2021年9月12日(日)東京・後楽園ホール『RISE GIRLS POWER.5』にて、RISE QUEENフライ級王者・小林愛三(NEXT LEVEL渋谷)とSuper Fight!の-49.5kg契約3分3R延長1Rで対戦する、同ミニフライ級王者・寺山日葵(TEAM TEPPEN)が2日(木)千葉の所属ジムにて公開練習を行った。
寺山はミット打ちでワンツー・スリーからヒザ蹴り、右ミドル、左ローから右ミドルとコンビネーションを繰り出し、終盤には技を4発つなげるコンビネーションも。さらに後ろ蹴りを3度見せ、珍しくバックハンドブローも放つなど多彩な技を披露した。
ミット打ち後は「追い込み中で疲労が溜まっているのもあってキレが出ていないですけれど、抜けたらある程度は動けると思っています」と、それでもキレが出ていないと自己分析。
7月大会より50kg以下の試合は4オンスのグローブが使用されるようになり、「4オンスグローブをカード発表の会見後から使い出して1カ月ちょっと使っています。小さいし、今使っているのが子供用のサイズなので中も狭くて全体的に小さいですね。これで殴り合うのかと思ったら最初はぞっとしました(笑)。スパーリングは4オンスでは出来ないので、相手を殴る感覚は試合で初めて味わうのかなって感じはしますけれど。自分が打つ分では4オンスと6オンスの違いは練習で感じました」という。
その違いは「小さくなるので今まで6オンスだったらガードが出来たものが出来なくなるとか細かいことが変わるので、多少は影響ありますが大幅に変わることはないかな」とディフェンス面で感じているようだ。
小林とは2019年7月のRISE QUEENミニフライ級王座決定トーナメントの決勝戦で当たる可能性があったが、小林が1回戦で計量オーバーのため失格となり、実現しなかったという経緯がある。
「2年前にやるかもしれなかったのもありますし、その前にも2回くらいやるかもしれないっていうことがあって。それが流れ流れて、今回になったのもそういう運命だったのかなって思います。お互いRISEの王者になっての今回の試合は、何か特別なものがあるんじゃないかなって感じています」
小林のイメージは「ダイナマイトガールって(キャッチフレーズが)付いているイメージそのもの。ファイトスタイルもバチバチしていてアツいものがあってそのイメージですね」と評し、「相手が誰であれ自分の戦い方を貫くことに変わりはないですし、今回も自分らしさ全開で相手の光を潰せるように頑張って行きたい」と、ダイナマイトの火を消すような戦い方をしたいとする。
相手が一階級上の王者ということでパワー差が気になるところだが、「会見の時はフィジカル強化を頑張るって言ったんですけれど、フィジカルってすぐにつくものじゃないので。やっぱりパワーだと私の方が不利だと思うので、パワー差では不利でも他のところで補えば試合は勝てると思うのでそんなに気にしてないです」とし、その補うものは「距離感とか試合のペースの持って行き方は自分の方が長けているのかなと思っているので、相手の光を消すじゃないけれど、自分の戦い方で相手の距離感にさせず試合が出来たらなと思っています」だと答えた。
6月の引退試合で小林とエキシビションマッチを行った紅絹は、小林の「眼が怖い。試合をする相手は怖いだろうなって思った」との感想を述べていたが、寺山は「そういう選手の方が怖さもありますけれど、過去にもそういう選手と何度か戦っているので、愛三選手だからといって怖いとかはないです」と特別な怖さは感じていないという。
両者ともに蹴りが主武器であることについては「愛三選手の蹴りは凄く奇麗で練習の時にお手本にさせていただいていたので、自分がお手本にしていた上に見ていた選手と戦えるのは…自分も自信を持っているのは蹴りの方なので、しっかり蹴り合っていい試合が出来たら」と、小林の蹴りを参考にしていたと明かし、本家と蹴り合っても負けないようにしたいとする。
「愛三選手はしっかり蹴ってくるイメージがあるので、パワーがある分メリットとデメリットがある、隙が出来たもあるので、自分の蹴りで愛三選手の奇麗な蹴りを上回れるように練習しています」と自分と小林の蹴りの違いについて話し、そこに攻略のヒントがあるようだった。
バックキックやバックハンドブローなどの派手な技をミット打ちで披露した理由は「ちょっと挑戦ですね。前からミットとかでちょこちょこやっていたんですけれど、なにせ不器用なので、最近やっとミットに当たるようになってきた、対人でも出せるようになってきたので。そこを狙っていく気はないですけれど、引き出しのひとつで持てたら面白いのかなと思ってちょこちょこ練習しています。対人とかマスでも出したり当てられるようになってきたんですけれど、最初はミットすら当たらなかったので(笑)。まだまだノビシロがあるんだなって感じています。出せるタイミングとか、試合中に思い浮かんだら出せるくらいの引き出しを増やしておけば、パッと思い浮かんだ時に出せると思うのでそれくらいの程度で」と、引き出しのひとつとして磨いているとのこと。 どんな試合にしたいかと聞かれると「メインらしい試合にはしたいと思っていますが、無理に倒しに行こうとするとリキんでしまうので、3分3Rしっかり戦ってRISE GIRLS POWERの後楽園単独大会のメインを飾るにふさわしい試合にしたいと思っています」とした。
小林は今回の頂上対決を制したら世界へ出ていきたいとしているが、寺山はどうか。
「ゆくゆくはありますけれど、そんなに器用なタイプではないので目の前の課題を一つ一つクリアーしてから見据えたいと思っています。とりあえず今はRISE GIRLS POWERという女子の単独大会が定期的に開催できるのは当たり前のことではないと思っていて。今回後楽園ホールで女子単独でやるのは凄く大きな意味があると思っているし、世界もそうですけれど、RISE GIRLS POWERという大会をもっと大きくしたいですし、もっと国内で盛り上げたいですし、そういう想いがあるので。ゆくゆくは世界を見据えていますが、そんなに近い目標ではないというか。他にもやることがあると思っていて、そこはゆくゆくです」
世界に出る前に、まず国内の女子キックボクシングを盛り上げたい、との想いが自分にはある、と寺山。
「キックボクシングはまだまだメジャーじゃなくて、(那須川)天心の活躍や他の選手の活躍によって世間の人が知ってくださるようになってきて。私がデビューした当時はキックボクシングをやっていますと言ったら『それなに? ボクシングに足が付いているの?』とか理解してくれる人が少なくて。今はそれこそキックボクシングやっていますって言ったらある程度理解してもらえるのは、やっぱり天心とかいま活躍している選手が盛り上げてくださっているから通じると思います。
ただ女子キックがそこまで人気になっているかというとまだまだなので、男子のキックと比べられると女子は見たくないって思われてしまうことが多いので、もっと女子キックにしかないような、気持ちの部分とか男子には負けていないと思うので、その女子キックの良さをもっと広められるように頑張って行きたいなって」というのが自分の使命だとする。
そして「格闘技が好きな方もそうですが、同じ女性に見てもらってこんなにバチバチやっている女性もいるんだ、私も見に行こうとか、同性の方に見てもらえると嬉しいですね。異性の方も嬉しいですけれど、私もオリンピックで女性のアスリートが活躍しているのを見て凄いなって勇気をもらえたので、私もそうやって同性異性は関係ないですけれど、勇気を与えられるような存在になりたいですね」と、目指すプロ格闘家としての姿も話した。
また、前回から新調したコスチュームについては「和柄が入っていて。私的にはその前の水色が気に入っていたんですが、もうフレッシュさはいらないので女帝っていう名前をつけてもらっているから、貫禄を出そうとデザイナーさんと会長が作ってくださりました。気に入ってるんですが、今回も私の意見はあまり(反映されて)ないです(笑)。貫禄を増すために落ち着いた、シブい感じにしました」と説明した。