BOM WAVE07- Get Over The COVID-19<第1部>2021年12月5日(日)東京・ニューピアホール
▼第8試合 メインイベント BOMミドル級(72.57kg) タイトルマッチ 3分5R×喜多村誠(ホライズンキックボクシングジム)判定0-3 ※47-49、48-49×2〇J(TSK japan)※Jが新王座に就く。喜多村は初防衛に失敗。
今大会は2部制で行われ、第1部のメインイベントはBOMミドル級(72.57kg)タイトルマッチ3分5Rで、王者・喜多村がJの挑戦を受ける。
喜多村は大学の空手部で主将を務めたのち、伊原道場に入門して2005年7月に新日本でプロデビュー。2011年10月に第4代日本ミドル級王者となった。2015年5月にはラジャダムナンスタジアム認定スーパーウェルター級王座にも挑戦している。2018年10月、元ラジャダムナンスタジアム認定スーパーウェルター級王者のT-98をヒジでカットし、TKO勝利。伊原道場から独立して最初の海人戦ではKO負けを喫したが、その後は3連勝。
JはBOMの常連ファイターで、WMC日本スーパーウェルター級王座、ルンピニージャパン同級王座、WMCインターコンチネンタル・ミドル級王座を獲得。パンチ、ヒジを得意とし、4月には松島勲也を延長戦の末に判定で振り切った。
両者は7月にBOMミドル級王座決定戦で対戦し、喜多村が判定2-1で勝利して王座に就いている。11月大会で喜多村がクアンをKOするとJがリングに入り、「7月、僕のベルトを懸けた決勝戦、アツい男の拳の語り合いをしたんですよ。だけど俺マジであの時の判定マジで納得いってねえから。俺負けてねえから。リベンジマッチって感じになってるけど、そのベルトは俺のだから。12月5日、リベンジマッチだからとっとと返せ」とラップ口調で再戦をアピール。
喜多村も「正直、自分もあの判定納得いってないので近いうちに再戦しましょう。こっちの方が強いってことを証明します」と、その場でベルトを懸けての再戦を承諾。今回実現に至った。
1R、喜多村は右ローを狙い撃ち、Jは前蹴りで突き放しにかかる。
2R、喜多村は右ローを主軸にパンチにつなげていく。Jもパンチを繰り出し、前蹴りで引き離す。ヒットは少ないが喜多村の手数が増えてきた印象。
3Rも右ローを蹴る喜多村は右ストレートに繋げる。Jは前蹴り、パンチ、ヒザでボディを攻めて削っていく。パンチの手数も増やし始めたJが左右フック、ヒジも合わせにいった。
4R、Jは前蹴りを多用して顔面とボディに打ち分ける。さらに左ミドルとヒザでもボディを攻め、喜多村が思い切り右を打ってくると同じく右を返す。疲れが見える喜多村だが、右ローを蹴り続ける。
5R、両者に疲れが見える中、ハイキックも繰り出す。喜多村は右ストレートを放つが、Jは前蹴りで突き放す。一進一退となったが、最後の30秒でJがヒザ蹴りでラッシュ。テンカオ、組んでのヒザと優勢を印象付け、判定3-0でタイトル奪取&リベンジに成功した。
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▼第7試合 ONE提供試合 ストロー級 3分3R△鳩(TSK japan)ドロー 判定0-1 ※29-30、29-29、29-29△GANG-G(ゴリラジム)
セミファイナルは、ONE提供試合ストロー級3分3Rとして、オープンフィンガーグローブマッチ(以下OFG)で鳩とGANG-Gが対戦。
鳩はムエタイで合計5本ものベルトを獲得するなど試合経験を積んでいるが、4月のRISE参戦では金子梓に判定2-0、7月のNO KICK NO LIFEではHIROYUKIに2RでKO負けと連敗していたが、9月大会でKOUMAとOFGマッチを行い、ドローとなった。
GANG-Gは11月大会でベンツ飯田と対戦し、1R開始時から試合終了まで攻撃の手を休めず攻め続け、圧倒的な手数で判定勝ちしている。共にパンチャーだけにOFGでの戦いは激しくなりそうだ。
1R開始から前へ出てロー&カーフとパンチでアグレッシブに攻めていくGANG-G。鳩はそれをヒジとヒザで迎え撃ち、鳩も積極的にパンチを繰り出して打ち合う。
2Rもガンガン前へ出て攻めるGANG-G。鳩をロープ際やコーナーへ追い詰めて左右フック、左右ボディを打っていく。鳩もいい右フックやコンビネーションを当てていくが、GANG-Gが前へ出る勢いと手数は衰えを知らない。
3Rも勢いが止まらないGANG-Gが左右フックで攻めまくる。鳩の左右フックでアゴが跳ね上がっても前へ出てガムシャラにパンチを出し続け、両者足を止めての激しい打ち合い。最後まで打ち合いは続き、ジャッジ1名はGANG-Gを支持したが2名がドローで痛み分けとなった。
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▼第6試合 BOMウェルター級(66.67kg)王者決定戦 3分5R〇高橋幸光(TSK japan)KO 4R×水落洋祐(エイワスポーツジム)※高橋が新王座に就く。
高橋はテコンドー出身で、2009年4月デビューのベテラン選手。当初はヒジありルールで戦績を重ねていたが、2011年10月からKrushに参戦。卜部功也、山崎秀晃、塚越仁志らと拳を交えていたが、2013年5月からヒジありルールにカムバック。2013年11月に小川翔を破ってMA日本ライト級王座を獲得し、2014年8月には前口太尊を破ってJ-NETWORKライト級王座にも就いた。今年9月のBOMではKJヒロシを破り、WMC日本スーパーライト級王座に就いた。戦績は36勝(11KO)19敗5分。
水落は国内外の強豪と真っ向から打ち合い、数々の激闘を繰り広げてきた“名勝負製造機”。2019年9月のRISE初参戦時には北井智大に1RでKO負けを喫したが、2020年10月の横浜大会で松本芳道から3Rにダウンを奪い約1年半ぶりの勝利を手にした。しかし、今年4月には伊藤澄哉にKO負け。今回は2019年4月の『KNOCK OUT』での試合以来となるヒジ打ちありルールに臨む。
2人は元はまっこムエタイジム所属で同門の先輩・後輩となる。非情な元同門対決となった。
1R、サウスポーの高橋は左ミドルとジャブ、水落は右ローを蹴ってジャブ。右ミドルで攻める水落に高橋はいきなり接近してのヒザ連打。水落はパンチ&ローの上下、高橋は蹴りからパンチをまとめる。
2R、緩急をつける高橋はスピードで水落より優る。パンチをまとめての左フックでダウンを奪うと、水落は前へ出るが高橋を捕まえられず、高橋のバックキックをもらう。
3R、高橋はローで崩してハイキック、右ストレートにつなげ、二段飛び蹴りも繰り出す。前へ出る水落だが高橋はジャブを多用して水落が接近すると組み付いてしまう。水落が鼻血を噴き出しドクターチェック。
4Rも前へ出て右ストレートを鵜trて行く水落に高橋はジャブからヒザ蹴り。このヒザ蹴りが何度もきれいに突き刺さる。さらにパンチでもボディを打ち、左ミドルを鮮やかに決めると水落の身体がくの字に。それでも諦めず前に出ようとする水落へ高橋が渾身の左ハイ。水落がばったりと倒れ、高橋のKO勝ちとなった。
元同門対決をKOで制した高橋は「僕は水落さんと10何年も同じジムで一緒に練習して、実はガウンも色が違うだけで真似しています。ずっと洋佑さんに勝つことだけを考えてジムに行っていました。それくらい憧れていて今でもずっと尊敬しています。今回たまたま勝てましたが越えたとは思っていません。ずっと目標であり、憧れの存在です。洋佑さんありがとうございました、凄く怖かったし、強いのも一番知っているので、試合が終わって本気でぶつかれて嬉しかったです。来根は世界を目指して頑張ります」と、泣きながらマイクで語った。
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▼第5試合 BOM女子ピン級(45.53kg) 王者決定戦 2分5R×MIREY(HIDE GYM)判定0-3 ※48-49×3〇奥脇奈々(エイワスポーツジム)※奥脇が新王座に就く。
MIREYは日本人の父とペルー人の母を持つハーフで、2018年2月にプロデビュー。5戦目で祥子JSKを破り、J-GIRLS王座に就いた。2020年2月には奥脇奈々を破り、WMC日本王座も獲得。5月の『KNOCK OUT』ではぱんちゃん璃奈とのリベンジマッチに挑んだが、初回KO負けで返り討ちにされた。7月には伊藤紗弥とオープンフィンガーグローブマッチで対戦するも判定負け。
奥脇はジュニアキック出身で、2017年1月にプロデビュー。アグレッシブな打ち合いを好む“バチバチ打ち合い娘”。2019年12月に世界三冠王・伊藤紗弥に挑むも判定で敗れ、2020年12月にはRISEの「アトム級(-46kg) NEXT QUEEN トーナメント 2021」の1回戦で小林愛理奈に敗れた。前回の試合は9月のRISEで平岡琴に敗れ、泥沼の5連敗と何が何でも勝ち星が欲しいところ。
1R、前に出てくるMIREYに対して回り込み、前蹴りを多用して右ストレート、左フックにつなげる奥脇。入り込めないMIREYは飛び込んでのフックを繰り出すが、奥脇が動いて当てさせない。
2R、MIREYはギアを上げて前へ出てパンチを繰り出すが、奥脇が逆に左フック、左ボディ、左ミドルで迎え撃つ。MIREYが突進してくると回り込むか前蹴りで距離を作り、MIREYに詰めさせない上手い戦い方。
3R、MIREYは奥脇のパンチを被弾して左目がかなり腫れあがっているが、奥脇を止めるために左ボディに狙いを絞る。さらに追いかけていき空振り上等のフックを繰り出す。奥脇もステップでかわしながら前蹴り、右ストレートで反撃。
4RもMIREYが追いかける展開に。奥脇はジャブでけん制してハイキック、左ボディ。MIREYも左ボディを打つ。終盤、奥脇が顔面前蹴り、左フックをヒットさせてMIREYのバランスを大きく崩し、前蹴りでは転倒させた。
5Rも奥脇は足を止めず、ガムシャラに左右フックとボディでラッシュをかけるMIREYをかわしていく。そして前蹴り、左フック、カーフキックと要所でヒットを奪い、最後まで動き続けて判定勝ち。奥脇は嬉し涙を流して腰にベルトを巻いた。
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▼第4試合 BOMスーパーライト級(63.50kg)次期挑戦者決定戦 3分3R延長1R×KJヒロシ(Y`ZD 沖縄)判定0-2 ※28-30、29-29、29-30〇クボマサヤ(PHOENIX)
ヒロシは沖縄県豊見城市にあるY'ZD豊見城ジムの所属選手で“オキナワの暴れん坊”の異名を持ち、2020年11月の『戦場』でDBS&RKAスーパーライト級ダブルタイトルマッチでTKO勝ちして二冠王に。直近の試合は2021年9月26日の『BOM』で、元MA日本ライト級&元J-NETWORK同級王者の高橋幸光とWMC日本スーパーライト級王座決定戦を行った。この試合は判定2-0で敗れているが、ガムシャラにパンチで前へ出て右ストレートを当てに行くアグレッシブなスタイルで観客を沸かせている。また、RIZIN沖縄大会で皇治の相手に名乗りを上げたことでも名前が知られるようになった。
クボは『GLORY』で、2017年の「ファイト・オブ・ザ・イヤー」を受賞、日本人選手唯一の専属選手契約を勝ち得た選手だ。GLORYフェザー級トーナメントで準優勝の実績も持つ。今年3月のKNOCK OUTではKNOCK OUT-BLACKスーパーライト級王座決定トーナメント準決勝で鈴木千裕と対戦も、1R1分25秒でマットに沈んだ。今回がBOM初参戦となる。
1R、サウスポーのクボは軸足蹴りと左ローでヒロシを転倒させていき、左ボディストレートをグサリ。ヒロシは右ストレートを伸ばしていくが、クボはボディをフェイントに左ストレートを当てていく。
2Rもパンチとヒザでボディを攻めるクボだが、ヒロシが右ストレート、左フックとパンチを連打してクボが棒立ちになる場面も。組みの展開も多くなり、両者ヒジ&ヒザで渡り合う。
3R、両者ともパンチを当て合い、組んではコカしあう展開。組んでヒジ、ヒザ。クボが左目上から出血するが続行。最後にクボがヒザ蹴りからパンチをまとめてクボが判定2-0で勝利。敗れたヒロシはその場に呆然と立ち尽くした。