2022年4月9日(日本時間10日)、米国フロリダ州ジャクソンビルのVyStarベテランズ・メモリアル・アリーナで『UFC 273』が開催された。
メインイベントは、王者アレクサンダー・ヴォルカノフスキー(豪州)が、“コリアン・ゾンビ”ことジョン・チャンソン(韓国)を迎え撃つUFC世界フェザー級タイトルマッチ。さらに正規王者アルジャメイン・スターリング(米国)と暫定王者ピョートル・ヤン(ロシア)によるバンタム級王座統一戦も組まれた。
UFC 273: Volkanovski vs. Korean Zombie
2022年4月9日(日本時間10日)米国フロリダ州ジャクソンビルVyStarベテランズ・メモリアル・アリーナ
【メインカード】
▼UFC世界フェザー級選手権試合 5分5R○アレクサンダー・ヴォルカノフスキー(豪州)24勝1敗(UFC11勝0敗)※UFC11連勝[4R 0分45秒 TKO]×ジョン・チャンソン(韓国)17勝7敗(UFC7勝4敗)※ヴォルカノフスキーが3度目の王座防衛
王者ヴォルカノフスキーは3度目の防衛戦。前王者のマックス・ホロウェイの代役でタ王座挑戦となるチャンソンは4位。
ヴォルカノフスキーはオーストラリア人初のUF世界王者。2019年12月にホロウェイに判定勝利し、フェザー級王座を戴冠。2020年のホロウェイとのダイレクトリマッチでも勝利すると、2021年9月にブライアン・オルテガを激闘の末に判定で下し、2度目の防衛に成功している。
対する“コリアン・ゾンビ”チャンソンは、2013年8月には代役ではあったが、ジョゼ・アルドを相手にUFCフェザー級タイトルマッチを経験。2019年6月にヘネート・モイカノ、12月にフランキー・エドガーに判定勝ちで2連勝。2020年10月にブライアン・オルテガに判定負けも、2021年6月の前戦で昇り調子だったダン・イゲを判定で下し、2度目の王座挑戦を決めた。今回の王座戦に向け、ヘンリー・セフードの指導を受けてきた。
1R、ともにオーソドックス構え。チャンソの左右に右を返すヴォルカノフスキー。右のカーフキックを当てるチャンソン。ヴォルカノフスキーも右ローを返す。
左のダブルで入るチャンソン。ヴォルカノフスキーの左右をスウェイでかわすして右を振るが、そこに左を当てるヴォルカノフスキー。
鼻を腫らすチャンソン。ヴォルカノフスキーの打ち下ろしの右がヒット! さらに左インローも。チャンソンの詰めに左を差して詰めるヴォルカノフスキーは小外がけからテイクダウン! 金網使い立つチャンソン。離れ際にヴォルカノフスキーは左を当てる。
左で入るチャンソンに左を当ててダウンを奪うヴォルカノフスキーは、すぐに立ち上がったチャンソンに左のカーフでバランスを崩す。
2R、左インローのヴォルカノフスキー。チャンソンの右のロングフックをかわして右を打ち込む。チャンソンの入りに左のカウンターを当てるヴォルカノフスキー! 右ストレートを返すチャンソン。右の前蹴りも! しかし、ヴォルカノフスキーは落ち着いて右のダブルを当てると、金網に詰めて四つのまま大内刈でテイクダウン! パウンドに立ち上がろうとするチャンソンを再び押さえ、立ち際に右ヒジ。さらに組んで行く。
差し返すチャンソンは突き放すとスタンドに。左で飛び込みテイクダウンを奪うヴォルカノフスキー。立ちあがるチャンソンに左ジャブを当てる。さらに右ローも。
3R、左の蹴りから入るヴォルカノフスキー。チャンソンの左をスウェイでかわすと右を入れる。左右で詰めるチャンソン。しかしヴォルカノフスキーの左ジャブにアゴを上げさせられる。
左インローを当てるヴォルカノフスキー。先に打ち、チャンソンの左右のフックの打ち返しにすっと頭を下げてカウンターのダブルレッグに入るヴォルカノフスキー。しかしここは金網で耐えるチャンソン。ヴォルカノフスキーの左ジャブに顔が腫れるチャンソン。左右を突くがかわすヴォルカノフスキーは右ストレートを当てる。左ボディを当てるチャンソン。
右から左、さらに右のクロスを当てたヴォルカノフスキー! ダウンしたチャンソンがディープハーフで凌ぐが、ヴォルカノフスキーの鉄槌に大きく顔を腫らす。
チャンソンにドクターチェック後、4R。ワンツーから左インローを当てるヴォルカノフスキー。ワンツーを当て、さらにワンツーの右を当てるとチャンソンの足が揃い棒立ちに。ハーブ・ディーンレフェリーが間に入った。
試合後、ヴォルカノフスキーはセコンドのクレイグ・ジョーンズと握手。勝者インタビューに、「自分は図抜けたレベルにいることを証明するんだけど、目の前の彼は自分の期待以上のことをしてきた。ただ、ちょっとストップが遅いせいで嫌な感じにもなるけど、僕らはそういうスポーツをやっているんだ」と挑戦者を称えた。
続けて、「この試合だけでなく毎試合レベルアップしようとしている。最近亡くなった友人にこの勝利を捧げたい。いつも言ってきたけど、アスリートとして必ずしも恵まれた才能を持っているわけじゃないけど、常に前進し続けることが大事なんだ。モチベーションに拍車をかけて、いかにそれを形にするかを見据え続けることで、もっと良くなっていく。ここで予定されていた試合(ホロウェイ戦)、まだ別の試合もある。僕と戦いたければサインしてくれればいい」とコメント。
右目を大きく腫らした敗者のチャンソンは、「準備万端に備えてきて、いい状態で試合に臨み、疲れも感じていなかったけど、それでも越えられない壁にぶち当たってしまった」と語り、2回目のチャンピオンシップの敗北に、「負けるたびにオクタゴンを去ること、辞めることを考えます。いまは時間が必要です」と語り、マットに跪き、嗚咽した。
妻が駆け寄りハグし立ち上がると、ヴォルカノフスキーはチャンソンをケージの中で待ち、ハグ。ケージから送り出して、オクタゴンを後にした。
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▼UFC世界バンタム級選手権試合 5分5R○アルジャメイン・スターリング(ジャマイカ)21勝3敗(UFC13勝3敗)※UFC7連勝[判定3-0] ※48-47×2, 47-48×ピョートル・ヤン(ロシア)16勝3敗(UFC8勝2敗)※スターリングが王座統一
コ・メインイベントは、王者アレクサンダー・ヴォルカノフスキー(豪州)が、“コリアン・ゾンビ”ことジョン・チャンソン(韓国)を迎え撃つUFC世界フェザー級タイトルマッチ。さらにスターリングとヤンによるバンタム級王座統一戦が組まれている。
バンタム級の両者は2021年3月、王者ヤン、挑戦者スターリングとして対戦し、ヤンが優勢に試合を進めたものの4Rにヤンが反則の膝蹴りを入れてしまい、反則負けで王座が移動した因縁の再戦となる。コールに高速シャドーを見せたヤン。スターリングにはブーイングが沸く。
1R、サウスポー構えから先に左ミドルはスターリングも、詰めるヤン。右ローを突くスターリングは低いタックルへ。落ち着いて切るヤンは圧力をかける。左右にサークリングするスターリングは右を突くも、かわしたヤンも右。さらに左フックは空を切る。
そこに左ミドルを合わせるスターリング。。左の前蹴りで距離を取るが、詰めるヤンも右ミドル。左右に大きく回るスターリング。飛び込んでの組みも触れず。サウスポー構えのヤンは左のダブルで飛び込むも、かわすスターリング。サウスポー同士で右フックを振るヤンに右ミドルを返すスターリングは組もうとするが、切ったヤンが左を振る。ヤンのラウンドか。
2R、サウスポー構えで詰めるヤンは右ミドル! さらに右の関節蹴り狙い。スターリングは前足にシングルレッグ、一度は切ったヤンだが、スターリングは2度目のシングルレッグでそのままマウント! 背中を見せたヤンのバックを奪うスターリング。4の字ロックを組み、背後からパウンドを入れながらチョークを狙う。右腕を喉元に入れるが、後ろ手を組ませないヤン。うつ伏せにさせるスターリングはパウンド。仰向けになるヤンにバックからヒジ、パウンドも極めることはできず。スターリングのラウンドに。
3R、跳びヒザで前に出るスターリング。さらにシングルレッグからダブルレッグに移行も切るヤン! 金網に押し込むヤンだが、前回の反則のヒザ蹴りに注意の観客の歓声。離れてはスターリングは、ダブルレッグテイクダウン! すぐにバックを奪うと両足をかけてスネにフック。それを解除して踵を持ち上げて正対を狙うヤン。させずに4の字ロックに組むスターリング。回りながら腰をズラそうとするヤンだが正対させないスターリングのラウンドに。スターリングのグラウンドコントロールは6分半とスタッツが出る。
4R、ヤンのラッシュに足を手繰るスターリングだが、がぶるヤン。離れて詰めるヤンに再びテイクダウン狙いのスターリングをがぶるヤン。ヒザ蹴りに注意しながらコントロール。スタンドに。首を抱えながら跳びヒザを打つヤン。なおも組みに行くスターリングはスタンドバックに飛び乗るが、中腰で前に落としたヤンが上に。インサイドガードに入るヤン。スターリングの三角絞め狙いをかついでパス。背中を見せてから正対し、ディープハーフガードにするスターリングは踵を抱えスイープ狙いもさせなかったヤンのラウンドに。これでイーブンか。
5R、勝負のラウンド。蹴りの打ち合いでヤンの右の蹴りでスターリングはバランスを崩すがすぐに立つと、ダブルレッグで金網まで押し込むが切るヤンが前に。サウスポー構えで詰めるヤンに組むスターリング。一度は切ったヤンだが、スターリングはダブルレッグから脇を潜りスタンドバックへ! 左足をかけにいくが、正対したヤン! 詰めると、逆にスターリングはダブルレッグを再三しかける。切るヤンにすぐに立つスターリング。
追うヤンは組んで一瞬大外刈狙い。さらに近距離で跳びヒザ! スターリングの組みを切り、バックにつくと、背後から右の蹴り狙い。外したスターリングはシングルレッグから脇を潜ろうとするが、ここでバックを取らせなかったヤンが亀のスターリングのサイドバック。背後から下半身にヒザを突くと両足をかけてリアネイキドチョーク狙いも着地してブザー。
1Rをどう取るか。判定はスプリットに割れ、48-47×2, 47-48で正規王者のスターリングが王座防衛。
接戦を制したスターリングは、「ジャクソンビルのみんな、僕の強さを疑っていたかもしれない、危険な相手だった。4、5Rはやられたかもしれない。もし僕のことが嫌いならそれでも構わない。1R目が接戦だったから、2、3Rは攻めた。次の試合が楽しみだ。TJ・ディラショー、お前が次だ!」と、ディラショーを指名。
敗者はヤンは「勝ったと思ったよ。1R目? 5Rのうち3つは取ったと思うよ。1R目、4R、5R目も。ジョー・ローガン、僕はリマッチがしたい」と再戦を要求した。
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▼ウェルター級 5分3R○カムザット・チマエフ(スウェーデン)11勝0敗(UFC5勝0敗)[判定3-0] ※29-28×3×ギルバート・バーンズ(ブラジル)20勝5敗(UFC13勝5敗)
ウェルター級2位のバーンズ、11位のチマエフは10勝無敗でUFC4連勝中。
1R、詰めて右で差したチマエフ。ハイクロッチで持ち上げ崩し、バックから引き込みもヒップアタックで正対しガードに持ち込むバーンズ。つきわないチマエフは立ち上がる。
右を突くチマエフ。左ローもそこに右をカウンターで打つバーンズ。右オーバーハンドから左ボディに繋ぐチマエフ。しかしバーンズもワンツーで押し戻すと、チマエフも右から左。バーンズもしっかり右を返すと、スイッチしたチマエフにロー!
右ジャブにダウンしたバーンズ! 右ヒジのチマエフ! さらに鉄槌連打も、バーンズも腕十字狙い。すぐに察知して離れるチマエフ。バーンズが左右を返して押し戻し、ブザー。バーンズは左目尻をカット。
2R、先にシングルレッグはバーンズも足を抜くチマエフはサウスポー構え右ジャブ。さらにオーソに戻して右カーフ。バーンズも右カーフを連打! チマエフは右の連打で前に。そこにバーンズはシングルレッグも切るチマエフ。
右を突くチマエフにバーンズは左! 手を着いたチマエフにラッシュをかけるバーンズはクリンチアッパー! さらに前蹴り。しかしスタミナ使ったか、チマエフが右ロー。右の差し合い。
ダブルレッグに入るバーンズをスプロールしアナコンダを狙うチマエフにすぐにガードにし、下から蹴り上げ立つバーンズ! 右の打ち合い。チマエフの右は軸がブレ始める。右インローはバーンズ。チマエフも右を返して前に。
しかしバーンズは右フック! ダウンしたチマエフに蹴りを打つが、チマエフもすぐに立ち上がりダブルレッグテイクダウンでブザー。最後にチマエフはバーンズの頭を軽く小突く。
3R、オーソドックス構えから左ジャブを伸ばすチマエフ。バーンズも頭振りながら下がってもシングルレッグからボディロックテイクで後方に振ってテイクダウン狙いも切るチマエフ。スタミナ使ったバーンスに右を当てたチマエフはラッシュ! 金網背にクリンチのバーンズ。右の差し合いはチマエフ。しかしバーンズも右を返す。右の額から出血するバーンズ。詰めるチマエフは左の前蹴りを腹に。
しかしバーンズも押し返し、左から右を突くバーンズ! チマエフも笑顔を浮かべながら前に。右ボディで金網に詰める。回るバーンズは右オーバーハンド! 下がるが来いと迎え撃つチマエフ。右アッパーを当てて前に! 跳びヒザから前に出て組むもブザー。
チマエフは笑顔でバーンズに額を押し付けて互いに健闘を称え合った。ダウンを奪い合った両者。判定は3-0(29-28×3)でチマエフが死闘を勝利。ブーイングのなか、左目下をカットしたチマエフは、「バーンズがここまでタフとは思わなかった。ブラジリアンの強さを見た。ブラジリアンの練習仲間にも助けられた。彼の強さをほんとうには分かっていなかった。ほんとうにギルバートは強かった。(ランキング2位に勝ったけど?)満足している。10試合して10フィニッシュしてきた。ジャクソンビルのみんな、ブラジルにも母国にも感謝している」とコメント。
大歓声に迎えられた敗者バーンズは「まず神に感謝したい。ここで何をしようと関係ない。どんなオッズだろうと、どんなランキングだろうが、真の戦いをした。ブラジルのア家族たち、コーチたちありがとう。オクタゴンに入るたびに殺される覚悟で来ているんだ。まだまだやるぜ」と語った。
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▼女子ストロー級 5分3R○マッケンジー・ダーン(ブラジル)12勝2敗(UFC7勝2敗)[判定2-1] ※29-28×2, 28-29×ティーシャ・トーレス(米国)13勝6敗(UFC9勝6敗)
女子ストロー級5位のダーン、7位のトーレス。
1R、ともにオーソドックス構えから。いきなり飛び込んでのジャブを連打するダーン。トーレスはボディロックも離れる。ワンツースリーの連打で詰めるダーン。トーレスは距離を取る。ステップインの打撃はトーレス。ダーンは右を当てる。前蹴りのトーレスは手数。接戦の1R。
2R、ケージまで押し込んだダーンがジャンピングガードからキムラに組み、引き込みを狙う。金網背に寝ないトーレスを金網を蹴り引き込もうとするダーン。ついにグラウンドへ。しかしヒザを顔面に残して前転させられないトーレス。正対し腕を解除すると、ダーンはバラトプラッタ、ヒザ十字狙いからアンクルホールド。バックに回ろうとするダーンに背後にパウンドも打つトーレス。ブザー。
3R、後ろ蹴りを見せたダーン。サウスポー構えになるトーレス。詰めるダーン。トーレスは前に出られない。トーレスの右のサイドキックの打ち終わりに蹴り足をつかんだダーンが、片足立ちのトーレスの軸足を払いテイクダウン!
しかしトーレスは蹴り上げから立つ。右ミドルを蹴るもバランスを崩したダンはグラウンドに誘うが、つきあわないトーレス。前蹴り、右ボディストレートを当てるトーレスは残り10秒の拍子木で自らシングルレッグテイクダウンもすぐにダーンが上を取り返してブザー。両者ともに手を挙げる。
判定はスプリットに割れ、29-28×2, 28-29でダーンが勝利。「ガードに引き込みたかったけど彼女のガードが硬かった。ティーシャの筋肉もすごかった。あそこで極められばよかった。あそこでエネルギーを使い過ぎた。最後はガス欠だった。今後? ローズとカーラの敗者とやってもいいし、トップ5と戦いたい」と語った。
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▼ライト級 5分3R○マーク・マドセン(デンマーク)12勝0敗(UFC4勝0敗)UFC4連勝[判定3-0] ※30-27×2, 29-28×ヴィンス・ピシェル(米国)14勝3敗(UFC7勝3敗)UFC3連勝でストップ
“ジ・オリンピアン”グレコローマンレスリングでリオ五輪銀メダリストのマドセン。デンマーク史上最高のレスラーと呼ばれる。UFC3連勝中だ。
対する“フロム・ヘル”ピシェルは、2012年のTUF15出場から10年。怪我からの復帰後5勝1敗。黒星はグレゴール・ギレスピーに肩固めで敗れているが、以降ルーズベルト・ロバーツ、ジム・ミラー、アースティン・ハバードにいずれも判定勝ちでこちらも3連勝中。
1R、ともにオーソドックス構えから左ローはピシェル。マドセンも右ローを返す。左を振って組もうとしたマドセンだが深追いせず。距離を取るピシェルは右ロー。ワンツー。マドセンも右ロー。さらに踏み込んでの右ストレート! 押し戻してきたピシェルにダブルレッグテイクダウン! 起き上がりのピシェルにバックに回ろうとするが、ピシェルは腕取りから立ち上がり。右フックを当てるマドセン。それをブロッキングするピシェルは右ローを返す。
2R、右ローを打つピシェル。詰めるマドセンは右ローを返す。左を返すピシェルはサウスポー構えにスイッチ。オーソに戻すが、ピシェルの打ち終わりに組んだマドセンは崩してバックに。左手首を持つピシェル。バック狙いのマドセンにヒップアタックから、右足に足関節からカーフスライサーからバックを狙うピシェル!
足を抜くマドセンを詰めてシングルレッグ、ダブルレッグテイクダウンはピシェル。ブザーに首をかっきり、俺のコーナーから出ていけとばかりにマドセンの背中を押した。
3R、跳びヒザから詰めるピシェル。さらに右を振って右で差して組む。手首を持って体を入れ替えたマドセン。離れるピシェル。
ヒザ着きのダブルレッグテイクダウンはマドセン! ピシェルの下からの三角絞め狙いをかついでハーフガードも、すぐにフルガードに戻すピシェル。マドセンは左腕で枕に巻いて左に片足を抜く。腰を押すピシェルだが背中は着いたまま。アームロックも狙いながら、ケージまで這って立ち上がりを狙う。それを潰すマドセンに、ピシェルは潜りからヒザ十字狙い、足を抜こうとするマドセンにシングルレッグで腰を上げたところでブザー。判定は3-0でマドセンが勝利。
12勝無敗、UFC4連勝をマークしたマドセンは、「3度のオリンピアンで、5回世界チャンピオンだ。ローガン、もう先は見えているだろう?(テイクダウンをされたが?)覚えていないね。これはレスリングだと思っている。実はデンマークからアメリカに(アリゾナ)、勝つために、家族とともにアメリカンドリームを叶えるためにここに来たんだ」と、ランキング入りをアピール語った。
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【プレリム】
▼ウェルター級 5分3R○イアン・ギャリー(アイルランド)9勝0敗(UFC2勝0敗)[判定3-0] ※30-27×2, 29-28×ダリアン・ウイークス(米国)5勝2敗(UFC0勝2敗)
1R、ともにオーソドックス構え。左ジャブから突く“次世代のマクレガー”アイルランドのギャリー。じりじりと圧力をかけるウイークスだが、カウンターを警戒し慎重に。
右のカーフキックでウイークスのバランスを崩させる。ウイークスはシングルレッグから左で差して押し込み、脇を潜りスタンドバックからヒザ。正対したギャリーは四つに戻して体を入れ替え、右・左の蹴り!
右カーフを打つギャリー。さらに右ストレート、右ハイも。ブロッキングのウイークスはその蹴りに前蹴りを合わせて尻餅をつかせる。左を振って飛び込んだウイークス。組んで左で差して押し込むが、ギャリーが離れて右の蹴りの上下。ウイークスも右の関節蹴りを狙いブザー。
2R、先に圧力をかけるウイークス。左右にステップするギャリーはウイークスの右の飛び込みをかわして中央を取ると右カーフを打つ。ワンツーを打つギャリー。そこに左で差して組むウイークス。
切って離れるギャリーは、右カーフ、上下のワンツー、左ハイも。ブロックするウイークスの右をスウェイでかわすギャリーは右オーバーハンドも。ギャリーの打ち終わりに左で差してスタンドバックにつくウイークスは持ち上げ崩そうとするが、倒れないギャリーが突き放し、右跳び蹴りを見せてブザー。
3R、右カーフ、右前蹴り、左ハイと上下左右に散らすギャリー。左ジャブ、左の高い前蹴りの打ち終わりに組もうとするウイークスだが、切るギャリー。
詰めるウイークスをさばき右カーフを当てるギャリー。サークリングしながらウイークスの圧力をいなし、ジャブから右ストレート! 崩れかけたウイークスは立て直すと組みへ。体を入れ替え、両脇を差すギャリーは小外がけ狙いから脇を潜りスタンドバック。
離れるウイークスがスタンドで前に。右を振るが右に潜って体を入れ替えるギャリー。右を突いたところにウイークスが潜ってスタンドバックについたところでブザー。
判定は3-0(30-27×2, 29-28)で“ザ・フューチャー”ギャリーがUFC2連勝でMMA9勝無敗とした。試合後のマイクで観衆に「オレーオレオレオレ」のチャントを要求し、会場も呼応。「相手は強くて寝技師だから、コーチたちがケージワークの対策を練ってくれた。最初から完璧にここに上がってくる人はいなくて、試合のたびに強くなるわけだからもっともっと頑張るよ。妻が妊娠中なんだ。ダナ、誰とでも戦う、用意してくれ」と語った。
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▼ミドル級 5分3R○アンソニー・ヘルナンデス(米国)9勝2敗(UFC3勝2敗)[判定3-0] ※30-27×2, 29-28×ジョシュ・フレムド(米国)9勝3敗(UFC0勝1敗)
1R、ダブルレッグに入るヘルナンデスを切るフレムド。なおもシングルレッグで組むヘルナンデスはハイクロッチも小手に巻くフレムドは切って首相撲ヒザ。しかしヘルナンデスは、粘り強くシングルレッグからスタンドバック、ギロチンチョーク狙い。バックに切り替えるとダースチョークも組んで足をフック引するが、極めきれず。立つフレムドにヘルナンデスはシングルレッグでヒザを着かせてブザー。
2R、後ろ蹴りを見せるヘルナンデス、なおも前進しシングルレッグからバックテイク。正対しシングルレッグ狙いのフレムドが上に。サイドを奪い、ヘルナンデスの立ち際に逆にギロチンチョークへ。相手の得意技を仕掛けたフレムドだが、首を抜くヘルナンデスはディープハーフから潜り。しかし潰したフレムドがスタンドバックテイク。ヘルナンデスはアームロック狙いから正対し突き放す。ワンツーから左ハイに繋ぐフレムドが前に。しかしギロチンチョークで切り返したヘルナンデスが上でブザー。
3Rも前進を続けるヘルナンデスがダブルレッグから両足を束ねてリフトしてテイクダウン! 1R同様にギロチンチョークからダースチョーク狙い。さらにネルソンから首を極めにいく。凌ぐフレムドのバックマウントを奪うとパウンド。サイドバックから片足をかけてパウンド。フレムドのシングルレッグに横三角絞めでブザー。
判定は3-0(30-27×2, 29-28)でLFAミドル級王者のヘルナンデスが勝利。2月のホドウフォ・ヴィエイラ戦に続く2連勝を飾った。
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▼女子バンタム級 5分3R○ラケル・ペニントン(米国)14勝8敗(UFC11勝5敗)UFC4連勝 7位
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▼ウェルター級 5分3R○マイク・マロット(カナダ)8勝1敗(UFC1勝0敗)[1R 3分41秒 TKO]×ミッキー・ガル(米国)7勝5敗(UFC6勝5敗)
ボディロックテイクダウンのガルに立ち上がるマロットは右ハイオ。ブロックしたガルがワンツーで前に出るが、ガルの左に右を合わせたマロットが返しの左フック! ダウンしたガルに鉄槌・パウンドでフィニッシュした。
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【アーリープレリム】
▼ヘビー級 5分3R○アレクセイ・オレイニク(ロシア)60勝16敗(UFC9勝7敗)[1R 3分39秒 スカーフホールド]×ジャレッド・バンデラ(米国)12勝8敗(UFC1勝4敗)
右オーバーハンドを当てたオレイニクに右ストレートを返すバンデラ。クリンチから引き込んだオレイニイクはシングルレッグで尻を着かせるもバックを奪うバンデラ。リアネイキドチョーク狙い。正対したオレイニクは、バンデラの三角絞め狙いを担ぎパス。バックを奪い、リアネイキドチョーク狙いから正対際に肩固め狙い。トップから袈裟固め、得意のスカーフホールドを極めた。
3連敗から脱した44歳のオレイニクは、試合後、「あなたを相手にサブミッションを仕掛けてくるなんて驚きませんでしたか?」と問われ、「何も驚くことはなかったよ。まだまだ5年でも10年でも続ける」と語った。
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▼女子ストロー級 5分3R○ピエラ・ロドリゲス(ベネズエラ)8勝0敗(UFC1勝0敗)[判定3-0] ※29-28×3×ケイ・ハンセン(米国)7勝6敗(UFC1勝3敗)
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▼バンタム級 5分3R○フリオ・アルセ(米国)18勝5敗(UFC5勝3敗)[判定3-0] ※30-27×2、29-28×ダニエル・サントス(ブラジル)8勝2敗(UFC0勝1敗)