キックボクシング
レポート

【RISE】erikaが減点2で宮崎若菜に敗れ女子ミニフライ級は混沌の時代に、平岡琴は田渕涼香を振り切る

2022/02/12 22:02
RISE EVOL.10 & GIRLS POWER.62022年2月12日(土)東京・新宿FACE ▼メインイベント(第9試合)ミニフライ級(-49kg)3分3R延長1R×erika(=名前の後ろにハートマーク/SHINE沖縄/同級1位、NJKFミネルヴァ日本アトム級王者)判定0-2 ※28-29、28-28、27-29○宮崎若菜(TRY HARD GYM/同級3位)  erikaは沖縄在住の選手で、ぱんちゃん璃奈とは練習仲間でもある。2020年8月のREBELSに参戦し、平岡琴から番狂わせの勝利をもぎ取ると10月の「RISE GIRLS POWER QUEEN of QUEENS 2020」に参戦。1回戦で寺山日葵を相手に猛攻を見せ、延長戦で敗れるも寺山を苦しめた。2021年2月にはNJKFミネルヴァ・アトム級の百花に挑戦し、判定3-0で勝利して王座に就いた。12月のRISEでは当時1位のAKARIを延長戦の末に判定で破っている。戦績は9勝1敗。3人の子供を持つシングルマザーであり、キャッチフレーズは“3児のヒロイン”。AKARIに勝利したことで女帝・寺山日葵への挑戦権は確定したと思われていたが、寺山が古傷の手術のためタイトルマッチが出来ず、最終関門として宮崎が立ちはだかった形となった。  宮崎は空手をバックボーンに持ち、アマチュアキックでは2019年KAMINARIMON全日本女子トーナメント-52kg級優勝。RISE QUEENアトム級王者・宮崎小雪の姉。2019年10月にRISEでプロデビューし、武内紗耶香、大塚愛莉、坂本優に勝利もAKARIには2度敗れている。前戦では2021年8月に大倉萌を破った。戦績は5勝(1KO)2敗。  1R、両者サウスポー。erikaはローを蹴って左右フックを打ちながらの突進。宮崎は打ち合いに付き合ってカウンターを当てに行く。erikaは首相撲で宮崎を振り回してコントロールしてしまい、これにはイエローカードが与えられた。  2R、パワフルな左右フックで突進するerikaは接近すると首相撲からのヒザ。ワンキャッチワンアタックを上手く続けていたが、宮崎もヒザを返すとerikaがつかんだまま2度ヒザを蹴ってしまい痛いレッドカード(減点1)。その後も攻撃の手を休めないerikaに宮崎も打ち合い、ミドルやヒザも蹴る。  3Rも両者パンチを打ち合って、組んでも激しくもみ合う。その中でerikaの首相撲が長いとして2度目のレッドカード(減点2)。絶望的な状況に追い込まれたerikaは前へ出て左右フックで手数を出して攻めるが、宮崎も負けじと打ち合い、左ストレート、右フックをヒット。erikaも左ストレートをヒットさせる意地を見せたが、減点2が大きく響き判定2-0で宮崎の勝利となった。  宮崎はマイクを持つと「皆さんのたくさんの応援やサポートがあったおかげで勝てました。erika選手に勝ったので寺山選手、私とベルトを懸けて対戦してください」と、女帝・寺山日葵への挑戦をアピールした。 [nextpage] ▼セミファイナル(第8試合)アトム級(-46kg)3分3R延長1R○平岡 琴(TRY HARD GYM/同級2位)判定3-0 ※30-29×3×田渕涼香(拳聖塾/フライ級1位)  平岡は極真会館の『全日本女子ウェイト制空手道選手権』軽量級優勝の実績を持ち、多彩な蹴り技が持ち味の選手。昨年2月には3連勝でRISE QUEENアトム級王者・紅絹に挑み、ダウンの応酬の末に判定で敗れると、同年8月にerika、10月にはsasoriに判定負け。2021年4月には小林愛理奈に判定2-0で惜敗と泥沼の4連敗。しかし、9月の奥脇奈々戦で勝利をつかみ復活の狼煙をあげた。歯に衣着せぬ発言で話題を呼ぶ“怖いお姉さん”だ。戦績は10勝(3KO)7敗1分。  田渕は幼少の頃からフルコンタクト空手を始め、様々な大会で優勝。2020年12月にはプロ4戦目でRISE QUEENフライ級暫定王者・小林愛三からダウンを奪うアップセットを起こし一躍名を馳せた。その後、RISE QUEENフライ級タイトルマッチでの小林との再戦では敗れ、2021年7月のRISEで花田麻衣に勝利も10月のホーストカップではミネルヴァ・スーパーフライ級王者の聖愛に判定で敗れている。前戦ではシュートボクシングでMISAKIとSB日本女子アトム級王座決定戦を争うも判定で敗れて王座獲得ならず。  1R、左右に構えをスイッチしながら前へ出る田渕に、平岡はインローを蹴っていく。時折繰り出す平岡の左がヒット。終盤、なかなか距離を詰められない田淵が後ろ廻し蹴りを繰り出すと、平岡も同じ技を返す。。  2R、田渕が左右どちらに構えても左右ミドルをしっかり当てていく平岡。田渕は右ストレートを繰り出すが当たらず、苛立ちからか大きなフックを振り回す。  3R、田渕は強引にパンチで入っていって倒しに行くが、平岡は距離で外していく。田渕が組んでくるとヒザ。組み際には右フックも。田渕は右ストレートを強振して前へ出ていく。それをヒザとミドルで迎え撃つ平岡。最後は右ストレートもヒットさせて平岡が判定3-0で勝利した。  平岡はマイクを持つと「いま私の階級の王者が同じジムの後輩ということで、どこを目指すのかと言われるんですが、私はこのアトム級でベルトを撮ると決めたので同門対決になるか分かりませんが、必ずベルトを巻くのは決まっているのでその日まで楽しみにしていてください。私は負けないので安心してついてきてください」と、必ず女子アトム級の王者になると宣言した。 [nextpage] ▼第7試合 フライ級(-52kg)3分3R延長1R×聖 愛(魁塾/同級4位、NJKFミネルヴァ日本スーパーフライ級王者)延長R 判定0-3 ※9-10×3○KOKOZ(TRY HARD GYM/同級5位、スック・ワンキーントーン女子ミニフライ級王者)※本戦の判定は30-29、29-29、29-29  聖愛は関西の名門・魁塾所属の20歳になったばかりの女子大生。2020年2月にNJKFミネルヴァ・スーパーフライ級タイトルマッチに勝利して高校生の内にチャンピオンになるという目標を達成したが、同年9月の初代RISE QUEENフライ級王座決定トーナメントではまさかの計量オーバー。トーナメントは失格となり、陣内まどかとワンマッチで対戦したが判定負け。2021年2月の『ミネルヴァ』ではIMARIの挑戦を受けての初防衛戦に臨んだが、ドロー防衛。5月のRISEではYAYAウィラサクレックに敗れるなど精彩を欠いたが、10月のHOOST CUPで田渕涼香にフルマークでの判定勝ち。今回こそRISEで真価を発揮したいところだ。  対するKOKOZはムエタイとももいろクローバーZを愛し、2019年6月に無敗でスック・ワンキーントーン女子ミニフライ級王座を獲得。RISE初参戦となった2020年2月にはいきなりRISE QUEENミニフライ級王者・寺山日葵と対戦。接戦を展開し判定で敗れたが、パワフルなパンチを印象に残した。9月には「初代RISE QUEENフライ級(-52kg)王座決定トーナメント」に出場するも準決勝で小林愛三に敗れ、2021年11月の前戦ではS1レディース2021スーパーフライ級王座決定戦でルイに判定負けで王座獲得ならず。タイに渡ってムエタイ修行をしていたという。  1R、聖愛は慎重に左右ローと右ミドルを蹴っていき、KOKOZはローを蹴りつつワンツーを伸ばしていく。途中、右ストレートを顔面とボディへ連打して見せ場を作ったのはKOKOZ。  2Rもミドルとローを蹴り合う両者。KOKOZは踏み込んでの右ストレート、ワンツーを繰り出し、聖愛もパンチを繰り出して迎え撃つ。  3Rも距離を保って蹴るのは聖愛。KOKOZが蹴ってくると右ストレートを返す。KOKOZは強いローを蹴ってパンチにつなげようとするが、聖愛の距離が遠い。最後は聖愛が右を2度ヒットさせたが判定はドロー。延長戦へ突入する。  KOKOZは強い右ローで快音を響かせ、聖愛の足が内側へ曲がる。聖愛は右ストレートを伸ばしてき、KOKOZも左右フックを返しての打ち合いも見られる。聖愛はワンツーから右ミドル。KOKOZは強いローを蹴ってのワンツー、左右フック。聖愛も右ストレートで応戦したが、延長戦はKOKOZの有効打が目立ち判定で聖愛を振り切った。  マイクを持ったKOKOZは「KOしたくて力んじゃってうまく動けなかったんですけれど、しっかり改善してベルトを獲りたいと思います」と、ランキングが上の選手に勝ってタイトルへ一歩前進した。 [nextpage] ▼第6試合 フライ級(-52kg)3分3R延長1R○大倉 萌(大道塾 吉祥寺支部/ミニフライ級4位)判定3-0 ※30-28、30-27×2×エミNFC(NFC)  大倉は10歳の頃から大道塾・空道を学び、2017年には『北斗旗全日本空道体力別選手権大会』の女子215(身体指数=身長+体重)以下クラスで優勝。2020年1月のBOUTでプロデビュー。同年10月に開催された『QUEEN of QUEENS』にプロ2戦目で抜擢され、百花と接戦を演じポテンシャルの高さを見せつけている。2021年はミニフライ級(-49kg)NEXT QUEENトーナメントで準優勝。8月のRISEで宮崎若菜に判定で敗れ、戦績を2勝(1KO)3敗とした。また、早稲田大法学部卒、超有名金融会社勤務の文武両道ファイターでもある。  当初はミニフライ級(-49kg)でAYAとの対戦が決まっていたが、AYAが新型コロナウイルス陽性となり欠場。同じく対戦相手の山本知美が新型コロナウイルス陽性となってしまったエミと1階級上のフライ級(-52kg)で対戦することになった。  エミは2009年にプロデビューしたベテラン選手で、2012年8月には朱里とKrushで、2015年12月には山口友花里とホーストカップで対戦するなど強豪と拳を交えている。2022年1月13日付けのミネルヴァ日本ランキングではライトフライ級(-48.9kg)8位。戦績は10勝21敗4分。  1R、クラウチングに構えて前へ出てくるエミに、大倉は下がって距離をとりながら右ミドル、前蹴り、エミが止まると右ストレートを的確に当てに行く。エミはパンチを繰り出すが大倉に蹴りを合わせられる。  2R、大倉は下がって回り込みながらエミの前進を外し、前蹴りと右ミドルを蹴りつつ機を見て右ストレート。エミはロープに追い詰めても大倉に逃げられてしまう。大倉はハイ、ミドル、ローと蹴りを散らす。  3Rも大倉は変わらず自分の距離を保ちながら、エミの前進をステップでかわして前蹴り、上中下を蹴り、機を見てワンツーを繰り出してエミに全くペースを握らせず、判定3-0で完封勝利を収めた。  大倉は「コロナで大変な中、試合が出来ることが本当にありがたくて。私を勝たせようとたくさんトレーニングしてくれた飯村先生、ありがとうございます。結果が出せてよかったです。また頑張ります」と笑顔と泣き顔を織り交ぜて話した。 [nextpage] ▼第5試合 -45.5kg契約 3分3R×世莉JSK(治政館)TKO 3R 1分44秒 ※ドクターストップ○相見梨夏(サクシードジム)  世莉は各団体で活躍する女子キックボクサーの祥子JSKが、小学2年生時から育ててきた選手で、アマチュアでの試合を経て2021年8月にプロデビュー。その試合では同じJKキックボクサーの藤原乃愛に敗れている。2戦目で初勝利を狙う17歳。  相見もアマチュアを経て2021年10月にプロデビュー。ダウンを奪って勝利を収めると、12月の2戦目ではRISEにも参戦している上真を破って連勝を収めている。こちらも17歳。  1R、前蹴りと右ミドルで蹴り主体の世莉に、相見は右ストレートを繰り出していく。パンチを当てるのは相見だが、世莉は構わず蹴り続け、後半は相見の蹴りをかわしてのロー。  2R、相見の蹴りをかわしては右ローを蹴り返す世莉。これが何度も決まり、相見は攻めあぐねている様子。ワンツーを繰り出すも世莉が両手を伸ばして防いで蹴っていく。  3R、相見は世莉の蹴りを受けてワンツーを返していく。世莉の鼻血でドクターチェック。再開後も世莉の蹴りを腕で受けてワンツー、右フックを返していく相見。このパンチのヒットで世莉は鼻から大流血、顔面が真っ赤に染まり再びドクターチェックとなり、ストップがかかった。  世莉が声を上げて泣く中、勝ち名乗りを受けた相見は 「今後もっと練習して強くなるのでよろしくお願いします」と笑顔で語った。 [nextpage] ▼第4試合 フェザー級(-57.5kg)3分3R○山科直史(極真会館/全日本高校生空手道選手権大会優勝)KO 2R 2分17秒 ※飛びヒザ蹴り×福島草太(MASTER JAPAN)  1R、山科はパンチを見せながらカーフを強く蹴っていく。福島は右ストレートで対抗していたが、山科のボディに下がる。チャンスと見た山科は一気にボディを攻めていき、連打でコーナーへ追い詰めると片手引っ掛けヒザを顔面に突き上げてダウンを奪う。  2R、山科はカーフとボディの両方を攻めながら顔面も狙い、福島もワンツーを打ち返していくが勢いに乗る山科の攻撃をもらう。三日月蹴り、ヒザ蹴りも混ぜながらフックの連打でダウンを奪った山科は、最後はコーナーへ詰めた福島へ飛びヒザ蹴り。当たりは不十分だったが福島が膝を着き、山科のKO勝ちとなった。  圧倒的な攻撃力を見せてKO勝ちした山科は「押忍、板橋区成増から来ました山科です。どうでしたかね。フェザー級は選手がいっぱいいてその中でもトップで戦っていって一番強くなりたいので、4月にもし強い選手と出来るならお願いします」と、笑顔で4月エルドラド出場をアピールした。 [nextpage] ▼第3試合 スーパーフェザー級(-60kg)3分3R○森下祐樹(SUNNY GYM/2010年RISING ROOKIES CUPスーパーフェザー級優勝)KO 2R 1分21秒 KO×杉本 祥(TARGET SHIBUYA/第3代PRINCE REVOLUTION -58kg王者)  1R、左右ローを蹴る森下に杉本は左右フックとワンツーを次々と叩きつけていく。森下はローを蹴りながら、時折ヒザを突き刺す。森下が押して前に出ると同時に右フックでダウンを奪う。  2R、いきなり右フックをヒットさせた森下だが、杉本は左右フック、左右ボディをパワフルに打ちながら前へ出る。森下は右を打ち込み、抜群のタイミングで杉本のアゴをヒザで蹴り上げる。これでフラつきはじめた杉本へ森下は右を連続して叩き込み、またもヒザをアゴへ。これで杉本がダウンし、レフェリーは森下のKO勝ちを宣した。  快勝を収めた森下は「自分は自分でジムを経営しながら選手をやっている状態で怪我もできない状態ですが、まだまだ上を目指して頑張っています。35歳、いい年齢です。前回ランキング戦を行いましたが準備不足で負けてしまいました。またランキング戦お願いします」と、まだまだ上を目指して頑張っていくとアピールした。 [nextpage] ▼第2試合 ライト級(-63kg)3分3R×Delgermuru拳信王(FLAT UP)KO 3R 1分30秒 ※右フック○小川悠太(誠心会館 所沢市部)  1R、サウスポーからいかにもパンチを狙っている様子の拳信王。小川は右ローを多用しながら右ストレートを打つ。終盤、拳信王は左フックを振り回して前へ出た。  2R、拳信王は右ジャブを多用しての左ストレート狙い。小川は左ストレートはかわすもジャブを被弾。負けじとジャブを打ち返していき、右ストレートを打つ。  3R、拳信王は左ボディと左フックを連打して前進。鼻血を噴き出す小川だが、拳信王が左を打ってくるところへ右フックを放ちダウンを奪う。その後も右フックを狙い撃ちし、ダウンを取り戻そうとする拳信王のフックをかわしていく。そして拳信王が空振りしたところへ小川が右フック強打。吹っ飛ぶようにして拳信王が倒れ、小川のKO勝ちとなった。拳信王は担架で運ばれた。  豪快KO勝利を飾った小川は「1Rと2Rで鼻が折れたっぽいので、とりあえず勝ててよかったです」と語った。 [nextpage] ▼第1試合 スーパーフライ級(-53kg)3分3R○星 憂雅(IDEAL GYM)判定3-0 ※30-29×2、30-28×旬ノ介(K-LIFE)  1R、サウスポーの旬ノ介は左ミドルを軸に左ストレート、右フック。星も左右ミドルを蹴りながら、旬ノ介が蹴ってくるところに右ストレートを合わせる。  2R、星は右ストレートからの右ヒザを効果的に使い、右の三日月もヒットさせていく。旬ノ介はワンツー、左フックで応戦も星の手数に後退。  3R、互いにジャブ、ストレート、ミドルを当て合う中、ヒザを効果的に使う星。このラウンドは旬ノ介も前へ出てアグレッシブに攻めて行ったが、判定3-0で星が勝利を手にした。
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