タイを主戦場に活躍する日本人むえたい選手・福田海斗(キングムエ)が2019年6月5日(水・現地時間)のラジャダムナンスタジアム興行『スック ワンギントーン』のセミファイナルに登場。名門ペッティンディージムの若手強豪ガオモンコンと対戦、惜しくも判定負けと喫した。
前回(4/27)のラジャダムナンスタジアムではオムノーイスタジアムの強豪ンガータオを逆転KOし、115ポンド(スーパーフライ級)4位まで同スタジアムのランキングを上がってきた福田。今回は118ポンド(バンタム級)契約での試合となり、勝てば今度はバンタム級でのランキング入りが濃厚となる試合であった。
対戦相手のガオモンコンはペッティンディームエタイアカデミー生え抜きで、早くから将来を嘱望されている選手。ここ2試合は判定で敗れているが前評判はガオモンコンの方が高く、試合前賭け率も5―4と僅かながらガオモンコンがリードしていた。
試合序盤は福田が2連続KO勝ちを収めているその勢いのまま、ガオモンコンへ右ストレート、右ローをクリーンヒットさせる。第1Rで早くも福田のヒジがヒット、ガオモンコンは右目上をカットし流血。福田のパンチ・ヒジを警戒しがっちりガードを固めているが、パンチの勢いに押され下がったところへローがクリーンヒット。途中からは左奥足ローも混ぜてクリーンヒット数を増やし、序盤で既にガオモンコンの足は真っ赤に。第2R終了時で2―1と福田が賭け率を逆転し福田の圧勝ムードが広がった。
しかし第3R、ここからガオモンコンが怒涛の追い上げを見せる。離れては不利とすぐに前進し首相撲勝負へ。本来なら福田も接近戦を得意とし首相撲勝負は望むところだが、組んでも逆にガオモンコンがタイミングよく見栄えの良いヒザを当てていく。
試合後のコメントで「ちょっと息が上がってしまった」と本人が語っていたように、福田は踏ん張りが利かずガオモンコンにコントロールされてしまう。ガオモンコンサイドは一気に息を吹き返し、深く組んで横から大きくヒザを当てコカし技。福田は時折左縦ヒジのカウンターを当てるもののガオモンコンの前進は止まらず、第3R終了時で7―4とガオモンコンがひっくり返した。
勝負所となる第4R、相変わらず首相撲勝負を仕掛けるガオモンコンに対し、福田はカウンターで右テンカオをクリーンヒットさせる。これで動きが止まったところへ2発、3発と右テンカオ狙い。福田のヒザが当たる度にギャンブラーからは大声援が送られ場内の盛り上がりは最高潮へ。首相撲の展開ではややガオモンコンがリードしていたか、第4R終了時で2―1とガオモンコンのリードは変わらないものの差が縮まり、最終Rで充分逆転可能な展開。
そして最終R、ガオモンコンは僅かなリードを守ろうとガードを固めて距離を取る。福田はパンチ、ヒザと攻め立てコカし技も決まったが、深く組まれ動きが寸断されはっきりとした差をつけることができず、差は僅かながら判定負けを喫してしまった。
「体重調整がうまくいかず、3R目に力が入らなくなった」と試合を振り返った福田。それでも4Rからの追い上げで見せたヒザはギャンブラーからも関係者からも高評価で、アナウンサーは「カイトほどムエタイの技を使いこなす日本人はいないだろう」と褒め称えた。
入院してベッドに横たわるガオモンコン 方や、ガオモンコンは試合後医務室へ直行、ヒジで切られた右眉付近を18針縫合しそのまま市内の病院へ。4R目にうけた福田のヒザで左脇のアバラを8箇所骨折、しかも肺も傷ついており肺から空気が漏れているとのことで即入院となったようだ。
判定で敗れたものの、「サムライ アンタラーイ」(タイ語で“危険なサムライ”)と称される福田の評価は決して下がっておらず、プロモーターであるウィナイ・ナックシン氏は「次回の興行ではメインでも良いだろう」と期待を寄せた。
2019年6月5日(水・現地時間)タイ・ラジャダムナンスタジアム 「スック ワンギントーン」
▼セミファイナル(第6試合)118ポンド契約 3分5R×カイト・ウォーワンチャイ(福田海斗/キング・ムエ/ラジャダムナンスタジアム スーパーフライ級4位/元タイ国プロムエタイ協会フライ級王者/「True4U」115ポンド王者)5R判定○ガーオモンコン・ペッティンディーアカデミー(タイ)