【RIZIN】那須川天心の対戦相手がいない中、対戦を引き受けた五味隆典。条件は那須川vs武尊のメガイベントへの出場

　2021年12月31日（金）さいたまスーパーアリーナ『Yogibo presents RIZIN.33』の追加対戦カード発表記者会見が、25日（土）都内にて行われた。

　これがRIZIN“卒業”マッチとなるRISE世界フェザー級王者・那須川天心（TARGET/Cygames）の対戦相手は、なんと元PRIDEライト級王者の五味隆典（東林間ラスカルジム）に決定。3分2Rのスタンディングバウト特別ルール（攻撃はパンチのみ）エキシビションで行われる。決着はKOまたはTKOのみで判定は無し。

　会見の冒頭、榊原信行RIZIN CEOより、那須川の相手が五味になった経緯の説明がされた。

「天心と出会ったのが2016年。そこから5年間、RIZINの舞台で繰り広げてきた数々の戦い、それと共にRIZINも成長しましたし、天心も成長した。その中の最後の試合、やはり想いをもって臨む試合であるべき。天心は最初からRIZINのファンのいる前でラストマッチを戦いたいというのがあったので、ワンチャン武尊選手がRIZINの舞台に出てくる、そうすれば今年の大晦日の舞台にチャンスはあったけれども、やはり中立の舞台でというのが天心と武尊戦の大きなテーマでもあったので、RIZINという中では実現が出来なかったんですね。

　天心としてはまず最初に掲げたのは自分がキックボクシングを引退した後に、次の世代、キックを引っ張っていってくれるような若手のホープと真剣勝負をする。その中で次の世代のキックを託していけるような、拳を交えることで想いを伝えられたらなってことで」と、複数名の若いキックボクサーにオファーしたところ、いい回答が得られなかったという。

「ラストマッチなのでハートにビビッとくる選手でないと意味がないので、天心自体は多分、大晦日はもういいかな、と。ラストマッチを組むはずだったけれど挨拶だけでもいいのかなって方向に傾いた時もあって」と、試合自体がなくなるかもしれないということに。

　そこで「天心、そんなこと言わずに戦おうと。最後に躍動する姿を見せるべきだと。誰と戦いたいというのはないの？ というところで出たのが、憧れとリスペクトも含めて五味さんとだったらワンチャンあるかなと。面白いんじゃないかなっていうのが出てきました。それが2週間前です」と、那須川の口から五味の名前が出てきた。

「本当に困りに困って2週間でどうかなと思い、意を決して五味さんに電話してみたんです。大晦日試合してくれって。この男は準備は全くしてなかったと思うんですが、天心のRIZINでの最後を気持ちよく送り出してあげたいし、そこに気持ちが通ってない試合でなければ意味がない。勝負論ももちろんありますが、それ以上にメッセージとして思いも伝えられる、そういうドラマティックな試合には五味隆典が必要だ、やってくれという話に対して、この人は『分かりました』と。その場でほぼ受けてくれました。本当に五味隆典にRIZINとしては助けられた。自信をもって大晦日、ド派手な天心ラストマッチの試合を五味隆典に託して描いてもらえる、2人の世界で見せてもらえるとそう思っています」と、五味が男気を見せて引き受けたと説明した。

　会見に出席した五味は「何でここにいるか分からないくらい忙しいというかよく分かってないです、正直。なんですけど、今回も同じ階級の選手とか自分とやりたいって言う選手がいる中、年齢とか体力を考えると正直現実的ではない。今年RIZINに挑戦した選手をジムで指導している時とかも、どうやったらトップのサトシ選手に勝てるだろうかとか、俺もこのトレーニングを今でもやればサトシ選手に届くかなって想いは指導や一緒に練習する中で思い続けているんですが、それが現実的かって言うとちょっと違うわけで。実際そういったオファーは来なかったので。一発勝負でやるレベルの話じゃないですし、なので今年は全部RIZINに出場する可能性はなくなったので、ようやく1年が終わったな、さあ飲みに行くかってところだったんですが、天心とエキシビションということで。エキシビションって凄く難しいんですけれど、20年近く前の動きに少しでも近付けられればまたそういったリングで披露する機会もいただけるだろうし、できなければ声もかからなくなると思うので、出来る限り一生懸命練習しています。体重も絞って。短い期間ですけれど」と、またMMAの試合をRIZINでするためにも受けたと話した。

　その後、来年6月に決まった那須川vs武尊について聞かれた五味は「6月に大きな会場でやると。そこまでお互いベストで行って盛り上げてもらえたら勝敗を超越した、やって良かった、見てよかったという試合になれば。勝敗は必ず付いて回るけれど、そんなのが気にならないような好ファイトを期待しています」と格闘技の先輩としてメッセージを送った後、こんな裏話を披露。

「実はこれを今回の無茶な急な対戦を受ける条件として、僕もそのメガイベントに出場させていただくという約束と、契約をもらっています。それがどういった対戦カードか、またエキシビションになるか分からないけれど、どうしても戦いたいんですよ」と、那須川vs武尊が行われる大会に自分も出場する約束を取り付けたと明かした。

　これに榊原CEOは「アンダーカードを組んでいくんですけれど、参戦があっていいんじゃないかなという話はしています。相手はしっかり準備して今回助けてもらいました。感謝もしています。必ず戦う機会を作ります」と約束した。

　会見では五味から「榊原さん、6月やりますよ。柔術でもボクシングでもいいから、半年あります。少しでも選手の気持ちが分かるように。俺と榊原さんの方が俺と天心より年が近いんだから。カラオケでもお酒（の勝負）でもいいです(笑)」と、榊原CEOに対戦を要求する場面もあったが、「親父狩りしても仕方ないでしょう」（榊原CEO）との笑い話に。五味は「それは天心にそのまま言いたい。俺が43歳だから。23歳でしょう？ 俺が20歳でプロデビューしたから、ちょうどその時に生まれた子供の年齢ですよ」と笑った。