2021年12月12日(日)東京・後楽園ホール『RISE 153』の追加対戦カードが発表された。
年内最終戦を締めくくるべく、RISEライト級王者・直樹(BRING IT ON パラエストラAKK)の出場が決定。しかも対戦相手は伝説のムエタイ五冠王ジャルンチャイ・ライオンジム(LION GYM)という意外なカードが実現した。
直樹は伝統派空手出身で、2015年RISING ROOKIES CUPスーパーフェザー級で優勝後、独特の間合い操作と当て感の良さでRISEライト級の上位選手として長く活躍。2019年11月にはムエタイ大会『スックワンキントーン』でスーパーライト級王座決定戦に勝利し、プロ初戴冠を果たした。2020年10月の「RISE DEAD OR ALIVE 2020 -63kgトーナメント」では準決勝で優勝候補の白鳥大珠を1R1分30秒、ヒザ蹴りによるTKOで破る番狂わせを演じ、決勝では原口にKOで敗れるもインパクトを残した。今年1月には秀樹を破り悲願であった第7代ライト級王座に就き、9月には白鳥と再戦して延長戦の末に白鳥を返り討ちにしている。戦績は18勝(9KO)5敗。
ジャルンチャイはラジャダムナンスタジアム認定ライト級王座、WBCムエタイ世界ライト級王座を始め、5冠王に輝いたムエタイの名選手。日本でも石井宏樹(2005年8月)、小林聡(2006年11月)らと対戦してその名がムエタイ・キックボクシングファンに広く知られている。また、石井宏樹とT-98がラジャダムナン王座を奪取した際にはトレーナーを務めており、指導者としても手腕を発揮した。
現在は大阪・梅田にあるLION GYMでトレーナーを務めており、大阪の大会でエキシビションマッチを行っているようだが、11月20日(土)沖縄アリーナ『Yogibo presents RIZIN.32』での皇治の対戦相手が公募されるとジムを通じて立候補。スパーリング動画をアップしてアピールしたが落選した。
そのアピールがあってか、今回RISEへの参戦が決定。久しぶりの公式戦に臨むこととなった。全盛期から15年が過ぎているが、かつて日本人トップファイターたちを寄せ付けなかったテクニックは健在だと思われる。直樹が過去の強豪に現役トップファイターの実力を思い知らせるか、それとも蘇ったムエタイ五冠王が番狂わせを起こすか。
直樹は「元世界レベルのジャルンチャイ選手を圧倒して、来年は現世界レベルの選手と戦っていける様な姿を見せたいです」とステップアップにしたいとコメント。ジャルンチャイは「今年中に試合がしたかったのでRISEのオファーをいただきありがとうございます。現役のチャンピオンと試合が出来て嬉しいです。久しぶりのキックボクシングの試合でRISEではタップロンも頑張っているので、僕もしっかり準備して頑張ります。よろしくお願いします」と謙虚なコメントを寄せている。
また、-63.3kg契約3分3R延長1Rで、RISEライト級1位・秀樹(新宿レフティージム)とウザ強ヨシヤ(FIGHT CLUB 428)の対戦も決定。
秀樹はフィジカルの強さを活かしたパワフルな打撃でRISEライト級のトップクラスに君臨。2019年2月には白鳥大珠と第5代ライト級王座決定戦を争っている(白鳥がTKO勝ち)。また、『KNOCK OUT』のスーパーライト級トーナメントでも準優勝を果たした。2020年1月、原口健飛とRISEライト級王座決定戦を争ったが、1R2分23秒、KO負けを喫して悲願だった王座獲得ならず。2021年1月にも直樹とRISEライト級王座決定戦を争ったが判定3-0で敗れた。5月にはNJKFスーパーライト級王者・畠山隼人に判定勝ち。今回はそれ以来、7カ月ぶりの試合となる。戦績は20勝(10KO)5敗。
ヨシヤはJ-NETWORK新人王トーナメントで優勝し、2018年7月の『RIZIN』で計量前日のオファーにも関わらず海人と対戦して話題に。さらに同年の大晦日には白鳥大珠とダウンを奪い合う熱戦を見せてTKO負けした。その後、フジテレビに就職して引退かと思われたが、今回3年ぶりに復帰。自身のSNSでは「ADしながら3年ぶりの試合で世界王者と戦えるやつ他に誰がいる? みんなが絶対負けると思いながらも心のどこかで期待してるのわかってるよ。もう今から始まってるよウザ強劇場。絶対勝つからお楽しみに」と、自信満々のコメントを投稿している。
そしてフライ級(-51.5kg)契約3分3Rで、竜哉・エイワスポーツジム(エイワスポーツジム)と酒井柚樹(TEAM TEPPEN)が対戦。
竜哉は小学4年生でムエタイを始め、アマチュア時代は約100戦を経験して9本のベルトを巻いた。中1の時にタイでプロデビューを飾り、タイで試合(約20戦)・練習経験を積んで2018年4月に満を持して国内プロデビュー。いきなりWMC世界ピン級王座を獲得して世界王者となった。2019年7月にはタイでIBFムエタイ世界ミニフライ級王座決定戦を制して日本人3人目のIBFムエタイ世界王者となり、9月には同じくタイ・ラジャダムナンスタジアムにて日本人として8人目のラジャダムナンスタジアム王者に。凱旋試合となった12月のWPMF世界ライトフライ級王座決定戦では判定2-0で惜敗したが、2020年2月にKO勝ちでWPMF世界ミニフライ級王座を獲得。今年2月からRISEに参戦しているが、7月大会では5戦目の数島大陸にまさかのダウンを奪われてドロー。その後はRIZINでの老沼隆斗戦を含めて3連勝で、三度RISEに乗り込む。
酒井はムエタイをベースに持ち、ジュニア時代には那須川天心、武居由樹、西京春馬・佑馬と対戦。RISEを主戦場として2020年9月にはWPMF世界スーパーフライ級王者・片島聡志と引き分け、12月には5冠王の鳩とも引き分けている。5月にはKNOCK OUTのリングに乗り込んだが、濱田巧に延長戦の末に敗れた。9月にはKING TSUBASAと引き分けで、戦績を6勝(1KO)11敗4分とした。
この両者は、なんと元同門。お互いに違うジムへ移籍して拳を交えることとなった。