がUFC本社だった。『いまから話があるけど、海のことも紹介したいから一緒に行くぞ』と。UFCに行ったら、ダナ・ホワイト社長がいて、俺のことを『日本で人気のお気に入りの選手だ』と紹介してくれて、ダナ代表も『いますぐにでも契約するよ』という話になって。ダナ代表の右腕という弁護士も同席して『契約書を持ってこい』となって、ヤバっとなって。とにかく、どこかのタイミングでUFCとの契約はさせてもらえるということで、近々、UFCとの契約になるかもしれない。UFCとの契約が実現する日は近いかもしれない」と、ダナ・ホワイトUFC代表との面談を語った。  現在、UFCにはRIZINのマネージメントで村田夏南子が参戦中で、朝倉は、「やっぱり日本の格闘技を盛り上げたいから、UFCに挑戦するとしてもRIZINのファイターとして、RIZINを代表して戦いたい」と、RIZINを通して、UFCに参戦したい意向を語った。  RIZINでの次戦を「6、7月にRIZINで、自分が望むような相手と戦いたい」という朝倉は「とにかく戦いたい。今年に入ってまだ試合をしていないし、大会数が増えたRIZINを観ているたびに、試合をしたいなと思っていて、でも強くなるために米国へ来た。次の試合ではめちゃめちゃ強くなった姿を見せられる」と意気込む。  そして、RIZINでの試合契約を満了させて、「もう早ければ今年にでも海外に挑戦したい。榊原さんと話していろんなタイミング次第」と、年内の海外マット参戦を希望した。 階級はバンタムかフライ、理想はバンタムで戦いたい  現地では、UFCバンタム級6位のメラブ・ドヴァリシビリ(ジョージア)や元RIZINバンタム級王者のマネル・ケイプ(アンゴラ)の案内で、UFC PI内でも練習。さまざまな施設を体験し、選手・関係者とも交流した。  UFCではケイプがフライ級で参戦していることもあり、朝倉が米国で戦う場合、かつてのフライ級で参戦するのか、現在のバンタム級で参戦するのか気になるところだ。以前、本誌の取材では、身体の変化から、海外でもバンタム級で戦うことを語っていた朝倉だが、米国修行を経て、心境にも変化があるようだ。 「階級はバンタムかフライ。フライでは何年もやっていて落とせなくもないけど、理想はバンタム。条件次第だけど、理想はできればバンタムでやりたい」と朝倉は語る。  奇しくも朝倉がラスベガス入りした翌日、UFC APEXでのオープニングマッチに、2017年3月の「ROAD FC」で朝倉海に1R KO負けしている中国のアラテン・ヘイリが出場。修斗で安藤達也に一本負けしているケビン・クルーム(米国)と対戦し、アテランが強力な右オーバーハンドからパンチで追撃し、わずか47秒でTKO勝ち。UFC3勝目を挙げている。フライ級で朝倉に敗れているアラテンだが、UFCではバンタム級で戦っており、朝倉も今後のキャリアをどう作っていくか。 【写真】UFC3勝目を挙げたアテラン・ヘイリ。朝倉海とはROAD FCで対戦した。Zuffa LLC 「アメリカに来て、UFC王者にほんとうになりたいという気持ちがいっそう増えました。モチベーションもより一層増して、“もっと強くなりたい、もっといろんな人に格闘技を見てもらいたい”という格闘技に対する気持ちが高まりました」と、思いを新たにした。 [nextpage] メイウェザーのジムではボクシングで結構やられた  朝倉のサプライズは続く。UFCでのダナ・ホワイト代表との面談の翌日、榊原CEOは、再び朝倉に目的を告げず、ある場所へと招いた。  それはラスベガスのメイウェザージムだった。 「急遽、呼ばれて。わけわかんないまま次の日にまた榊原さんの指定の場所に行ったらメイウェザーのジムだった。『ちょっと海にサプライズ』と言って、『メイウェザーが来るから待っていて』と。そうしたらほんとうに来て、『ここでメイウェザーがミットを持ってアドバイスをくれる』と」  突然のメイウェザーとの顔合わせ、かと思いきや、ここでも事態は思わぬ方向に向かう。 「全然、違う展開になって、なぜか僕がメイウェザーのジムの選手とスパーリングすることになりました。マジですごい展開になりました。“期待のホープ”と言われている選手に、ボクシングで結構やられました。顔とかも腫れているけど、これはボクシングだけじゃなく練習でもそうで、ほんとうに貴重な体験をさせてもらっています」 王者スターリングに極められたけど──  さまざまなサプライズはあるが、現地での目的は「様々な強い選手と戦うこと」「練習環境を直に見ること」「米国でいろいろな関係を築くこと」。強くなるための武者修行で、多くの収穫を朝倉は得ている。  ニューヨークでの井上直樹の練習仲間でもあるメラブ・ドヴァリシビリとの練習、そして、「世界最高峰」を肌で感じる機会も訪れた。  現UFC世界バンタム級王者のアルジャメイン・スターリング(米国)とのスパーリングだ。  セラ・ロンゴ・ファイトチームでドヴァリシビリと同門のスターリングは、ドヴァリシビリの呼びかけにより、朝倉と練習することに。スターリングは「RIZIN.17」で佐々木憂流迦のセコンドにつくために来日しており、朝倉に「そこから全試合チェックしているよ」と語りかけたという。 (C)Zuffa LLC  4月9日の「UFC世界バンタム級王座統一戦」でのピョートル・ヤンとの因縁の再戦をスプリット判定で勝利したスターリングは、現在はオフで77kgあり、「そこから61kgまで、かなり減量して戻しているなと感じた」という朝倉。  スパーリングでは、「まずグラップリングをやってもらって……エグいくらい強かったです。5分1Rしかやらなかったけど、一本極められてしまいました。(自分は)なかなか極められることないんだけど。77kgで、自分より10kg以上重かったけど、レスリングや寝技の技術が高かった」と舌を巻く。  一方、立ち技では「キックのスパーを軽くやって、めちゃめちゃ強いとは感じなかったけど、これがチャンピオンだな」と、その強さを肌で感じたようだ。 「ここまでの練習で一番強かった人は、やっぱりアルジャメイン選手ですね。でも、ほかにも強い選手はたくさんいます。シンジケートジムにもUFC選手が3、4人いてみな強いです。アルジャメインとの練習は、自分が目指している選手と組んだことはめちゃめちゃ勉強になりました。あと2週間くらいいるのでまた練習したい」と目を輝かせる。  米国での練習で手ごたえを得ているのは「技、全部ですね。特に、僕のなかでは、テイクダウンを取って上をキープすることに力を入れています。打撃に関してはいろいろテクニックを教えあったりもしました」と、スキルが高まっていることを感じている。 [nextpage] 堀口vs.ミックスに感じた体格差、肉体改造も (C)Bellator  現地では、堀口恭司がパトリック・ミックスに5R判定負けしたBellatorの試合もチェックし、「ほんとうにこの試合は、日本のファンのみんなと同じ気持ちで悔しかった。僕も堀口選手が勝つと思っていた。強いやつはたくさんいるなと」と悔しさをあらわにした。  その敗因を「ステップや入り方など、ちょっと動きがいつもより調子が悪いかなと感じた。最初のコンタクトでテイクダウン、バック取られたのが大きかったと思います。その後のミックスの寝技を警戒せざるを得なかったため、思いっきり打撃に行けなくて、いつもの堀口選手の打撃じゃなかった」と分析。  さらに「あとは体格差。2、3kg戻しの堀口選手に対して、ミックスは10kg近く戻している(※試合当日155ポンド=70キロ以上あったことを本誌の取材で明かしている。堀口は試合当日145ポンド=65kg)から大きかった」と階級違いの体格差も響いたとした。  それは、今後、海外勢と戦う朝倉にとっても課題だ。 「身体を大きすることは僕も前から思っているテーマで、今回スパーしたアルジャメインも同じバンタム級で大きかった。普段から70kg以上にして大きくしていないといけない。前田(日明)さんからも言われているけど、ナチュラルウェイトを増やしていこうかと。ただ無理して動けなくなっても仕方ないので動けるように」と朝倉もさらなる肉体改造を視野に入れる。 日本にも格闘技のPIを作りたい 「選手としての夢はもちろんUFCに出て、UFCのチャンピオンになること」と明言する朝倉。  今回、実はフロリダのアメリカントップチームでの出稽古も検討したが、「堀口選手のところにも、最初もともと行きたかったんだけど、所属してないと難しいんじゃないかな」と断念した。 「日本とは練習内容や環境の違いがある。施設は大きいし、小さなことでも採り入れた方がいいことをジムで共有したい」という朝倉は、今回のYouTubeライブを「ラスベガスに来て大きな夢が1つできたので聞いてください」と題した理由を語り始めた。  それは、日本に総合的な「格闘技強化施設」を作ること。今回、その夢を朝倉は、榊原CEOに相談し、「RIZINパフォーマンス・インスティテュート」設立に賛同を得たという。 (C)Zuffa LLC  ラスベガスで、ドヴァリシビリやケイプら「UFCファイターの練習パートナー」として、UFCパフォーマンス・インスティテュートを訪れた朝倉は、その施設の充実ぶりに感銘を受けたという。 「UFC本社の隣りにあって、金網も2個あって、栄養士つきの減量食も用意されて、整体やサウナ、ジャグジーも用意されている。これは強くなるなって感じた。成長スピードや選手のモチベーションも上がる。そういう施設で格闘技のレベルが変わる。この施設が日本にあったら、底上げにつながる。何とか日本に格闘技の複合施設を作りたい。それが夢になりました」 格闘技人口を増やすために  もちろん、その施設が、世界中からファイターを参戦させ、世界各国で大会も開催するUFCの規模ゆえに成立していることも理解している。  オリンピックで「お金がなければメダルは取れない」と言われるように、五輪競技では、01年に国立スポーツ科学センター(JISS)が、続いて08年に味の素ナショナルトレーニングセンター(NTC)がオープンし、選手強化に国が税金を投入し、トップアスリートはその施設を使用することが出来る。それは、メダル獲得が国威発揚や国益に繋がると判断されてのことだ。世界に挑もうとする日本のファイターたちがその施設を使うことは許されていない。 中国でのUFC PIの施設紹介画像(C)Zuffa LLC  朝倉は、「いますぐに施設を作ることは不可能だと思うけど、もしかしたら自分が現役の間に実現は出来ないかもしれないけど、僕は引退してからもずっと格闘技に携わって盛り上げていきたいし、日本の格闘技の底上げに協力したい。これを実現させるために、一人じゃ絶対できないので、施設をつくるために協力してもらえる人にはお力添えしてもらえたら。こういった施設を作るためにどうしたらいいかを考えていきたい。めちゃめちゃ難しいけど意義のある事。すごくワクワクしています」と、自身のみならず、日本の格闘技力を上げるために、長期的に考えていきたいテーマだとした。 「日本でも絶対に作りたい、RIZIN PIを社長の力を借りて出来たらいいと榊原さんに話したら、『凄くいいことだと思う』と言ってもらえました」と賛同を得たという朝倉は、そのための一歩が、格闘技を「やる人」「興味を持つ人」を増やすことだという。 「競技人口が多くならないとそういう施設も作れない。まずは格闘技人口を増やしたい。アメリカでMMA、格闘技に対する認知度が違うことを感じる。普通に飲食店やショッピングモールのスクリーンにも、UFCやBellatorの映像が流れている。シンジケートジムでも、60人くらいが柔術クラスに出ている。日本でもそういう状況が作れるように動きたいと思いました。もっと日本でも格闘技をメジャーにして、格闘家への認知度が高まり、格闘技への熱量が高まることは、MMAへのリスペクトに繋がる。アメリカはレベルの高い選手が多いから、関心も高まるし、やりたいと思う子供も増える。世界で戦うことでそうなる。もっと日本でも格闘技が認知されるように頑張らなきゃいけない。それは、ひいては自分のためにもなる。強くなることと、日本の格闘技を盛り上げること。このYouTubeの活動もここに繋がる。日本の格闘技のファンを増やしたい」と、競技としての格闘技の広がりに尽力したいとした。 すべてにおいて強くなっている 「世界との差」を問われ、「環境の差」と答えた朝倉。「強くなるためのシステムが作り上げられている。お金のかけかたがそこにある。強くなるための場所が整っていて、競技人口が多くて練習内容が濃い。そして、みんなめちゃめちゃ楽しんでいる。やるのもやられるのも、みんなワクワクしていて、格闘技ってこんな面白かったかなって」と、生活のなかにある格闘技の豊かさ、そして格闘技の面白さを再発見した。  そしてトップファイターとして求められる強さ、については「合宿前の自分と試合をしたら?」と問われ、「すべてにおいて強くなっている」と自信を得ていることを語った。  あらためて、海外武者修行を実行したことを「自分から行動をすることが大事だなと思います。アメリカに来てなかったらいろいろなことが実現しなかった」と、視野が広がったという。 「この1週間でほんとうにいろいろなことがあって、貴重な体験が出来ました。兄貴(朝倉未来)もハワイからベガスに来ると言っていて、もしかしたら入れ違いになるかもしれないし、僕も延長するかもしれない。残り2週間の予定を頑張って、いろいろ吸収して強くなって、日本に帰ったら試合をします。楽しみにしていてください!」と、目の周辺を少し腫らしながらも力強く語った朝倉海。どんな進化を遂げるか、注目だ。
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