2021年8月13日(日本時間14日)、米国コネチカット州アンカスビルのモヒガンサン・アリーナにて「Bellator 264: Mousasi vs. Salter」が開催され、試合後の会見でスコット・コーカーBellator代表が、「バンタム級トーナメント」開催の可能性について語った。
同大会では、王座を返上した堀口恭司が奪還を狙う(※現王者はセルジオ・ペティス)注目のバンタム級で、前UFC世界バンタム王者ピョートル・ヤンと1勝1敗の3位のマゴメド・マゴメドフ(ロシア)と、2度のNCAAディビジョン2王者でMMA8連勝中、現4位のラフェオン・スタッツ(米国)が対戦した。
試合はスタッツが、サウスポー構えから左の打撃を当て、マゴメドフの組みを切る受けの強さを発揮。さらにがぶってからのアンクルピックで完全バックを奪うなど、試合を優勢に運び、判定3-0で勝利。タイトルコンテンダーに名乗りを挙げた。
サークルケージの中でのビッグジョン・マッカーシーのインタビューでスタッツは、「僕はこの階級でベストのレスラーなんだ。僕が聞きたいのは、みんながバンタム級の100万ドルトーナメントをどう思うかということだ。もし(同門の)セルジオと戦うことになったら……セルジオ、僕が君を好きなことを知っているだろう。でも、そうでなければトーナメントをやろう!」と呼びかけ、フェザー級に続き、優勝賞金1億円のバンタム級ワールドGPの開催をリクエストした。
その言葉を受け、試合後の会見でコーカー代表は、バンタム級トーナメントの可能性について言及した。
まず、「今日のスタッツの試合にはほんとうに感激したよ。あの子は素晴らしい。あんなにタフなマゴメドフを相手に完封してみせたからね」とスタッツの戦いを賞賛。
続けて「いい選手がたくさんいるからね。もしかしたら来年には(トーナメントを開催する)階級になるかもしれない。こんなにいいスタッツの試合を見てしまうとね。本当に感動したよ」と、バンタム級ワールドGPを開催する動機が増えたことを語った。
Bellatorはフェザー級トーナメントを終えたばかりで、現在行われているライトヘビー級グランプリの準決勝は10月16日に行われる予定だ(ネムコフvs.ジョンソン、ベイダーvs.アンダーソン)。もしバンタム級トーナメントが開催されるなら、2022年になるという。となると、気になるのはバンタム級の王座の行方だ。
[nextpage]
僕とセルジオは、まだ戦うことを意識していない(スタッツ)
所属のルーファスポーツで王者セルジオと同門のスタッツは、試合後の記者会見で、「僕とセルジオは、(お互いに戦うことを)意識していない」と語った。
「今回の試合は、間違いなくNO.1コンテンダーの試合だったと思う。マゴメドフは僕が今でもUFCのチャンピオンだと思っているピョートル・ヤンを倒したんだ。(ヤンは)この男と1勝1敗だったし、僕はマゴメドを解体したようなものだ。だから、僕は自分が世界で一番だと思っている。どこのプロモーションであろうと、僕は世界最高のバンタム級ファイターだと思っている」
コンテンダーの資格を得たとしながらも、現チャンピオンで練習仲間でもあるセルジオ・ペティスとの対戦については、「トーナメント決勝」であることを望んでいる。
「対戦が実現するまでは、何があっても僕らは少年のままだよ。でも、まだその話はしていないんだ。僕もコーチもその話はしていない。(もし試合が組まれたら)変わらずルーファスポーツでトレーニングしたいと思っている。セルジオもルーファスポーツでトレーニングしたいと思っているだろう……どうするか分からないけど、何とかなるさ」と語るスタッツ。
Bellatorバンタム級上位は、王者セルジオ・ペティスを筆頭に、1位に前王者フアン・アーチュレッタ 、2位にRIZINで元谷友貴に一本勝ちしたパトリック・ミックス、3位にまだスタッツと対戦前のマゴメド・マゴメドフがランクされていた。フェザー級GPに出場していたダリオン・コールドウェルが10位。そのコールドウェルに5月にスプリット判定で勝利したレアンドロ・イーゴが5位につけている。そして、怪我により王座を返上した現RIZIN王者の堀口恭司は、ランキングから外れている状況だ。
MMA17勝1敗。唯一の黒星は4年前に現UFC同級11位のメラブ・ドヴァリシヴィリに15秒、右ハイから回転しての左バックフィストに敗れた試合のみ。デビュー2年目の苦い敗戦だった。スタッツは現在の練習環境を出来るだけ長く保ちたいという。
「僕はバンタム級トーナメントを強く望んでいる。もちろんBellator次第だけど、バンタム級にはたくさんの戦力があると思うから、ぜひトーナメントを開催してほしい。トーナメントであることのプラス面は、(決勝まで)セルジオともう少し長く練習できるということ。驚くべきことに、僕とセルジオは長い間一緒に練習していて、お互いを補い合っているんだ。僕はセルジオから多くのことを学び、セルジオも同じように僕から多くのことを学んでいると思う。僕は最高のマーシャルアーティストになりたいから、セルジオから学ぶのを止めてまで彼と戦わなければならないようなことはしたくない。主催者がそうしたいのは理解できるけど。僕はバンタム級トーナメントを望んでいるよ」。