ジャパンキックボクシング協会「Challenger5」2022年5月1日(日)東京・後楽園ホール
▼ダブルメインイベント2(第9試合)ドラEVER Presents 57.5kg契約 3分5R○馬渡亮太(WMOインターナショナル スーパーバンタム級王者/治政館)TKO 3R 1分36秒 ※右ストレート×佐野貴信(WMC日本フェザー級王者/創心會)
馬渡は長身から繰り出すしなやかなミドルキック、切るだけでなく倒すヒジ、首相撲からヒザと、ジャパンキック屈指のテクニックを有する。2020年8月4日の旗揚げ戦でジャパンキックバンタム級初代王座に就くも、さらなる高みを目指すべく返上。2020年8月のジャパンキックではダウサコンと引き分けた。10月の『NO KICK NO LIFE』では福田海斗に敗れたが、2021年1月大会ではWMOインターナショナル・スーパーバンタム級王座決定戦でクン・ナムイサン・ショウブカイに判定勝ち、5月大会ではポンチャン・ペッノンセンにも完封勝利したが、8月の一航戦では判定負け。今年1月にはヨーユットにTKO勝ちして再起した。
佐野はデビュー当初はRISEを主戦場にして戦っていたが、ヒジ打ちあり・つかみ無制限のムエタイルールに転向。2019年4月にプロ20戦目にして初のタイトルマッチを行い、WMC日本フェザー級王者に。同年12月には初防衛にも成功している。2021年9月には竹内将生とのBOMフェザー級王座決定戦に臨んだが、延長戦の末に敗れた。
両者とも背が高く、手足が長い似たタイプ同士。
1R、前蹴りと右ローの馬渡に佐野は右ロングフックを放っていく。右ローをどんどん蹴っていく馬渡に佐野は右フック狙い、馬渡はヒザで迎え撃ち、ヒジも打つ。前蹴りでの距離の取り合いから、佐野は強烈な右ミドルを蹴る。さらに右フック。馬渡はしつこく右ローを蹴り、そこへ佐野が右ストレート。
2Rも右ロングフックを打つ佐野、組み付くと馬渡を崩し倒す。首相撲になっても激しく主導権争いをして動き続ける両者。馬渡は右カーフを連打、佐野も強い右ローを蹴る。馬渡が右ストレートで下がらせると、佐野も右フックを打ち返す。両者とも勢いよく組みに行くため頭が何度も当たり、馬渡は左目上を切って流血。
3R、さらに激しさを増す両者の蹴り合い。右カーフを蹴って右ストレートにつなぎたい馬渡に佐野も右ストレート。馬渡は至近距離で左ハイを蹴ると、左フックから右ストレートを打ち抜き、佐野はバッタリと壮絶ダウン。立ち上がろうとするも身体がいうことをきかず、レフェリーがストップをかけた。
馬渡はマイクを持つと「今コロナ禍もあって自分のじいちゃん、ばあちゃんが試合を見に来れなくて。でも今日久しぶりに応援に来てくれました。自分が弱いところから応援してくれていて、メインの舞台で立派にKOを見せられたので喜んでいると思います。80超えても元気なのでこれからも元気でいて欲しいですね。長生きしてください」と、祖父母にメッセージを送った。
激しい試合をTKOで制した馬渡には、大会プロデューサーの武田幸三からMVP賞が贈られた。
[nextpage]
▼ダブルメインイベント1(第8試合)ジャパンキックvs.NJKF交流戦 68kg契約 3分5R×モトヤスック(ジャパンキック ウェルター級王者/治政館)判定0-3 ※46-50、45-49×2○北野克樹(WPMFインターナショナルスーパーライト級王者・WBCムエタイ日本統一スーパーライト級王者・IOCインターコンチネンタル スーパーライト級王者/NJKF・誠至会)
モトヤスックは大学生キックボクサーで、2020年1月大会で同門の政斗と初代王座決定戦を争い王座に就いた。王者としての第一戦となった8月大会ではジャクチャイに判定負けを喫したが、2021年1月にはNJKFウェルター級2位・野津良太に2RでTKO勝ち。メインの役割を果たし、大会プロデューサーの武田幸三からMVPに選ばれた。続く5月大会では元ルンピニージャパン・ウェルター級王者の喜入衆を1Rに左フックで失神KO。8月には国内70kg級トップクラスの緑川創に挑んだが、判定負け、10月は滝口幸成にTKO負け。
北野は関西の名門・誠至会のエースで、回転系の蹴り技を得意とし“竜巻旋風脚”の異名を持つ。2020年9月にNJKFのリングで大ベテラン・健太相手に判定勝利を奪うと、11月にRISEに初参戦。当時11戦無敗と勢いに乗る山田洸誓を相手に、延長判定勝利を収め山田にプロ初黒星を付けて5連勝をマーク。2021年6月の山田との再戦では判定で敗れ連勝がストップした。しかし9月のBOMでは小川翔に延長Rで勝利し、IOCインターコンチネンタル・スーパーライト級王座、WBCムエタイ日本統一同級王座、NJKF同級王座に続いてWPMFインタコンチネンタル同級王座を手にして五冠王となった。
1R、いきなりの左ハイでモトヤスックを脅かす北野。ローの蹴り合いで北野は右カーフも。終盤、北野の蹴りにモトヤスックが右ストレートを合わせて北野が尻もちをつく。
2R始まってすぐ、右ローを蹴ろうとしたモトヤスックに北野が左ハイでダウンを奪う。パンチを狙うモトヤスックに、北野は右を打たせないように左ミドルで腕を蹴る。モトヤスックが左右フックを打つと、その打ち終わりに右ハイをヒットさせる北野。北野は右カーフ、足への前蹴りと下に意識をそらせる。
3Rはいきなり首相撲勝負に。モトヤスックは組まれる前に距離を詰めてパンチを打つが北野はブロックしてハイを蹴る。北野は右カーフを蹴ってからの右ハイ、接近するとヒジも打つ。モトヤスックの左右フックをブロックし、ヒザ、右カーフ、ヒジ、そして左右ハイを繰り出す北野。モトヤスックは常にハイを警戒しなけばいけない状況だ。
4R、さらに距離を詰めてパンチを打っていくモトヤスックに北野はヒジで応戦。モトヤスックは左フックをガードの上から叩きつけるなどパンチの圧を強めていく。北野はやや疲労が見えるが、それでも蹴りは止まらない。
5R、首相撲の離れ際に左フックを打つモトヤスックへすかさず左ハイを蹴る北野。セコンドから「ハイキックが来るぞ」と声が飛んだ次の瞬間、北野の右ハイでモトヤスックはダウン。すぐに立ち上がって左右フックを打つモトヤスックだが、北野に首相撲に持ち込まれる。ガードの上からミドルを叩きつける北野は、“来いよ”とばかりに身体をくねらせて挑発。
モトヤスックは逆転を狙ってパンチを打つが北野にブロックされて逆転はならず。北野が大差の判定で勝利した。
[nextpage]
▼セミファイナル(第7試合)ジャパンキックvs.NJKF交流戦 62.5kg 契約3分3R△睦雅(ジャパンキック ライト級1位/ビクトリー)ドロー 判定0-0 ※29-29×3△吉田凛汰朗(NJKFスーパーライト級2位/VERTEX)
1R、左右ローを蹴っていく睦雅に吉田は構えを左右にスイッチしながらストレートを狙う。首相撲になるとヒザを蹴り合い、離れると睦雅が左右ロー、前に出る吉田は打ち合いになると左ストレートをヒットさせた。
2R、ロー&ミドルで蹴り中心の睦雅に、吉田は右ローを蹴りつつプレッシャーをかけてパンチの機会をうかがう。左右のストレートを伸ばす吉田だが、睦雅の蹴りでなかなか届かない。終盤、右を当てた睦雅は吉田の蹴り足を掴んで転倒させる。
3R、ジャブ&ワンツーの吉田に左ミドルを蹴る睦雅は、左ミドルを空振りするとそのまま右ストレート。ワンツーを出しながら前へ出る吉田に睦雅も右ストレートを打ち込む。右ストレート、右フックを連続でヒットさせた睦雅は組み付くとすぐに右ヒジ。打ち合いたい吉田に睦雅は右ストレートを返して組み付くとヒジ&ヒザ。離れ際には左ハイ。最後は足を止めての打ち合いとなるが、左右フックをヒットさせたのは睦雅。
判定はジャッジ三者とも29-29で両者痛み分けとなった。
[nextpage]
▼第6試合 ジャパンキックvs.NJKF交流戦 フェザー級 3分3R○皆川裕哉(ジャパンキック フェザー級2位/KICK BOX)判定3-0 ※29-28、30-28、30-27×大稚YAMATO(NJKFフェザー級8位/NJKF・大和)
大稚は直前までメガネをかけたままで、モンコンのようにお祈りを捧げてからセコンドが外すというパフォーマンスで場内から拍手が起こる。
1R、皆川は首相撲からのヒザ蹴りを連打し、離すとボディブロー。その後も首数からのヒザ蹴りで完全にペースを握る。大稚は右ローを蹴り、右フックを放つが手数は少なめ。
2R、大稚は完全に待ちの姿勢で皆川が攻めてくるところへカウンターを狙い続ける。右フックに続いて左フックもヒットさせた皆川は首相撲に持ち込むとヒザ蹴り連打。大稚は首相撲に対応できない様子。
3Rは右ローを蹴りつつ自分から左右フックを大きく振り回す大稚。左フックをヒットさせると皆川も右ストレートを打ち返し、首相撲で大きく崩す。思い切りフックを繰り出す大稚だが、すぐに皆川に捕まってヒザをもらって崩される。
判定3-0で皆川がジャパンキックに勝利をもたらした。
[nextpage]
▼第5試合 ジャパンキックvs.NKB交流戦 ライト級 3分3R×興之介(ジャパンキック ライト級3位/治政館)TKO 2R 1分29秒 ※左フック○棚橋賢ニ郎(NKBライト級1位/NKB・拳心館)
1R、ロー・ワンツー・ローと攻撃をつなげていく棚橋。打ち合いになると興之介が左右フックをヒットさせる。それでも打ち合いを仕掛けて行く棚橋はパンチをもらいながらも突進して興之介のバランスを崩す。興之介は向かってくるところへ顔面前蹴り。棚橋は右フックで襲い掛かる。
2R、ステップで右へ回り込む棚橋は右ローを蹴っていく。棚橋の右フックでバランスを崩して転倒する興之介。続いての左フックの相打ちでダウンを奪ったのは棚橋。立ち上がった興之介だが足がもつれ、レフェリーがストップした。
[nextpage]
▼第4試合 ジャパンキックvs.NKB交流戦 ウェルター級 3分3R×正哉(誠真)KO 1R 2分31秒 ※右フック○田村大海(NKB・拳心館)
1R、静かな立ち上がりとなったが、残り1分を過ぎたところで田村が狙いすました右ストレートでダウンを奪う。打ち合いになって首をつかみに来た正哉へ右フックを叩き込み、田村が鮮やかな初回KO勝ちを飾った。
[nextpage]
▼第3試合 ウェルター級 3分3R〇鈴木凱斗(KICK BOX)判定3-0 ※30-25×3×大将(KIX)
1R、鈴木がパンチ連打でダウンを奪うと、2Rも右ヒジからパンチのラッシュでダウンを追加。スタミナ切れでフラフラの大将だが、3Rも左右フックを振り回して組み付きに徹底する。最後まで手数を出し続ける鈴木は倒しきれなかっだが大差の判定勝ち。
[nextpage]
▼第2試合 スーパーフェザー級 3分3R×布施有弥(KIX)TKO 3R 3分00秒〇和斗(NJKF・大和)
1Rからバチバチの打ち合いの中で和斗が右フックでダウン奪取。2Rも右ストレートでダウンを追加する。3R、布施がヒジで反撃するも、和斗はパンチとヒザ連打で3度目のダウンを追加。レフェリーが試合をストップし、和斗がTKO勝ち。
[nextpage]
▼第1試合 フェザー級 3分3R△石川智崇(KICK BOX)ドロー 判定0-1 ※29-29×2、29-30△熊谷大輔(GT)
1Rからお互いに首相撲を仕掛ける展開が続く中、2Rに熊谷がヒジでカットに成功。3Rも変わらず両者は組む展開となり差が付かず。終了間際に石川もカットに成功したが、ドローに終わった。