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2022年4月9日(日本時間10日)、米国フロリダ州ジャクソンビルのVyStarベテランズ・メモリアル・アリーナで『UFC 273』が開催され、観衆は1万4605人、ゲート収入のみで355万53ドル7セント(約4億4500万円)と発表された。
メインイベントでは、フェザー級王者アレクサンダー・ヴォルカノフスキー(豪州)が、“コリアン・ゾンビ”ことジョン・チャンソン(韓国)を4R TKO。コ・メインでは、バンタム級正規王者アルジャメイン・スターリング(ジャマイカ)が、暫定王者ピョートル・ヤン(ロシア)に5R判定3-0で勝利。王座統一を果たした。
しかし、この大会で「ファイト・オブ・ザ・ナイト」を受賞したのは、Wメインと言われた2つの王座戦ではなく、“裏メイン”と呼ばれたカムザット・チマエフ(スウェーデン)とギルバート・バーンズ(ブラジル)のウェルター級戦だった(※チマエフは3万ドルビットコインのファン・ボーナス・オブ・ザ・ナイトも獲得)。
そして、このチマエフとバーンズの試合には、勝者のみならず、敗者にも「ウィンボーナス」が贈られる異例の名勝負となった。
ウェルター級2位のバーンズに、11位のチマエフが挑むランキング差のある試合。しかし、ロシアのチェチェン共和国出身のチマエフは10勝無敗でUFC4連勝中のプロスペクト(27歳)だった。
男子フリースタイルレスリングのスウェーデン選手権を3度(92kg級と86kg級で2度)制しているチマエフは、柔道やコンバット・サンボ、柔術にも取り組み、MMAで無敗のまま、オクタゴン4連勝でいきなり王座挑戦経験もある上位ランカーのバーンズと対戦した。
素晴らしい試合を見せてくれた2人に👏👏
— UFC Japan (@ufc_jp) April 10, 2022
ギルバート・バーンズ🆚ハムザト・チマエフ#UFC273 pic.twitter.com/MSSwwrM6fq
初回にダウンを奪ったチマエフだが、2Rにバーンズがダウンを奪い返し、最終ラウンドにもバーンズの右でチマエフがグラついた死闘。倒し・倒され、攻め、攻められのブザー後、チマエフは笑顔でバーンズに額を押し付けて互いに健闘を称え合った。
ジャッジは3者とも29-28でチマエフを支持、デビュー以来の連勝を11に伸ばしている。
Khamzat keeping it 💯 after his win at #UFC273 pic.twitter.com/sfj5n5TFOM
— ESPN MMA (@espnmma) April 10, 2022
左目下をカットしたチマエフは、ブーイングもあるなか「バーンズがここまでタフとは思わなかった。ブラジリアンの強さを見た。ブラジリアンの練習仲間にも助けられた。彼の強さをほんとうには分かっていなかった。ほんとうにギルバートは強かった。(ランキング2位に勝ったけど?)満足している。10試合して10フィニッシュしてきたでど、11試合目はフィニッシュはできなかったし、流血して疲れた。でも、この痛みも大好きだ。ジャクソンビルのみんな、ブラジルにも母国にも感謝している」とコメント。
大歓声に迎えられた敗者バーンズは「まず神に感謝したい。ここで何をしようと関係ない。どんなオッズだろうと、どんなランキングだろうが、真の戦いをした。彼はランク外で僕はランク2位だけど誰とだって戦う。ゴールはチャンピオンになることだから。一番タフな相手と戦っていたいんだ。ブラジルの家族たち、サンフォードMMAのコーチたちありがとう。オクタゴンに入るたびに殺される覚悟で来ているんだ。まだまだやるぜ」と語り、大きな拍手を受けている。