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【RISE】フェザー級王者・工藤政英が引退発表、2年前から鼻呼吸できず引退勧められるも「初防衛戦がしたかった」

2021/12/12 00:12
【RISE】フェザー級王者・工藤政英が引退発表、2年前から鼻呼吸できず引退勧められるも「初防衛戦がしたかった」

7月に竹内との初防衛戦で逆転KO勝ちした工藤が引退を発表した

 2021年12月12日(日)東京・後楽園ホール『RISE 153』の前日計量&記者会見が、11日(土)都内にて14:00より行われた。

 計量後には、RISEフェザー級王者・工藤政英(新宿レフティージム)が引退を発表。伊藤隆RISE代表と工藤が会見に出席した。


 伊藤代表は「症状は鼻炎骨湾曲症。鼻の骨が粉々になっていて鼻での呼吸が出来ずに口での呼吸で試合を重ねてきました。来週手術するに当たって身体の骨の一部を移植するとのことで、手術後はコンタクトスポーツが出来ない状況で引退の決意となりました。彼は2006年からRISEに参戦してたくさんの激戦を見せていただきました。2度の森本(“狂犬”義久)戦、特に王座決定戦での死闘。ONEに行っての試合、タリック・トッツ戦、それと竹内将生戦が印象に残っています。器用な戦い方ではないが昭和の匂いのする根性と気迫で勝っていく選手でした。タイトルを持ったまま引退するのは寂しいですが、苦しい中で防衛戦をしたいということで竹内選手と試合をして防衛しました。今後の彼の人生につながるような戦いが出来たと思います。私は続けて欲しい想いもありますが、今後の将来もあるので、激戦を見せてくれてありがとう、そして、お疲れさまと言いたいです」と、工藤の労をねぎらった。


 続いて工藤自身の口から引退について「鼻の骨が粉々に砕けてしまって、その上を粘膜が覆っている状態でして。気になったのは2年前で、鼻呼吸ができない状態で試合をしていました。医者からは2年前から『引退した方がいい』と言われていました。脇腹の骨を鼻に移植する手術が必要なのですが、それをやったらコンタクトスポーツは一切できないので、手術は引退した後にしようと思いました。医者からは引退を勧められていましたが、初防衛戦をしていなかったので、僕の中で初防衛してこそ王者という想いがあったので防衛戦をしてから引退しようと思っていました。それで今回引退を決意しました」との説明があった。


 工藤は2018年6月に森本“狂犬”義久と王座決定戦を行い、延長戦までもつれ込む大激戦の末に王座を獲得。その後は3連敗を喫したが、2019年5月に那須川天心とも対戦したタリック・トッツにKO勝ちすると、タリソン・ゴメス・フェレイラにも判定勝ち。ONEでムエタイの強豪パンパヤック・ジットムアンノンに判定負けするも、高橋亮との引き分けを挟んでその後は3連勝。2021年7月28日の竹内将生との初防衛戦で、先制のダウンを奪われるも逆転KO勝ちで初防衛に成功していた。

 いつ鼻の骨が粉砕されたのかを聞かれると、工藤は「分かりません。眼窩底骨折した時に鼻が曲がっているとは言われました。僕は鼻血も出たことがないのでいつなったかは分からないです」と、なんと全く気付いていなかったという。


「思いあたる節は、内弟子の時に浜川会長にどつかれて折れたか、日頃の練習で秀樹に思い切りどつかれて折れたか。医者の話では4~5回鼻が曲がっているとのことです。ほぼレフティージムで折られたと思っています。その積み重ねでしかないです」と、ジョークでしんみりとした会場を和ませる。

 37戦22勝(14KO)11敗4分の生涯戦績の中で、最も記憶に残る試合はとの質問には「森本戦ですね。2試合ともです。1回目に戦ったのが延長までいって4R、2回目は延長を含めて6Rの殴り合いをしていてつらかったけれど、人生で一番楽しい時間だったと記憶に残っています」と、宿敵であった森本“狂犬”義久との2試合をあげた。


 急な引退発表で心残りはないかと問われると「初防衛戦に全力を向けていて、王者になってからやりたいような試合ができていなかったんですが、初防衛戦でやりたかった試合が出来たので一切心残りはありません」と、防衛が出来たこと、そしてその防衛戦で理想とするエキサイティングな試合が出来たことで悔いはないと答える。

 第2の人生は「ずっと僕はプロで21歳から殴り合い生活をしていたので、地元の群馬に戻って農業家をやりたいと思っています。自然に包まれて。手術をしたらスパーやマスも出来なくて、鼻が衝撃で折れやすくなるとのことで、同じ手術は2度も出来ないので格闘技からは一応離れます」と、格闘技からは離れて農業をやるとした。

 返上することになるRISEライト級王座。次はどんな選手に継いでもらいたいかと聞かれると「僕に足りなかった部分を補う選手ですね。イケメンの選手です」と言って再び場内を笑わせると、「バチバチの殴り合い、アツい試合をする選手に巻いていただければと思います」との想いを話した。

 そして「今まで応援してくれた皆様、ありがとうございました。皆さんの応援無しではキックボクシングは…僕は不器用でどうしようもなかったんですが王者になることが出来ました。僕は最初は内弟子として住み込みで練習させていただいたんですが、キックボクシングだけでなく、プライベートでもご指導いただいた浜川会長に心から感謝しております。格闘技から離れて地元で仕事をするようになるんですが、本当に僕はキックボクシングが好きで、RISEファンなので、今度はファンとしてRISEを応援していきたいと思います」と、ファンにメッセージを送った。

 なお、工藤は『RISE 153』のリング上でファンに挨拶を行う。引退セレモニーについてはジムと相談の末決定するとのこと。

 工藤は1991年5月24日、群馬県高崎市出身。左ボディブロー、ローキック、左ジャブを得意とし、第2代REBELS55㎏級王者、第3代RISEフェザー級王者に就いた。

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