2021年8月22日(日)東京・新宿FACE『SACRED FORCE presents KNOCK OUT-EX 2021 vol.3~BLACK FIGHT~』(夜興行)にて、KNOCK OUT-BLACKスーパーミドル級3分3R延長1Rで鈴木健太郎(E.S.G)と対戦する吉野友規(STURGIS新宿)のインタビューが主催者を通じて届いた。
吉野は剣道(高校3年生時に国体で優勝、大学4年生時には団体戦で全日本選手権3位)からキックボクシングに転向し、豪快なパンチでデビューから5戦5勝4KOと負け知らずの重量級期待の新星だったが、3月大会で田村聖から先制のダウンを奪うも逆転TKO負けを喫してプロ初黒星。今回が再起戦となる。戦績は6勝(4KO)1敗。
何があっても勝ちにいくということを第一に
──5月の田村聖戦ではプロ初黒星となりました。ショックが大きかったのでは?
「ショックというか…田村選手が強かったので、自分の弱さをすごく感じるところがありました」
──気持ち的に引きずったりというのはありましたか?
「引きずるということはなくて、試合から1週間ぐらいで『負けたんだなあ』『強かったなあ…』というのを受け入れました。それよりも、その試合で負ったケガの方がヤバかったですね。ヒザがかなり効いていて、その後の右をモロにもらってしまって、かなりクラクラしていたので受け身も取れなかったので」
──もともと、「1戦でも負けたら終わりという覚悟で戦う」と言われていましたが…。
「実際に負けて、いったんは落ち着こうと思いました。ケガを治して、お世話になった方、スポンサードしてくださっている方々のところに、ご迷惑もおかけしたので挨拶に行って、気持ちも整理していきました」
──どんな言葉をかけられましたか?
「いろいろですね。皆さん仲間なので悪く言われることはなかったんですけど、『いい試合だった』という声もあれば、『誰でも負けはあるから、クヨクヨしないでこれから頑張って』という声もあって。『これから頑張って』という声が多かったですね」
──そういう声に後押しされて、現役を続行しようと?
「実際には、『もう少し頑張りたいな』という気持ちが強かったんです。でも、周りに対してあまりにも申し訳ないなということから、『このまま続けていいのかな』という思いもあって。でも周りは『ここまで来たからには頑張って』『やめる時に後悔しないように、やり通せばいいんじゃないか』と言ってくれたので、それも力になりました」
──そこから練習を再開したのは?
「ケガを治さないといけなかったので、練習を始められたのは6月終わりぐらいですかね。ちょうどその頃に、今度の試合のお話をいただいたので、『はい、お願いします』という感じで」
──田村戦を踏まえて、再開後の練習で考えたこと、変えたことは?
「田村選手との試合もそうだし、その後の松倉選手と田村選手の決勝戦もそうなんですけど、自分とはかなりの壁があったというか…。全てを経験値のせいにしてはいけないんですけど、やっぱり積み上げてきたものが2人とはかなり違ったんだなという印象を受けたんですね。あの2人には自分にないものしかなかったので、そういうところなんだなと。だからって、すぐに身につくものでもないでしょうし…だから、基本ですよね。基本をもう一度見直してきました」
──というところで、復帰戦が鈴木健太郎戦となりました。この試合、一番のテーマは?
「プレッシャーとかもないわけではないんですけど、それ以上に今、この状況で試合ができることって簡単なことではないんですよね。コロナの影響でかなり厳しい世の中になってきたなっていうところで試合を組んでいただいたわけで、そういったところは大事にしたいと思います。だから試合でどうこうと言うよりも、試合に対する感謝が一番ですね。やらせていただいてありがとうございますということで、そこに対して頑張りたいというだけですね」
──ただ、状況としては再起戦となります。そこで何を見せるかは問われると思いますが。
「まあ、ハッキリ言うとどんな形でも勝ちを取りにいきたいというはありますね。カッコいい試合をして勝てば印象がいいのかもしれないですけど、自分ではかなり崖っぷちだと思っているので、どんな形でも勝つということが一番だと思ってます」
──では、このところ数戦のテーマだった「倒す」「KOする」ということは二の次に置く?
「もちろん倒せれば、それが一番だとは思います。でも今は、『勝つ』ということにしかこだわりはないですね。どんなことをしても勝利を絶対に掴むという、その気持ち一つで」
──相手の鈴木選手についての印象は?
「2戦分の映像を見たんですが、勢いがありますよね。リーチを生かしてジャブもストレートもまっすぐ打ってくるし、フィジカルもすごくあるので、普通に見てもバランスがよくて、強いなと思いました」
──そういう相手に、どう戦いますか?
「そこは当日見てもらえればということで、ここでは言わないでおきます。ただ気持ちとしては先ほどもお話しした通り、何があっても勝ちにいくということを第一にします」
──では、ここで勝ってその先どうこうというのも今は考えられない?
「結局、続けられるか続けられないかということになってくると思うんですよ。松倉選手がこの階級のチャンピオンになって、彼は本当に強かったし、自分なんかが軽々しく挑戦できる立場じゃないのは分かってるんですけれども、今回の結果次第でそこにつながっていけばいいのかなと。つなげることができれば、本当にうれしいなとは思ってます。そういう気持ちでいかないと、本当に一戦一戦、掴めなくなってしまうので。また初心に戻って一つ一つ勝っていって、気がつけば挑戦できるところまで来てましたというのが、今の自分にとっては理想ですかね。今の状況で『タイトル狙ってるんで』みたいな馬鹿げたことは言えないので、一戦一戦コツコツと、大事にしてやっていきたいと思います」
──その中で、チャンピオンの松倉選手、それから彼と決勝戦を戦った田村選手との差を、日々埋めて近づいて行くというところですか。
「そうですね。日々埋めていけたらと思って練習していかないと。あの決勝戦には本当に衝撃を受けたんですよ。あの日は他の試合も素晴らしかったですけど、松倉vs田村戦は年間ベストバウトに入るんじゃないかと思ったぐらいヤバくて、見ていて身震いしたほどでしたからね。素人の方でも『この試合はヤバいな』って思えるような試合でしたから。やっぱりそういう試合がしたいですよね、正直言うと。そのぐらい衝撃を受けて、本当に素晴らしい試合だと思いました」
──そんな試合に勝ってREBELS-BLACKスーパーミドル級の初代王者となった松倉選手に対して、誇らしいという気持ちもあると。
「そうですね。松倉選手は年齢とか関係なく本当に尊敬できる選手ですし、格闘家としてもすごいなと思います。ここまでやり通して実行して、あそこまでの試合を見せられたら、『すごいな』という言葉しか出ないですよ」
──その頂点に近づいていけるかということですね、これからの試合は。
「本当にその通りですね。そこに向かえたらいいかなと思ってます」
──ではその第一歩である今回の試合、一番見せたいポイントは?
「スーパーミドル級なので、自分たち2人ともリングから顔がニョキッと出ると思うんですけど、その2人がバッチバチに殴り合って会場を沸かせるという試合を見せたいので、そこに注目してほしいですね。軽い階級ももちろんすごいですよ。速いしテクニックもあって。でも自分たちには自分たちだからこそできる試合があるので、そこを見せたいですね」
──しかも会場が新宿FACEですからね。
「音がかなり響くと思います(笑)。客席から近いですし、2人で圧力のある試合ができれば、お客さんをかなり呑み込めるんじゃないかと思います。その中で勝ちたいですね」