MMA
インタビュー

【RIZIN】どうなるクレベル・コイケ、榊原CEOが交渉再開「野心を隠しながら、忠誠心と誇りを持って戦ってほしい」

2021/12/01 11:12
 2021年11月30日、都内にて大晦日『Yogibo presents RIZIN.33』(さいたまスーパーアリーナ)のカード発表会見が行われた。  その会見後、榊原信行CEOが囲み取材に応じ、9月末に「契約が無い」と語っていたクレベル・コイケ(ボンサイ柔術)について、マネージメントサイドと交渉を再開したことを明かした。  新型コロナウイルスの変異株「オミクロン株」の急拡大を受け、「当面1カ月」外国人の新規入国を原則禁止することが発表されるなか、榊原CEOは「現時点では『外国人選手の入国はダメだよ』と言われたわけではないので、ビザの申請手続きが終わってる選手はそのまま来日させてもらえればいいなと思いつつも、全体的には厳しいんじゃないかなと。入国が叶わない可能性が僕は高いと思ってますが、他のスポーツを見ても確実な方向性は国からの指示が来てない状況」と、海外選手が来日出来ない可能性が高まっているとした。  ボクシング界では、12月14日の井上尚弥の対戦相手のアラン・ディパエン(タイ)は11月28日に来日済みだったが、12月29日の村田諒太(帝拳)の対戦相手のゲンナジー・ゴロフキン(カザフスタン)と、大晦日の井岡一翔(志成)の対戦相手のジェルウィン・アンカハス(フィリピン)が来日を果たしていない。12月中旬に来日予定が組まれているが、「公益」があるとして入国の特例が認められる可能性があるかどうかも不明だ。  大晦日に10選手ほどの来日を予定していたという榊原CEOは、「(来日の)手続きは進めるが、ダメとなった場合は第2、第3案で穴を埋めるカード編成を進めていきたい。ここ数日間は政府の発表を待って方向性を決めたい」と複数のプランを用意していることを明かした。  その「第2、第3案」として、「セーフティに行くなら、外国人選手で予定をしている10名ほどの選手たちの来日を諦めて、いま1カ月後に出来る日本人および日本在住の外国人選手の中でベストなカード編成に変えることが賢明なのかなとも思ったりしています」と、在日外国人選手も加えた、日本国内バージョンでのカード編成も検討しているという。 [nextpage] 中途半端な気持ちなら関わりたくない(榊原CEO)  そんな状況下、2021年6月のRIZIN東京ドーム大会で、朝倉未来に三角絞めで一本勝ちしたものの、大晦日前の斎藤裕とのタイトルマッチに至らなかったクレベル・コイケとの契約更改について、榊原CEOは、「お互いミスアンダースタンディング(誤解)もあったと思いますし、クレベル選手ともREALの山田(重孝)さんを通して進めています」と、交渉を再開したことを明かした。  9月末の時点では、「向こうから話もないです。実際、僕らとクレベルとは契約が無いんですよ。僕らから何か歩み寄る気持ちはまったく無い。まあ、どうするつもりなのかは彼らが決めること。少なくとも年内に出ることはない」と断言していた榊原CEO。  その後、「お互い“和解”と言ったらいいのか、僕らとしての憤りには理由があるんですね。そこをキチッとクリアした上で、起きたことは仕方ないので、今後、そういうことが無いように」話し合ったという。  クレベル陣営は、海外再進出も視野に入れながら、契約更改に臨んでいるが、榊原CEOは、RIZIN参戦にあたり「UFCを目指すのはいい。RIZINに参戦するなら(海外挑戦の)野心を隠しながら、ロイヤリティ(忠誠心)と誇りを持って戦ってほしい」と求めている。それは、ほか選手にも向けられていた。 「タイトルを持った選手たちが、UFCを目指すとかというのはいいんですよ。でも、ほかの選手も押しなべて、誰とはいいませんが、TRIGGERのリング上で、“一緒にUFCへ行こう”というようなことを言ってる選手がいたんだけど、勝手に行け、という感じなんですよ。いま金を貰ってやっているのがRIZINだったら、RIZINを盛り上げてRIZINでベルトを獲ることに全力で向き合ってくれないと。その先にUFCやBellatorという大きな目標があるのは、それはどうぞ、と。でもいまあなたが働いているのはここでしょうと。それだったらそこに対してのロイヤリティと誇りを持って戦ってほしいし、僕らもRIZINに命を賭けてやっているから、選手たちも中途半端な気持ちで関わるんだったら、僕はそういう選手と関わりたくない」と、RIZINでのチャンピオンシップを目指すファイターたちと共に進んで行きたいという。  さらに、「UFCという目標があるんだったら、自分たちは別の道を辿って(行けばいい)。でもUFCに“記念受験”で1回行って来ました、それで一生食えるの? という話で、UFCに行ってランキングに入って、そこで結果が出るまでの実力をつけて、押しも押されぬ形で、僕は選手には行ってもらうべきだと考えるし、そこまでの志と準備が出来ているんだったら、別にRIZINを通過しなくてもいい。ほかの道で行けと」と、UFCに出ることではなく、UFCで勝ち上がる実力を身につけているのかと疑問を呈した。 [nextpage] コロナ禍の在日外国人として──ベルト戦線にからむ選手  団体が求める姿勢とスキル・パフォーマンスは、ファイトマネーとの相関関係にもある。ファイターにも選択肢はあり、どの団体でも「一生食える」のは限られたファイターだけだ。競技者としてのピークもあるなかでいかに目標を設定するか。 「その野心を隠しながら、大きな目標を掲げながらも、いまはここで命を賭けて戦うよと言ってくれないと、こっちが気持ちが行かない。そこはちゃんとそういった気持ちを持って向き合おうよと。朝倉未来にしてもサトシにしても萩原京平にして、みんなそういう思いを──ベルトがほしいと思って戦っている。クレベルにも、このプロモーションにいる間はそうあってほしい。そのへんをクレベルがちゃんと約束して──いずれにしても実力的にはベルト戦線にからむ選手なので、そこの確認をして向き合えたらいいなと思います」と、クレベルがタイトルコンテンダーであることは認めながらも、RIZINへの気持ちが必要だとした。  その“約束”はどんな条件になるのか。RIZINはフェデレーションではあるが、「ナンバーシリーズ」「LANDMARK」「TRIGGER」と大会数が増加するなかで、複数年・複数試合やチャンピオンクローズ(※チャンピオンになった時に発生する契約期間や試合数の延長)など、団体として年間スケジュールを組むために求めるものはある。 「横一線」と言われるRIZINフェザー級戦線。  2022年にワールドGP開催を目指す同級では、RIZIN&DEEP王者の牛久絢太郎が12月12日にDEEPで王座戦を控えている。その牛久との戦いで10月24日に前王者の斎藤裕は瞼をカット。朝倉未来は11月20日の「1000万企画」で左ヒザ半月板を負傷している。11月28日の「TRIGGER」では堀江圭功が右拳骨折、組み技に課題を残した萩原京平は弥益ドミネーター聡志との対戦を望んでいるが、大晦日に向けて、負傷者が相次いでいるのが現状だ。  そんな中、頭ひとつ抜けていると考えられるのが、元KSW王者のクレベルだ。海外選手の来日が規制されるなか、“日系”ブラジリアンのクレベルは、RIZINとどんな話し合いをしていくか。大晦日にRIZINのバンタム級の頂点が決まり、GP優勝者がBellatorバンタム級ワールドGPに挑戦の可能性も出ているなか、2022年に開催を予定している「RIZINフェザー級ワールドGP」はどうなるか。クレベルが、同級のキーマンなのは間違いない。 RIZINフェザー級(66kg) クレベル・コイケ(ボンサイ柔術)28勝5敗1分牛久絢太郎(K-Clann)20勝8敗1分斎藤 裕(パラエストラ小岩)20勝5敗2分朝倉未来(トライフォース赤坂)15勝3敗ヴガール・ケラモフ(アゼルバイジャン)20勝5敗2分カイル・アグォン(米国)13勝10敗金原正徳(立川ALPHA)28勝14敗5分摩嶋一整(毛利道場)14勝3敗堀江圭功(ALLIANCE)12勝3敗佐々木憂流迦(セラ・ロンゴ・ワイドマンMMA)23勝9敗2分中村大介(夕月堂本舗)31勝20敗1分弥益ドミネーター聡志(team SOS)12勝6敗芦田崇宏(BRAVE)24勝11敗2分萩原京平(SMOKER GYM)5勝4敗白川陸斗(トライフォース赤坂)11勝8敗1分関 鉄矢(SONIC SQUAD)13勝8敗1分神田コウヤ(パラエストラ柏)8勝3敗青井 人(BLOWS)8勝4敗1分山本琢也(パラエストラ千葉)7勝2敗1分中田大貴(和術慧舟會HEARTS)4勝2敗鈴木博昭(BELLWOOD FIGHT TEAM)1勝久保優太(PURGE TOKYO/BRAVE)1敗平本 蓮(フリー)1敗鈴木千裕(クロスポイント吉祥寺)1勝1敗山本空良(パワーオブドリームジム)12勝6敗2分“ブラックパンサー”ベイノア(極真会館)1勝1敗※67.5~72kg Bellatorフェザー級ランキング 王者 AJ・マッキー (米国)18勝0敗1位 パトリシオ・ピットブル(ブラジル)32勝5敗2位 マッズ・バーネル(デンマーク)16勝3敗3位 アダム・ボリッチ(ハンガリー)17勝1敗4位 エマニュエル・サンチェス(米国)20勝6敗 ※12.3にジェレミー・ケネディと対戦5位 アーロン・ピコ(米国)9勝3敗6位 ペドロ・カルヴァーリョ(ポルトガル)12勝5敗7位 ダニエル・ウェイチェル(ドイツ)41勝13敗8位 ジャスティン・ゴンザレス(米国)12勝1敗9位 ジェレミー・ケネディ(カナダ)16勝3敗10位 ダリオン・コールドウェル(米国)15勝5敗
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