2021年8月13日(金)シンガポール・インドアスタジアムで事前収録された「ONE:BATTLEGROUND 2」が、ABEMA格闘チャンネルとONE公式アプリにて配信された。
▼ライト級 5分3R〇ジャン・リーポン(中国)[判定3-0]×エドゥアルド・フォラヤン(フィリピン)
メインイベントでは、元ONE世界ライト級王者のエドゥアルド・フォラヤン(フィリピン)と、元UFCで今回がONE初参戦となるジャン・リーポン(中国)が対戦。
フォラヤンは、フィリピン北部ルソン島のバギオ生まれ。5人の兄弟姉妹を病気で失うなど、極限の貧困の中で育ったが、バギオのコルディレラ大学に奨学金を使って進学し、フィリピンのウーシュー代表チーム入り。数々の金メダルを獲得し、MMA(総合格闘技)に転向した。
フィリピンの名門ジム「チーム・ラカイ」で練習しながら、2008年に学位を取得し、国家試験に合格して教員免許を取得。高校で体育を教えながら、MMAの試合を戦っていた。
2007年のプロデビューから14年でMMA22勝11敗。2016年に青木真也をTKOに下し、ONE世界ライト級王者に2度輝くも、2020年から3連敗中で、2021年4月の前戦では、青木真也に腕十字で一本負けしており、崖っぷちのなか再起を賭ける。
対するジャン・リーポンはUFCで2勝2敗。その後も「Kunlun Fight」などで16連勝するなど活躍し、MMA30勝11敗2分の戦績を誇る。フォラヤン戦を越え、青木真也との試合を望んでいる。
試合前インタビューでフォラヤンは、リーポンについて「共通点は、ウーシュー(散打)のバックグラウンドがあること。僕の打撃能力を試す良い機会だ」と語り、リーポンは「全てにおいて僕は彼を上回っている」と自信を見せている。
1R、上半身が大きなリーポン。ともにオーソドックス構えから。左ローから入るフォラヤン。右カーフ狙いも。しかしリーポンも前蹴りで圧力をかけると右ロー。フォラヤンもすぐに右カーフを返す。
プレッシャーはリーポン。すぐにカーフキックを当てるフォラヤンに、リーポンはダブルレッグテイクダウンからすぐに脇を潜りバック狙い。正対してガードを取るフォラヤンは腰を切りフルガードに戻す。
インサイドガードから鉄槌を落とすリーポン。中腰からパウンドし片足を越えると、右で腰を抱き、ハーフから左の細かいパウンドでパスガード。シングルレッグに来るフォラヤンのバックを奪い、4の字ロック。フォラヤンをコントロールし、リアネイキドチョークを狙い、パウンド。
2R、右の蹴りの軌道を変えて右ハイを狙うフォラヤン。フォラヤンのジャブの入りに右のカウンターを狙うリーポン。さらに右の前蹴り! アゴを浮かせられたリーポンはさらに右オーバーハンドも、そこにフォラヤンも右を狙う。
右の前蹴りはリーポン。フォラヤンはローから後ろ廻し蹴りも、かわしたリーポンはジャブを出してからダブルレッグテイクダウン! ハーフからアゴ下に頭をつけてパウンドも、ここはフォラヤンは蹴り上げで突き放して立つ。
フォラヤンの右ローをヒザを引いてかわすリーポン。左ジャブを突いて右前蹴り、さらにダブルレッグからバックテイク狙い。しかしここは後ろに回させないフォラヤンが正対し突き放す。左フックをガード上に当てるフォラヤン。右カーフキックを打つリーポンに、フォラヤンも右を打ち込みゴング。
3R、低いシングルレッグはリーポンも切るフォラヤン。右ローを当てる。得意の前蹴りを打つリーポンに右のカーフキックで足を流させるフォラヤン!
リーポンの入りに右を狙うが、リーポンは長い右アッパー! さらに低いダブルレッグも、ここは足が出ないリーポンを切るフォラヤン。さらに右カーフキック! 慎重なリーポン。左ハイを蹴るも深追いせず。右ローをヒザを引いてかわすリーポン。
左ジャブをこつこつ突く。左ジャブを突いてダブルレッグからシングルレッグに切り替えハイクロッチでリフトしテイクダウンはリーポン! ガードの中から細かいパウンドを落としたリーポンは、フォラヤンと握手をかわして離れてから、雄叫びをあげた。
判定は3-0でリーポンが勝利。ライト級で確かな存在感を見せたリーポンは試合後、あらためて青木真也との対戦をアピールした。
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▼ストロー級 5分3R〇アレックス・シウバ(ブラジル)[判定3-0]×ミアオ・リータオ(中国)
ストロー級5位のアレックス・シウバは、13歳からブラジリアン柔術を始め、2008年に世界選手権を制した後、MMAに転向。2012年2月にONEデビューを果たし、一時は6連勝をマークした。
2018年に内藤のび太にリヴェンジを許すと、猿田洋祐にも判定負けで3連敗。2019年にステファー・ラハディアン、ペン・シューウェンに腕十字による一本勝ちで再起を果たすが、2020年1月にジョシュア・パシオ、2021年3月に箕輪ひろばにいずれもスプリット判定で敗れ、現在2連敗中だ。
対するリータオは、2017年のONEデビュー戦勝利後、2019年5月にデーダムロン、8月にポンシリ・ミトサティトを下し3連勝。2019年11月にジェレミー・ミアドに1R TKO負け、さらに2020年10月に澤田龍人にも判定負けと連敗を喫するが、2021年4月に澤田に判定勝利でリヴェンジを果たしている。ミアオがシウバを倒し、Evolve MMA勢相手に3勝目となればランキング入りも見えてくる。
1R、一気に中央に出たシウバ。ワンツーからシングルレッグも切るリータオはパウンド。離れるシウバは組んで引き込み! 自ら下になり右腕をオーバーフックしクローズドガードに。
リータオの左腕をサワダバー気味にアームバーにとらえるシウバ! 腕を抜こうとするリータオにオモプラッタ狙いも腕を抜くリータオ。サウスポー構えからワンツーで前に出てダブルレッグテイクダウンはシウバ!
ハーフからパスし、マウントから脇を開けさせ肩固めを狙うシウバ。左腕は枕に巻き、コントロールする。上体を起こすリータオを剥がして腕十字狙いも、起き上がるリータオはすぐにシウバを追って左ストレート、ヒザを突くもゴング。
2R、前に出るリータオに右ロー、左ミドルはシウバ。しかしダブルレッグは切るリータオ。オーソドックス構えから左右を突きダブルレッグ! 切ろうとするリータオになおもシングルレッグテイクダウンはシウバ! 上体は金網に立てるリータオは首をとられながらも立ち上がりに成功。
しかし、ここはシウバも力を使いダブルレッグテイクダウン! すぐにマウントを奪い、背中を着かせると左で枕に巻き、右ヒジ、パウンドを落とす。上体を起こしてきたリータオのバックを奪うシウバは、すぐに4の字ロックへ、そのまま腕十字を狙うが、すぐに足をかけさせず上を取るリータオ。そこにシウバは三角狙いから引き込む。
3R、左右を強振するリータオ。シングルレッグはシウバ。ここは切るリータオ。ワンツーで前に出るリータオにシウバは右アッパー! 腰を落としてテイクダウン狙いのリータオにボディロックテイクダウンはシウバ! その立ち際にすぐにバックを奪い、4の字にボディトライアングルで足を組む。
リータオの右腕も巻き込んで足を組むシウバ。背後からパウンド。その際で右腕を抜いたリータオは正対。そこに三角を狙うシウバに、足はかけせさせないリータオは上に。右で脇差し、ハーフからパスを狙うが、下のシウバは左でオーバーフックし、右のパワーハンドをコントロール。リータオは左を細かくパウンド。シウバはクローズドガードで防御し、ゴング。
判定は3-0でシウバが勝利。ランキング上位に残る白星を掴んだ。
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▼ヘビー級 5分3R-トーマス・ナーモ(ノルウェイ)[2R 4分07秒 ノーコンテスト]-アライン・ンガラニ(カメルーン)
“ザ・ラストヴァイキング”の異名を持つノルウェイのナーモは、MMA4勝無敗。英国を主戦場にギロチンチョークでの一本勝ちデビュー後、3試合をKO・TKOで勝利している。
対するカメルーンのンガラニは、柔道出身のストライカー。柔道時代にカメルーンとアフリカのジュニアトーナメントで優勝。1998年から2001年にかけてアフリカのキックボクシングFIKO、UFABAでヘビー級チャンピオンとなり、2002年には、WMCムエタイのヘビー級世界チャンピオンにも輝いている。
MMAでは4勝6敗で、2013年のONE FCから参戦。3勝3敗のなか2017年9月にシュレック関根にTKO勝ちも、11月にンサンにギロチンチョークで一本負け。2018年3月に判定勝ちを掴むも、以降はMMA2敗とキックルールで1敗と勝ち星に恵まれていない。1年5カ月ぶりの白星を掴めるか。
1R、対峙すると201㎝のナーモの長身が際立つ。サウスポー構えのンガラニは身長差20cmもジャンプしての二段蹴りで牽制。さらに左ローからハイを打ち込む。
ナーモも左ロー、右ストレート。しかしンガラニは左の蹴り、左ストレートでナーモを下がらせる。首を掴むナーモはクリンチアッパーの連打! 抜けたンガラニは前進から右を当てる。左ジャブで距離を取るナーモに左ミドルで攻めるンガラニは左インロー!
効かされたナーモは蹴り返すも、その蹴り足を取り、テイクダウンを奪うンガラニはマウントからパウンド。亀になり足を手繰り立つナーモ。
2R、変わらず喧嘩四つの構え。左インローを打つンガラニ。ナーモは右ローを放つがローブローに。ナーモは申し訳なさそうに「ソーリー」と謝罪し再開。
右ミドルのナーモに、左ミドルはンガラニ。その蹴り足を掴みながら一気に前に出るナーモは前蹴り、跳びヒザで金網まで詰めると、手打ちのバックフィストも見せるが、続くヒザが再びンガラニの金的に入り、イエローカード。20%の減点が課される。
喧嘩四つに加え、コンパスの差もあり、ヒザを突いても残った足首が金的に入ってしまう不運もありそうだ。マットに両ヒザを着いて謝罪するナーモ。解説の大沢ケンジは「優しい巨人ですね。でも握手しすぎ」と苦笑するなど、人の良さも垣間見えるナーモ。
再開。右ヒザから入るナーモ。左ミドルを返すンガラニ。左回りのナーモ。左ローを当てるンガラニは、オーソドックス構えにスイッチ。左右でナーモのバランスを崩すと、ナーモは下のままガード。
スタンド再開。ナーモの蹴り足を掴んでテイクダウンするンガラニ。下のまま足を効かせて「猪木-アリ」状態でガードするナーモに、ンガラニは上からキックを連打。その1発が股間にまともに入り、ナーモは声を挙げてグラウンドのままくの字に。
みたび試合は中断。立てヒザでマットに両ヒザ着いて待つンガラニ。立てないナーモは試合続行不可能。ゴングが打ち鳴らされた。
「意図的ではないローブロー」により、試合は「ノーコンテスト」とアナウンスされるなか、解説の大沢は「この体勢で蹴り上げられるとファールカップがあっても厳しい。前から蹴られる分にはまだ我慢できるけど、あの角度はたぶん、一番痛い……」とローブローの応酬となったヘビー級戦を振り返った。
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▼フライ級 5分3R〇エコ・ロニ・サプトラ(インドネシア)[1R 0分10秒 KO]×リュウ・ペンシュアイ(中国)
Evolve MMA所属のサプトラは、ボクシングコーチだった父の教えで5歳からボクシングを始め、インドネシアの国内レスリング王者として東南アジア競技大会でも銀メダルも獲得している。2019年にONEデビューし、初戦こそソ・ニコのヒジに敗れたものの、以降4連勝中。3つの一本勝ちをマークしている。
対する中国のペンシュアイは6勝6敗。2016年からONEに参戦し、ONE4勝2敗。2020年10月の前戦ではロシャン・マイナムにリアネイキドチョークで一本負けしている。
1R、サウスポー構えのペンシュアイは左ストレート。それをかわしたオーソドックス構えのサプトラは、一瞬頭を沈めてテイクダウンのフェイントからワンツーでペンシュアイを下がらせると、ペンシュアイの左ローにカウンターの右ストレート!
アゴを打ち抜かれたペンシュアイは後方にダウン。EVOLVEジムのサプトラが、衝撃の10秒KO勝ちを決めた。
ONE5連勝をマークしたサプトラは、表情を崩すことなく「このKOはコロナ禍のインドネシアに捧げる」と母国に向けて語った。ペンシュアイは2連敗に。
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▼ライト級 5分3R×オトコンバーター・ネルグイ(モンゴル)[2R 3分54秒 リアネイキドチョーク]〇ラウル・ラジュ(インド)
ライト級戦。MMA5勝2敗1分け、モンゴルの警察官で特殊作戦分部に属すというネルグイは極真空手の経験も持つ、対するはMMA7勝6敗、インドでフリースタイルレスリングの経験を持つグラップラーのラジュ。
1R、ともにオーソドックス構え。軽く右ローで圧力をかけるネルグイ。右ローを蹴り、前進もラジュはダブルレッグテイクダウン。ギロチンのカウンターから立ち上がるネルグイが四つから小外がけテイクダウン。しかしラジュは潜りから足関節狙い。回って外すネルグイは、亀になるラジュにサイドバックからパウンド。
離れるラジュからダブルレッグもがぶるネルグイはヒザ蹴り。離れるラジュにネルグイは後ろ廻し蹴り、さらに右カーフキックを当てる。ラジュのダブルレッグをがぶり、スタンドのギロチンを狙うネルグイ。ラジュが頭を抜くと右カーフを効かせる。
2R、右ハイを狙うラジュ。詰めるラジュにネルグイはニンジャチョーク。寝てずらして頭を抜くラジュ。ネルグイはスタンドで右カーフキックを当てる。詰めて四つに組むラジュに、ネルグイは右で差して払い腰テイクダウン! ラジュの立ち際にヒザを突く!
右カーフキックを蹴るネルグイだが、ラジュは外側にチェック! 蹴った足を傷めたか、一瞬動きが止まったネルグイにラジュはテイクダウンからバックを奪い、4の字ロック。リアネイキドチョークを極め、逆転のタップを奪った。