MMA
インタビュー

【RIZIN】サトシとの再戦に敗れたジョニー・ケース「誰もあの状態から三角を狙うなんてことはしない。レスラーの癖が出てしまった」

2022/04/18 23:04
 2022年4月17日(日)東京・武蔵野の森総合スポーツプラザ メインアリーナで『RIZIN TRIGGER 3rd』に続き、連続開催された『RIZIN.35』のメインイベントで、「RIZINライト級(71kg)タイトルマッチ」として、王者のホベルト・サトシ・ソウザ(ボンサイ柔術)に、ジョニー・ケース(米国)が挑戦。両者は2019年10月の「RIZINライト級トーナメント 1回戦」で対戦し、この時はケースが1R 右アッパーでサトシを降している。  試合前に「みんな僕が優秀なボクサーであると同時に優れたレスラーでもあることを忘れている」と、打撃とともにテイクダウンディフェンスに絶対の自信を見せていたケース。  試合は、プロボクシングでも3連勝中のケースを相手に、サトシがオーバーハンドフックをヒット。ケースも右ストレートを返すなど、前戦とは異なり、MMAの打撃での立ちあいを経て、サトシがダブルレッグからスタンドバックに。  ここでサトシの足をフックを「レスリングの癖で」抱えて外そうとしたケースだが、サトシはケースをして「これまでかけられたことのない体勢からの三角」をセット。ケースは三角に固めたまま、右腕を脇に抱えられて「気づいたら腕が折れるかタップするかという状況に陥り」ヒジを伸ばされた。  通常の腕十字やリアネイキドチョークが、MMAのなかで極めにくくなっている現在における、後ろ三角に固めてのサトシの腕十字にタップしたケースは「この試合がイージーファイトになるだなんて予想は全くしていなかったし、僕はサトシのスキルをとてもよく知っている、ワールドクラスだと言ったことも本心だ」と、あらためて、王者の実力が世界クラスにあることを語った。  ケースとの試合後の一問一答全文は以下の通りだ。 [nextpage] 試合前は、もう誰も俺を止められないっていう状態だった。ジムのみんなも。それでも誰にも予測できないことがある。それがファイトなんだ ──試合後の率直な感想をお聞かせいただけますか? 「ただがっかりしているかな。うん……。とにかく試合をもう1回見直さなくてはいけないけど、バックを取られてしまったので、それを逃れたい、リアネイキドチョークに気をつけなくてはいけないっていうところで、自分がレスラーであるがゆえに、リフトして彼を落とそうとしたが、彼がそこからジャンプしてトライアングルチョークの体勢になっていて、気づいたら腕が折れるかタップするかという状況に陥ってしまった。  今日は彼の方が良かった。負けることはクソみたいな気分だけど、腐らずに次に向かって先に進めるためにもっと良くなって戻ってきたい。今、俺たちは1勝1敗になったから、ラバーマッチの可能性もまだあるだろう。家に帰ったら、強化するべきところをしていきたいと思っている」 ──最後のRIZINの試合から今回の試合まで2年ほどMMAの試合をしていなかったと思います。ブランクや、試合勘を取り戻すまでに時間を要したというようなことはありますか? 「全く。終始いい状態で試合ができていたよ。ハイレベルなところでハイレベルな試合をするということに対して、自分はこの試合がイージーファイトになるだなんて予想は全くしていなかったし、僕はサトシのスキルをとてもよく知っているから、ワールドクラスだと言ったことも本心だし。うん、僕としては、彼が僕よりいい動きをして、自分より優れていて、彼の方が先を行っていた。僕のディフェンスの動きに対しても、一歩先を行く動きを見せ、そして彼は三角を極めてきた。彼の方が自分より良かったんだ。  自分は今まででも最高だというくらいに調子は良かったし、これはワールドタイトルを賭けた試合で、彼はチャンピオンだ。このレベルの試合になってくると、ひとつのミスが命取りで、それが僕に起きたこと。自分にできることはこれからもっともっと良くなっていく努力をすることで、クレイジーなことに16年間プロファイターをやっていて、まだまだ、常に学び続けている。うん、チャンピオンにおめでとうと言いたいよ、今夜は彼の夜だ」 ──2度目の戦いでしたが、サトシ選手は前回と違うところはありましたか? 「スタンドがすごく良くなっていたよね、もう当てる自信もつけていると思った。自分も数発もらったし、なんていうか僕は『おおっ! よし、わかった! ファイトをやろうじゃないか』っていう感じだった。自分だって良くなっていたと思う。これはファイトだっていう感じだった。今週末にインタビューを受けた時に、自分はすごくいい準備をしてきていて、もう誰も俺を止められないっていう状態だった。ジムのみんなも誰も。そういう中で、誰にも予測できない要素があり、それがファイトなんだ。何が起きてもおかしくない。ひとたび試合となったら、どちらかが勝ってどちらかは負ける。それがファイトだ。それで残念ながら、今夜、僕が負けた」 ──久しぶりのRIZINの試合でしたが、会場の雰囲気やファンの反応などいかがでしたか? 「“オーマイガー!”まじでアメイジングだった。自分は1秒たりとも、この来日にあたって当たり前に得られるものだと思ったことはなかった。最高のことだよ、日本に戻ってきて、ファンの前で試合をして、エネルギーを感じ、リングのキャンバスの感触をまた味わって、ああもう、俺は心から幸せなんだ。もちろん負けたことっていうのは本当に最悪で傷つくんだけど、心底感謝している。すごく幸せで、自分が得られた機会、毎日自分が愛していることをやれていて、いろんな捉え方があるけど、とにかく幸せなんだ、つまり敗北は結果としてあるけど、気持ちとしては(人生に)勝ったという思いもあるんだ」 ──試合を終えたばかりですが、今後の目標、展望を教えてください。 「家に帰って、家族との時間を過ごしたい。右足の具合を確認してすぐにジムに戻って、トレーニングを再開して、ミスを修正してもっと良くなる。随分と長いこと試合ができていなくて、僕は戦うことが本当に好きだから、その間はまるで自分の人生の一部が欠落したような状態だった。ジムに戻って、とにかく練習して、今は自分は2連敗ということになるから、まあどちらもワールドチャンピオンクラスの選手だったから、自分もそのレベルだっていう風には思っているけれど、とにかく勝ちが欲しいと思っているので、細かい修正をして、なるべくできるかぎり早いうちに試合をしたいと思っているよ」 ──フィニッシュシーンについてお伺いしたいのですが、サトシ選手と組むことは避けたいなかで、最初のシングルレッグは相手の首と足を抱えて後方に飛ばしたとおもいます。最後の部分で、ケース選手が右足を抱える形になったのは何故ですか? 「それは、僕のレスラーとしてのリアクション。10人中9人は、僕がハイトップを取ったら落ちるし、誰も、あの状態からトライアングルを狙うなんてことはしない。だからそれはレスラーとしての自分の反応で、とにかくバックを取られることは避けたかった。でなければ、でっかい71kgのバックパックを背負った状態になるわけで、特にこのレベルでやる試合ではそれが良くなかった。自分が下になって彼がトップになることも避けたかったし、彼を落とすことができれば打撃も出したかったし、あれはレスラーとしてのスキルによるものだった」 ──これまであの動きの中で三角の形を組まれたことはなかったと。 「よく覚えていないのでなんとも言えないけど、経験していたらあの体勢からもう少しうまく防御できるんじゃないかな、分からないんだけど、自分はレスリングしていて彼と向き合おうとした結果、気づいたら三角のポジションに入ってしまっていたので、今日のような入りは経験したことがないよ」。 ──世界中でコロナ対策が緩和しているなかで、日本はまだちょっと厳しい部分もあります。そんな中で、日本で規制が緩和されてから初めて試合しました。その経験をどう他の海外選手に伝えたいですか? 「実際そんなに規制はひどいものじゃなくて、3日間の隔離を経てテストして陰性なら解除で、そこまで厳しい条件とは感じなかった。願わくばコロナ前のような完全に自由になればいいかと思っているけど。ただ実際にやってみてそんなに厳しいものではないと感じたし、自分は1回、韓国で2週間の完全隔離をやっているので、あの状態で試合をするのはちょっと考えられないなと思っていたんだ。今回に限ってはそんなに悪くはなかったよ」 ──入場の時に「闘魂」と書かれたハチマキをしていたのはどのような意味がありましたか。 「北岡悟戦の後にファンからもらった贈り物だった。書いてある意味を説明をしてくれていたのだけど、ちょっと忘れちゃっていて、何が書いてあるか分からなかったんだけど、今回に向けて荷造りしているなかで見つけたので持ってきて、友人に聞いてみて意味を教えてもらって、まあいいんじゃないかと思って着用したんだ」
全文を読む

MAGAZINE

ゴング格闘技 NO.331
2024年3月22日発売
UFC参戦に向け、ラスベガス合宿の朝倉海。「プロフェッショナル・ファイターの育て方」でチームを特集。『RIZIN.46』鈴木千裕×金原正徳インタビュー、復活K-1 WGP、PFL特集も
ブラジリアン柔術&総合格闘技専門店 ブルテリアブラジリアン柔術&総合格闘技専門店 ブルテリア