みんなはビンタですけど、自分のは痛いやつです
試合前、「素手の掌底は手の付け根を使えば、オープンフィンガーグローブのパウンドより効きますよ。顔がぺちゃんこになりますよ」と語っていた倉本。
試合後の本誌のインタビューでは、「僕は、このルールでも“MMA”をやろうと思って戦いました。絶対に相手の得意な足関節をやらせないように足は触らせない。レスリングでは得意な腕取りをして、がぶり、足関節を取られない形で叩く。掌底はハマればヤバいと思っていました」と、倉本のケージMMAを「今成コンバット柔術ルール」にアジャストして戦ったという。
セコンドの山崎剛代表も、「相手のアップの動きも見て、これは出来るなと思ったことをやってもらいました。スタンドレスリングでもサイドバックでも身体の位置を決めて崩し方がハマった。
ルールによって身体の位置は異なります。今回はグラウンドで殴れるけど蹴り上げは無かった。それによって頭をどこに置くかなどが異なるので、その構えは意識してやってきました」と、場面場面で、どこに頭や手足を置くか、を決めていたと語る。
「あとほかの選手の掌底を見て、倉本は違うのが打てると分かっていました」と、片ヒザを着いての掌底、さらにサイドバックでの上下からの掌底などが、練習してきたものだと明かした。
倉本も「みんなは“ビンタ”ですけど、自分のは痛いやつです」という。さらに、その先も倉本は用意していた。
「タイミングあれば投げてやろうと思っていて、相手も亀になっていたので投げようと思いましたが、その前に終わってしまって」と笑顔を覗かせる。
今後を問われ「僕はMMA選手なのでRIZIN、修斗で勝ち上がりたい」と答えた“投神”。“掌底王”の肩書きも加わった倉本の次なる試合はいつになるか。
なお、今大会のプロデューサーを務めた、グラップラーの高橋SUBMISSION雄己は、「寒河江さんは座り込まず立ち技勝負に行った。結果、そこでも打撃を食らった。グラウンドでも掌底であれだけ衝撃を与えられるんだと見ている人に伝えられたと思います。MMAの上手い人のパウンドともまた技術が異なる。掌底の打ち方をもっと研究できれば、このルールへの興味もさらに増してくると思います」と語っている。