2021年10月15日(金)シンガポール・インドアスタジアムにて、キックボクシング&ムエタイの立ち技のみの大会「ONE: FIRST STRIKE」が開催される。
そのメインイベントで、ONEフェザー級キックボクシング世界タイトルマッチ(王座決定戦)として、スーパーボン・バンチャメーク(タイ)が、ジョルジオ・ペトロシアン(イタリア)と対戦する。
スーパーボンは、バンチャメークジムでブアカーオの弟子にあたり、2009年10月にはムエタイであのゲーオ・フェアテックスからも勝利。クンルンファイトで2016年世界トーナメントを制して世界にその名を轟かせた。
戦績は111勝(26KO)34敗。この5年間での敗戦は、わずか3試合で、2016年にシッティチャイ・シッソンピーノン、2017年にエンディ・セメラー、2018年にマラット・グレゴリアンに敗れるも、2020年7月のONEではシッティチャイにリヴェンジを果たしている。あらゆる体勢から繰り出すミドル&ハイキックを得意とし、首相撲でも強さを発揮するテクニシャンだ。
対するペトロシアンはこの14年間で黒星は2013年11月のアンディ・リスティ戦のみ。しかし、2007年5月にはK-1スカンジナビアでブアカーオ・ポー.プラムックとドローになっており、スーパーボンとしては、師匠の鬱憤も晴らしたいところだ。
スーパーボンは、ペトロシアンにプレッシャーをかけて5ラウンドの戦いに持ち込むつもりだと明かしたが、ペトロシアンのゲームプランが揺らぐのは極めて稀だ。驚異的なファイトIQを持つペトロシアンの遠間からの鋭角なカウンターと、スーパーボンの重い蹴りと総合力の高い攻撃のぶつかり合いになるか。
両者はこれが待望の初対決。ONEフェザー級キックボクシング世界タイトルの初代王座を争うにふさわしいカードの実現となった。
インタビューで、「ペトロシアンの弱点を見つけた」というスーパーボンは、師匠ブアカーオへの想い、マラット・グレゴリアンへのリベンジ、そしてロッタン・ジットムアンノンがDJを相手に挑戦するミックスルールへの興味についても語っている。
大会の模様は、2021年10月15日(金)の午後9時30分より、ABEMA 格闘チャンネルとONE公式アプリにて生配信される。
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ペトロシアンはヒザを受け止めきれない
──今回の対戦相手、ペトロシアンは今までで一番手強い相手ですか。
「僕は偉大で伝説的なボクサーやアスリートたちと対戦する機会をもらう度に、嬉しく思います。ただ、ペトロシアンが僕が対戦してきた中で最もタフな選手だとは思っていません。私にとっては、シッティチャイが対戦した中で最もタフな相手だと思っています」
──この試合での勝利の鍵はどこにあるでしょうか。
「僕はこの試合に勝てる自信があります。彼のこれまでの試合を研究してきました。今回の試合で彼に勝つために多くのゲームプランを用意してきましたし、誰も気付いていない彼の多くの弱点も見つけました。ペトロシアンは、2013年からずっと同じ戦い方をし続けていると感じています。彼はずっと同じことを続けていますが、僕は違う。それに僕の方がスピードがあるし、より良いゲームプランがあるので、今回の試合で彼に勝つ自信があります」
──ペトロシアンは他の対戦相手たちとどのように違いますか。
「ペトロシアンのこれまでの試合を研究して、彼はヒザを受け止めきれないということが分かりました。彼の強みは、強烈なパンチと、素早い打撃。 その打撃技術は危険ですね。パンチを打ち込むことができ、信じられないほどのパワーと正確さでキックする、とても強いファイターですね。
だけど、先手を打ってチャンスがあればいつでも攻撃することで、対抗したいと思います。それに、彼はこれまでに対戦してきた他の選手と変わらないなとも思います。シッティチャイと比べても、似ている部分が割とあると思います。特別な感じでなく一般的な感じです。100%、自信を持って自分が勝てると言えますね」
──自分の強みと弱みについてはどう思いますか。自分が優れていると思うのはなぜですか。
「自分には弱点が無いと思っています。 強みは、総合力の高いファイターという点です。ムエタイの経験もあるので、多様なムエタイの技術をキックボクシングでも使えます。そして、彼よりも経験を積んでいます。僕はアスリートであり、ファイターです。戦う前に、その試合に負けると思ったことはありません。毎回、試合前には自分が勝者であると意識しています。常にそうです。そうすることで、試合に勝つためのモチベーションを高めることができますし、私はいつもそうしてきました。これがこの質問の答えです」
──この試合でのゲームプランについて少しお伺いできますか。
「彼は、蹴りやストレートなどの遠い距離からの武器を使って、前に出て攻撃してくると思うので、間違いなく自分とのクリンチは避けてくると思います。一貫して前に出て、クリーンヒットを狙い、打ち続ける。打ち合うチャンスがあれば、迷わずそうする。今回の試合は、お互いの知恵と戦術が試されるものになると思います」
──ペトロシアンのように長く世界で評価されているファイターとの対戦は緊張しますか。
「僕は緊張しませんね。いつもの試合と同じです。ただ今回は、これまでの試合と違ってベルトが懸かっています。あそこにはチャンピオンベルトがあって、自分がそれを持ち帰るのが待ち切れないです」
──ブアカーオにどのように影響を受けましたか。彼と同じような功績を残せると感じますか。
「ブアカーオとは一緒に練習していましたし、彼は僕の兄のような存在であり、先生でもあり、僕の全てです。なので、彼と自分を比較したくないです。そして、私は自分自身のことを毎日成長してきたと思っています。彼と過ごしてきた時間の中で、彼のテクニックについては多くを学びました。それを自分に適応させることができます。僕は、彼のようなレジェンドになりたいです」
──多くの人がペトロシアンの素晴らしさ、偉大さを語っています。
「彼はファイターだと思っています。彼は自分がやるべきことをやっています。僕は彼を大いにリスペクトしていますし、人々が彼をどう扱いたいかということも尊重しています。世間が彼を伝説の存在にしたいのであれば、僕も彼を伝説と呼びましょう。でも、彼も一人のアスリートであり、弱点が無いわけではありません。僕には弱点が見えていますし、それを試して勝ちたいですね。そして、この試合で誰がベストなのかを知りたいです」
──この大会の他のカードで気にしている試合はありますか。
「ワールドグランプリの全試合に注目していますよ。あの選手達がいるからこそ、全員と勝負したいという気持ちになるんです。タフであり、楽しくもなるでしょう。自分もあのトーナメントの仲間に入りたいくらいですが、僕はジョルジオ・ペトロシアンを相手として、世界タイトルマッチに出ますからね」
──トーナメントの優勝候補は誰だと思いますか。
「シッティチャイはこのうち6人に勝っているので、彼が優勝すると思います」
──マラット・グレゴリアンについてはどう思いますか。
「彼とはもう一度戦いたいですね。彼をリスペクトしていますし、彼は強いファイターですが、もう一度戦って彼を打ち負かせることを証明したいですね」
──キックボクシング界で最大級の大会になると思いますか。
「今まで見てきたONEの中で最高の対戦カードが揃った大会だと思います。ONEには世界から最高のキックボクーが集結していますし、世界中の人々が興味を持っていますからね。最高ですね」
──キックボクシング界は成長していると思いますか。この大会がキックボクシング界の成長に役立つと思いますか。
「間違い無いですね。僕たちのような選手だけでなく、ファンやトレーナーにも興味を持ってもらえると思います。世界的な関心を集めることができます。だから、この質問の答えは間違いなく“YES”ですね」
──タイを代表して戦うことについてお聞かせください。
「僕はどこに行っても試合のたびに、常にタイを代表しています。世界中の人々から僕はタイ人と呼ばれています。つまり、どこに行ってもタイを代表しているということです。僕はムエタイで育ちましたが、今でも僕のキャリアにとっては、ムエタイが一番だと思っています」
──ONEで好きなファイターはいますか。
「ONEで好きなのはロッタンですね。なぜなら彼はパフォーマーだからです。世界中の人々を楽しませることができるから。彼の試合を見るのはとても楽しいですよね。でも、ONEでなければブアカーオと言いたいですね。彼は僕にもっと良いファイターになるように刺激を与えてくれました。」
──ロッタンとデメトリアス・ジョンソンのミックスルールの試合についてはどう思いますか。
「このようなミックスルールを見たことがなかったので、かなり新鮮に感じます。ロッタンはムエタイで成功していて、DJはMMAの天才です。僕にもこのようなチャンスがあれば興味がありますね。いつになるか分かりませんが、やってみたいです」
──もしミックスルールで試合をするなら対戦相手は誰が良いですか。
「僕はMMAをやったことがないので、この質問は難しいですね。コナー・マクレガーですかね。簡単に倒すことができそうです」