6月7日(現地時間/日本時間8日)、米国カンザス州カンザスシティのメモリアル・ホールで開催される「Invicta FC 35:Bennett vs Rodriguez 2」で、ブラジルのリアーナ・ピロジンと対戦する村田夏南子が6日、前日計量に臨み、116ポンド(52.61kg)でクリア。対戦相手のピロジンも115.8ポンド(52.52kg)でクリアした。
レスリングで名を馳せた村田だが、もともとは柔道出身。小学校で全国3位になると、中学2年で全国優勝。テューリンゲン国際大会でも優勝の実績を誇る。しかし、自身が得意とする肩車や掬投などの足を取る技が大きく制限されたことや、北京五輪で活躍する吉田沙保里への憧れもありレスリングへ転向。
2011年にブカレストで開催されたレスリング世界ジュニア選手権では55kg級で金メダルを獲得。12月の全日本選手権では吉田沙保里をあと一歩のところまで追い詰めている。
その後、村田は2016年4月に行なわれたRIZIN.1でMMAデビュー。2戦目には米国KOTCで戦い、現在はUFCファイターとなったマイア・スティーブンソンに3R TKOで勝利している。デビューから4連勝後、唯一の黒星となったのは、2016年の年末に階級上で元UFCの中井りんと対戦した試合で、57.15kg契約の試合だった。
その後もクレア・フライヤー、奈部ゆかり、ランチャーナ・グリーン、アンジェラ・マガーナに勝利し4連勝をマークした村田はMMA戦績を8勝1敗としている。スティーブンソン、アンジェラ・マガーナといったUFCファイターをしっかりフィニッシュしている村田は、日本の数少ないワールドクラスの女子MMAファイターであることは間違いない。
今回は初のInvcita FC参戦。当初、2018年12月のシャロン・ジェイコブソン戦でInvicta初陣を戦う予定だったが負傷欠場。2019年4月のRIZIN緊急参戦を経て、今回、2016年のKOTC以来、3年ぶりの米国での試合に臨む。
「怪我があったりしましたが、今こうしてInvictaでファイトに臨めることに、たくさんの人たちに感謝してます!」と本誌の取材の冒頭で語った村田。
「試合で勝つ確率を上げるために、量も質もこだわってトレーニングしてきました」という村田は、これまでも米国カリフォルニアのオークランドの「コンバット・スポーツ・アカデミー(CSA)」に度々滞在。女子トップファイターたちと直に肌を合わせることで、レスリングや柔道時代同様に国際戦に何のバイアスも苦手意識もなく、白星を積み上げている。
また、今回は同地で、第2代・第4代Krush女子フライ級王者のKANAとも合流。「KANA選手と1週間、CSAでサーキットトレーニング、ドリル練習、スパーリングと一緒にトレーニングさせてもらいました。KANA選手とトレーニングする中で、こうするといいかも、と色々なアドバイスももらえました。技術もそうですが格闘技と向き合う姿にも刺激を受けました!」と、その成果を語っている。
対戦相手のリアーナ・ピロジンはMMA7勝2敗と好戦績を残すブラジリアンで、Bellatorファイターのゴイチ・ヤマウチと同じ、チーム・ヤマウチの所属選手。ブラジリアンムエタイと柔術をこなすピロジンは、オーソドックスの構えから左フック、スイッチしての左の蹴りを得意としている。また、相手のシングルレッグにバランスを崩さない体幹の強さも持ち、首相撲からのヒザ、相手の首相撲にはアウトサイドトリップで倒すなど、際の打撃や崩しに秀でている。
テイクダウンが強い村田は、いかにアプローチするか。ピロジンのオーソからの左の蹴りを見切り、左前足へのテイクダウンに入るのか、それともオロスコ戦で見せたように速い右ジャブからダブルレッグテイクダウンに入れるかどうかも、ひとつの見どころになるだろう。村田はピロジンについて「打撃が強いという印象があります」と第一に、打撃を警戒していることを挙げながらも「こだわってトレーニングしてきた」なかには、ピロジン対策も含まれており、「あとはファイトを楽しむだけです!」と気負いなく語っている。
ヤマウチ門下生らしく下からのガードもこなすピロジンだが、近年の村田は女子ファイターとしては稀有なヴァンフルーチョークでの一本勝ちや、ダース、アナコンダチョークといったがぶりからの極めにも磨きをかけている。
盤石の体制で米国での試合に臨む村田だが、カンザスシティで写真撮影のために会場入りした村田のプレートには、「KANAKO MURATE」の文字が。思わず「村田だ!」と鼻息を荒くした村田夏南子は果たして、「世界の村田」となれるか。
前日計量では、レスリング出身MMAファイターの師匠・桜庭和志ゆずりの“サクマシン”ならぬ“カナコマシン”のマスクで登場した村田は、Invicta FCデビューに向け、「ナンダコノニホンジンハ!? っていうような試合を観せられたらと思います!」と意気込みを語っている。
なお、同大会のメインはフライ級のディアン・ベネットvsカリーナ・ロドリゲスの再戦。また、計量ではアトム級でアリーシャ・ザッピテーラと対戦予定のヴィヴィアニ・ペレイラ(106.7ポンド)と、ジリアン・デコーシーと対戦予定のケリー・ディアンジェロ(108.8ポンド)が106ポンドのアトム級体重を超過。25パーセントのファイトマネーの没収となり、フェザー級でケイトリン・ヤングと対戦するフェイス・マクメイが146ポンドリミットを146.4ポンドでオーバー。こちらも25パーセントのファイトマネー没収となっている。
また、2018年8月にPANCRASEで華DATEを相手に鮮烈TKO勝利を飾ったローマ・ルックンブンミーも登場。105.5ポンド(47.85kg)で計量をクリアしている。10月にアムことスワナン・ブンソーンの腕十字で敗れたが、今回が1年半ぶりのINVICTA参戦で、ブラジルのモニーク・アゼベドと対戦する。
試合は、UFC FIGHT PASSにて日本時間の8日朝9時から全世界に配信予定だ。
試合結果
▼ストロー級 5分3R○村田夏南子(日本)[1R 2分10秒 リアネイキドチョーク]×リアナ・ピロジン(ブラジル)