復帰戦を勝利で飾った日菜太。6月に中島との再戦、次に海人との再戦を制して世界トップに挑みたいとの目標を語った
2022年3月12日(土)東京・後楽園ホールで開催された『KNOCK OUT vol.2』の一夜明け会見が、13日(日)都内にて行われた。
第6試合のKNOCK OUT-BLACK -72.0kg契約3分3R延長1Rで、元カンボジア・ウェルター級王者サッシス(カンボジア)を2R1分43秒、左ボディストレートでKOした日菜太(クロスポイント吉祥寺)が出席。前夜の試合を振り返った。
「1年1カ月ぶりのリングに上がって、リングに入る時にふわふわしている感じがして久しぶりの感覚が凄かったんですが、無事自分がやりたい最低限やろうとしていることは実行できて、自分が伸びている部分と失っている部分を感じた試合でした。いい時より失っている部分と、いま伸びている部分をプラスにして過去最高の自分で今年1年やりきって、自分がやりたい相手と最後にやって、キックボクシングは2度と戦いたくないなって思えるようにやっていきたいと思っています」
試合の満足度はどれくらいかと問われると「満足度としては凄く低いです。秒殺を狙っていた部分もあったのでそれが出来なかったのもあって。でも途中から切り替えて全部効かせてみようかなと思って。顏、腹、脚、どこでも倒せるようにしたいと思って組み立てていって最後にボディが当たって、立って欲しかったな、もうちょっと練習したかったというのがちょっとありました。でも自分がリングに上がって自分が動きたい理想にはまだ全然だったので、次は71kgとかでどんどん刻んでいって徐々に70kgの理想を目指していきたいと思います」と、まだまだこれからだとする。
1年かけて作り直していくことになりそうか。日菜太は「そうしないと世界のレベルの選手とやれんのかと言ったら、全然やれないと思うので。ONEに出ている外国人選手たちのトーナメントを見たらめちゃくちゃ強いので、70kgで言ったら間違いなくあの舞台が最強。あの舞台の選手たちとやりたいというのが最後の目標なので。トーナメントに出た8人の中で自分とやっているメンバーが3人いるのを見て、ペトロシアンがKOで負けて、凄い舞台だなと思って。最後の最後にあのバケモノがいる中に乗り込んでいきたい気持ちがありますね。KNOCK OUT…僕の中ではREBELS(現在はKNOCK OUTと統合。日菜太はREBELSの王者だった)なんですけれど、REBELSの舞台に恩返しをして、もう1回日本でやっぱり日菜太が行くべきじゃないかなということを証明してから、そこに挑戦することに意味があると思う。魅力的だから行きたいというわけではなく、皆さんが快く送り出してくれるいい道を作って、KNOCK OUTを世界に知ってもらえるような形を作っていきたいと思っています」と、誰もが日本代表にふさわしいと思われる自分を作って最後の戦いに臨みたいとした。
1年1カ月ぶりのリングに上がった時は「僕はビビりなので、リングに上がる前はやりたくないな、帰りたいなっていつも思っているんですけれど。今回もリングに上がる前、セコンドに帰りたいなと言っていたんですが『まだそんなに緊張してるのか』みたいな。でも、リングに上がって思いましたね。帰ってきちゃったんだなって(笑)。勝ったら勝ったで凄く自分の想いも入れて気持ちいい場所だし、負けたら負けたで本当に悔しい場所なので。僕にとっては72戦やっているうちの20回もそういう悔しい想いをしている場所なので、残り全部勝って悔いなくやりきりたいなって想いが凄くあります」と、感慨よりも試合が怖いとの気持ちが先立ったと苦笑した。
6月26日(日)には東京・国立代々木競技場第二体育館で新生KNOCK OUT初のビッグマッチ開催が決定している。日菜太は試合後のマイクアピールで「出る」と断言した。そこでどのような相手とやりたいかと聞かれると、次のように答えた。
「今の舞台でやるなら11年前に負けている中島君ともう1回やるのが面白いカードかなと思います。僕はその時に(山本)優弥さんとやって消耗して(中島に)負けたっていうのが凄いあるので、今やってもK-1 WORLD MAXを見ていた人にも面白い試合になると思います」と、2010年3月27日に行われた『K-1 WORLD MAX 2010 ~-70kg Japan Tournament~』の準決勝で、1Rわずか58秒でKO負けを喫した中島弘貴(LARA TOKYO)との12年ぶりの再戦が面白いのではと提案。中島は2021年5月にKNOCK OUT初参戦を果たすと初回KO勝ち、10月大会では平塚洋二郎にも勝利を収め、今年1月大会では曽根修平に初回KO勝ちと3連勝をマークしている。
(写真)2010年3月のK-1 WORLD MAX 70kg日本トーナメント準決勝で中島(右)にKO負けを喫した日菜太
「あと今回192人が僕からチケットを買ってくれて、コロナの影響もあってキャンセルもあったんですが、6月には落ち着いてくれたら僕の試合を見に来たいって人が凄くいっぱいいると思うので、いっぱいチケットを売りたいですね。たくさんの人に見てもらって。チケットを売る(選手が手売りする)ことが僕は悪いことだとは一切思っていないので、売った分は自分に返って来るというメリットもあると若い選手にも教えていきたいなと思っています」と、券売も頑張りたいとした。
宮田充KNOCK OUTプロデューサーは「6月はまだ僕の中では白紙の状態で。段々と色がついていくというか、白紙の上にファイターが上がってきたり、テーマが上がってきたりというところなので。中島君との勝負はさいたまのコミュニティアリーナで僕もリングアナで参加させてもらっていて記憶しています。ファイナルの日菜太選手vs海外の強豪は、お腹いっぱいキックボクシングを味わって勝負してリングを降りたいというのも頭に入れながらやっていきたい。それをどうやって実現させようか。まずは6月、中島君が4月のカードが決まっているので、相手のことも調整になりますが非常にいいんじゃないですかね。それは見たいですね」と、実現へかなり前向きな見解を示している。
また、日菜太のいう“日本代表”になるには、2021年2月、REBELS最終興行でのREBELS-BLACKスーパーウェルター級タイトルマッチで敗れた海人(TEAM F.O.D)へのリベンジが必須となるだろう。日菜太は「ぜひもう1回やってみたい選手の一人です。本当にいろいろなものが重なって、気持ち的な部分もあの時とは違う部分があって。数ある多くの中の試合だったんですけれど、今は肚が決まって違う覚悟で臨んでいるので、また違う結果になるとは思っています」と、リベンジ戦を望みたいという。
試合後のマイクでは「休んでいる間にがらにもなく普通の仕事でバイトをやった時に、年下に『30過ぎて社会人やってないヤツはクソだ』と言われて」とのエピソードを話した日菜太。何があったのかと聞かれると、「引退した後の人生で格闘技だけを教えるのは不安になったので、サポートしてもらっていた会社でストレッチの勉強を2カ月くらいして。その時に一回り年下の女性に、僕のことで『30過ぎて定職についてないやつはクソだ』と言われた時に、心の中でこの野郎って、クソって思って(笑)。金メダリストだったりK-1の世界王者だったらそんなこと面と向かって言えるのかって心の中で思ったんですよ。その時に、俺まだ戦う気があるんだなって思って。今となっては日常を経験してみたくてしてみて、まだやりたい気持ちがあるって確認できたので凄く感謝しています(笑)」と、復帰を決意するきっかけになったと笑った。
そして「宮田さんは辞める・辞める詐欺で3年くらいやるって言ってますけれど、僕は本当にこの1年で何とか自分のやりたいところまでたどり着いて辞めたいと思っています。6月はコロナが落ち着いてくると思うので、過去最高の500人くらいが来てくれるようないい試合をするのでぜひ僕からチケットを購入して応援に来てください」とアピールした。