2021年6月27日(日)大阪・丸善インテックアリーナ『RIZIN.29』で行われる「BODYMAKER presents RIZIN KICK ワンナイトトーナメント」の1回戦で、高橋亮(真門ジム)と対戦する白鳥大珠(TEAM TEPPEN)が16日、所属ジムにて公開練習を行った。
今回参戦する61kgでは、2019年の「RISE WORLD SERIES」でヘクター・サンチアゴ、セクサン・オー・クワンムアン、梅野源治を下し優勝を果たしている白鳥。続くRIZINで62kgで大雅に2連勝するなど怒涛の12連勝を飾ってきた。
しかし、2020年10月の「RISE -63kgトーナメント」準決勝で直樹の右ヒザを受けて額をカットし、ドクターストップでの初回TKO負け。2021年2月には原口健飛にも判定負けで連敗を喫しており、今回のトーナメントに再起を懸ける。
公開練習のシャドーと那須川弘幸氏が持つミット打ちでは、これまでの181cmの長身とボクシング経験を活かした懐の深さと若干の前傾姿勢の構えから、今回はより大きくスタンスを広げ、手の位置を低めに重心を落とした構えからのパンチを披露。さらに蹴りも半身気味に上体を後方に反らすMMA的なシーソー式の蹴りも見せた。
「ニュースタイルです。相手からしたらやり辛いんじゃないですか。前回のRIZIN東京ドーム大会もそうですし、MMAの試合だったり、ボクシングの試合だったり、いろいろ見て、そのなかで自分にいいなと思った動きを採り入れてみました」と明かした。
1回戦の相手・高橋亮について「サウスポーのテクニックタイプで、ロングの自分の距離を保って散らしてくる。でも、この数年で体重を上げてきたと思うので、パワー面ではそこまで脅威になるものはないかな」と評した白鳥。
やはり最終ターゲットは会見でも舌戦を繰り広げた皇治で、「(決勝に)上がってきてもらわないと困る」という。
「(皇治は)発言とやっていることが伴わなすぎる。気持ちの部分では強いけど、正直、技術面で言えば、僕の方が断然ある。やったら圧倒的な差を見せつけて、本人にも周りにも分からせてやろうかな、と思っています」と、“鋼のエンペラー越え”の自信を語った。
会見では皇治から、「那須川天心のかばん持ち」と揶揄され、かばんをプレゼントされた白鳥だが、「自分が持っていても邪魔なだけ。試合でブッ倒して『俺のかばん持ちから出直して来い』と言いたい」ときっぱり。
「俺が優勝するところを目に焼き付けてください。みんな皇治選手を倒すところを見たいと思うので、その期待に応えたいです」──白鳥との一問一答、全文は以下の通りだ。
[nextpage]
メンタル強化は練習だけではない。人間力を鍛えてきた
──当初、5月30日だった大阪大会が6月27日(日)に延期になったことは、白鳥選手にとってどんな影響がありましたか。
「5月末に向けて仕上げていたんですけど、2月の試合(RISE ELDORADO 2021で原口健飛戦で足を)骨折して、正直、調整期間は全然、無かったんです。それで出来る限りのことをして5月末で調整していたんですけど、延期になって最高に仕上げることができたんで、僕にとってはプラスでしかないですね」
──足の怪我からの練習はどのくらいから再開されましたか。
「フィジカル面は3月から始めていましてけど、どうしても足なので踏ん張りとかも効かないとかもあったので、まずはボクシングシューズを履いて練習して、キックの実戦的な練習は4月後半からですね」
──試合約10日前で、現在の体重はどのくらいですか。
「66kgくらいです。これでも結構絞ったんですけど軽やかで調子いいですね。パワーもついています」
──昨年-63kgトーナメントに出て、前戦は64kg契約。今回の試合が61kg契約になったことについては、どうとらえていますか。
「2019年に-61kg世界トーナメントに出て優勝して、もう無理してやる必要はないと思ってました。まあ……もちろん減量が少ないにこしたことはないですけど、それ以上に盛り上げたい気落ちが強かった。いまも落としていますけど、全然、苦ではないし、公開練習でみてもらった通り、動けているんで、体重は気にしてないです。会見で発表されてから、今回はずっと身体面から考えて自炊をしています」
──今日の公開練習でのミット打ちは時折、スタンスを広く、重心を低めに打っていました。あれは……?
「ニュースタイルです。いろんな……前回のRIZINの東京ドーム大会もそうですし、MMAの試合だったり、ボクシングの試合だったり、いろいろ見て、そのなかで自分にいいなと思って採り入れてみました」
──あの構えにどんな効果を感じていますか。
「やり辛いんじゃないですか。相手からしたら。あれで動いていたら狙い辛いと思うし、的を絞れないと思います。逆にあれで僕はすごくリラックスして戦えています。まあ、当日を楽しみにしていてください」
──もしあのスタンスで戦ったら、カーフキックを狙われませんか。
「たぶん大丈夫です。カーフの対処はずっと以前からやっているので、僕はカーフはもらわないです」
──会見の時は高橋亮選手の試合を「そんなに見ていない」と言っていましたが、その後、研究されてみての印象を教えてください。
「サウスポーのテクニックタイプで、ロングの距離で自分の距離を保って散らしてくるという印象です。でもどうしても階級は……この数年で上げてきたと思うので、パワーの面ではそこまで脅威になるものはないかなと思っています」
──原口戦以降で白鳥選手が足りないと感じ、強化してきたことは何でしょうか。
「全体的にですね。メンタル面もそうですし、負けたときもダウンを取られて、僕的にはあのダウンは効いていなくて、焦りも出ちゃって、メンタル面の弱さが出たので、もっと余裕を持ってメンタルを強化しました……いろいろ試しました。怪我をしていた期間は何もしなかったわけではないので、ほかの選手の試合を見たり、自分に足りなかったものをちょっとずつプラスしていきました」
──メンタルを鍛えるために、特別な練習はしましたか。
「練習もそうだし、メンタルは練習だけではないです。難しいですが、“人間力”を鍛えてきました。会話の際などでもちょっと相手の裏を読んだり、怪我した期間で今までにやっていなかった事、考えていなかった事を柔軟に考えるようにしました」
──私生活でも新たに始めたことなどもあるのでしょうか。
「そうですね……釣りとかですかね。ちょっと釣り堀から始めました。まだまだ僕も若いし、そういうところでもいろいろ閃きが生まれる可能性はあるので、YouTubeの企画にもなりますし、いろいろ挑戦してやって行こうと思います。視野が広がりました」
──次の試合では新しいスタイルが見れるということですね。
「当日、楽しみにしてもらえれば、見せられるかもしれません」
──ところで13日のRIZIN東京ドーム大会を観戦されて、刺激を受けた選手はいましたか。
「結構いましたが、これまでMMA自体はそんなに興味が無かったんですね。今までしっかり見たことがなくて、最近見るようになったので、寝技などもこれが何とは言えないですけど、メインが一番衝撃でしたね、クレベル選手」
──MMAをやってみたいとも思ったのでしょうか。
「うーん、興味はありますね。今までMMAは全く考えてなかったですけど──いまはキックが好きでやっているので先のことは何とも言えないですけど──将来的に可能性は無くはないかなというところです。いまはMMAの練習はしていませんが」
──那須川天心選手のボクシング形式の試合についてはどう思われましたか。
「いろんな声が、賛否両論あったと思うんですけど、天心はいろいろ挑戦していると思うので、その考えはやっぱり素晴らしいと思います。もちろんキックの試合は残り少ないので、キックの試合で強い選手との試合を見たいというのがみんなの一番の本音だと思うんですけど、相手がいない状況で何を見据えるかというところで、ああいうことを考えて、結果、注目を浴びているので、ああして挑戦し続ける考えは凄いと思います」
──会見で舌戦を繰り広げた皇治選手に、やはり決勝に上がってきてもらいたいですか。
「向こうも相当覚悟持って臨んでいると思うので、意地をぶつけてくると思うんですよ。でも……正直、俺、皇治選手のこと嫌いだったわけじゃないんです。どうしても発言とやっていることが伴わなすぎるかなと思って。だから、試合をして分からせてやろうかな、という気持ちで今回もトーナメント参戦を決めましたし、ほんとうに僕もそうですけど(決勝に)上がってきてもらわないと困るかな、と思っています」
──皇治選手をファイターとして評価している部分はどんなところですか。
「発言が……口がデカいんで、周りからもナメられがちだと思うんですね。そこまで弱い選手でもないし、気持ちは相当強いと思うんですよね。倒れない、KOされないって言ってますけど、それなりに倒されない気持ちの強さがあるのかなと思います。正直、技術面で言えば、僕の方が圧倒的にあると思っているし、なんだかんだ言って格闘技では気持ちが大事なので、その部分では強いと思います。でもやったら圧倒的な差を見せつけて、本人にも周りにも分からせてやろうかな、と思っています」──あの会見で皇治選手からもらったカバンはその後、どうしましたか。釣りに使ったり……。
「いや、プライベートでは使ってないです(苦笑)。YouTubeで1回出したくらいで、あれ自分が持っていても邪魔なだけなんで、試合後にファンにでも。欲しい人はいると思うので。それか、試合でブッ倒して、俺のカバン持ちから出直して来い、と言いたいですね」
──トーナメントに向け、高橋選手、皇治選手、梅野源治と3人ともスタイルがバラバラですが、誰が来ても対応できるように練習されてきましたか。
「うーん、別にどのタイプが苦手とか無いんですよね、俺。高橋選手も苦手意識は無いし、梅野選手は1回倒しているし、最悪の場面も想定はしていますが、誰にも負ける気は全く無いです。(一番オールラウンダーなのは)自分だと思います。体格面でも有利だし、スタイルも。あらためて実力を見せます」
──このトーナメントに出場する一番の目的は?
「これに優勝したからと言って、格闘技界に置いて、何かを得られるとは思っていないです。これで優勝したからと言って“俺が日本一強い”とか“最強だ”というトーナメントだと思って出ていない。もちろん、ほんとうに格闘技で頂点を目指して、世界最強になりたいと思っていますけど、国内の格闘技を、キックを盛り上げていきたいという思いも相当強いんで、去年から『やりませんか』と言ってきて、実際、僕と皇治選手がやれば盛り上がると思うし、なんだかんだ言って、RIZINはMMAが主体で盛り上がっていて、やっぱりキックもいろんな選手が出てきて盛り上げないといけないし、そこで今後、誰が出て来るかというところで、1発アピールしておきたいなという気持ちが強くて参戦を決めました」
──ところで、試合での髪の毛の色は?
「試合ではシルバー系が多いのですが、何でも似合うかな。いまのピンクのままで行くかどうか、当日のお楽しみに」
──入場で特別な演出なども用意していますか。
「入場曲が今回から新しくなります。会場やPPVで聞いてください。特別な演出は……ないですね。シンプルにただ入場するだけで、ほかの選手とは違う」
──最後にファンにメッセージを。
「公開練習から見ていただいてありがとうございます。もうあと1週間ちょっとなので、会場でもPPVでも、俺が優勝するところを目に焼き付けてください。みんな皇治選手を倒してほしいと思うので、その期待に応えたいです。応援、よろしくお願いします」