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【RIZIN】朝倉未来が「牛くんとタイトル無しでケージでやりたい」と王者に対戦要求。斎藤裕に2連勝の牛久絢太郎「みんな自分に勝てると思っているから…」

2022/04/18 20:04
 2022年4月17日(日)東京・武蔵野の森総合スポーツプラザ メインアリーナで『RIZIN TRIGGER 3rd』に続き、連続開催された『RIZIN.35』のセミファイナル「RIZINフェザー級(66kg)タイトルマッチ」で、王者・牛久絢太郎(K-Clann)が、前王者の斎藤裕(パラエストラ小岩)と5分3Rで対戦。判定3-0で牛久が勝利し、初防衛に成功した。  DEEP同級王者の牛久は、2021年10月にRIZINに初参戦し、当時王者だった斎藤を跳びヒザ蹴りでカットさせ、2R TKO勝ち。いきなり王者になった。再戦で接戦が必至ななか、DEEP王座戦を年末に越えた牛久、牛久、朝倉未来戦の連敗から再起となる斎藤はいかにダメージを回復させコンディションを整えられたか。 「たまたま」という声が多くて、死ぬ気で打ち込んできた  試合は、斎藤との立場を変えた再戦に臨み、四つ組みで優位に立った牛久が、オーソドックスとサウスポー構えのスイッチを多用し、2Rにサウスポー構えからの左ハイキックでダウンを奪い、3Rにもオーソドックス構えからの左フックで斎藤にマットに手を着かせるなど、判定3-0で快勝した。  試合後、牛久はリング上でベルトを腰に巻き、「RIZINフェザー級第二代王者の牛久絢太郎です。前回、ベルトを獲って“たまたま”という声が多くて、死ぬ気で打ち込んできました。こうして結果が出て、ほんとうに嬉しく思います」と語り、涙。  続けて、「自分、最近、SNS頑張ったりしてるんですが、それは、RIZINという舞台が大好きで、もっと盛り上げたいという気持ちで始めました。僕、すごく不器用なんですけど、皆さんのことを大好きなことは変わらないんで、第二代チャンピオンの僕を信じてついてきてくれないですか? 皆さんと一緒なら不可能はないんで、それを試合を通して体現したいです。皆さんと一緒に強くなりたいです。僕は皆さんのこと裏切ったりしないんで」と“偶然の戴冠”を“必然の防衛”に変えた思いを語った。 【写真】斎藤のボディロックに大外刈を合わせて上になった牛久。組みの強さも打撃戦にする要因となった。  互いに研究を積み重ねての再戦。  試合後の会見で牛久は、「この半年間、自分を追い込んでやってきたので、勝利が何より嬉しいです」と安堵の表情を浮かべた。 「今回は自分が挑戦者じゃなくて防衛するという形での試合で、RIZINが大きな舞台だからこそ、プレッシャーもすごくて。本当にこう、自分を強くしてくれたなって。自分に自信がなきゃ本当に試合できないと感じました。だから本当にベルトに感謝しています」と、王者の立場が自身をより強くしたと語った。  1Rのオープニングは、斎藤がグローブタッチに応じず。因縁を感じさせたが、「それは斎藤選手に僕がグローブタッチするのかしないのか目で合図して、向こうがグっと、“いや”って感じだったから(グローブを合わせなかった)。そこにお互い敬意はあると思うので、変な意味はないです」と振り返る。 「前回の試合よりも僕を仕留めにきているなという圧力を感じました」という牛久は、作戦を「組みではなく打撃で作ろう」と考えていたという。  右利きサウスポー構えからこまめにスイッチ。左右の打撃を織り交ぜて、カウンタースタイルのアウトキックボクシングのバリエーションを増やしていた。  対する斎藤は、「前回よりも色々打撃の交錯だったり組みの展開もあった。(牛久の関節蹴りは)自分の距離を維持するための攻撃だとは思いましたけど、ダメージとかはない。やりづらさも特になかったけど、構えをオーソドックス、サウスポーとスイッチさせて、器用な技というか技術を持っている選手だと感じました」と牛久の変化を語る。  一方の牛久も「斎藤選手はガツガツ来るなとすごく感じていたので、プレッシャーを逃すじゃないですけど、自分の距離を作るためにもスイッチを混ぜていこうと。もともと僕は両方できるので、使えるなら使おうと、両方混ぜて作戦を練りました」と作戦だったことを語る。 [nextpage] スナップを効かせた左ハイでダウンを奪う  2Rに決定機は訪れた。  サウスポーに構えた牛久は、斎藤の右ハイ&右ストレートをブロックして、左を振ってきたときに右のガードが下がった斎藤のアゴに、腰を回さずスナップを効かせて最短距離で左ハイをヒット、ダウンを奪った。  そして、グローブタッチした最終ラウンド。牛久はオーソドックス構えにスイッチし、斎藤が前手の左フックで飛び込んできたところに、それより先を前手の左フックを当ててマットに手を着かせた。それは、朝倉未来が斎藤にヒットさせていたフックを応用したものだった。 「あのフックはタイミングも見て、あとは身体が自然と反応してくれたのがデカい。フック系のパンチは前戦の朝倉(未来)選手との試合でも(斎藤が)もらっていたので、そこは自分の中でも作戦にも入れていましたね」(牛久)  ハイキックにダウンを喫した斎藤は「もらったんで効いたんですけど、うまく反応できなかったというか。タイミングなのかなって思います。ちょっと通しで試合を1ラウンドから3ラウンドまで見てみたいとは思うんですけど、たぶんディフェンスできないタイミングでもらってしまったのかな……」と痛恨の一撃を振り返った。 【写真】前戦で痛恨のカットを奪われた跳びヒザを再戦の秘策として繰り出した斎藤  最終ラウンドに詰めたのは斎藤。 「3R目は“行かないと勝てない”と思ったし、セコンドの石渡(伸太郎)さんも『ダウンを取るような攻撃をしないと判定(で勝つのは)厳しい』と言っていて、“倒しに行く”という指示があったので、あの状況だったら、もらっても自分から詰めていくという意識はありました。もう半歩、もう1発、2発、ワン・ツー・スリーくらいまでは打てていたら、と今は思いますね」と、挑戦者は最後の猛攻が及ばなかったことを悔やんだ。  最終ラウンドのゴングが鳴り、「僕が勝ったなと確信しました」という牛久。 「前回の試合で僕が叫びすぎちゃって『オラァーッ!』みたいに目が変わるほど叫んでて、みっともないなと思って(苦笑)。すごい嬉しかったので一瞬叫ぼうと思ったけど、“ちょっと落ち着け自分”っていう(笑)」  2021年7月からDEEPと合わせて4度のタイトルマッチが連続した。 「一言で言うのはすごく難しいですけど、とにかく必死だったなって。今思うと、必死だったから、あっという間に過ぎちゃったという不思議な感じですね。でも毎回、この4試合はプレッシャーを感じていたので、そのプレッシャーが自分を強くしてくれたなって本当に感じます。プレッシャーに負けず、逃げずに自分を追い込んできたことがデカかった。練習は毎回毎回キツいんですけど。その追い込みを積み重ねていくと、試合前になった時に自信に変わるんですよ。表現が難しいですね。毎回毎回、限界まで追い込んでいると、“これだけやったんだからもう悔いはないって”と、それが一気に自信に変わるので」と、牛久は試合直前に「すべてピタッとはまった」と語っていた状況を語った。  試合後のリング上で、斎藤から「泣かないで、泣かないで、チャンピオンなんだから、もっと胸張って」と言われた。 「優しい方だと思いましたね。僕の中で斎藤選手はすごく尊敬していて、リスペクトできる本当にすごい選手」と、RIZINがなければ2度も拳を交えることがなかった第10代修斗世界フェザー級王者に敬意を示した。  一方の斎藤は、牛久との3度目の対戦について、「同じ相手に2回負けてるわけなんで、そんなに甘くはないと思います。もしやるんだったら自分が勝ち上がらないといけない」と、RIZIN&DEEP2冠王者との試合のために列に並ぶ必要があることを語っている。 [nextpage] 「正直なところチャンピオンより俺の方が強いと思う」(朝倉)  そんななか、2021年6月にクレベル・コイケに一本負け後、萩原京平、斎藤裕を相手に連勝中の朝倉未来が、牛久との対戦をSNSでアピールした。 「牛久、男が簡単に泣くなよ」「正直なところチャンピオンより俺の方が強いと思うね。でもってチャンピオンより強いのがチラホラいるな」「格闘技はいいねやっぱり。熱がある」「牛くんとタイトル無しでケージでやりたい」(朝倉)  さらに、5月5日の『RIZIN LANDMARK vol.3』では、クレベル・コイケvs.萩原京平の試合が決定。RIZINで、カイル・アグォン、摩嶋一整、朝倉未来、佐々木憂流迦を全員、一本に極めているクレベルは、「タイトル挑戦の前に1試合挟みたい」として、3月に弥益ドミネーター聡志に敗れた萩原との試合を、王座戦前のチューンナップファイトにするつもりだ。  牛久は、朝倉未来の言葉について「僕もこみ上げるものがあって……最近泣いてばっかりですね。涙腺が緩いのかもしれないですね。前回も泣いていたような気もするので。次は泣かないんじゃないかな」と笑顔を見せると、「とりあえず今回の試合終わって、本当に次のこと考えていなかったので。……面白くなりそうですね」と回答するにとどまったが、「そういうことを言われるってことは、みんな(自分に)勝てると思っているから言うのだと思うので。まあ、皆さんの僕の評価が低いとは感じますね」と、苦笑した。しかし、フェザー級ファイターたちに名指しで対戦を要求される王者は、今回の斎藤戦で、想像以上の器用さ、強い心と身体を見せている。 「1試合、1試合に集中して全てを賭けているので、先のことを逆に考えないようにしていて、とりあえず今日勝ったので、今後のことはこれから考えます」という牛久は、榊原CEOに「僕は“敵じゃない”です」と訴えた思いをあらためて口にした。 「RIZINは僕にとってすごく特別で、RIZINで戦う時はすごく楽しくて。試合前からわくわくしていて。ほんとうに特別な場所だと身体で感じています。リングで言った通り、僕が勇気とか感動を、試合を通して見ている方に体現できたら、と思います。そしたら、何かそれを感じ取って、普段の私生活の中でみなさんの力になったら、僕はすごく嬉しいです。勇気と感動を与えられる、そんなファイターになりたいです」。
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