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【GLORY】バダ・ハリのダウン後に暴動、メインイベントがキャンセルに。GLORYとバダ・ハリが声明を発表

2022/03/22 23:03
【GLORY】バダ・ハリのダウン後に暴動、メインイベントがキャンセルに。GLORYとバダ・ハリが声明を発表

写真は、2021年9月の前戦で倒し・倒されの激闘を繰り広げたバダ・ハリとウルソーセック(C)GLORY

 2022年3月19日(日本時間20日)にベルギー・ハッセルトで開催された『GLORY 80』で観客が暴動を起こし、メインイベントがキャンセルとなり、GLORYとバダ・ハリ(オランダ)が事件を非難する声明を発表した。

 この日のアンダーカードでは、GLORY女子スーパーバンタム級(-55.0kg)王座戦で、王者・ティファニー・ヴァン・スースト(米国)に、日本の小林愛三(NEXT LEVEL渋谷)が挑戦するなど、世界各国から選手が参戦した。

 そのメインカードでは、ヘビー級で、元K-1世界王者で同級8位のバダ・ハリ(オランダ)と、同級3位のアーカディウス・ウルソーセック(ポーランド)が対戦すべくリングに上がった。

 不穏な空気は前日計量から流れていた。本計量をパスしたメインイベントの両者だが、計量&フェイスオフの式典には現れず。ウルソーセックはSNSで「今日の写真は1枚だけ。ステアダウン(フェイスオフ)は無かったけど(なぜかは聞かないで、知らないから)、気にしない。戦争の準備はできている」と記していた。

 ウルソーセックと対戦するバダ・ハリにとって、今回は引退を賭けた雪辱戦だった。2021年9月の『GLORY 78』では、1Rにバダ・ハリがボディ打ちで2度のダウンを奪うなど攻勢に立ったが、2Rにウルソーセックの左ハイキックを浴び、失神KO負け。“GLORY史上最大の逆転KO劇”と呼ばれる因縁の1戦となっていた。

「かつての栄光を取り戻す」と事前動画で意気込むバダ・ハリは、前戦同様に1Rを支配したが、2Rにカウンターの跳びヒザ蹴りでダウン。立ち上がったものの、最終3Rは厳しい展開が予想されていた。

 しかし、ここで興奮した会場の観客同士で乱闘が起こり、リングサイドで椅子やビン類が飛び交う異常事態で試合続行不可能となりノーコンテストに。続くメインで行われる予定だったヘビー級のジャマル・ベン・サディクvs.リーバイ・リグターズも中止となっている。

 大会中止を決定したGLORYは20日、「格闘技とはリングの内外で敬意を払い、公正な競争を行うスポーツです」と、今回の暴動を非難する声明を発表。

「2022年3月19日、ハセルト - GLORYは、GLORY80が危険な行為を行う人々によって中断されたことを深く遺憾に思っています。私たちは、トップスポーツの夜を楽しむために私たちのイベントに来ている他のファンを危険にさらす行為を容認したり、受け入れたりすることは決してありません。ハッセルト市警の要請により、ハリ─ウルソーセック戦の2ラウンド終了後にイベントを中止しました。この試合とベン・サディック─リグターズ戦を最後までご覧いただけなかったファンの皆様にはお詫び申し上げます。また、一生懸命練習していたのに試合に出られなかった選手の皆さん。格闘技とは、リングの内外で敬意を払い、公正な競争を行うスポーツです」

 さらに21日にも声明を発表し、「参加者全員が無事であった」ことを報告したうえで、暴徒たちの行為を「このスポーツのイメージを損なおうとした。このような行為は、私たちのスポーツやイベントにおいて、決して許されることではない」と非難している。

「過去10年間、GLORYは世界中の何十もの都市や国々で、安全でワールドクラスのイベントを成功裏に開催してきました。ベルギーのハッセルトにあるトリクソアリーナで行われた『GLORY 80』のイベントの準備と期間中、GLORYは地元当局と協力し、現場の安全対策と手順を確保するために必要なすべての手段を講じました。

 残念ながら、その夜は悪意を持った集団がイベントに参加しました。彼らはイベント中、安全でない行動を示しました。観客の安全を第一に考え、地元当局の要請により、GLORYはイベントを中止しました。GLORYのイベントにおいてこのような事態が発生したのは初めてですが、現在判明している限りでは、参加者全員が無事であり、大きな怪我もなかったことを報告させていただきます。GLORYはこれまでも、そしてこれからも、参加者・来場者の安全を第一に考えています。

 このような無責任な行動により、選手、視聴者、7000人のファン、そしてGLORYのスタッフやパートナーなど、特別な夜の一部となるはずだった完売のトリクソアリーナ、全ての人の夜を台無しにしてしまったことを深く悲しんでいます。これらの人々は、私たち、そして世界中の何百万人ものファンが愛し、気にかけているスポーツのイメージを損なおうとしたのです。このような行為は、私たちのスポーツやイベントにおいて、決して許されることではありません」

 一方、バダ・ハリも20日にSNSで「小さなフーリガンのグループがこの夜を台無しにした」と声明を発表。「私の対戦相手が、彼のファンの態度がどれほど危険なものであるかを理解していなかったことを後悔している」と記している。

「GLORY 80の開催に向けて、そして開催期間中、GLORYの素晴らしい運営に感謝の意を表したいと思います。私とバダ軍は昨日から、そして私のキャリアが始まった時から、トップスポーツの素晴らしい夜と素晴らしい試合を楽しみにしていた。素晴らしい3ラウンドを提供したかった。昨日は強い気持ちで臨み、十分な準備をして、この試合に勝つ準備ができていました。

 残念なことに、小さなフーリガンのグループがこの夜を台無しにしたため、試合はキャンセルされました。このような行為はスポーツやGLORYの価値観とは全く関係ありません。私はこのようなことを経験したことがありませんし、私たちはこのようなことに対して立ち上がるべきです。私の対戦相手が、彼のファンの態度がどれほど危険なものであるかを理解していなかったことを後悔しています。

 私はGLORYがこれからも世界中の格闘技ファンに最高のイベントを提供し続けることを信じています。仕事は続く……すぐに戻ってくるよ。私のバダ軍へ、愛しています」

 SNS上の動画では、上半身裸の屈強な男たちがリングに向かって椅子を放り投げる姿が映し出されており、現地報道では、乱闘はポーランドのフーリガンがベルギーとモロッコの応援団に発煙筒を投げたことから始まったとしているが、モロッコ系オランダ人のバダ・ハリのダウンは、どう影響したか。いずれにしても、これらの行為によって再戦の決着はつかず、多くのファンが失望したことは間違いない。

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