強打者の鈴木千裕に顔面を殴らせる渡慶次「もっと強くだ」と要求する場面も(C)RIZIN FF
2021年11月20日(土)沖縄アリーナ『Yogibo presents RIZIN.32』にて、現DEEPライト級暫定王者・大原樹里(KIBAマーシャルアーツクラブ)と72.0 kg契約5分3Rで対戦するラウェイファイターの渡慶次幸平(クロスポイント吉祥寺)が、10日(水)都内所属ジムにて公開練習を行った。
ミャンマーの国旗をマント代わりにした渡慶次は最初に、ラウェイの試合前に戦いの儀式として行われる舞いを披露。続いて、鈴木千裕にオープンフィンガーグローブで頭や顔面を一方的に殴らせるという前代未聞の公開練習を始めた。「もっと強くだ」と要求する渡慶次に鈴木のパンチにも力が入るが、「凄く硬いすね、やっぱり。フルスイングで行ったらこっちの手が折れますね。一般の人が殴ったら一発で折れます」と、出血した拳を見せた。
この公開練習の意図を渡慶次に聞くと「これが日常です。いつもやっていることを、みんなが好きそうなところだけを抜き出してやりました。ラウェイではよくやるんですけれど、顔を叩いたり殴ったりして痛さに慣れる練習です。(相手の拳に頭突きをして折ることも?)そういうのはないです。顔を殴られて痛いことに慣れるための練習ですね」と説明。渡慶次によれば「僕は頭蓋骨が何倍か分厚いんですよ」とのこと。
舞いを見せたのは「通常ラウェイは試合前と後に踊るんですが、RIZINのリングでは踊れないので、ここで踊って俺の中で戦いが始まっているぞって感じですかね。もう試合は始まっている、燃えるものが出てくるので」とその理由を話した。
元々はMMAファイターながら、2017年4月以来のMMAでの試合となる。なぜ今、MMAに復帰したかは「RIZINファンって、キックボクシングもあるけれど、どちらかと言えばMMAファンが多いじゃないですか。僕の中でのそういう認識があるので、どうせ出るならMMAで出たいですと言いました。そうしたらいい相手を用意してくれたので最高です」と理由を話す。
しかし、ラウェイに転向してからは「MMAの練習は全然やってないです。ラウェイしかやってない」という。では、今はどういう練習をしているのかと聞くと「YouTubeでMMAの試合を見て、ラウェイの練習をしています」と、特にMMAの練習はしてないとする。それは「リングの上に立ったらそんなに変わらないと思います。頭突きはやらないけれど、頭突き以外は一緒じゃないですか。ラウェイファイター以外に僕は価値がないので。ラウェイをやらないで何をやるというのか」と、あくまでもラウェイファイターとしてRIZINで戦うとした。
「戦いなので。僕もラウェイでもやっていますが投げて失神させたりもあるので、何でもいいんじゃないですか。ルールの中で相手が立てなくなってレフェリーが試合を止めれば何でもいいと思います」
ラウェイ独自の技を出すかとの質問には「ラウェイに特徴的な技は特にないです。技術的なことで言えばボクシングとかキックボクシングとか、MMAの方があると思うんですけれど、ラウェイはミャンマーの国技であって文化なので、テクニックじゃない部分というか。魂を燃やして輝く瞬間を見てもらって感動してもらうっていう。そういう感じなのでテクニックではなくそこを見せたいです」と答える。
「ラウェイでも何回か『これ死ぬな』と思ったことがありますけれど、そういう戦いを経て死ぬことに関して身近になった。遺書も書かなくなったし。今日も必死に生きて、生きてたら明日も必死に生きて、その毎日の中で11月20日が来るというだけです」と、文字通り命を懸けて臨んでいると意気込んだ。
対戦する大原については「打撃が上手ですね。だから他の選手とは出来ない戦いが大原選手とならできる。この試合に全部を懸けて死んでも凄い試合を見せるというか。僕はそこだけの勝負ですね。物凄い試合は見せられるので。それはお約束します」と、“物凄い試合”が出来る相手と評価。
今回は故郷である沖縄での試合。沖縄で試合をするのは3回目で、前回は2012年5月のパンクラス沖縄大会。「もっと特別な想いが出るかと思っていたんですが、どっちかといえばRIZINに出られることと相手が大原選手だということの方が。5連勝しているDEEPのチャンピオンですからね。そっちの方が楽しみというか。たまたま沖縄だから僕が出られたんだろうし、それには感謝しています」と、故郷での試合にも特別な想いはないという。
「ウチの親は格闘技に反対しているので、過去2回も見に来なかったし、今回も来ない。沖縄の友だちからチケットの注文が来たんですが、もうないって即日完売したようです。そういう人たちにはPPVで見てもらえたらなと思います」とも。
また、鈴木みのるのTシャツを着用している理由を聞かれると、「14年前かな。沖縄で初めてパンクラスの試合をした時に鈴木さんも来ていて。僕が血まみれの盛り上がる試合をした日の打ち上げに鈴木さんも来ていて。『お前、隣に座れ』と言われて、『いいか、こういう時はいろいろな人が酒を呑まそうとして寄って来るけれど、一切飲むなよ。長くやりたいならコンディションが一番大事だから。選手としてそこは絶対に間違ってはダメだ』と、守ってくれながらいろいろなアドバイスをしてくれたんです。それが今ラウェイで活躍してRIZINにも出るようになって、沖縄でやると。鈴木さんにその時に声をかけられた言葉があったからこうなっていると思うので、ジャージを貸してくださいと言ったら貸してくれたので“やった!”って感じです」と、鈴木みのるとのエピソードを明かした。