2022年2月19日(日本時間20日)、米国ネバダ州ラスベガスのUFC APEXにて「UFC Fight Night: Walker vs. Hill」が開催された。
試合の模様は、日本時間2月20日(日)朝6時にスタート予定のプレリムがUFC公式サイトおよびYouTube公式チャンネルでライブ配信されるほか、UFC FIGHT PASSではプレリムを含め、9時開始予定のメインカードもライブ配信された。
UFC Fight Night: Walker vs. Hill
2022年2月19日(日本時間20日)米国ネバダ州ラスベガス /UFC APEX
【メインイベント】
▼ライトヘビー級 5分5R〇ジャマール・ヒル(米国)10勝1敗(UFC4勝1敗)205lbs/92.99kg[1R 2分55秒 KO] ※右フック→パウンド×ジョニー・ウォーカー(ブラジル)18勝7敗(UFC4勝4敗)206lbs/93.44kg
前日計量では、メインイベントのライトヘビー級10位のジョニー・ウォーカー(ブラジル)が206ポンド(93.44kg)、12位のジャマール・ヒル(米国)が205ポンド(92.99kg)でともにパス。
1R、オーソドックス構えのウォーカーに、サウスポー構えのヒル。ウォーカーは右の前蹴りから。さらに右ハイも。ブロックするヒルに回転してのバックフィストを見せるウォーカー。詰めるヒルに右ハイを見せるウォーカー。ヒルの左ストレートの圧力に組んで左を差すウォーカー。突き放すヒル。
スタンドで圧力をかけるのはヒル。右ジャブで前に。ウォーカーは右ハイで押し返すが、右ハイを返すヒルは、オーソドックス構えにスイッチし、ウォーカーの左から右に、カウンターの右フック!
足が揃い、伸びあがって巨体が後方に崩れたウォーカーに、ヒルは強烈な右のパウンド1発! アゴを打ち抜かれたウォーカーは意識が飛び、レフェリーがすぐに間に入った。
“スイートドリームズ”ヒルは、試合後、落ち着いた口調で「最高だよ。本気で臨んだ。次はどうなるかな。これが俺の実力。前に出ること、攻めることを心がけていた。サウスポーで追いかけるのが困難だったからオーソにスイッチしていいタイミングでパンチした。チャンスがあればタイトルにも挑戦したい。もっとメインイベントをやらせてくれ」と語った。
[nextpage]
【コ・メインイベント】
▼195ポンド契約 5分3R〇カイル・ドーカス(米国)11勝2敗(UFC2勝2敗)193.5lbs/87.77kg[1R 4分59秒 ダースチョーク]×ジェイミー・ピケット(米国)13勝7敗(UFC2勝3敗)194lbs/88.00kg
コ・メインでは、195ポンド契約戦で、カイル・ドーカス(米国)が193.5ポンド(87.77kg)でパス、2連勝中のジェイミー・ピケット(米国)が194ポンド(88.00kg)でパス。
1R、ともにサウスポー構え。左ローから入るドーカスは詰めてシングルレッグで引き出すが、片足立ちのピケット。尻下で組むドーカスは、リフトしテイクダウン! 首を抱えるピケットにヴォンフルーチョーク狙いも。
腕を外したピケット。足を手繰り上体を立てると、ドーカスは首をがぶり。しかしここで首を抜き立ったピケットが体を入れ替え押し込む。すぐに入れ替え直したドーカスは尻下でクラッチし、ダブルレッグテイクダウン! しかしピケットもすぐに金網使い立つ。そこを追いかけるドーカス。ピケットの打ち返しにカウンターのダブルレッグテイクダウン! 潜りに来たピケットにダースチョークで絞り、右足も両足で挟んで逃がさず、残り1秒でタップを奪った。
[nextpage]
【メインカード】
▼ヘビー級 5分3R〇パーカー・ポーター(米国)12勝6敗(UFC3勝1敗)263lbs/119.30kg[判定3-0] ※29-28, 29-28, 29-28×アラン・ボドウ(フランス)8勝3敗1NC(UFC0勝2敗1NC)256lbs/116.12kg
また、今大会には日本でMMAを始めた2選手が登場。
メインカードに登場するアラン・ボドウ(フランス/8勝2敗・UFC0勝1敗)は元HEATヘビー級&ライトヘビー級王者。PRIDEを見て育ったボドウは、仕事の関係で来日。マッハ道場でMMAを学び、2013年の「GRACHAN 10」で1R KO勝ちでデビューしている。
巌流島では押し出しで敗れたものの、以降、GRANDSLAM、HEAT、Angel's Fighting等で5連勝。2018年5月の「マッハ祭り」後、カナダTKOで勝利を経て、思わぬ形でUFC参戦の機会を得た。
オクタゴンでの初戦は、シリル・ガーヌのコーナーマンとして訪れたアブダビで欠場選手の代役として緊急出場したもの。そのときはトム・アスピナルに1R TKO負け。2021年7月の前戦では、ホドリゴ・ナシメントにTKO負けも、ナシメントがドーピングチェックで陽性となり、ノーコンテストに変更されている。
対するパーカー・ポーター(米国)は11勝6敗で、UFC2勝1敗(ドーカスにTKO負け、パリシアン、シャーマンに判定勝ち)と勝ち越しており、崖っぷちのボドウにとっては、MMAが合法化されたフランスで、盟友ガーヌとともにUFC開催を実現させるためにも負けられない1戦となる。
1Rはボドウが足を使って打撃を入れるが、ポーターが金網押し込み、最後にテイクダウン。2Rにポーターのテイクダウンを潰して上になったボドウだが抑え込めず。スタンドでの手数が減る。
3R、ポーターの入りに打撃を当てるボドウ。しかしポーターはボディロックテイクダウン。マウントも許しパウンドで下のままブザー。判定は29-28×3でポーターが接戦を制した。
[nextpage]
▼ライト級 5分3R〇ジム・ミラー(米国)34勝16敗1NC(UFC23勝15敗1NC)156lbs/70.76kg[2R 1分58秒 TKO]×ニコラス・モッタ(ブラジル)12勝3敗(UFC0勝1敗)154.5lbs/70.08kg
メインカードの第2試合にベテラン、ジム・ミラー(米国)が出場。2005年のプロデビュー後、2008年10月にUFC入りし、UFC史上最多となる39戦目(UFC22勝15敗1NC)となる。
MMA33勝16敗で、2016年7月には五味隆典を1R TKOに降したことでも知られる。2021年も2試合を戦い1勝1敗。10月の前戦ではUFCデビューのエリック・ゴンザレスを相手にパンチを被弾するも、2Rに左オーバーハンドで逆転KO勝ちしている。
今回の相手ニコラス・モッタ(ブラジル)もUFCデビュー戦(MMA12勝2敗)の29歳で、「Contender Series 2020」でCage Fury FC王者のジョセフ・ローリーに判定勝ちしてUFC入りを決めている。38歳のミラーは、連勝出来るか。
1R、サウスポー構えのミラーは右ローから。さらに右ジャブから左ストレートを見せると、右ジャブからステップイン。オーソドックス構えでかわすモッタ。
左ハイから左を振って入るミラーに、モッタはカウンターの右! 一瞬腰を落とすミラー。モッタは右インロー。左インローを返すミラー。モッタのワンツーになおもインローを入れる。左インローでモッタのバランスを崩すミラー。遠間から右ストレートはモッタ。かわしてワンツースリーの連打で圧力をかけるミラー。左ボディを入れるモッタ。続けて右を振るもミラーのインローを被弾する。
左のスーパーマンパンチを当てて金網に詰めて組みに行くミラー。モッタは右で小手に巻くが、アゴに頭を当ててミラーはこつこつ右を突く。離れたモッタは右ハイ。ブロックするミラーは左インロー連打でモッタのバランスを崩す。
2R、喧嘩四つで互いにジャブの刺し合いから。1R同様に左インローを当てるミラー。モッタの右ハイをかわすと再び左インローを当てる。そして近づくと組みを混ぜる。またも単発の右ハイはモッタだが、距離で外すミラーは、今度はスイッチしての右ローで前足を突くと、モッタの入りに前手のフック、さらに左の縦ヒジで飛び込む。
ここはかわしたモッタ。右ローの打ち終わりを詰めるミラーは、右を打って、その打ち返しはかわす。モッタは左ボディ。右ハイはかわすミラー。サウスポー構えのまま詰めて前手の右フックの飛び込み! ダウンしたモッタにミラーは中腰でパウンドを連打! レフェリーが間に入った。
これでミラーはMMA34勝16敗。UFC最多の39戦目を、ドナルド・セラーニと並ぶUFC史上最多勝利となる23個目の白星で飾った。UFC最多フィニッシュは、1位がシャーウス・オリヴェイラの18、セローニの16、そしてミラーが15で3位につけている。
[nextpage]
▼ミドル級 5分3R〇ホアキン・バックリー(米国)14勝4敗(UFC4勝2敗)183lbs/83.01kg[判定2-1] ※28-29, 29-28, 29-28×アブドゥル・ラザク・アルハサン(ガーナ)11勝5敗(UFC5勝5敗)186lbs/84.37kg
[nextpage]
【プレリミナリー】
▼フェザー級→148ポンド契約 5分3R〇デビッド・オナマ(ウガンダ)9勝1敗(UFC1勝1敗)144.5lbs/65.54kg[1R 4分24秒 KO]×ガブリエル・ベニテス(メキシコ)22勝10敗(UFC6勝6敗)148lbs/67.13kg(※体重超過)
[nextpage]
▼女子バンタム級 5分3R〇ステファニー・エッガー(スイス)7勝2敗(UFC2勝1敗)135lbs/61.24kg[1R 3分44秒 腕十字]×ジェシカ・ローズ・クラーク(豪州)11勝7敗(UFC4勝3敗)135.5lbs/61.46k
女子バンタム級(61.2kg)戦で日本でも戦った2選手が対戦。
スイスのエッガーは、柔道で欧州、国際大会で活躍。2019年7月の「RIZIN.17」でKINGレイナと63kg契約で対戦し、打撃、組みともに上回り判定勝ち。2020年10月にUFCデビューを果たすと、トレイシー・コルテツには判定負けも、2021年10月の2戦目で柔道技でテイクダウンを奪い、シェナ・ヤングをパウンドアウト、オクタゴン初白星を挙げている。
対する豪州のクラークは、重量挙げから2011年にキックボクシングをはじめ、柔術でも紫帯。2015年9月の「TTF CHALLENGE 05」でライカと対戦(ジェシー・ジェス)パウンドTKOも体重超過(59.4kg)でノーコンテストとなっている。フライ級で2勝1敗後、バンタム級で2勝1敗。パニー・キキアンザドに判定負けも、LFAから参戦のサラ・アルパーをTKO、パナマのジョセリン・エドワーズに判定勝ちで2連勝中だ。
1R、ともにオーソドックス構えから。クラークは左インロー。エッガーの右ストレートをかわして組むとボディロック。金網に押し込んで組んだまま右ヒザ。
クラッチが外れたところで、クラークの首を抱えて、右の引き手を脇に挟んだエッガーは右を小手に巻いてから正対すると、体を入れ替えて金網に押し込んで、右で枕に、左で脇を差してクラッチ。
外して左で差して体を入れ替えるクラークに、右で小手に巻くエッガー。左手でクラークの右ヒジを持つと、右足をクラークの前に出して払い腰!
ここは左で差してすぐに立つクラーク。首を抱えにきたエッガーを潰して上になるも、今度はエッガーがすぐに立つ。同じ組み手で首投げ&払い腰で投げるエッガー!
袈裟固めでパウンド。上四方に変えて頭つきのキムラ狙いからマウントに移行。背中を見せて前に落とそうとしたクラークに対し、右腕を抱えながらヤスケビッチ式で腕十字に入るエッガーは、クラークを前転させて最後は仰向けでクラッチを切って腕を伸ばしタップを奪った。
これでエッガーは2連勝。ランカーとの対戦も見えてくるか。
[nextpage]
▼フェザー級 5分3R〇チャス・スケリー(米国)19勝3敗(UFC8勝3敗)146lbs/66.22kg[2R 2分01秒 TKO] ※右ヒザ→パウンド×マーク・ストリーグル(フィリピン)18勝4敗(UFC0勝2敗)145lbs/65.77kg
プレリミナリー第5試合のフェザー級戦で、和術慧舟會GODSでMMAを始めたマーク・ストリーグル(フィリピン)が、オクタゴン2戦目でチェス・スケリー(米国)と戦う。
18勝3敗のストリーグルは、2009年にプロデビュー後、20211年のLegend FCで川那子祐輔にスプリット判定勝ち。翌年にはイヴ・タンをリアネイキドチョークで極めると、PXCでも2連勝するなどデビューからMMA12連勝。2014年10月にはカイカラ・フランスもリアネイキドチョークで極めている。2015年4月からONEに参戦し、リース・マクラーレンには一本負けを喫したものの、以降、URCCでイ・ドギョムにギロチンチョークで一本勝ちするなど4連勝。
2020年10月の前戦でUFCデビューを果たすも、サイド・ヌルマゴメドフに51秒、左フックからのパウンドでTKO負けしており、白星を掴むことが出来るか。
対するチャス・スケリー(米国)はMMA18勝3敗(UFC7勝3敗)。Legacy FCからBellatorを経て、2014年にUFC入りしたスケリーは、デビュー戦こそミルサド・ベキッチに判定負けも、以降4連勝。2016年9月には、こちらも日本育ちのマキシモ・ブランコ(真騎士)を1R、アナコンダチョークで極めている。前戦は2019年9月のジョーダン・グリフィン戦での判定勝ちで、2年5カ月ぶりの復帰戦となる。今回の試合で引退を表明している。
1R、サウスポー構えから左インローを当てるストリーグル。オーソドックス構えのスケリーは高い前蹴りで牽制。ストリーグルの左ミドルの打ち終わりにワンツーで詰めるスケリー。脇を差すストリーグルに小手に巻いて崩すスケリーだが、両脇を差すストリーグルが金網に押し込む。
右でこつこつ打つストリーグル。右で小手に巻くスケリーは体を入れ替え逆に左で差して前に。金網背にするストリーグルのスタンドバックに回ると背後から左足をかけてストリーグルの右ヒザ裏まで伸ばすが、それを外して正対したストリーグル。
四つから体を入れ替えストリーグルが押し込む。中央に押し戻すスケリーに差した右で腰に乗せて投げようとするストリーグルだが、潰して上を取るスケリー。
クローズドガードのストリーグルは、下からヒジも上のスケリーもボディにパンチ。ストリーグルのヒップスローからのアームロック狙いを潰して上のまま腹にパウンド。いったん上体を離して、ストリーグルの蹴り上げをさばいて立ち上がり際にバックにつく。ブザー。ストリーグルのラウンド。
2R、肩で息をするストリーグル。ジャブから前に出るスケリー。ワンツーで前詰めて左で差すスケリー。右脇を潜りスタンドバックから右足をかけて引き込み。その足を外して正対際に両者立ち上がり。
なおも左で差すスケリーだが離れる。ストリーグルの左にワンツーを合わせるスケリー。ストリーグルの左ヒジとスケリーの右が交錯。しかしスケリーも左の縦ヒジをヒット! 一瞬動きが止まったストリーグルに、右ストレートで下がらせ、右オーバーハンドはスケリー!
金網に詰まるストリーグルのクリンチにスケリーは首相撲に組んで右ヒザ蹴り! ダウンしたストリーグルにスケリーは打ち下ろしの鉄槌6連打! レフェリーが間に入った。有終の美を飾ったスケリーは試合後、事前に語っていた通り、引退を表明した。
[nextpage]
▼女子ストロー級 5分3R〇ロリア・ジ・パウラ(ブラジル)6勝4敗(UFC1勝2敗)115.5lbs/52.39kg[判定3-0] ※29-28, 29-28, 29-28×ディアナ・ベルビタ(ルーマニア)14勝7敗(UFC1勝3敗)116lbs/52.62kg
[nextpage]
▼バンタム級 5分3R〇チャド・アンヘリガー(カナダ)12勝5敗(UFC1勝0敗)135lbs/61.24kg[3R 3分33秒 TKO]×ジェシー・ストレーダー(米国)5勝3敗(UFC0勝2敗)135lbs/61.24kg
[nextpage]
▼フェザー級 5分3R〇ジョナサン・ピアース(米国)12勝4敗(UFC3勝1敗)145.5lbs/66.00kg[判定3-0] ※30-27, 29-28, 29-28×クリスチャン・ロドリゲス(米国)7勝1敗(UFC0勝1敗)146lbs/66.22kg
[nextpage]
▼バンタム級 5分3R〇マリオ・バティスタ(米国)9勝2敗(UFC3勝2敗)135.5lbs/61.46kg[判定3-0] ※30-27, 30-27, 30-26×ジェイ・ペリン(米国)9勝5敗(UFC0勝1敗)136lbs/61.69kg