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【PFL】無敗のケイラ・ハリソンが腕十字で2連覇&100万ドル獲得! レイ・クーパー3世が逆転TKO勝利でUFC&Bellatorに王座統一戦をアピール! 五輪2連覇&女子ボクシング8冠シールズはMMA2戦目で初黒星、元RIZINのカッペローザが王者に

2021/10/28 11:10
 2021年10月27日(日本時間28日)、米国フロリダ州フォートローダーデールのハードロックホテル&カジノにて、「PFL 2021 #10: Championships」が行われた。  2021年の各階級決勝が行われる今大会。メインは、PFL2021年女子ライト級決勝で、米国代表初の柔道五輪金メダリスト(ロンドン&リオ78kg級連覇)のケイラ・ハリソン(米国)と、3連勝中のテイラー・ゴールダード(米国)が対戦。ハリソンが2Rに腕十字で一本勝ちし、12連勝で2連覇達成&100万ドルを獲得した。  ウェルター級決勝では、 レイ・クーパー3世(米国)が、13連勝中のマゴメド・マゴメドカリモフ(ロシア)と対戦。2018年大晦日にギロチンチョークで敗れているマゴメドカリモフのローキック、ヒザ蹴りを浴びて劣勢に立たされるも、3Rに右フックで逆転のTKO勝ち。2連覇を果たしたクーパーはUFC、Bellator王者との統一戦を望んだ。  またメインカードに、米国史上初のボクシング五輪2連覇金メダリストで、プロボクシングではスーパーウェルター級、ミドル級、スーパーミドル級の世界三階級制覇を達成、ミドル級およびスーパーウェルター級の2階級では世界4団体統一(WBA、WBC、IBF、WBO)も達成したクラレッサ・マリア・シールズ(米国)が登場。MMAで2勝を挙げているアビゲイル・モンテス(メキシコ)と対戦した。  試合は、ボクシングで攻勢に立ったシールズは、モンテスのテイクダウンに立ち上がりも見せたが、パウンドも受けてスプリット判定負け。MMA2戦目で初黒星を喫した。  ヘビー級決勝では、元RIZINのブルーノ・カッペローザ(ブラジル)と、ミルコ・クロコップ門下生のアンテ・デリア(クロアチア)が対戦。カッペローザが1Rにダウンを奪い判定勝ち。PFL2021年ヘビー級優勝のベルトを巻き、100万ドルを獲得している。 [nextpage] PFL 2021 #10: Championships 試合リポート&写真 2021年10月27日@ハードロックホテル&カジノ米国フロリダ州フォートローダーデール ▼女子ライト級決勝 5分5R○ケイラ・ハリソン(米国)153.8lb/69.76kg[2R 4分00秒 腕十字]×テイラー・ゴールダード(米国)154.4l(70.03kg※ハリソンがPFL2021年女子ライト級王者に  1R、先に詰めるゴールドダードは右をヒット、しかし右で引き手掴み引き寄せたハリソンは、大内刈でテイクダウン! 左でパウンドを入れながら右足でパス。ハーフから左で脇差しパスガード! サイドを奪うが、ゴールドダードも片足をからめる。  ハーフから左腕をキムラクラッチにとらえ、アメリカーナも狙うハリソン。亀になるゴールドダードにバックから右でチョークを狙いながら細かいパウンド。しかしゴールドダードも腰を切りフルガードに。中腰から右を大きく振るハリソンを掻い潜り、立ち上がる! 右を振るゴールドダードの引き手を掴んだハリソンは払い腰! そのまま袈裟固めもゴング。  2R、サウスポー構えから左ストレートで飛び込むハリソン。左ハイから組んでボディロックテイクダウン! フルガードのゴールドダードに中腰で金網に頭を詰まらせパウンド。右で脇差し、左でパウンドしながらパスガード。マウントから頭を防御するゴールドダードにボディにパウンド。いったん背中を向けたゴールドダードだが、正対したところにハリソンはマウントから腕十字! 両手をクラッチしたゴールドダードだが、ハリソンはそれを切って腕を伸ばして極めた。  2つの金メダル、2児の母となり、2R一本勝ちで、PFL2連覇を果たしたハリソンは、100万ドルの小切手のボードを手に「フロリダに戻り、休んで子供達を学校に連れて、asap(出来るだけ早く)ジムに戻る。ATTに」と語った。 [nextpage] ▼ウェルター級決勝 5分5R○レイ・クーパー3世(米国)169.8lb/77.01kg[3R 3分02秒 TKO]×マゴメド・マゴメドカリモフ(ロシア)170lb/77.11kg※クーパー3世がPFL2021年ウェルター級王者に  日本でも活躍したハワイのレイ・クーパーの息子・レイ・クーパー3世が、ウェルター級決勝で、13連勝中のマゴメド・マゴメドカリモフ(ロシア)との再戦に臨む。  2018年のPFLでは、かつて父が敗れたジェイク・シールズを2度TKOに降し決勝に進出したクーパー3世だが、マゴメドカリモフのギロチンチョークで一本負けで準優勝。  2019年は決勝でデビッド・ミショーを2R 左ボディショットでTKOで優勝、100万ドルを獲得した。2021年もリーグ戦を全勝で勝ち上がると、準決勝でローリー・マクドナルドに判定勝ちで決勝進出を決めた。  対するマゴメドカリモフは、クーパーに2018年に一本勝ち後、2019年も準決勝で対戦予定も体調不良により棄権。2021年はリーグ戦初戦を欠場後、カーティス・ミランダーをエゼキエル・チョークで極め、8月にサディボウ・シに判定勝ち。決勝進出した。  1R、ともにオーソドックス構え。左から右の鋭いローキックを当てるマゴメドカリモフ! さらに右ロー。しかし左ローが股間に入り、中断。再開。  左右から詰めてボディロックから持ち上げ、パワフルにテイクダウンはマゴメドカリモフ! バタフライガードのクーパーはダブルアンダーで両脇差し防御。ブレークに。  スタンド再開。右ローをカーフに蹴るマゴメドカリモフ。さらに右ストレートで前に。かわすクーパーは圧力をかけ右を振るが、潜って回るマゴメドカリモフは金網づたいにサークリングする。  2R、先に距離を潰すクーパー。下がりながら左ハイを狙うマゴメドカリモフだが距離が足りない。ならばと右ヒザを突くが、それをキャッチしたクーパーは右で差して金網に押し込み、ハイクロッチから左足も掴み、ダブルレッグテイクダウン!  クローズドガードのマゴメドカリモフは、上体を立ててオモプラッタ狙いも潰すクーパーは左のパウンドを当てて左に片足をパス。半身に起こすマゴメドカリモフに左のパウンドを振る。さらにマゴメドカリモフの左脇に頭を突っ込み、ハーフのまま肩固め! ここは腕を戻すマゴメドカリモフ。バタフライガードから足を腰にあて、距離を取るもゴング。  3R、右を当てたマゴメドカリモフに、詰めてダブルレッグはクーパーだが、片ヒザを着いてすぐに立ち上がり、右カーフキックを当てて詰めるのはマゴメドカリモフ! さらに大振りになったクーパーの左右をかわし、右ストレート! クリンチのクーパーの頭を下げさせてヒザ! 離れても右ストレート、右カーフキックを効かせる。  金網背にするも右を当てて左も振って押し戻したクーパーは、マゴメドカリモフの右アッパーにカウンターの右フック! さらに詰めての右フック! マゴメドカリモフが後方に倒れ、すぐにクーパーは中腰のまま左のパウンド! レフェリーが間に入った。クーパーは苦境を脱し、逆転のTKO勝利で2021年PFLウェルター級王者に輝いた。  試合後、クーパーは、「いいファイトだった。相手のローキックは良かったけど、言った通り、すべての面で僕が上回っている。子供の頃からチェーンレスリングをやってきたし、18歳で王者にもなった。僕がベストだ。UFCチャンピオン、Bellatorチャンピオンと統一戦をしたい。ここが僕の家だ」と語った。  PFLで同級のトップファイターをすべて倒したクーパーは、2019年の優勝と合わせて200万ドル(約2億2千万円)を獲得。この試合を持ってフリーエージェントとなる。まだ28歳の“ブラダボーイ”は、果たしてどの団体に向かうか。  UFCウェルター級王者はカマル・ウスマン、1位はコルビー・コヴィントン、2位はギルバート・バーンズ、3位はレオン・エドワーズといった強豪揃い。Bellator王者はヤロスラフ・アモソフ、1位がマイケル“ヴェノム”ペイジ、2位がドゥグラス・リマ、3位がジェイソン・ジャクソン、4位がネイマン・グレイシーといった布陣だ。果たしてクーパーの次戦はどこになるか。 [nextpage] ▼女子ライト級 5分3R○アビゲイル・モンテス(メキシコ)154.4lb/70.03kg[判定2-1] ※29-28×2, 28-29×クラレッサ・シールズ(米国)155.8lb/70.66kg  米国史上初のボクシング五輪2連覇金メダリストで、プロボクシングではスーパーウェルター級、ミドル級、スーパーミドル級の世界三階級制覇を達成、ミドル級およびスーパーウェルター級の2階級では世界4団体統一(WBA、WBC、IBF、WBO)も達成したクラレッサ・マリア・シールズ(米国)が登場。MMAで2勝を挙げているアビゲイル・モンテス(メキシコ)と対戦した。  地球上で最高の女子ボクサーの一人であるシールズは、6月のMMAデビュー戦で、元Bellatorファイターのブリトニー・エルキンに逆転のTKO勝ち。4カ月後の今大会では、2012年のアマチュアボクシングでの戦い以来、9年ぶりに敗北。プロボクシングで11戦無敗の王者は、プロ初の黒星を喫した。  1R、ともにオーソドックス構え。詰めるシールズにモンテスは前足にローキックを細かく突く。そこに左右の連打から左で差して金網に押し込んだシールズ。しかし、右で差し返したモンテスが体を入れ替える。  金網を背にするシールズ。モンテスの頭を押し下げようとするが、モンテスはダブルレッグへ。ここを差し上げ凌いだシールズだが、押し込まれたまま。ゴング間際にモンテスは離れ左右を振る。  2R、先に圧力をかけるシールズ。モンテスの右ローをかわしてワンツーで前に出るが、モンテスは左で差してハイクロッチに組み左足をリフトしようとする。さらに右脇を潜り、足をかけてバックテイク狙いも、すぐに正対すると、左から右、さらに右を伸ばすが遠い。右フックが大振りになったところに、モンテスはカウンターのダブルレッグテイクダウン!  ガードの中に入れるシールズは背中を着けるが、金網際で上体を立てようとする。その足を引き出され再び背中を着けるシールズだが。すぐに金網まで這い立ち上がるがゴング。  3R、左右で詰めてついに右を当てたシールズ! クリンチから右で差して投げようとするモンテスに左で小手に巻いて凌ぐと、モンテスも金網まで押し込み崩す。そこで右手を着いてすぐに立ち上がったシールズは左で差して押し返し、スタンドに! 右の強打で前に出るが、ここも右を強振したところにモンテスはダブルレッグテイクダウン! マット中央で背中を着いたシールズはハーフガードに。  モンテスのパウンドを避けるシールズだが、左肩でアゴを押すモンテスが背中を着かせ、ついにマウントへ! 残り15秒をパウンドのラッシュでゴングを聞いた。  判定はなぜか2-1(29-28×2, 28-29)のスプリットに割れ、モンテスが勝利。五輪2連覇&女子ボクシング8冠のシールズはMMA2戦目で初黒星。次戦は12月にバーミンガムでボクシングで世界戦を戦うことが決まっているが、その後は再びMMAのトレーニングに戻るという。 [nextpage] ▼ヘビー級決勝 5分5R○ブルーノ・カッペローザ(ブラジル)236.4lb/107.22kg[判定3-0] ※49-45×2, 48-47×アンテ・デリア(クロアチア)243lb/110.22kg※カッペローザがPFL2021年ヘビー級王者に  MMA13勝5敗のカッペローザは2018年7月のRIZINでイリー・プロハースカに1R KO負けを喫して以降、PFLで3連続KO・TKO勝ちで決勝に駒を進めた。  ミルコ・クロコップ門下生のデリアはMMA19勝4敗。チャンドラー・コールをTKO、デニス・ゴルツォフを判定で降し、決勝進出。カッペローザには5月に1R KO負けを喫している。  1Rに右でダウンを奪うカッペローザ、マウント&パウンドも打ち下ろすと肩固めも狙う。1R終了間際にデリアがリバーサル、立ち上がり反撃。ダブルレッグはカッペローザが切る。  2Rに右を効かせたデリアがボディロックテイクダウン。左でオーバーフックするカッペローザから左腕でパウンド! さらにサイドからノースサウスチョーク狙い、がぶりアナコンダチョークも、外れて下になったデリアをカッペローザがバック奪いパウンド。  3Rも先に右を当ててラッシュのカッペローザ。しかし、ケージ背に打ち返すデリアはダブルレッグへ。差し上げたカッペローザ。体を入れ替え小外刈り、ダブルレッグを仕掛けるもデリアも凌ぐと離れて逆にダブルレッグに。切るカッペローザ。  4Rもカッペローザが攻勢に。ワンツーからデリアのタックルを切ってバックに。背後からパンチも正対するデリアがテイクダウン。鉄槌を打つデリアに立ち上がるカッペローザ。  5R、カッペローザが右ローから詰めてダブルレッグテイクダウンからトップを奪い、パウンド。背中を見せたデリアのバックに乗るが、前に落としたデリアだが、すぐに立ち上がりダブルレッグはカッペローザ。パウンドをまとめてゴング。  判定は3-0(49-45×2, 48-46)で、1Rにダウンを奪ったカッペローザが要所でポイントも奪い判定勝ち。PFL2021年ヘビー級優勝のベルトを巻き、100万ドルを獲得した。 ベルトを手にしたカッペローザは、家族から父が先週の日曜日に他界した事を、試合後に告げられた。試合に集中してもらうため、家族は試合後まで父の訃報を伝えないようにしていたという。 [nextpage] ▼フェザー級決勝 5分5R○モヴィッド・ハイブラエフ(ロシア)145lb/65.77kg[判定3-0] ※50-45×3×クリス・ウェード(米国)145lb/65.77kg※ハイブラエフがPFL2021年フェザー級王者に [nextpage] ▼ライトヘビー級決勝 5分5R○アントニオ・カルロス・ジュニオール(ブラジル)204.4lb/92.7kg[1R 3分49秒 リアネイキドチョーク]×マールシン・ハムレット(ノルウェー)205lb/92.99kg※カルロスがPFL2021年ライトヘビー級王者に [nextpage] ▼ライト級決勝 5分5R○ハウシュ・マンフィオ(ブラジル)155lb/70.31kg[判定3-0] ※48-47×2, 49-46×ロイック・ラジャポフ(タジキスタン)155lb/70.31kg※マンフィオがPFL2021年ライト級王者に
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