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【DEEP】平松翔が右フックで一撃KO、海飛を担架に乗せる。日本拳法出身・古賀愛蘭が竹林愛留に寝技で完勝、村上彩が玉田育子に鮮やかな腕十字

2021/10/17 21:10
DEEP TOKYO IMPACT 2021~2nd ROUND2021年10月17日(日)東京・新宿FACE ▼第8試合 DEEPバンタム級 5分2R○平松 翔(パラエストラ松戸)[1R 1分03秒 TKO]※右フック×海飛(和術慧舟會HEARTS)※吉村海飛  海飛こと吉村海飛は、極真会館山口支部出身。2015年に全日本高校生空手道選手権で優勝し、その後はTEAM TEPPENでアマキックを経験。現在は、大沢ケンジ代表率いる和術慧舟會HEARTS所属で、2020年12月のPANCRASEアマチュア全日本オープントーナメントライト級優勝。さらに2021年3月のDEEPフューチャーキングトーナメントフェザー級でも優勝し、この2つのトーナメントで7試合連続KO勝ちをマークした。  その後、『格闘DREAMERS』で漆間蒋生にスプリット判定勝利。6月19日の「DEEP TOKYO」では、山口コウタのテイクダウンに苦しみながらも、サウスポー構えからの右の蹴りを当て、最後はギロチンチョークで一本勝ちし、DEEP本戦初勝利を飾った。しかし2021年7月のDEEP2戦目で佐藤拳駿のギロチンチョークに捕まり、スプリット判定負けで初黒星。  平松は2019年3月のプロデビューで、小川顕広戦を96秒リアネイキドチョークで極めたが、12月に小林博幸に判定負けを喫すると、2020年11月に日比野“エビ中”純也にも判定負けで2連敗中。共に再起を懸けてのメインイベントでの激突となった。  1R、平松はサウスポーの海飛に右ミドルと右フック。この右ミドルを的確にヒットさせる。海飛は様子を見ながら右フックを合わせにいくが、回り込もうとしたところへ平松が電光石火の右フック。モロにアゴにもらった海飛は半回転しながら倒れ、完全に失神。平松が鉄槌で追撃したところでレフェリーがストップした。  衝撃のTKO勝ちを収めた平松はコーナーに登って雄叫びをあげる。海飛は担架で運ばれた。  マイクを持った平松は「6月に怪我してしまって雅(駿介)選手との試合が流れてしまったんですけれど、一応無傷なので来週(23日の後楽園ホール大会)よければ試合できたらと思います。バンタムでもキャッチウエイトでも何でもいいです」とアピール。リングサイドの佐伯繁代表に「無理に決まってるだろ!」とツッコミを受けていた。 [nextpage] ▼第7試合 DEEP JEWELS49kg以下 5分2R×竹林愛留(総斗會三村道場)[判定0-3]※20-18×2、19-19(マスト:古賀)○古賀愛蘭(TEAM FAUST)  竹林は福井県の女子高生ファイター。6歳から兄とともに空手を学び、空手では拳幸塾に所属。禅道会の全日本ジュニアRF武道空手道選手権大会・中学生女子の部で優勝するなど、18歳ながらキャリアは10年に及ぶ。総合格闘技では、club DEEP等で活躍した水野宏幸代表率いる総合格闘技ジム総斗會三村道場でMMAに取り組み、空手で鍛えた打撃を武器にアマチュアで3戦3勝。  昨年大晦日の『RIZIN』では、急遽決まった将来を嘱望される10代の女子高生同士の試合「RIZINチャレンジマッチ」に出場。同じ17歳(当時)の“サブミッション系女子”さくらと大舞台での対戦に臨んだが、体重超過のさくらに1R1分37秒、腕十字で一本を取られた(公式結果はノーコンテスト)。  正式なプロデビュー戦として臨んだ今年6月の『DEEP JEWELS 33』でも同じ女子高生の音波と対戦し、キャリアに優る音波から判定3-0でプロ初勝利を奪っている。また、同試合の前日計量ではボコボコに割れた見事な腹筋を披露したことも話題に。前回9月大会では井上智子に判定3-0(20-17×3)で完勝、連勝を飾っている。  今回対戦する古賀は2019年の桜丘高校日本拳法部時代に全国高校日本拳法選手権大会で女子個人戦優勝の実績を持つ。2021年3月の『DEEP JEWELSアマチュア』に出場し、アマチュアSPルールで悠花に判定勝利。ヒザ蹴りも得意とするストライカーで、7月のプロデビュー戦ではパンナコッタみのりをなんと1Rわずか18秒、左フックでマットに沈めた日本拳法仕込みの女子離れした強打を見せつけている。  1R、両者とも軽快なフットワーク。竹林は右ローから左ミドル、そして左フックとコンビネーションをいずれもヒットさせる。古賀は怯まず出入りしながらの右ストレート、竹林はこれに右ストレートを返して蹴りまでつなげる。古賀が飛び込んでの一発を放つたびに、竹林は3発返すスピードを見せるが、古賀のバックステップも速く蹴りは空振りさせる。  左フックを顔面とボディに打ち分ける古賀に竹林が組み付いてコーナーへ押し込むが、古賀はすぐに体勢を入れ替えてヒザ蹴り。四つ組みでの強さも発揮する。ブレイク後、蹴りを出しながらプレッシャーをかける竹林に古賀は左フック。竹林は古賀の左フックに右ハイを合わせたが、古賀は肩で受け止めて足を持ち上げテイクダウン。  抑え込む古賀は上体を起こすとパウンド、さらにバックからのパンチ。起き上がる竹林だが、古賀はバックから持ち上げての投げを見舞う。古賀はゴングが鳴るまでサイドバックからボディへヒザを打ち続けた。  2R、竹林はパンチと蹴りで攻め込むが、左ハイで足を滑らせて転倒し、古賀にトップを奪われる。すかさずパウンドを打ち、トップをキープする古賀。竹林の下からの腕十字に腕を引き抜くとパウンドを打ち、再び抑え込む。竹林はシザース、ブリッジと返そうとするが古賀はバランスがいい。  古賀が腕十字に来たタイミングで起き上がった竹林はガブるが、古賀にシングルレッグでまたもテイクダウンされる。そしてパウンド。古賀はストライカーかと思われていたが、寝技でも強さを発揮。スタンドに戻ると右フック、右ローを放つ古賀に左ハイ&右ミドルで勝負に行った竹林だが、古賀にボディロックからテイクダウンされて万事休す。  竹林のブリッジ、リバーサルを全て潰して力強く抑え込み、古賀がパウンドを入れて試合終了となり、古賀の判定勝ちとなった。 [nextpage] ▼第6試合 DEEPバンタム級 5分2R○宮島夢都希(KRAZY BEE)[判定3-0]※20-18、20-17×2×山本有人(リバーサルジム東京スタンドアウト)  KRAZY BEEの宮島は3勝1敗。2019年MWJ杯バンタム級優勝後、PANCRASEで2020年ネオブラッド・トーナメントに出場し、高杉遼介、大谷啓元をいずれも3R TKOに降し準決勝進出。修我にスプリット判定で敗れている。2021年6月にサイバー遼に2R TKO勝ちで再起。今回がDEEP初参戦となる。  対する山本は、リバーサルジム東京スタンドアウトで瀧澤謙太、関原翔、山本歩夢らと練習。2019年12月にZST PRE-STAGE 87で腕十字で一本勝ち後、2021年3月のDEEPフューチャーキングトーナメント2020にフェザー級出場。バンタム級でDEEP本戦初出場となる。  1R、宮島は左ミドルを蹴り、左ストレートか右フックへつなぐ。両者とも打撃からテイクダウンを狙うがなかなか倒せず。先にテイクダウンしたのは宮島だが、すぐに山本が立つ。宮島は両手を低く下げた状態からスピードのあるパンチを繰り出し、山本は右ヒジ打ちで対抗。  山本がボディロックからテイクダウンするも宮島はすぐに立ち、山本は組んだまコーナーへ押し込むが宮島は離れて左ストレートを打ち込んでいく。  2R、左ミドルと速い左ストレートとフックを繰り出す宮島。山本はミドルをキャッチしてテイクダウンに行くが宮島はすぐに立ち上がり、逆に山本をテイクダウン。バックを奪ってのパンチとチョーク狙い。サイドに移行するとヒジを落とし、山本の立ち上がり際には顔面へヒザ蹴り。  これに膝を着いた山本へ宮島はパウンドとヒジを落とす。そこからは宮島が山本を立たせず、パウンドを打っていく展開が続いた。最後に山本がシングルで意地のテイクダウンをして試合終了。  鋭い打撃を繰り出し、グラウンドコントロールでも優った宮島の完勝となった。 [nextpage] ▼第5試合 DEEP 55kg以下 5分2R○中村真人(レンジャーGYM)[判定3-0]※19-18、20-18×2×根本元太(パラエストラ柏)  根本は、伊澤星花と同じ下野サンダーキッズでレスリングを学び、作新学院時代にボクシングでインターハイ学校対抗優勝に導いた主将。パラエストラ柏に入門し、2021年3月にプロデビュー。キンタ・ジ・エンド、多湖力翔に判定勝ちで2連勝中。  対する中村は、フィリピンと日本のハーフ。9歳からグローブ空手を始め、15歳からアマチュアの試合に出場。2018年5月のマッハ祭りでは澤田良を1RでKO。Fighting NEXUSで3連敗後、ダバオで強化合宿を積み、2019年12月にDEEP初参戦。2019年12月のDEEP93では香港出身のサイモン・シェに判定勝ち。2020年3月には多湖力翔にも判定勝ちで連勝も、2週間後のグアムBrawlで腕を負傷TKO負け。2021年6月の前戦で4連勝中の林豊にパウンドでTKO負けし、2連敗中だ。  1R、根本のジャブに中村は左ミドル。ローを連発していく中村はいきなりの左オーバーハンドからダブルレッグ。根本はフロントチョークの体勢に。首を抜いた中村はマウントからバックチョークへ。根本はリバーサルでトップを奪うとパウンド。中村は脇をくぐってバックを奪うと再びチョークを仕掛けていく。  2R、根本がボディロックから足を払ってテイクダウン。パンチを入れる根本に中村はコーナーを背にして立ち上がる。中村は大内刈りで投げるとバックを奪い、チョーク狙いから頭部へのヒジ。そしてパンチを入れながらチョーク、腕十字を狙う。  殴りながら肩固めに移行する中村。ドントムーブ直後に根本がリバーサルするも中村がすぐに上を奪い返し、根本はフロントチョークの体勢に。極まらないと見るや根本はパウンドを狙ったが、中村が起き上がってトップを奪い返して試合終了。  巧みな寝技を見せた中村が判定勝ちを収めた。 [nextpage] ▼第4試合 DEEP JEWELSミクロ級 5分2R×玉田育子(AACC)[1R 3分33秒 腕十字]○村上 彩(フリー)  村上は全日本柔術選手権2018茶帯ルースター級優勝&柔術アジア選手権2018茶帯ライトフェザー級優勝の実績を持ち、現在は黒帯(女子最速記録)。元キャバ嬢であることを隠さず、プログラマーとして働き、YouTuberでもあり、休日はコスプレイヤー(試合入場時にもコスプレを披露)としてイベントに参加するなど様々な顔を持つ。  2020年2月のアマチュアDEEP JEWELSで初MMAに挑み勝利したが、7月大会のオープニングファイトでは竹田有里に判定負け。しかし、その試合内容が評価され、10月に出場選手の欠場を受けて急遽本戦に抜擢。須田萌里と対戦し、女子では珍しい足関節技の攻防を繰り広げるなどスピーディーな試合展開で話題を呼んだ。2021年は「アトム級GP 2021」出場にも抜擢されたが1回戦は不戦勝、準決勝は自身の病気で棄権と一戦も行わず終えることに。9月の復帰戦では国内最小最軽量の女子MMAファイターちびさいKYOKAから腕十字で勝利している。  今回がプロ3戦目となる村上だが、早くも強敵が用意された。対戦相手の玉田はグラップリングからスタートし、2005年7月に修斗でプロデビューした大ベテランで“ジョシカクの鉄人”と呼ばれる。デビュー戦以降は4敗2分と勝ち星に恵まれなかったが、8戦目から突如覚醒。連勝を重ねて当時のトップ選手たちを破り、2010年6月にトーナメントを制してVALKYRIE女子フライ級王座に就いた。  2015年9月の『VTJ』での浅倉カンナ戦以来、試合から遠ざかっていたが2019年3月のDEEP JEWELS後楽園ホール大会で3年半ぶりに復帰。マドレーヌに判定勝ちを収め、10月もKOTORIに判定勝ちと連勝。しかし、2020年2月には古瀬美月に敗れた。今回はそれ以来の試合。MMA戦績は17勝11敗3分。  1R、開始と同時にシングルレッグに来た玉田をかわし、すかさずバックを奪う村上の速い動きに場内からどよめきが起こる。バックからのチョークを狙う村上に玉田はブリッジ。  しばらくその状態が続き、レフェリーからの「アクション」コールで村上はバックから玉田を殴る。玉田は村上の右腕を持って潜ろうとしたが、村上はすかさず玉田の左腕をつかむと腕十字。  この早業にまたも場内からはどよめきが起こり、村上がそのまま腕十字を極めて鮮やかな一本勝ち。レジェンド超えに成功した。 [nextpage] ▼第3試合 DEEP JEWELSバンタム級 5分2R×熊谷麻里奈(K-Clann)[判定0-3]※18-20×3○ゆりな(フリー)  熊谷は“北の女武芸者”と呼ばれるマルチファイターで、元々はアマチュアボクシングで活躍しキックボクシングに転身。さらに2018年5月にはMMA、同年9月には素手にバンテージのみを巻いて戦う超過激格闘技ラウェイにも挑戦した。2020年8月と9月の『DEEP』でKINGレイナとキックボクシングルールで連戦して1勝1敗。2020年12月からは本格的にMMAに参戦するもケイト・ロータスとTe-aに連敗中だ。  対するゆりなは、柔道出身。コンバットレスリングや柔術の大会で経験を積み、アマチュアDEEP JEWELSではMMAとグラップリングで勝利。2020年10月にミッコ・ニルバーナとデビュー戦も2R パウンドでTKO負けとなっており、今回1年ぶりの試合で2戦目を迎える。  1R、ローを蹴る熊谷にゆりなはシングルレッグから組み付く。押し込まれた熊谷だがヒザ蹴りを入れながらバックへ回る。向き合ったゆりなは払い腰でテイクダウンを奪うとコーナーを背にして座った状態の熊谷へ顔面へパンチ。  一度立ち上がって投げようとしたゆりなだが、熊谷は堪えてブレイクに持ち込む。右フックを放つ熊谷にゆりながダブルレッグ。そのままコーナーへ押し込む、体勢を入れ替えた熊谷はヒザ蹴り。しかし、ゆりなが首投げ&払い腰で再びテイクダウン。熊谷が起き上がろうとしたところでゴング。  2R、右フックを繰り出す熊谷にすぐにゆりながダブルレッグ。熊谷はコーナーを背にしてテイクダウンを防ぎ、体勢を入れ替えてヒザ蹴り。ブレイク後も熊谷がパンチを放つとすぐにテイクダウンに行くゆりな。投げでテイクダウンを奪うと上から抑え込み、コツコツと鉄槌を打つ。熊谷はブリッジで返そうとするがことごとくゆりなに潰される。  ブリッジで何とか起き上がった熊谷だがゆりなは離さず、首投げで豪快にテイクダウンすると袈裟固めで抑え込みながら顔面を殴る。  判定3-0でゆりなが2戦目で初勝利を飾った。 [nextpage] ▼第2試合 DEEPウェルター級 5分2R×涌井 忍(和術慧舟會HEARTS)[1R 3分28秒 KO]※右ストレート○コマネチゆうた(Y&K ACADEMY)  1R、ゆうたは左右ローをバンバン蹴っていき、ワンツーから左ミドルと打撃のコンビネーションをつなげていく。桶井は蹴られながらも前に出てプレッシャーをかけていき右ロー、左フック、右ストレート。  手数の少ない桶井にゆうたは力強い左右ローと左右フック。そして前出てくる桶井に右ストレートを直撃。バッタリと倒れる桶井。ゆうたはパウンドで追撃しようとしたがすぐにレフェリーがストップ。  ゆうたが豪快なKOで勝ち名乗りを上げた。 [nextpage] ▼第1試合 DEEP バンタム級 アマチュアSPルール 3分2R×木村琉音(K-Clann)[判定0-3]※18-20×3○熊谷海人(夕月堂本舗)  1R、速い左フックとミドルを見せた木村にダブルレッグで組み付く熊谷。ロープの反動で木村が上になるが、熊谷は下から三角絞めをセット。すぐに外して立ち上がる木村だが、熊谷が再びテイクダウンしてマウントに。そのまま初回を終えた。  2Rもスピードのある打撃を繰り出す木村だが、すぐにダブルレッグでテイクダウンされ、マウントを奪われてしまう。パウンドがないためしばらくその体勢が続き、腕十字を狙った熊谷を木村がリバーサル。  しかし、熊谷は三角絞めに。持ち上げて外し、スタンドに戻した木村に熊谷はすぐにダブルレッグでテイクダウン。最後はボディにパンチを落として熊谷が判定勝ちした。
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