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インタビュー

【PANCRASE】バンタム暫定王者決定戦・6戦全てフィニッシュの井村塁「この勢いのままUFCに行きたい」× 元フェザー級挑戦者・中島太一「しっかりと勝たないといけない相手」

2021/11/10 10:11
 2021年12月12日(日)の「PANCRASE 325」(USEN STUDIO COAST)にて行われる「バンタム暫定王者決定戦」の調印式が10月26日、都内にて行われた。  正規王者ハファエル・シウバ(ブラジル)が、新型コロナウイルスの渡航制限の影響で、来日の目途がたたないため「暫定王者」が立てられることとなった。  32歳の中島太一は前フェザー級タイトル挑戦者。今回から以前のバンタム級に階級を戻し、暫定王座戦に臨む。井村は、デビューから6連続フィニッシュ勝利中の無敗の22歳だ。  ロータス世田谷所属の中島は、PANCRASEでプロデビュー後、ロシアACBなど海外団体でも経験を積み、2018年、再びPANCRASEマットへ。2019年にフェザー級次期挑戦者決定戦でカイル・アグオンに判定で敗れたが、2020年2月大会ではロシアのボリス・フェドロフを相手に判定勝利を挙げた。  2020年9月大会で、現在RIZINに参戦中で元UFCの堀江圭功を相手に「フェザー級次期挑戦者決定戦」を戦い、スプリット判定で勝利。王者ISAOへの挑戦権を獲得し、2021年5月にISAOに判定で敗れている。 最初から最後まで攻めて行く(中島) 【写真】フェザー級からかつてのバンタム級に戻す中島  会見で中島は、デビュー当時にネオブラッド・トーナメントも制している「バンタム級」について、「フェザー級でも、普段の体重はバンタムの人と同じくらいで69kgとかあって。ロシア(ACB)から帰って来たらバンタム級に戻そうと思ってたんですけど、フィジカルの差をあまり感じなかったので、その流れでそのままフェザー級でやってたっていうだけでした。今回はちゃんと脂肪を落として、みんながやっているようなちゃんとした減量をやって、バンタム級に落とすっていう感じなので、これでコンディションを崩すっていうことはまずないと思います」と問題ないとコメント。  練習の動きでも「少しずつ脂肪を切って体重を落としてるんですけど、どんどん体が軽くなって、さらにスピードも上がって来てるので、バンタム級に戻して、また進化した自分を見せられると思います」と手応えを得ていることを語った。  現在の練習環境は、八隅孝平代表率いるロータス世田谷に所属し、フィジカルは佐々木憂流迦も指導を受けるクロスフィットトレーナーのKJコーチにつき、修斗インフィニティリーグ2020バンタム級準優勝の小野島恒太とも一緒に練習しており、「かなり良い練習環境を作れていると思います」という。  練習仲間の小野島は10月の「Road to ONE」で“ケージレスリングの鬼”ぶりを発揮し山本聖悟を判定で完封しているが、中島は「僕は何でもできるファイターだと思っているので、一つに拘ることなくやっていきたいです。その方が自分らしさを発揮できると思うし、持っている強みを生かすためにも試合で色々と仕掛けていきたいです」と盟友とは異なる形で、自分らしさを出したいと語った。  暫定王座を争う井村は6連勝中の新鋭だが、中島は「井村選手のことは最近知りました。勢いがあって若さがあって高い目標があって、素晴らしいと思います」と評しながらも、「積んで来たものが違うっていうところを見せたいですね。6戦しかしてないんで、別に6戦全勝が凄いとかは思わないです。僕も最初は5連勝してたし、まだまだ未知数なところはあるから、油断せず行こうとは思ってます」と、連勝自体を脅威に感じることはないものの、油断はしないという。  PANCRASEバンタム級の王座戦線に一気に駆け上がった井村だが、RIZINに出場中の瀧澤謙太や金太郎、ヒロ・ヤマニハら、かつて上位にいた選手たちとの対戦経験が無いなかで得た挑戦権だ。その点を問われた中島は、「出てきたばかりの選手なのでどれぐらい強いのかもはっきりしていないから上手く言えないのですが……瀧澤選手や金太郎選手、ヤマニハ選手と比べると実績的には下だと思います。しっかりと勝たないといけない相手だと思います」と井村を“飛び級”の選手で中島にとっては取りこぼしてはいけない相手だとした。  その上で「経験の差というか、そういうのを見せたくて。でも、油断すると危ないから、しっかり対策は練って、万全の状態で臨みます。もう20戦以上やって来ているので、そこは見せなきゃいけない」と、修羅場を潜ってきた差を見せて、タイトルマッチの5分5Rを、「前回同様、最初から最後まで攻めて行きます。体力は考えないです」と、フルラウンド攻め続けることを語った。 前戦の感覚が残っているうちに試合をしたいなと思っていた(井村) 【写真】前戦もバンタム級戦を王座戦以外に適用される1ポンドオーバーを使用しなかった井村。常にチャンピオンシップを見据えてきた。  対するNexusenseの井村は、2020年のネオブラッド・トーナメント・バンタム級で、宮平守太郎を腕十字、田中スネ夫ハヤトをリアネイキドチョーク、MG眞介を腕十字、修我を三角絞めで極め、2021年5月には平岡将英を168秒、カウンターの右ヒザ蹴りでTKO。2021年10月17日の「PANCRASE 324」で、ZST現王者のジェイク・ムラタを131秒、三角絞めで極め、1位にランキング。デビュー以来のフィニッシュ勝利記録を「6」と更新し続けている。  会見では、「この間、試合をしたばかりで、まだ感覚が残っているうちに試合をしたいなと思っていたら、この暫定戦のお話をいただきました。12月、しっかり勝って、自分の目標としているUFCに行きたいと思っています」と、はっきりと目標を世界最高峰の舞台だと口にした。  対戦相手の中島については、「僕から見ても、中島選手はけっこうオールラウンドな選手だなと思ってます。中島選手は寝技のイメージがあったんですけど、この間のISAO選手との試合を見て、打撃もけっこうできるんだなって思いました。力的には十分にある選手で、僕からするとバンタム級のなかで頭3つ、4つ抜けている選手だと思っています」と、全局面で戦える選手と語る。 初めての5Rの王座戦、プロ6戦の井村に対し、同級でも“抜けている”中島は14勝11敗1分けと井村の4倍以上のキャリアを誇る。  井村は、「キャリアの差はもうどうしようもないです。自分は今、勢いしかないので、この勢いを潰したくないんで、このまま行きたいなあと思ってます」と連戦で王手をかけたことを前向きにとらえている。  初の5分5Rを「頑張って競り勝ちたい」という井村は現在、所属先のNexusenseと、出稽古で石渡伸太郎率いるCAVEの練習にも参加している。 「毎回、毎回、殺気がある練習で、でも試合と同じ感覚で出来るのがいいなと感じていて、それが実際の試合でも良かったなと思います。前回の試合より確実に強くなっているなと思います。いろいろな人に手合わせしていただいて、その人たちの力を借りているので、結果で返していきたいなと思います」  前回のジェイク戦後の勝利者インタビューでは、セコンドについたNexusenseの黒帯柔術家の森雄大と倉田在俊に感謝の言葉を述べた井村だが、植松直哉Nexusense代表は同日に行われたDEEPの審判員を務めたため、井村のセコンドにはつかなかった。  今回の中島とのチャンピオンシップでも同じ布陣となる可能性については「ダメだと思っています」と歯に衣を着せずきっぱり。井村はコーナーマンとして植松代表の力が必要だとあらためて語った。  最後に「判定になると思いますか?」と聞かれ、「ないです」(井村)、「ないと思います」(中島)と答えた両者。  暫定王座戦で中島が、格と実力の違いを21歳の若者に見せつけるか。それともNexusense、そしてCAVEでも練習する井村がフィニッシャーぶりを発揮して中島をも極め、念願のUFCへと駒を進めるか。
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