MMA
ニュース

【RIZIN】高阪剛が引退試合、極真空手世界王者の上田幹雄に「谷に叩き落して、そこから這い上がって来る。そういう試練を与えたい」

2022/03/23 16:03
 RIZINが23日、武蔵野の森総合スポーツプラザで2日連続開催される『RIZIN TRIGGER 3rd』(4月16日)および『RIZIN.35』(4月17日)の追加カード発表会見を行った。  2日目の17日(日)にリングで行われる『RIZIN.35』では、ヘビー級(120kg契約)で、極真会館・2019年世界大会優勝の上田幹雄(BRAVE)がMMAデビュー。2年4カ月ぶりの試合となる高阪剛(ALLIANCE)と対戦する。  上田は高校時代から頭角を表し、2013年第30回全日本ウェイト制空手道選手権大会軽重量級優勝、2015年第11回全世界空手道選手権大会第6位、2018年第50回全日本空手道選手権大会優勝などの実績を収め、2019年11月に開催された「第12回オープントーナメント全世界空手道選手権大会」で24歳にして優勝。2003年に開催された第8回大会以来、実に16年ぶりに空手母国である日本に世界王座を奪還。2021年4月には極真最大の荒行・百人組手にも挑戦した(60人でドクターストップ)。  その後、2021年8月31日をもって退会したことを極真会館が発表。9月5日には幕張ベイパークアリーナにて開催された『GRACHAN 50』でMMA転向を正式表明していた。身長186cm、体重104kg。26歳。  高阪は中学から社会人まで柔道を経験し、1994年8月にリングスでプロデビュー。1998年にUFC初出場を果たすと日本人初のUFC定期参戦を実現し、“世界のTK”として一躍有名に。リングス時代にはエメリヤーエンコ・ヒ ョードルにTKO勝ちを収めるなど数々の強豪と対戦。2006年5月のPRIDE無差別級GP1回戦でマーク・ハントに負けを喫し現役を引退したが、2015年RIZINのリングで現役復帰。ジェームス・トンプソンに文句なしのTKO勝利を収めたが、その後はバルト、ミルコ・クロコップ、サシャ・ミリンコヴィッチに3連敗を喫して2020年1月以降はリングから離れていた。52歳。  会見に出席した高阪は「ご無沙汰しております。自分は2015年12月29日のRIZIN旗揚げ戦の第一試合でやらせていただいて、そこから実況席で見ることもあれば画面で見ることも、座席で見ることもあったこのRIZINという舞台がどんどん成長していく様だったりとか、その中でいろいろなドラマが生まれたり、たくさんの素晴らしい選手、そしてこのコロナ禍にあって日本人選手の台頭というものを自分は目にしてきました。その中でファイターとしての血というか、心の収めどころが自分の中でどうしても納得ができないということがひとつありまして。最後に1試合、このRIZINの舞台で大暴れして、その後はこれからの選手たちだったりとか、RIZINという舞台の支えになれるようなことがもしできれば、素晴らしいことだなって思うようになりました。なので今回の試合で自分は最後の試合とさせていただきます」と、この試合を持って現役を引退すると発表。  続けて「いわゆる引退試合というものなんですけれども、だからと言って上田選手という素晴らしい若い選手に道を明け渡すようなことはしたいとは思っていないです。最後にしっかり谷に叩き落して、そこから這い上がって来る。そういう試練を与えたいと思っています」と、これがデビュー戦となる上田に試練を与えたいと言い放った。  高阪は引退について昨年の10月頃から考え始めたと言い、「勘違いされて欲しくないんですが、2006年は引退したくて引退したわけではなく、本当はトーナメントで優勝して引退するつもりだったんです。だから1回戦で敗れてしまったので、敗れたらその時点で自分はもう退きますということで。それで引退の形をとったんですけれども。2015年の時に改めてこうやって試合をさせてもらえることになって。その時は自分にとってはもう1回というよりは、その間もずっと現役選手のつもりで練習もトレーニングも続けていました。RIZINの皆さんの方にお話しをさせていただている中で、今回お話をいただいてという運びになった経緯です」と、今回が自分の意志で決めた本当の引退だと説明。  その最後の相手となる上田は「RIZINファンの皆さま、初めまして。去年の9月からMMAに転向して、そして今回RIZINという素晴らしい舞台で初戦を迎えることになりました。去年まで極真空手をやっていて、そこで培ってきた精神力で何も臆することなく戦っていきたいと思います。対戦相手の高阪選手ですが、日本総合格闘技界の歴史を作ってきたレジェンドですので、しっかり胸を借りるつもりで戦って絶対に勝ちたいと思います。押忍」と挨拶。  高阪の印象を聞かれると「日本総合格闘技界のレジェンドですので、初戦をやる自分が言うのも何ですけれど何でもできる印象です。ただ、立ち技とスピードは自分が優っていると思うのでそこでどう勝てるかってことですね。突きか蹴りでフィニッシュ出来たらなと思っています」と、自信をのぞかせるコメント。  それを聞いて高阪は「あまり褒められるとド突きづらくなるのであまり褒めないでもらいたい(笑)。自分は全部が出来るタイプではなくて、人に説明してあげたりとか教えてあげる時はものすごく頭が働くんですが、いざ自分の試合になったらやることが凄くシンプルになってしまうんですよ。自分は前に出て行って殴りに行って倒すか倒されるかって試合しかできないので、シンプルな試合になると思います。多分効かされてフラフラになりながら殴りに行って勝ってるとか、そんなところですかね」と、上田を相手に真正面からの殴り合いになるだろうと予想した。  また、高阪はライトヘビー級が本来の適正階級だと言っていたが、「いま現在で98kgくらいです。これはもうしょうがないって部分があり、自分はそもそもヘビー級でずっと試合をやっていましたけれど、3桁をキープするのが物凄く大変だったんですよ。毎日毎日鶏肉ばかり喰って。1日2kgとか喰わないと体重が維持できないっていうのをずっと繰り返しやってきて。その生活を辞めた時に体重が下がり始めたというのはあった。でも、やっぱりしっくり来ないというか。普段から朝目覚めても身体が軽いし、違うなこれっていうのがあって。そこからもう1回、俺はヘビー級じゃないとダメだなって。なおかつ自分より重い相手と試合をするのが当たり前だったので。これは柔道時代からそうなんですけれども、自分より軽い相手と試合をしたことがないので。軽い相手とか自分と同じ体重の相手との試合のやり方が分からないっていうのが正直なところで。だからやっぱり俺はヘビー級だ、生涯ヘビー級で通そうと思って元に戻す努力をしてきました。それで今に至ります。やっぱりヘビー級がいいです」と、ここまでヘビー級でやってきたのだから最後もヘビー級で終わりたいとする。  上田は改めてMMA転向の理由を聞かれて「MMAに行こうというよりは、自分自身がやってきた空手を広めたいと思って決断しました。そう考えたのは世界大会の1年前の全日本大会で初めて優勝させていただいて、そのトップとなった時に自分がどれだけ空手を広められるかと考え始めました。その次の年の世界大会で優勝して、自分自身の現役という立場でどうすれば空手の素晴らしさを伝えられるかなと思った時に、今このRIZINという最高の舞台が皆さんに一番見ていただける格闘技の団体だと思うので、そこで戦わせていただけることが自分がいま出来ることではないかと思いました」と説明。  空手の技がどれほどMMAに適応できるか。上田は「ムエタイとかみたいな蹴りとは自分は違うので、そこまで違和感なく使えているなと。試合で完璧に使えるかはまだ分かりませんが、練習の中で言えば使えていると今の時点では思っています」と、手応えはつかんでいるという。  その上田との引退試合となった高阪。最後に、これからのMMAを担っていくであろう上田に何を伝えたいかと聞かれると「それは試合が終わってから、上田選手が何を感じたかということではないかと思います。そういうような形で試合ができればいいなと思います」と、何かを伝えられたら、と語った。
全文を読む

MAGAZINE

ゴング格闘技 NO.331
2024年3月22日発売
UFC参戦に向け、ラスベガス合宿の朝倉海。「プロフェッショナル・ファイターの育て方」でチームを特集。『RIZIN.46』鈴木千裕×金原正徳インタビュー、復活K-1 WGP、PFL特集も
ブラジリアン柔術&総合格闘技専門店 ブルテリアブラジリアン柔術&総合格闘技専門店 ブルテリア

関連するイベント