6月6日(木・現地時間)、米国ニューヨーク州ロングアイランドのナッソー・ベテランズ・メモリアル・コロシアムで「PFL3 | 2019」が開催された。
ヘビー級では石井慧が参戦。当初、前年王者のフィリッピ・リンスと対戦予定だった石井だが、リンスが試合をキャンセル。石井はMMA3勝1敗のジク・トゥイネイワイリー(米国)と対戦した。
前日計量では、レイ・セフォーの立ち会いのもと、クロアチア国旗を背にチーム・クロコップのTシャツで計量に臨んだ石井は240ポンド(108.9kg)でクリア。対するトゥイネイワイリーはアメリカンフットボール出身の巨漢。計量は259ポンド(約117.5kg)でクリアした。
試合は、序盤は石井より一回り大きなトゥイネイワイリーが石井のテイクダウンから立ち上がり、右フック、右ミドルをヒット。
しかしサウスポー構えの石井はミルコ直伝の左ミドル、さらに左オーバーハンドフックを効かせ、クリンチボクシングで1R後半にトゥイネイワイリーに鼻血を出させると、2、3Rには大外刈、大内刈と足技でテイクダウン。トゥイネイワイリーの背中をマットに着かせて削ると、バックコントロール。
判定は2-1スプリットも、得意の組み技のみならず、左のフックさらに左の蹴りも武器とした石井がPFL初陣を勝利で飾った。
大晦日に決勝戦が開催される年間を通じた同大会で、石井はPFL3から参戦。各階級の王者は100万ドルを獲得する。ESPN+で配信されるPFLはUFCとの関係も強く、同団体で活躍した選手はUFCとの契約に近づくともいわれている。
なお、ライトヘビー級では、かつて日本のリングス、PRIDE等で活躍したヴォルク・アターエフ(ロシア)が参戦。2018年6月にTKO負けしている米国のダン・スポーンとの再戦に臨み、1Rに右フックを効かせると、左フックでダウン奪取。続くパウンドでTKO勝利を挙げ、MMA戦績を21勝3敗としている。◆PFL3 | 2019
▼ヘビー級 5分3R○石井 慧(日本/クロアチア)[判定2-1]※29-28×2,28-29×ジク・トゥイネイワイリー(米国)
1R、サウスポー構えの石井に、オーソドックス構えのトゥイネイワイリーは大きさが際立つ。
左の前手でジャブを突くトゥイネイワイリー。さらにワンツーもそこに左のインローは石井! トゥイネイワイリーの左前足にシングルレッグは石井、尻を着かせるが立つトゥイネイワイリーは金網に押し込み突き放す。長い右を打ち込むトゥイネイワイリー! 石井も左のオーバーハンドから組み付き、シングルレッグテイクダウン! 立ち上がり際をバックにつくが、立つトゥイネイワイリーは正対し、突き放す。
アメリカンフットボール出身のトゥイネイワイリーは力強く大きい。石井はダブルレッグからシングルレッグで押し込むも首相撲から右フックはトゥイネイワイリー! さらに右ミドルをヒット。石井は左ストレートも凌がれる。さらに右ローはトゥイネイワイリー。左右で押し込むと右で差し上げる。左をオーバーフックする石井は金網背に。トゥイネイワイリーのシングルレッグは切るがその後の右ミドルは被弾する。
しかし左を当てた石井が前へ! 金網に押し込んだ石井のクリンチボクシングにトゥイネイワイリーが鼻血を出す。石井はここで攻めたいがゴング。
2R、いきなり左ミドルを効かせた石井! トゥイネイワイリーが身体をくの字に曲げる。さらに石井はダブルレッグへ。そのまま金網まで押し込むもトゥイネイワイリーも押し返す。左ボディストレートは石井。さらに左ストレート! トゥイネイワイリーは右で前進。しかし石井は左ミドルを当ててさばいて体を入れ替える。
ダブルレッグでヒザを着いてしまった石井だが、がぶられることなく立つとトゥイネイワイリーは金網に押し込みクリンチボクシングへ。離れる石井は左で差して大外刈狙い。そこは耐えるトゥイネイワイリーに石井はさらに押し込み右ヒザ蹴り! しかし2発目はローブローになる。鼻血を出しながら休むトゥイネイワイリー。再開。
左ミドルを当てる石井! 右のトリプルで前進するトゥイネイワイリーをバックステップでかわし、左フック! トゥイネイワイリーはスタミナを削られたか、足が出なくなる。さらに左フック、左ミドルヒットは石井。トゥイネイワイリーの右の入りに左を合わせに行く。
3R、グローブタッチ。石井は先に左フック! さらにミルコばりの左ミドルを当てていく。トゥイネイワイリーが押し返すとダブルレッグで金網までドライブ。トゥイネイワイリーは突き放すが、左で差した石井は大外刈で崩してついにテイクダウン! ハーフガードから背中を着けたトゥイネイワイリーに左で差して右でパウンド。肩パンチも入れ、亀になるトゥイネイワイリーのバックに。立つトゥイネイワイリーを小外でさらにテイクダウン! バックコントロールからキムラを狙うトゥイネイワイリーも潰して背後からヒザ。残り19秒で正対したトゥイネイワイリー。石井は左で差しての投げは汗で滑ったものの、すぐにヒザ蹴り。さらに右脇を潜りバック狙い。頭を抱えこむトゥイネイワイリーに大内刈でテイクダウン! 中腰から抑え込んで石井が上のままゴング。
判定は2-1(29-28×2,28-29)で石井が勝利。序盤にトゥイネイワイリーの圧力に手を焼いたものの、ミルコ譲りの左の攻撃を当て、柔道の足技をミックスしたケージレスリングでテイクダウンも奪った石井がスプリット判定で勝利。解説が「スプリットデシジョンには驚いた」と語るなか、石井はミルコ・クロコップとともに練習拠点とするクロアチアの国旗を掲げ、交際中の柔術家クリスティン・ミケルソンらとともに写真に収まった。
▼ライトヘビー級 5分3R○エミリアーノ・ソルディ(アルゼンチン)[2R 2分45秒 TKO]×ヴィニー・マガリャエス(ブラジル)
1R、ともにオーソドックス構えから左ジャブを効かせて金網に詰め右ストレート、左ボディを効かせるソルディ。
金網背にするマガリャエスは右フックを返すと右ミドルの連打で反撃。さらに右のスーパーマンパンチで押し返すが、ソルディも跳びヒザの二段蹴り。ソルディが打撃で攻勢に立つ。
2R、ジャブ&右ストレートを効かせるソルディ。嫌うマガリャエスはダブルレッグも切るソルディ。ソルディの右にダウン気味にガードを取るマガリャエス。パウンドを浴び立ち上がるもさらに金網に詰めるソルディが右アッパー、左右のコンビネーションに金網に釘付けになるマガリャエスは連打を浴び、レフェリーが間に入った。
恐るべき強さを見せつけたソルディはMMA18勝8敗に。5ポイントでライトヘビー級リーグ戦の2位につけた。2018年10月の前戦でソルディはヴォルク・アターエフに1R TKO負けを喫しており、ライトヘビー級は勝ち点「6」のアターエフがトップに立っている。
▼ヘビー級 5分3R○ケルヴィン・ティラー(米国)[1R 3分22秒 キムラロック]×モー・デリース(米国)
▼ヘビー級 5分3R○ジャレッド・ロショルト(米国)[1R 2分03秒 TKO]×デニス・ゴルソフ(ロシア)
UFCでステファン・シュトルーフ、ティモシー・ジョンソンらに勝利し、ロイ・ネルソンに判定負けているロシュルト。対するゴルソフは22勝5敗。M-1、ACB等で活躍している。
1R、ともにオーソドックス構え。長身のロショルトは、ゴルソフの大きな右のオーバーハンドフックに左ジャブを合わせてダウンを奪い、KO勝利。
TUF18後、UFCでも5勝2敗と大きく勝ち越しているロショルトは、これでMMA18勝6敗。ポイント「6」でランク1位となった。
▼ヘビー級 5分3R○アリ・イサエフ(ロシア)[判定3-0]※30-27×3×ヴァルドリン・イストレフィ(スイス)
▼ライトヘビー級 5分3R○ヴィクトー・ネムコフ(ロシア)[判定3-0]※29-28×3×ラキム・クリーブランド(米国)
▼ライトヘビー級 5分3R○ホニー・マルケス(ブラジル)[2R 3分44秒 TKO]×シジ・パサレイラ(ニユージーランド)※マルケスは体重超過
▼ライトヘビー級 5分3R○ラシッド・ユサポフ(ロシア)[判定3-0]×ミハイル・モクナトキン(ロシア)
▼ヘビー級 5分3R○フランシマウ・バローソ(ブラジル)[判定2-1]×アレックス・ニコルソン(米国)
▼ライトヘビー級 5分3R○マキシム・グリシン(ロシア)[判定3-0]×ジョーダン・ジョンソン(米国)
▼ヘビー級 5分3R○アンテ・デリア(クロアチア)[判定3-0]×カール・セウマヌタファ(西サモア)
▼ライトヘビー級 5分3R○ヴォルク・アターエフ(ロシア)[1R 3分25秒 TKO]※左フック→パウンド×ダン・スポーン(米国)