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レポート

【HEAT】イゴール・タナベがMMAデビューで三角絞め一本勝ち! 野瀬翔平が“聖帝”極める。岡野裕城が次期挑戦者に

2021/10/20 14:10
 2021年10月17日(日)、愛知県名古屋市の名古屋国際会議場イベントホールにて「HEAT 49」が開催された。MMAでのメインイベントとなる第13試合では「HEAT MMAライト級次期挑戦者決定戦」が行われた。  岡野はMMA15勝12敗1分け。修斗では松本光史、川名雄生、田中有に敗れているが、TFCでジュン・セヨンに判定勝ち。2019年9月の「Road To ONE :CENTURY」では、PANCRASEランカーのアキラを2R KOに降している。2019年11月の前戦・田中有戦判定負けから約2年ぶりの再起戦で、ベルトに繋がる試合をモノにできるか。  対する菅原はMMA6勝6敗1分け。2019年6月の修斗「闘裸男24」で久保昌弘にリアネイキドチョークで一本勝ち後、同年11月にリトアニア「King of Kings 80」で2R TKO負け。2021年3月に宮路智之に2R TKO勝ちで再起を果たしている。 ▼HEAT MMAライト級次期挑戦者決定戦 5分3R○岡野裕城(マッハ道場)70.5kg[判定3-0] ※29-28×3×菅原和政(マスタージャパン福岡)70.2kg  1R、サウスポー構えの菅原。オーソドックス構えの岡野は、左ジャブを伸ばす。喧嘩四つの前手争いのなか、菅原は前手の右フックを振り、左ミドルハイをガード上に当てる。  右ローを返す岡野。ジャブを上下に突き、圧力をかける。左回りとなり左ミドルを当てて左ストレートを狙う菅原。岡野は右ボディストレート、右ミドルと腹を攻める。左ミドルを返す菅原。  左で前手を払いながら詰める岡野は左ジャブ! さらに右ミドルもヒット。菅原も左ストレートと左ハイ。しかし岡野は右から左の逆ワンツーで金網に詰める。互いにジャブの刺し合い。岡野は右インロー、右ミドルを当てる。菅原の左ミドルにバランスを崩して尻餅を着いた岡野。すぐに立ち上がると菅原が前蹴りで詰めたところでブザー。終盤にいい印象を残す。  2R、左回りでジャブから右ミドルを入れた岡野。詰める菅原は左ハイを返していく。菅原の左を距離でかわした岡野が詰めると、菅原は左で差して回して岡野をケージに押し込む。岡野のギロチンのプレッシャーに離れる菅原。右で差して金網に押し込む岡野は、左足を小外にかけて右手をハンドルのように上に回してテイクダウン!  クローズドガードを取る菅原のアゴ下に頭をつけて頭を殺すと、左右にパス狙い。左にパス仕掛けたところで、菅原は背中を見せて立ち上がり。そのバックに跳び乗る岡野は両足をかけてバックマウントに。背後からパウンドし、リアネイキドチョークも狙いながら、身体を伸ばすと、正対してきた菅原にマウント&パウンド。うつ伏せに戻す菅原は腕で頭をガードして残り時間を凌ぐ。  3R、リズムよく右インローから入る岡野。右前蹴りも。菅原は左はかwされるが、飛び込んでの前手の右フックをヒット。岡野は右ローを返し前へ。そこにカウンター気味にダブルレッグテイクダウンは菅原!  岡野の左脇に頭を入れ、肩固め狙いの菅原。岡野は右ヒジをマットに着いて這うと金網使い上体を立てて左で差し返して立ち上がり。ボディロックから左に崩してテイクダウン! すぐに立ち上がり来た菅原のバックに乗り、着地すると背後からボディロック。金網背に正対しようとする菅原。しかし、岡野は左足をかけにいく。  さらに右足を腿にあてていた菅原の足をシングルレッグで掴んでテイクダウン! すぐにバックに回るが、菅原はかけられていた左足を手で外し、亀から立ち上がり。左で差す岡野に正対しヒザ蹴り。しかし、スペースを潰した岡野はシングルレッグへ。  その頭が下がったところに菅原は左ヒジを落とすと、岡野の右手をキムラロックに極めたままスイッチ。クラッチを外し、がぶりから脇を差し上げて上になろうとするが、その際でバックテイクは岡野。立ち上がる菅原を背後からボディロックし崩そうとするが、菅原も凌ぎ、前転から足関節を狙ったところでゴング。  判定は3-0(29-28×3)で組みで上回った岡野が勝利。草MAXが持つHEATライト級王座への挑戦権を手にした。 [nextpage] ▼第11試合 HEAT MMA バンタム級(61.2kg)5分3R○野瀬翔平(マスタージャパン福岡)61.2kg[1R 1分09秒 後ろ三角絞め]×土肥 潤(総合格闘技道場 MIBURO)60.6kg  菅原と同門のマスタージャパン福岡からは野瀬翔平も参戦。MMA5勝2敗2分けの野瀬は、柔道時代の首の大怪我を乗り越え、2018年7月にMMA転向。4勝2分けを負け無しで勝ち進んだが、2020年9月に工藤諒司に1R KO負け。2021年2月の「Road to ONE: 4th Young Guns」では吉野光にスプリット判定負けで2連敗。3月のRISE WESTではキックルールに挑戦もカットでドクターストップとなっていた。2021年7月の修斗で齋藤翼に判定勝ちで再起を果たしている。今回の土肥潤戦の1カ月半後の12月5日の「闘裸男26 広島」では奇天烈との対戦も決定。連戦に臨む。  対する土肥は、PANCRASEバンタム級8位。『北斗の拳』の聖帝サウザーに声が似ていることから“聖帝”の異名を持つグラップラーだ。ハンセン玲雄、瀧口脩生を相手に2連勝後、2019年11月の「DEEP&PANCRASE大阪」で三村亘にスプリット判定負け。2020年7月に関原翔に判定勝ちも2020年12月に花レメ紋次郎TKに判定負け、2021年4月のPANCRASE大阪大会では元UFCの手塚基伸に判定負けで、3年ぶりの連敗を喫した。しかし、2021年6月のGLADIATORで中村公彦に2R リアネイキドチョークで一本勝ち。GLADIATORバンタム級王者の竹本啓哉への挑戦をアピールしていた。  “聖帝”らしく『北斗の拳』のテーマ曲で入場の土肥に対し、菅原は師匠・弘中邦佳から継いだ『Perere』で入場。レフェリーはアマゾン杉江が務める。  1R、ともにサウスポー構え。先に前足の右ミドルをガード上に当てるのは野瀬。さらに左カーフキック! 左ミドルとリズムよく攻める。さらに左カーフを当てると、詰めてきた土肥に右フック。  土肥は組んで両腕をオーバーフックし引き込み。左腕を抜いた野瀬。左でコムロック気味に絞る土肥だが、野瀬は左にパス。土肥はシングルレッグから立ち上がろうとするが、後ろ三角絞めに入ると、背後から土肥の左腕も狙う。  両手でクラッチする土肥だが、それを剥がした野瀬は右足を土肥の腰にフックして正対させず。土肥がタップした。  HEATバンタム級王者の春日井たけしは、10月2日の『RIZIN LANDMARK vol.1』で今成正和のアメリカーナに一本負け後、引退を表明しており、バンタム級王座戦線はどう動くか。 [nextpage] ▼第8試合 HEAT MMA ミドル級(83.9kg8) 5分3R○イゴール・タナベ(IGLOO)83.4kg[1R 0分57秒 三角絞め]×清水洸志(MMA RANGERS GYM)83.8kg  イゴールはプロMMAデビュー戦。4月の「HEAT48」でアンディ・コングとグラップリングマッチを戦い、オーバータイムで腕十字を極めたタナベは、かねてから予告していたMMA挑戦をケージのHEATで迎えることになる。2021年9月4日のJBJJF全日本ノーギ選手権ではスーパーヘビー級、無差別の全試合を腕十字で勝利しダブルゴールドを獲得している。  対する清水は、プロMMAデビュー戦ではあるが、2019年10月にTHE OUTSIDER 54に出場した時点でアマチュア8勝2敗。2021年4月のアマ修斗EXトーナメントでは決勝でアラン・チャンバーズを下してミドル級で優勝している。  子供を抱いて入場のイゴールは、開始のブザーにグローブタッチの左手を伸ばした。  1R、サウスポー構えの清水にオーソドックス構えのイゴールは左前手を伸ばすと、先に軽く左アウトサイドローを突く。  右手はしっかりアゴに置くイゴール。清水の左ミドルはかわす。前手を伸ばしたまま近づくイゴールに清水は左のダブルをかすめるが、かわしたイゴールは左で差して組んで四つに持ち込むと、右足で小外がけでテイクダウン!  そのままマウントになり、金網背に倒れる清水をすぐに横に寝かすと、下から抱きつく清水の右手を剥がして、下に押し付けて左足を越えると、三角絞めをセットしながら下に。右手のグローブを首もとに遺している清水だが、イゴールはそのまま清水の頭を手前に引き付ける。  足をバタつかせブリッジで逃れようとする清水だが、動きが止まり失神。レフェリーが試合を止めた。  テイクダウンから素早い極めを見せたイゴールは、再び子供を抱いてケージの中で、「皆さん、初めまして。IGLOO/TEAM ONE所属のイゴール・タナベです。今回、来てくださった皆さん、ほんとうにありがとうございます。デビュー戦だから、あんまり偉そうなことはいいたくないんで、ひとつだけ館長にお願いがあります。記念すべき50回大会では必ず、ぜひ僕を出してください。盛り上げる自信があるんで」と、次回大会出場を希望。  続けて、「いろんな方にお世話になっていて、一番目に、日頃から僕を支えてくれている奥さんに感謝をしてもしきれないくらい感謝しています。それに僕がMMAを始めたのは、僕にMMAを教えてくれている住村(竜市朗)さんのおかげなんで、来週、東京で試合(10.23 DEEPで米田奈央と対戦)があるのにわざわざ来てくださり、ありがとうございます」と、第9代DEEPウェルター級王者の住村に感謝を語った。  最後は「スポンサーもデビュー戦なのについてくれて、ほんとうに皆さんに感謝しています。僕はほんとうにMMAをやると決めたからには、世界一を目指して頑張るので、皆さん応援よろしくお願いします。ムイート・オブリガード、オス」と、頂点を目指す目標を語った。 [nextpage] HEAT49 2021年10月17日(日)名古屋国際会議場イベントホール ▼第15試合 HEAT KICK ミドル級タイトルマッチ 3分5R〇アビラル・ヒマラヤン・チーター(志村道場)[1R 0分57秒 TKO]※ドクターストップ×藤村大輔(K-1 GYM相模大野) ▼第14試合 HEAT KICK ライト級王者決定戦 3分5R〇安川侑己(志村道場)[判定2-0]×北川裕紀(ZERO ONE GYM) ▼第13試合 HEAT MMA ライト級次期挑戦者決定戦 5分3R×菅原和政(マスタージャパン福岡)[判定0-3]〇岡野裕城(マッハ道場) ▼第12試合 HEAT MIXルール(非公式戦)59kg 3分2R―鈴木万李弥(志村道場)[2R 0分22秒 パウンド] ※勝敗なし―中井りん(修斗道場四国) ▼第11試合 HEAT MMA バンタム級(61.2kg)5分3R×野瀬翔平(マスタージャパン福岡)[1R 1分09秒 三角絞め]〇土肥 潤(総合格闘技道場 MIBURO) [nextpage] 内藤啓人が片島聡志に判定勝ち ▼第10試合 HEAT KICK 55kg 3分3R〇内藤啓人(BELLWOOD FIGHT TEAM)[判定2-0]×片島聡志(フリー) [nextpage] ノラシンが一仁を衝撃KO ▼第9試合 HEAT KICKHEAT 58kg 3分3R〇ノラシン・スペチアーレジム(大石ジム)[2R 2分17秒 KO]×一仁(真樹ジム一仁(真樹ジムAICHI) ▼第8試合 HEAT MMA ミドル級(83.9kg) 5分3R〇イゴール・タナベ(IGLOO)[1R 0分57秒 三角絞め]×清水洸志(MMA RANGERS GYM) [nextpage] フライ級でユン・テスンが御代川聡志に判定勝ち ▼第7試合 HEAT MMA フライ級(56.7kg)5分3R〇ユン・テスン(志村道場)[判定3-0]×御代川聡志(パラエストラ柏) ▼第6試合 HEAT KICK ライト級(60.0kg)3分3R〇三輪裕樹(K-1 GYM相模大野)[3R 1分27秒 KO] ※カーフキック×嶋田将典(Stay Gold) ▼第5試合 HEAT MMA フェザー級(65.8kg)5分3R〇倉本拓也(志村道場)[3R 2分43秒 TKO]※ドクターストップ×坂本大地(パラエストラ柏) ▼第4試合 HEAT MMA フライ級(56.7kg)5分3R×森下”塾長”コウキ(Mustard Seed)[3R 1分29秒 TKO]※パウンド〇堺 龍平(MMA RANGERS GYM) ▼第3試合 HEAT KICK 60kg 3分3R〇ワンチャルーム・スペチアーレジム(大石ジム)[判定3-0]×ポッシブルポッシブルKK(Sublime guys・翔拳道) ▼第2試合 HEAT KICK ミドル級(70.0kg)3分3R×堀越拓実(パラエストラ柏)[判定0-3]〇夜叉猿(力道場静岡) ▼第1試合 HEAT MMA 100kg 5分3R〇ヨコヤマクレガー(パラエストラ柏)[1R 0分59秒 TKO]※パウンド×凡人ツチヤマン(和術慧舟會若杉道場)
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