ボクシング
インタビュー

亀田興毅、那須川天心は「ほんまに強い」が「果たして当たるかどうかですけれどね。そう簡単には当たらない」

2019/06/07 12:06
2019年6月22日(土)『1000万円シリーズスペシャルマッチ 那須川天心vs亀田興毅』(AbemaTV)で、亀田興毅が那須川天心とAbemaボクシングルールで対戦する。  5月18日に行われた『那須川天心にボクシングで勝ったら1000万円」で、那須川が元WBA世界スーパーフライ級王者テーパリットと2006・2007年インターハイ出場の藤崎美樹の挑戦を退けた直後、“重大発表”として両者の対戦が決定したことが告げられた。  21日には両者揃っての記者会見&調印式も行われ、藤井琢倫・AbemaTV制作局局長より「5月初旬に亀田選手がSNSでトーナメントに対する意見を述べいてた。その中で『俺が対戦すればよかったかな』とありました。我々はその夢の対戦を実現させたいとすぐに双方にオファーして快諾をいただきました」と、両者の対戦が実現に至った経緯が説明された。  亀田本人は「令和時代になって、格闘技を盛り上げていけるなら面白いなって。周りもこの戦い、格闘技の枠を超えたこの戦いに興味あるやろうし。試合までにもっと盛り上げていけたらなと」と格闘技界を盛り上げるためにやると、今回リングに上がる理由を話す。  亀田の那須川に対する評価は高い。決してナメているわけではない。しかし、プロボクシングで日本人初の世界3階級制覇を成し遂げた男は「あのカウンターをもらったら危ないとは思いますよ。ただ、果たして当たるかどうかですけれどね」と不敵に笑う。 ちゃんと頑張らなあかん、ナメとったな、と思いました ――対戦する那須川天心選手のボクシングテクニックについてお聞きしたいのですが、非常に評価が高いですね。 「正直、ボクシングのレベルは高いです。メイウェザーとの試合に関しては、あれは無理です。普通に考えて、井上尚弥選手とメイウェザーが戦ったらどうなると思いますか? ボクシング業界から見れば、階級が違いすぎるのだから実現すらしないわけです。なぜそこに上がった天心選手が、大したことなかったやんって言われるのか。あそこに上がっただけでも凄いですよ。これはほんまに、純粋に凄いと思います。怖かったと思いますよ。  だからメイウェザー戦は参考になりませんが、先日のスパーリング(5月18日・那須川天心にボクシングで勝ったら1000万円)を俺はキックボクサーだと思ってみていたわけ。ほんなら、言うてもテーパリット選手は元世界チャンピオンやし、もう一人の選手はアマチュアやけど普通にボクシングだけで互角以上にわたり合っているじゃないですか。それはレベル高いですよ。3Rまでしかやってないから、スタミナはどこまであるか分かりません。それ以上先、ボクシングの世界戦は12Rやから、そこの戦い方はまだ分からない。それは未知数ですが、あの3Rだけの戦いを見ていたらレベルは高い。だからナメていたらあかんなって感じですよ」 ――あのスパーリングを見て気が引き締まったんですね。 「ちゃんと頑張らなあかん、ナメとったな、と思いました」 ――どこにレベルの高さを特に感じたのですか? 「全体的にまとまっていますよね。足の使い方も上手いし、スピードも速いし、カウンターのタイミングも上手いしね。あと目がいい」 ――しかし、ボクシングの元世界王者とやれば、レベルの差は明らかになるのでしょうか? 「どうなんですかね。天心選手もそこそこやるんじゃないですか。それに、自分からすれば上の階級ですしね。ボクシングで言えば3階級くらいの差になるので、天心選手がメイウェザーとやったのと同じですよ」 ――亀田選手はキックボクシングの試合もよくご覧になっていますが、ボクサーとキックボクサーのパンチの違いをどう見ていますか? 「それはレベルが全然違いますけれど、最近はみんなパンチのレベルが上がっていますね。武尊選手もボクシングが上手いですよ」 ――武尊選手とはスパーリングもされていますね。 「あの時は武尊選手が手を抜いていましたよ。上手く合わせていました。あの子は賢いですからね。天心選手で言えば、ボクシングの練習もやっているでしょう。だからなかなかうまいことやっていますよ」 ――では、お世辞抜きで相当なレベルにあると評価されているわけですね。 「相当なレベルにあります。実際、ボクシング業界でもけっこう評価が高いですよ。記者会見では『しっかりやれば普通にデビュー戦で世界ランカークラスに勝って2戦目で世界タイトルマッチに行ってもおかしくないくらいのレベルにある』と本人が目の前にいたので立てて言うたったけれど、ほんまにしっかりとボクシングだけに集中してトレーニングをすれば、A級からデビューしてもいけるくらいのレベルはあります」 ――今回の試合がどのようなルールになるかはまだ分かりませんが、ヘッドギアを着けて10~12オンスのグローブを着けての試合で効かせられる技術はあるのですか? 「それはお互いにあると思いますね。スパーリングでもよう倒れたりしますよ。自分もスパーリングで倒したことがあるし、タイミングよく当たれば倒れます。ヘッドギアを着けていてもアゴは空いていますからね」 [nextpage] 自分はこの世界でプロですからね ――では、那須川選手のウィークポイントはどこでしょう? 「難しいですね。サウスポーとやった試合をまだ見ていないから。自分はサウスポーじゃないですか。そこがどうなのかな、とは思います」 ――頭の中で攻略法はすでにできているのですか? 「まあまあ、自分はこの世界でプロですからね。スタイルを見ればどう戦うかは頭の中ですぐに組み立てられますよ。ただ、それを実行できるかできないかは筋肉の衰えなどもあるから。頭ではできていても身体はついてきいへんというのは年齢的にあることだから、トシには勝てないんです。でも、カッコ悪くないところまでは仕上げますよ。自分もボクシング界を背負って出る訳だから。  ボクシング業界からも賛否両論の声があって、それでも自分はボクシングを盛り上げたい。ボクシング業界は世界チャンピオンでもアルバイトをせなあかん。そういう状況にまで来てしまって競技人口もどんどん減っている。そういうところでもっともっと活性化させていって盛り上げていって、『俺もボクシングをやりたいな』っていう声を出していかなあかんから。そのために俺は今回の企画に出る訳で。  ボクシング業界の中には『なんだ、あんな企画に出やがって』と言う人もおれば『盛り上げてくれて凄いな』って言う声もあるはず。そういう声がいっぱいあるからこそ、盛り上がるわけです。だから俺はこれからのボクシング界のために、しっかりといい形で出て、ボクシングって強いんやでってところを見せられるようにしないといけない」――その話とつながるのですが、2015年10月に一度引退して、2017年5月に1000万円企画をやり、2018年5月にはポンサクレックと引退試合を行いました。そして、またこうしてリングに上がることになったわけですが、何が亀田選手をリングに駆り立てるのでしょうか? 「1000万円シリーズは元々自分が最初にやって、大毅がやって、天心選手がやって、という流れじゃないですか。1000万円シリーズの元祖じゃないですけれど、結局、こういう形になってくるんでしょうね。それは、亀田興毅がまだ必要とされているからだと思います。時代が令和になっても。本当なら平成で終わっておけや、という話ですよ。でも格闘技界全体を盛り上げていって、格闘技って面白いなっていう風になっていったらいいかなって思うんです。自分にしかできないことがあると思うし、みんなで力を合わせて業界全体を盛り上げていければいいんじゃないですか」 ――戦うこと、それ自体が好きなわけではないんですか? 「戦いはあまり好きちゃいますよ。自分は練習も嫌いなんですから(笑)。朝、走るのなんて大嫌いやし。とにかくもう、これが決まったからにはまた練習せなあかんでしょう。どんだけ嫌か。毎日毎日、凄く憂欝ですわ。でも、やると決めたからにはやらなあかんからね。自分もプロやから、そこはきっちりと仕上げて臨みますよ」 ――那須川選手と言えばカウンターのイメージが強いですが、そのカウンターに対してはどうですか? 「どうなんですかね、あのカウンターをもらったら危ないとは思いますよ。ただ、果たして当たるかどうかですけれどね。そう簡単には当たらないです。そもそもパンチを当てるのって難しいんですよ」 ――那須川選手のディフェンス能力はどう見ていますか? 「上手いと思います。ディフェンスも仕上がっていますね。ほんまに正直言って、全体的に強いと思います。これは持ち上げているわけではなく、ほんまに強い」 ――先日の挑戦者のアマチュアボクサーが「思ったよりもパンチが軽かった」と言っていたのですが、亀田選手から見てどうですか? 「それはあのアマチュアの選手が大きいからですよ。ライト級くらいの選手からすれば、パンチが軽いって言うて当たり前。それがスーパーフライ級やバンタム級くらいで戦っていた自分からすれば、パンチが軽いわけないです。それが階級差なんです。そこをみんな分かっていないから、しっかり説明した方がいいと思いますよ。メイウェザーvs天心にしても、1Rで天心選手がKOされた、当たり前やって。むしろ1RでKOできなかったら、メイウェザーなにしとんねんって話やから。だからボクシングって、これだけ細かく階級が分けられているんです。一般の人からすれば1kgとか2kgなんて大したことないやんって分からないんです」 ――今回は亀田選手の方が軽い階級なわけですが、それでも倒せる、と? 「そこは倒しに行かないとね。倒しに行きますよ。ボクシングの厳しさを教えてあげないといけない。でも、彼は恵まれていると思いますよ。メイウェザーとやって、亀田興毅ともできるんやから。そんな選手、他にいないでしょう。素晴らしい経験ですよ。それが今後の彼のプレッシャーにならないように、周りが上手くやってあげたらいいなと思います」<関連記事>那須川天心戦へ向けて亀田興毅が公開練習「ベストコンディションに仕上げて天心君を葬り去りたい。KOを狙いますよ」那須川天心vs亀田興毅、那須川は「リスクを背負って倒しに行くしかない」、亀田は「自信がなかったらここには来ない」亀田興毅が那須川天心のボクシングを高評価「2戦目で世界タイトルマッチに行ってもおかしくないくらいのレベルにある」那須川天心、亀田興毅との対決実現に「自分がどこまで戦えるか楽しみ。ワクワクするんじゃないですか」亀田興毅vs那須川天心が決定、6月22日に拳を交える。那須川はヘッドギア無し、8オンスグローブを希望【RIZIN】那須川天心がKO勝ちで世界三冠制覇、ドロップキックも飛び出した
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