KNOCK OUT 2021 vol.42021年9月25日(土)東京・後楽園ホール
▼第8試合 初代KNOCK OUT-BLACKスーパーフライ級王座決定トーナメント決勝 3分3R延長1R○花岡 竜(橋本道場)判定3-0 ※30-29×3×濱田 巧(team AKATSUKI)※花岡が初代王座に就く。
ワンデートーナメントの決勝戦は、準決勝で空龍を判定3-0で降した花岡と、心直を初回KOした濱田で争われた。
1R、右ローを蹴る濱田に花岡は左右フックから左ミドル。パンチか蹴りへ確実に繋げていく花岡は流れるような攻撃。花岡は攻撃がほとんど単発ではなく、パンチと蹴りを織り交ぜて3~4発つなげていく。濱田はしつこく右ローを蹴り、右フックを強打。この右フックが花岡を捉えるが、花岡は蹴り足をキャッチしてコカし、流れを変える。
2R、サウスポーに構える花岡に濱田は右三日月蹴り。花岡はオーソドックスに戻る。右に左にと構えを変える花岡はミドルを蹴り、前蹴り、後ろ蹴り、左ボディと反撃。濱田はm着いカーフキックから左フック、前へ出てくる花岡にバックハンドブロー。花岡も負けじと左ミドルをクリーンヒット。お互いにヒットを奪い合う展開でスリリングな攻防が続く。
3R、濱田はジャブ、右ストレートを当てていき、花岡もコンビネーションで蹴りを当てていく。蹴りのカウンターで濱田が右を叩き込み、花岡がコーナーへ吹っ飛ぶ。濱田のバックハンドブローをかわした花岡が右フックを放つと濱田がかわす。花岡の右ハイがヒット。両者次々と攻撃を繰り出し、多彩な技が飛び交う。両者とも手数を出し合い、ノンストップバトルはほぼ互角の内に終了。
最後に持ち前の回転力を活かして技を畳みかけた花岡が判定3-0で勝利。王座決定戦にふさわしい熱闘だった。花岡も思わず涙ぐむ。
マイクを持った花岡は「ずっと小学生の頃から育てていただいた(橋本)師範、ありがとうございました。今日は2回戦目でしょぼい試合をしてしまい控室で悔しがっていたんですけれど、師範にアドバイスをもらって切り替えて勝つことできました。これが終わりじゃないので強い最手とやって勝っていきたいと思います」と宣言した。
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▼第7試合 スーパーファイト KNOCK OUT-RED -53.0kg契約 3分3R延長1R×白幡裕星(橋本道場/KNOCK OUT-REDスーパーフライ級王者)判定0-3 ※28-30×2、28-29○サンチャイ・TEPPEN GYM(タイ/TEPPEN GYM/元ラジャダムナンスタジアム認定ミニフライ級王者)
白幡はアマチュアで多数の経験を積み、2018年10月にプロデビュー。2019年12月1日にはMuayThaiOpenスーパーフライ級王座を獲得。2020年2月には老沼隆斗との王者対決を行い、延長戦にもつれ込む接戦の末に惜敗。8月大会では老沼に挑戦経験のある濱田巧、12月大会では元REBELS-MUAYTHAIフライ級&スーパーフライ級王者・松崎公則を破り、2021年2月の老沼とのタイトルマッチでの再戦でリベンジを果たした。6月にはプロボクシング元日本ライトフライ級王者の悠斗を破っている。戦績は11勝2敗1分。
サンチャイは現在、那須川天心らが練習するTEPPEN GYMでトレーナーを務め、戦績は97勝(34KO)29敗3分。ラジャダムナンスタジアム認定ミニマム級王座のほかにS-1チャンピオンシップ102ポンド(46.26kg)王座にも就いたことがある。2019年4月の『REBELS』で老沼隆斗に判定2-0、2020年12月の『BOM』では大崎孔稀に判定2-1でそれぞれ惜敗。2021年4月の『BOM』では石井一成にKO負けしている。
1R、サンチャイが右ミドルからの右ストレートを多用。白幡が右フックを打って回り込んだところへ、サンチャイが右フックを打ち込んで白幡がまさかのダウン。立ち上がった白幡は飛び込んでの左ストレート、左ミドルを見舞う。サンチャイも右ミドルを蹴り返す。左ストレートを2発打ち込む白幡。サンチャイが首相撲でコカそうとすると白幡もコカし返そうとし、両者がグルグルと回って転倒。
2R、ロープを背負うサンチャイは白幡の攻撃を受けておいて、いきなりの右強打。白幡は飛び込んでの左ストレートで応戦する。左を見せておいての右ボディも。よく伸びる左ストレートがサンチャイを捉えるが、距離が詰まりすぎて組まれてしまう。サンチャイは前蹴りで白幡をけん制し、入ってくると組み付いて押し倒す。
3R、飛び込んでの攻撃を見せる白幡だが、サンチャイに組まれてしまい攻撃が続かない。一発当たっても全て一発で終わってしまう。ボディにも打ち込む白幡だがやはり組まれてしまい、コカそうとしてもサンチャイは腰が強い。ヒジでの逆転を狙った白幡だがコカされて終わり、ダウンを奪ったサンチャイが勝利を収めた。
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▼第6試合 初代KNOCK OUT-REDバンタム級王座決定戦 3分5R延長1R×安達浩平(team AKATSUKI/元J-NETWORKバンタム級王者)TKO 3R 1分10秒 ※左ヒザ蹴り○響波(Y’s glow)※響波が初代王座に就く。
安達は右ローキックと首相撲からのヒザ蹴りを武器に、2019年5月のJ-NETWORKで延長戦の末に日畑達也を右ボディブローでKOして同団体の王座に就いた。今回は2本目のベルトを目指す。戦績は10勝(2KO)4敗2分。
響波は空手出身で多彩な足技を持ち、MA日本キックボクシング連盟とJ-NETWORKでランキング入りした。戦績は7勝(4KO)6敗。
2020年2月29日大会より6選手参加により開幕した「初代KNOCK OUT-REDバンタム級王座決定リーグ戦」は、コロナ禍で大会中止や延期が相次いで当初の予定からリーグ戦の期間が延びたため、参加6選手のうち、古村光(FURUMURA-GYM)がスーパーバンタム級に階級アップ、Mr.ハガ(ONE'S GOAL)が長期休養となり、それぞれリーグ戦への参加を辞退。前田伊織(北流会君津ジム)も現役引退でリーグ戦への参加辞退を申し入れ、最終戦で工藤“red”玲央を破ってリーグ戦をトップで終えた安達と、第2位の響波によって王座決定戦が争われることとなった。
1R、響波は左右のカーフキックで前足を狙い、左の三日月蹴りも突き刺す。響波のジャブ、ハイキックで安達はなかなか近付けない展開。ボディを打ってきた響波にようやく安達の左フックがヒットし、終盤にも右ストレートがヒット。そこで間合いを詰めると組んだ安達が右ヒジでダウンを奪う。
2Rも左右カーフキックとジャブで突き放しにかかる響波だが、安達は右フック、右ローを当てる。響波は左右に構えをスイッチして左右のストレート。安達は手数は少ないが右ロー、ワンツー・スリーでしっかりとヒットを奪う。安達はガードをしっかりと固めてアゴを引き、響波のパンチをおでこで受ける。
3R始まってすぐ、安達が右フックでダウンを追加。しかし響波は立ち上がった直後に首相撲に持ち込み、アゴをヒザで突き上げてダウンを奪い返す。足元がフラつく安達はなんとか立ち上がるも、響波のフック、そして左ヒザを顔面に突き上げられて2度目のダウン。ここでレフェリーがストップし、響波が逆転KO勝ちで初代王座に就いた。
響波はマイクを持つと「何を言うか全然考えてなかったんですけれど凄いベルトの重みを感じています。ここまで来れたのも家族で会長でもあるお父さんといつも優しくしてくれるお母さんと兄弟、応援してくれる皆さんのおかげだと思っています」と声を詰まらせながら語った。
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▼第5試合 KNOCK OUT-RED 54kg契約 3分3R延長1R×石川直樹(team Lit)判定0-3 ※29-30、28-30×2○ユット・ZERO(タイ)
石川は元ジャパンキック・フライ級王者で、5月のプレ旗揚げ戦、8月の旗揚げ戦ともにメインを務めたジャパンキックのエースだったが、今回からフリーに。首相撲からのヒザ蹴り・ヒジ打ちを得意とする。
ユットはキックボクシングジムZEROのタイ人トレーナー。2019年2月の『BOM』に出場し、加藤有吾にKO負け、2020年10月の『BOM』では福田海斗にTKO負けを喫している。
1R、両者とも慎重に相手の出方を見る。サウスポーのユットは左ミドル、からかうようなカカト落とし気味の蹴りを出し、石川が前に出ると組み付く。
2R、石川の蹴りをキャッチしたユットは右フックで崩すと、ロープにもたれかかった石川に右ミドル。石川は左ローを蹴っていくが、ユットも左ローを蹴り返す。ユットがパンチでも蹴りでも先手を取る形に。疲れが見えてきたユットに石川は右フックを見舞うが、組まれてしまう。
3R、オーソドックスになったユットは右ストレート、右ローを出しつつもフェイントを仕掛けて試合を流し始める。石川は前へ出て右ヒジを出すが、ユットも石川の蹴り足をキャッチして引き込むと左ヒジを見舞う。攻めあぐねる石川を右ミドルと組みではぐらかし続けるユット。判定3-0でユットが勝利した。
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▼第4試合 KNOCK OUT-BLACKライト級 3分3R延長1R○大谷翔司(スクランブル渋谷/INNOVATIONライト級王者)KO 2R 0分21秒 ※左フック×麻火佑太郎(PHOENIX/元TENKAICHI Gライト級王者)
大谷は陸上自衛隊出身。2016年にデビューし、2019年1月にはREBELS-MUAYTHAIライト級タイトルへの挑戦を経験(ドロー)。他団体の王者クラスと試合経験を積み、2020年8月にはJAPAN KICKBOXING INNOVATIONで紀州のマルちゃんを破り、INNOVATIONライト級王座に就いた。12月にはKNOCK OUT-BLACKライト級バズーカ巧樹とノンタイトルマッチで対戦し、ダウンを奪って判定2-0で勝利。しかし、今年5月のタイトルマッチでの再戦では逆にダウンを奪われて判定負けで王座奪取に失敗した。戦績は12勝(5KO)6敗3分。
麻火は、元TENKAICHI Gライト級王者。K-1甲子園-60kgベスト4、KAMINARIMON×新空手最強決定戦-63kg優勝、全日本格斗打撃選手権大会優勝などの実績を持つ。KNOCK OUTとREBELSでキャリアを積み、2月のREBELSでは紀州のマルちゃんを初回KOに沈めたが、5月大会では古村匡平と接戦を演じるも判定2-0で敗れた。戦績は9勝(1KO)6敗。
両者の対戦は今年2月にも組まれていたが、大谷の欠場で流れた経緯がある。
1R、大谷は右ストレート&左フック、麻火は左ストレートでいきなり打ち合う。大谷は左へヘッドスリップしての右ストレートを多用するが麻火は顔色ひとつ変えない。麻火の左ミドルに表情が険しくなる大谷。麻火は大谷の右ストレートをまともにもらっても顔色ひとつ変えず前へ出て左ストレートを直撃させた。
2Rすぐに麻火は右ストレート連打で襲い掛かるが、ロープを背にした大谷が右ストレートから左フックを打ち抜いた。前のめりにダウンする麻火。足がいうことをきかず、大谷の豪快KO勝ちとなった。
大谷はマイクを持つと「前回負けて、今回こういういい勝ち方ができて凄く嬉しいです。会場にチャンピオンいるかどうか分からないけれど、俺はKNOCK OUTのベルト諦めてないからな。待ってろよ」と、バズーカ巧樹への再挑戦を誓った。
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▼第3試合 KNOCK OUT-BLACK -63.5kg契約 3分3R延長1R×Apollo中山(GOD SIDE GYM)延長R 判定0-3 ※9-10×3○般若HASHIMOTO(クロスポイント吉祥寺)※本戦の判定は28-27、28-28、28-28。
般若は被弾しても止まらない前進で会場を沸かせる攻撃型ファイター。勝利した試合のほとんどをKO勝利しており、過去にはKrush、HEAT、巌流島、超過激格闘技ラウェイなど様々なリングでの試合を経験。元グラディエーター武士道キックフェザー級王者。2018年8月の『RIZIN』では内藤大樹とも対戦している。2020年11月、シュートボクシングでは村田聖明に判定負けを喫している。戦績は7勝(4KO)7敗4分。
中山は2021年KNOCK OUTアマチュア・アダルト65kgトーナメント優勝。33歳で1勝(1KO)1分と遅れてきた新人だ。
1R、サウスポーの般若に、中山は左右にスイッチしながら軽快なステップを踏み強烈なフックとローを繰り出す。般若は顔面へフックを見せておいて右のボディを強打。打ち合いになると右を上手く当てる中山だが、般若は右ミドルをクリーンヒット。
2R、打ち合いを続ける中、フックを空振りしたところに右フックをもらって般若がダウン。ジャブ、右フックで先手をとられる般若はフックを空振りするところを狙われる。
3R、逆転を狙って般若が左右フックで何度もアタックを仕掛ける。右フックを被弾する般若だが、相打ちの右フックで中山がグラつく。右ボディから左フック、左右フックとヒットを奪う般若だが中山は倒れず左フックを打ち返す。般若の右フックで中山のマウスピースが吹っ飛び、ダウン寸前に。般若が猛攻を仕掛けて左右フック連打、中山はほぼノーガードで浴び続けたが立ち続けた。
本戦の判定はジャッジ1名が中山を支持したがドロー! 般若の執念が実を結んだ形だ。延長R、相打ち覚悟の右フックを打ち込む般若。中山はステップで回り込む。パンチの打ち合いでは中山がヒットを奪うが、中山は一歩も退かず前へ出て右フックで中山のマウスピースを吹っ飛ばす。左右フック、そしてボディと猛攻を加える般若のパンチをもらい続ける中山だが、それでも立ち続けるガッツを見せる。般若のラッシュに最後まで耐え抜いた。
判定は3-0で般若。執念の逆転KO勝ちと、ガッツを見せた中山に惜しみない拍手が送られた。
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▼第2試合 初代KNOCK OUT-BLACKスーパーフライ級王座決定トーナメント準決勝2 3分3R延長1R○花岡 竜(橋本道場)判定3-0 ※29-28、30-29×2×空龍(空修会館)※花岡が決勝へ進出。
花岡はアマチュアで28冠王を達成し、122勝20敗15分という驚異的な戦績を引っ提げて2019年春に中学卒業後すぐにプロデビュー。2020年8月のINNOVATION主催興行で王座認定戦を行い、勝利して無敗のまま王座に就いた。今年2月のNO KICK NO LIFEで吉成士門に惜敗してプロ初黒星を喫したが、5月のKNOCK OUTでは四冠王の松崎公則に2RでTKO勝ち、7月の同大会では那須川天心や鈴木真彦らと対戦したウィサンレックからも勝利を収めた。“平成最後の怪物”と呼ばれている。戦績は8勝(3KO)1敗1分。17歳。
空龍は17歳の新鋭ながら7勝(3KO)1分と8戦無敗。ジュニアキック出身で高いレベルのテクニックを持つ。広島在住。
1R、軽快なステップを踏むサウスポーの空龍は左ロー、左ミドル、花岡も蹴り返しつつ右ストレートを思い切り放つ。スピードのある左ストレート、左ローを放つ空龍に花岡は右の三日月蹴り、右ミドル、そしてボディストレート。お互いに矢継ぎ早に攻撃を繰り出し、攻防が止まらない。
2R、組んでもすかさずヒザを打ち合う2人。花岡は左ローで崩しての右ミドル、すかさず右ストレートと連続攻撃。空龍も負けじと手を出すが、徐々に花岡の回転が上回ってきた。花岡はヒザも突き刺し、空龍のボディを狙う。パンチで攻め込もうとする空龍だが、花岡は蹴りから首相撲のヒザ蹴りにつなぐ。空龍が組んでも休ませない。
3R、花岡は離れて右ミドル、組みとヒザ蹴り連打から首相撲でコカす。空龍のパンチは当てさせずに蹴りを入れ、コカしにいく花岡。空龍は倒そうとパンチで猛攻を仕掛けるが、花岡は当てさせずに蹴り、組むとヒザ蹴り。
最後まで諦めないファイトを見せた空龍だが、判定3-0で花岡が勝利。濱田の待つ決勝へ駒を進めた。
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▼第1試合 初代KNOCK OUT-BLACKスーパーフライ級王座決定トーナメント準決勝1 3分3R延長1R○濱田 巧(team AKATSUKI)KO 1R 2分06秒 ※右三日月蹴り×心直(REON Fighting Sports Gym)※濱田が決勝へ進出。
濱田はREBELS軽量級のトップ戦線で活躍し、ひとつの引き分けを挟んで6戦負けなしと絶好調だったが、10月の『KNOCK OUT×REBELS』で国内トップクラスの実力者・大崎孔稀に惜敗して連勝がストップ。2019年12月にはREBELS-MUAYTHAIスーパーフライ級王者・老沼隆斗のタイトルに挑戦して善戦したが判定で敗れた。前戦では5月大会で酒井柚樹を相手に熱戦を展開して延長戦で勝利をもぎ取っている。戦績は11勝(5KO)7敗1分。26歳。
心直は“プロフェッショナルシスト”健太を師匠に持ち、ジュニア時代はNJKFアマチュア大会で45kg級王者に。プロデビュー後、J-NETWORKではフライ級新人王となり、同級4位にランクイン。2020年9月の新日本キックで元日本フライ級王者・泰史から勝利を奪う番狂わせを起こした。12月のREBELSでも延長戦までもつれ込む接戦で老沼隆斗を苦しめ、2月のシュートボクシングでは伏見和之から勝利。戦績は5勝(1KO)6敗2分。20歳。
1R、濱田は心直の前足にローとカーフキック、サウスポーの心直はいきなりの左ハイ。心直はその左ハイを多用する。再開後、濱田は右の三日月蹴り。もう一発刺すと心直は腹を抑えてダウン。
何とか立ち上がった心直だが、濱田がもう一発右三日月を蹴り込むとその場にうずくまり、濱田が幸先のいい勝利で決勝進出を決めた。