2021年11月20日(土)、沖縄アリーナにて『Yogibo presents RIZIN.32』が行われた。
メインイベントでは、RENA(SHOOTBOXING/シーザージム)が山本美憂(KRAZY BEE/SPIKE22)と5年2カ月ぶりに再戦。RENAが2R 3分35秒、右ヒザからのパウンド連打でTKO勝ち。セミファイナルのキックルールでは、皇治(TEAM ONE)が、祖根寿麻(ZOOMER)に左フックでダウンを奪う判定勝ちを収めた。
全試合終了後、榊原信行CDOが会見に登壇。大会総括と大晦日を含む今後の大会について語った。
まず、注目の那須川天心(TARGET/Cygames)と武尊(K-1 GYM SAGAMI-ONO KREST)については、「今日も会場には来ていましたけど、そのことは一切、言葉を交わすこともなく、『じゃあまたな』『はい、じゃあまた』と言って、さわやかにお別れしているので、引き続きノーコメントでお願いします」と含み笑顔で語るにとどまった。
今大会で解説を務めた那須川は中継内で「いろんな憶測が浮かんでいると思うんですけど、発表されたことだけを信じてもらえればいいので、これから注目してもらえれたら」と話している。
年内のRIZINは11月28日(日)に神戸ワールド記念ホールで開催される『RIZIN TRIGGER 1st』と、大晦日さいたまスーパーアリーナ大会の2大会を残すのみ。
気になる大晦日のカード発表は、神戸大会後の12月頭に「まとめてカードを発表する」という。19日には、政府が緊急事態宣言下でもワクチン接種や陰性の証明を条件に、イベントの人数制限を撤廃する方針が発表されたばかり。
榊原CEOは、「カード発表を少し遅らせているのは、スポーツ庁とも話しているなかで、入場規制の緩和がもう間もなくとされるということが影響していて、ようやく昨日、思い切った緩和策が発表されているので、これでキャパ(入場者数)が決まってくる。チケットが全部売れるかはカード次第ですが、それでもその枚数次第によって、売り上げが決まってくるので、おのずとそのバジェット(予算)の中で組めるカードが決まってくるということで、ようやく見えて来たかなというところ。月内にはもう一個、『RIZIN TRIGGER 1st』がありますんで、それが終わって間髪入れずにまとめてカードを発表します。まだチケット券売スケジュールや単価する決められていなかったので、月内に色んな作業を水面化でして、月明けたらドーンと発表できたらいいなと思います」と、感染防止対策を徹底した上での「定員100%」での開催を想定して、カード編成をしたいとした。
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バンタム級GP準決勝&決勝&リザーブ戦、海外選手を招聘しタイトルマッチ
主な柱は、RIZINバンタム級ジャパンGPの準決勝&決勝、そして海外選手を招聘しての各階級のタイトルマッチとなる。
榊原CEOは「ジャパングランプリが決まっていますし、リザーブマッチも考えるとGPで4試合。そして来年に向けた、いずれにしてもこのままコロナが落ち着いていけば、ワールドグランプリにして階級をフェザーなのかフライなのか、グランプリ開催を決めて年間スケジュールを決めていますので、そのワールドGPを見据えたカードも組んでいきます」と大晦日のプランを語る。
現在RIZINの王者は、ライト級がホベルト・サトシ・ソウザ(ボンサイ柔術)、フェザー級が牛久絢太郎(K-Clann)、バンタム級が堀口恭司(ATT)、女子スーパーアトム級が浜崎朱加(AACC)となっており、そのうち堀口は、Bellatorで12月3日(日本時間4日)にBellatorバンタム級のタイトルマッチを行うことが決定しており、DEEP王者でもある牛久は12月12日の「DEEP 105」で神田コウヤ(パラエストラ柏)を挑戦者に迎えるタイトルマッチが決定済みだ。残るサトシと浜崎のタイトルマッチの相手が海外選手になる可能性がある。
「海外選手に関しては、すでにスポーツ庁さんのご協力とご指導、レスリング協会からの絶大な推薦もいただいて、すでにビザの申請も着々と進めているので、昔のコロナ前の頃のように、日本人選手より外国人選手の方が多いというようなことは一気には難しいですけど、1、2人と言わず大量に入国してもらって試合を組む方向で進めています」
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2部制にはせず20試合ほど、皇治、シバター、ベイノア、ボビー、RENAと山本は「怪我次第」
榊原CEOは、その試合数が20試合近くなること、2部制にはしないことも明かしている。
「結構、試合数は多いと思います。午前と午後の2部制は考えず、オープニングから20試合ほどになるかもしれません。地上波のフジテレビさんでも6時間近い放送をいただけるよう話し合いがされているので、お茶の間に届けられるように、今日の結果を受けて、大晦日のテーマとか方向性は絞り込まれています」という。
また、今回の沖縄大会の結果も踏まえてのカードも検討されている。「怪我の状況次第」としながらも、主な出場候補選手は、皇治(TEAM ONE)、RENA(SHOOTBOXING/シーザージム)、山本美憂(KRAZY BEE/SPIKE22)、“ブラックパンサー”ベイノア(極真会館)、そしてボビー・オロゴン(ぼぴパラチーム)の名前を挙げた。
「皇治選手は『引退を賭ける』と記者会見の時に口をついて言ってしまいましたが、引退を覚悟してでも追い込んで、覚悟を持って試合に臨む。それが間違いじゃなかったことが試合の中身を見て感じ取ることができました。皇治選手はこれで引退することなく、怪我がなければ、シバター、大雅、YA-MANの名前を挙げていましたが、大晦日に有言実行すると思いますので、大晦日に向けてそのカードを組み上げていきたい。シバターの場合、交渉はこれからですが、シバターが出てくると仮定すると、どんなルールで行うか。体重も相当違うし、実行させる上でのすり合わせは大変だと思いますが、組めれば面白いなと思います」
「山本美憂選手は、彼女自身の人生の中で、沖縄は特別な地。アマレスのキャリアを捨てて一つの区切りを打って思い切って、総合格闘技の世界に飛び込んだのが5年前。その時から彼女自身、沖縄がキーとなった場所で、沖縄ではメインを務めたいと望み、できることなら相手はRENA選手と望んだ。それがプロモーターとして沖縄大会をよしやろう、と開催の背中を押された思いでした。その思いがしっかり詰まった、5年間の成長が見届けられた素晴らしい試合でした。
女子格闘技の選手層が薄いことがあって、市民権が少し下がっていたけど、女子格闘技の魅力は見せられるものがあると素直に思った、メインに相応しい、もっと見たくなる素晴らしい試合でした。2人とも病院へ行くので怪我の状況次第ですが、大晦日にチャレンジするのか、しないのかも含めて話し合って、プロモーターとして積極的にオファーしていく考えです」
「前回の斎藤裕選手の試合もそうですけど、今回の美憂vs.RENA、ロクク・ダリvs.ベイノアも、一瞬の刹那での逆転、流れが変わって試合が決まることが見逃せない面白さとしてある。そういう逆転勝利をベイノア選手は持っているもの──彼自身の運の強さと言ったらそれだけでないけど──努力の賜物の上の2戦目で連敗にならないで、逆転でKOしたことは、いいものを持っているなと。プロモーター目線でいくと興味がわきました。成増出身なので、さいたまに上がってきて欲しいと思います」
「ボビーvs.北村は壮絶な試合で、相変わらずボビーって身体能力が高いのか、とぼけたキャラをしながらも練習していて、菊田早苗さんが14年ぶりの試合を、サポートしてくれたのが大きいのかなと思います。体力的にはいけたと思いますし、我々主催者的には14年ぶりで年齢的なことを含めて3分3Rでということで──全然本人としては5分でも良かったのですが──ボビーがこれからどこまで戦えば禊が済むのか、彼自身も納得いくものか分かりませんが、大晦日に向けて彼もチャレンジしたいということであれば積極的にマッチメークしたいと思います」
また、チケットの完売を受けて、今後は、沖縄アリーナを、東のさいたまスーパーアリーナに並び、“西の聖地”として毎年1回開催したいと話す榊原CEOは、今後の首都圏以外での大会開催について、「来年は『RIZIN TRIGGER』シリーズを地方都市で開催するので、格闘技熱の盛んな、熱い地域には行きたいですし、北海道、新潟、仙台、広島、熊本や鹿児島とかも候補に挙がっています。色んな地域のアリーナを調整しています」と地方シリーズについても語っている。