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【UFC】コナー・マクレガーの手術が成功「6週間の松葉杖生活を経て、次のステップに進む」、リアルなライト級戦線とは?

2021/07/12 12:07
 2021年7月10日(日本時間11日)、米国ネバダ州ラスベガスのT-モバイルアリーナにて1万6760人の有観客のなか『UFC 264: Poirier vs. McGregor 3』が開催された。  メインイベントのライト級(5分5R)では、ダスティン・ポイエー(米国)とコナー・マクレガー(アイルランド)が対戦。1R残り7秒で、マクレガーが左足を捻り、下腿骨を骨折。結果は1R終了時、ドクターストップによるTKOで、ポイエーがマクレガーを下している。  試合後、病院へ入院したマクレガーは、11日(日本時間12日)にロサンゼルスで3時間半の手術を行ったことをSNSで報告。米国「TMZ Sports」によると、プレートとネジが付いたロッドを脛骨と腓骨に挿入したという。マクレガーは日本時間の12日の11時に、「ちょうど手術室から出てきたところです。手術はうまくいきました。気分は最高だよ! 6週間の松葉杖生活を経て、次のステップに進む。頑張ろう! 神のご加護を」とツイートしている。  マクレガーが2R目のマットを踏むことができなくなった原因の左足骨折はいかに起きたのか。  マクレガーとポイエーの両者はこれまで2014年9月と2021年1月の2度対戦し1勝1敗。2014年9月の初戦は、マクレガーが左フックをテンプルに当てて、1RパウンドでTKO勝ち。2021年1月の前戦ではアメリカントップチーム(ATT)の名将マイク・ブラウンが授けたカーフキックをポイエーが効かせて、マクレガーを金網に追い詰め左右ラッシュで2R TKO勝ちしている。  決着戦の今回は、いかに前戦のカーフキックを両者が攻略するかもひとつの見どころだった。  試合は、左のカーフキックを当てるポイエーに対し、マクレガーは左ローキック、前蹴りなどで応戦。ポイエーは足を流して、あるいはヒザ・脛を外側に向けてチェック(防御)する。  さらにポイエーは、シングルレッグ(片足タックル)で金網に押し込み、マクレガーのノーアームギロチン(腕を抱え込まないギロチン)を首の対角側にパスして防ぐと、上からヒジ・パウンドで削っていく。立ち上がれないマクレガーは、下からグローブを掴んで打撃。それを嫌ったポイエーが左グローブを引き抜いたところでスタンドに。  残り15秒、身体を放したポイエーはスタンド勝負。左ローを放つマクレガーだが威力に欠け、グラウンドで削られたダメージが見える。左前蹴りも放つが軸がブレるなか、サウスポー構えで右から左ストレートを放つも、その打ち終わりの左後ろ足の着地時に左足首を内側に捻り、声をあげてダウン。  そこにポイエーはパウンドラッシュし、ブザーまでレフェリーは見たが、1R終了後もマクレガーは座り込んだまま左足を指して、立ち上がれないことをアピール。結果は、ドクターストップのTKOでポイエーが勝利。直接対決の戦績を2勝1敗とした。  試合後、マクレガー陣営のジョン・カヴァナコーチは、UFCリポーターのローラ・サンコのインタビューに「UFC 264の2週間前にコナーは足首を怪我して、スキャンするためにカリフォルニア州の医師を訪ねている。そのときは深刻なものは発見されなかったものの、少なからず影響していたかもしれない」と証言。  そして、試合中に「彼は左ローを蹴り、ティープ(前蹴り)を放った。それはダスティンのヒジに当たっている。骨折したのは明らかにそこだと思う」と語っている。  実際には、マクレガーは最後の前蹴りを打った後も、前方に着地した左足を後ろに入れ替えてスイッチしており、その後のワンツーの打ち終わりに左足首を内側に捻り、ダウンしている。  それが試合前のダメージによるものか、試合中の接触によるものかは分からないが、グラウンドでもダメージを負っていたマクレガーの打撃は軸がブレており、1年間、試合間隔が空いた1月の2戦目から半年後のラバーマッチにおいて、32歳で試合を選ばざるをえないアスリート長者番付トップのマクレガーは、この28戦目ですでに勤続疲労が起きていたとも考えられる。たしかなことは、かつてフェザー級の頂点に君臨したマクレガーは、いまはいない、ということだ。  ダナ・ホワイトUFC代表は試合後の会見で、4戦目の可能性を否定しなかったが「このスポーツでは仮定の話をしても仕方がない。すべてはタイミングであり、何が起こっているか、何が起こったかだ」とも話している。  また、UFC世界ライト級1位のポイエーは、「マクレガーは常に危険なファイターではあるけど、試合が進むにつれ、彼はトップに戻ることができなくなる。彼は壊れるだろうって感じたよ」と語っている。  注目すべきは“レジェンド”枠の敗者ばかりでなく、リアルなトップ戦線だ。  試合後にライト級王者のシャーウス・オリヴェイラが「こんな結末は見たくないだろうけど、これがMMAだ。どんなことが起きてもおかしくない。ポイエーとの戦いになると思っていた。やるよ。戦争になるだろう」と、ポイエーを次期挑戦者として見据えたことについて、メインイベントの勝者は、「オリヴェイラは偉大なチャンピオンで、自分の力を発揮してきた。お互いにUFCでの経験も長い。僕も長い間、彼を見てきた。いい試合になるだろうね」と、王座戦について語っている。  マクレガーを2度倒した男は、現王者とどこまで戦変えるのか。2位にはジャスティン・ゲイジーが控えていることも忘れてはならない。 [nextpage] ポイエー「ソーシャルメディアを止めた。すごく気分はいいよ」 「打撃で決められればよかったけど、勝利は勝利だ。レフェリーストップで勝ちたかったけど、僕が試合を制していたのは明らかだった。コナーの足は、コナーのキックをしっかり僕がチェック(防御)していた結果だと思っている。  今日の結果には満足している。コナーは5Rの試合に適していない。ヤツの唯一のチャンスは試合開始直後だ。もちろん一発で誰かをノックアウトしてしまう、常に危険なファイターではあるけど、試合が進むにつれ、彼はトップに戻ることができなくなる。彼は壊れるだろうって。僕はそれを感じたよ。  今日の試合でもコナーが疲れてきたのを感じ取った。ギロチンは極まりきってなかったし、ポジション的にあのまま極まる可能性は限りなく低かった。グラウンドでもケージがすぐ後ろにあったけど、しっかり足を制し、極めさせないように(首の対角に)動いていたから。足を飛び越えたときにケージがあんなに近いとは思わなかったけど、大丈夫だったよ。  ラウンドが終了して彼の足を見たら、脛がおかしなことになっていた。それで気付いた。医者がいないから確かなことは言えないけど、コナーの蹴りをチェックした後、彼は足を捻り、あのようになったのかもしれない。  いずれにしても、自分の努力が実ったんだ。自分の置かれた立場に満足しているよ。長い間、一生懸命働いてきた。ここまでのキャリアに自身を捧げてきたし、ここ数年は間違いなくそうだった。最高の状態で試合に挑むことができた。自分が自分らしくなってきたと感じているよ。  それに、周りの雑音が気にならなくなり、自分の力を発揮できていると感じている。評論家の意見や、MMAメディアは時に有害で、メディアやファンがなんと言おうと僕は僕だ。先月からソーシャルメディアも止めたんだ。すごく気分はいいよ。 (現UFC世界ライト級王者の)シャーウス・オリヴェイラは偉大なチャンピオンで、自分の力を発揮してきた。お互いにUFCでの経験も長い。僕も長い間、彼を見てきた。いい試合になるだろうね」
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