グラウンドとケージコントロールで手塚を圧倒する
対するONE10勝4敗のターニは、練習環境の変化に手応えを感じている。
コロナ禍で、マレーシアでも一時はロックダウンが続いたが、「ロックダウンが行われても、トレーニングはできた。家でやったり、友達の家でやったり。結局、やるべきことをやるしかない。毎日トレーニングしないと、試合に出るには不向きな状態になってしまうから」と、そのときのことを振り返る。
現在は「トレーニングキャンプを終えて、多くの点で改善できたと思う。トレーニングの方法、食事、減量、全部これまでとは違うものだった。前のジムを離れて、今は違うジムで違うコーチと練習しているんだ。順調にトレーニングをできているよ」という。
「モナーキーMMA」を辞め、トレーニング・キャンプは、ターニがインストラクターとして働いているクアラルンプールの「ブループリント・マーシャルアーツ」と、「ノース・キアラMMA」で行ってきた。ヘッドコーチはコンラッド・ファーランで、新たにブラジリアン柔術黒帯のオズワルドコーチとも練習している。また、ケアヌ・スッバとも練習を積んできた。
「ノース・キアラ」では、グラウンドコントロールに注力し、「相手をテイクダウンして、長い時間、楽に保てるポジションを取るようにしている。それに、押さえ込むだけじゃなく、よりダメージを与えられるように。ブルーノ(「モナーキーMMA」のブラジリアン柔術ヘッドコーチ)と組んでいた時は、単なるサブミッション狙い的な感じだった。でも、今はそれを変えたんだ」と、ポジショニングの極意を習ったという。
「ブループリント」では、セットアップ、打撃、テイクダウンに取り組んでいる。
「HCのコンラッドも同じような感じだ。コンラッドと別にトレーニングするのは、フットワークだけ。長い間、世界レベルのストライカーになろうとしてきたが、今ではフットワークを使って打撃をセットアップしなければならないと気づいた。そうしたら、自分の打撃がより効果的に使えるようになって、もっと自信を持って勝とうとできるようになったよ」とフットワークも進化したという。
「フットワークに力を入れてきた。だって、テツカは爆弾のような一髪を持っているだろう? KOパワーは物凄いし、彼は相手をKOで倒してきたことで知られているしね」
秋山とスキーロから勝利、しかし岡見とマグワイアに敗戦と、直近4戦2敗のターニは、厳しい挫折を味わった。
「過去3試合は、スプリット判定か敗戦という苦い結果だった。これは次の試合でフィニッシュしなければというモチベーションになっている。最近の結果はハッピーなものではなかったから。
一時は、『ああ、もうダメだ。自分のキャリアは終わった』と思ったこともあった。でもこれもキャリアの一部だし、我慢しなければいけないと思っている。1度か2度の負けで済む人もいるかも知れない。多分、自分はあと2、3敗しないとピークに達せないのかもしれない。
ハビブ(・ヌルマゴメドフ)でもなければ、ハードルを乗り越えずにトップに立てるアスリートなんていない。これは自分のハードルだ。困難を通して学んでいるんだ。100パーセント勝つ自信があるとは言わない。でも、戦い方は分かっているし、ちゃんとやれるって分かっている。今のところは、トレーニングに集中して、自分がコントロールできることに集中しないといけない。それだけだ」
手塚裕之は、26歳のターニがこれまで戦ってきた相手の中でも、最も危険なファイターの一人と言えるだろう。それでも「手塚のノックアウトパワーは歓迎だ。これまでのキャリアで僕がKOされたのは、1度だけだ。その時の相手は、ゼバスチャン・カデスタムだった。それも失神するようなKOでもなかった。どのくらい自分が打たれ強いかわかるだろうね」と、これまでの試合経験に自信をのぞかせる。
「僕はこれまで、強くて危険な選手たちと戦ってきた。僕はテツカより若いけど、彼より経験を積んできたと思う。彼よりもタフな相手たちと戦ってきて、ただ今はキャリアにおいてちょっと上手くいっていなかっただけ。僕にはテツカを倒す能力がある」
勝負のポイントは、やはり組み技だ。
「グラウンド・コントロールだ。 相手をテイクダウンして、グラウンド戦に持ち込むこと。自信があれば、サブミッションかTKOで仕留めたいと思う。シンプルにフィニッシュを狙っている。どのラウンドであろうと関係なくて、とにかくフィニッシュすることに拘りたい。そうでなければ、グラウンドとサークル(ケージ)でのコントロールで圧倒する。3ラウンドを通じて寝かせて、疲れさせる」と、ターニは自身の持ち味を最大限発揮するつもりだという。
果たして、ウェルター級トップ戦線に進むのは手塚かターニか。
RIZINもいいけどさ、
— 手塚裕之 Hiroyuki Tetsuka (@Hiro_tgfc) November 6, 2021
海外団体ONEに出て世界の強豪とタイマン張りにいく米農家ってのもいるんだぜ。
イケてるだろ?舐めんなよ。 pic.twitter.com/9tfpn7PZgF
11月12日(金)配信の「ONE: NEXTGEN 2」は、ONEスーパーシリーズのセーマペッチ・フェアテックスとリッテワダ・ペッティンディーがメインイベントに組まれている。そして、MMAでは手塚vs.ターニのウェルター級戦に加えて、フェザー級で、タン・カイvs.ユン・チャンミンの試合などが行われる。