2020年大晦日、朝倉未来戦以来の試合となる弥益 (C)RIZIN
2021年6月13日(日)東京ドーム『Yogibo presents RIZIN.28』に出場する全選手のオンライン個別インタビューが、11日(金)に行われた。
第1試合の73kg契約5分3Rで、“ブラックパンサー”ベイノア(極真会館)と対戦する弥益ドミネーター聡志(team SOS)が、インタビューに答えた。
「あまり試合って感じがしなくて。実感が沸かないまま気付いたらあと数日になってしまったなというのが正直な感想ですね」
――対戦相手の印象は?
「実直な、空手をやってる人って感じで。お笑い芸人をやってるって聞いたのでもうちょっとそういう要素が見られるかなと思ったら、意外とそういう感じが自分のところまで届いてこないなって印象ですね」
――どういう展開を予想していますか?
「足を止めて殴り合うって言ったので、もちろん殴り合うんじゃないですか?(笑)」
──会見には出席されなかったですが、コメント(「キックボクシングのチャンピオンであるベイノア選手が初めてのMMA挑戦という記念すべき試合で、自分のような仮にも日本の老舗MMA団体の元チャンピオンを対戦相手に選び出すという、並外れたリスクマネジメント能力の低さ、圧倒的リテラシーの欠如によって出場の機会をいただけました。初のMMA挑戦、ただし1階級下の選手を指名するという、チャレンジングなんだか保守的なんだか分からないベイノア選手」)は辛辣でしたね。その意図は?
「出席しないと難しいなと思ったので、とりあえず前回の会見こすっちゃいました」
――元チャンピオンとして、ベイノアのMMAデビュー戦に選ばれたことをどう感じていますか?
「ちょっと前にも立ち技からMMAに転向した選手がいらっしゃって、その選手も言っていましたが『強い選手は何をやっても強い』と。確かにそのとおりだと思う。今回ベイノア選手がMMAの初戦というところでその試合の相手に自分が選ばれたということですが、ひとつのジャンルで結果を残している選手が少なくとも弱いことはないと思う。
MMAの中で何ができるのか、それは自分にも分からないですし、多分ベイノア選手自身も分かっていないと思います。だから試合になって初めてベイノア選手のMMAというのを私も実感しますし、お客様もご覧になります、そしてベイノア選手自身も実感するんだと思うんですね。それで初めて蓋を開けることができるというところなので、他の格闘技で実績がある選手のMMA適性がどうなのか、それを間近で見られるのは凄く興味深い体験というか、なかなかできない体験なので面白いなと思っていますね」
――フルコンタクト空手家としてのベイノア選手の打撃はどう見ていますか?
「空手家として…うーん…空手もよく分からないので。逆に自分はMMAをしっかりやってるのかって言われると、しっかりやってないと思うので(笑)。だからMMA選手として迎え撃つという感覚もそんなにないですね、実は。できるだけ何でもありに近いルールの中で、2人が戦ってどうなるの? という試合になると思います。別にMMAの技術が自分がずば抜けて長けているというわけではないので。お互いが持っているものをぶつけ合い、どこの局面でどっちが上回れるかというところが見どころなんじゃないかなと思っています」
――ベイノア選手のお笑いの力量はどのように評価していますか?
「ベイノア選手は、あまり狙って笑いをとってる感じがしないですよね。聞いていると。確かに面白いんですよ。会見も凄く面白かった。彼の返しは。でもそれって別に“さすがお笑いやっているな”って感じじゃなくて、彼の素の部分だと思うので(笑)。だからもうちょっと、言ったら我々は『二足の草鞋』じゃないけれど、2つの草鞋を持っている人間だと思うんですよ。だからもう一個草鞋を履いているんだぞというところを見せてほしかったのは正直ありましたね。
彼自信の面白さはなんとなく伝わってくるんですけれど、それを生業にして、あくまでお笑い芸人という肩書きを持っているなら、そこの局面をもっと出してほしいな、とは思いました」
――73kgという契約体重に関してはどのように思っていますか?
「ずっと食べています、本当に(笑)。練習前、練習終わり、ずっと食べているんですけど、試合が決まって練習量を増やしたら落ち始めちゃったので。今は必死に食べてどうにかギリギリでアンダーになるかならないかくらいです。自分、アマチュアの頃からけっこう水を抜いてやってきたタイプなので、ここまで水を抜かないで試合した時に、自分の身体がどうなのかってところは今まであまり体験したことがないんですね。もし今回調子よかったら、そういう体作りの仕方を考え直さなくちゃなってところもありますし、貴重な体験をさせてもらえるなって印象ですね」
――同時にベイノア選手の体格は脅威でもある?
「怖いっすよね。で、あの見た目じゃないですか(笑)怖いですよ、めちゃくちゃ」
――試合の実感が沸かない理由は?
「けっこうオファーが急だったのと、減量もないですし時間もなかったので、対策をするとかそこまで試合に向けて何かをするという感じがなかったのが要因ですかね。減量がないのが一番大きいですね。普段ならこの時期、毎朝体重計に乗ってあと何kgってピリピリしていたのに、今は全くそれがないので。ほとんど体重計に乗っていないくらいなので、その辺が普段の試合と違って感覚が合わないところかなと思いますね。今まで戦った中で一番重い階級ですし、一番急に決まりましたし、本当に今までにない体験って感じですね」
「もちろん不安はあります。それは決して73kgだからというからではなく、ベイノア選手の力量に関しての不安はもちろんあります。強い選手とやるという不安があります。ただ今回の流れ、急にオファーが来て急に決まって、しかも東京ドームでって状況に対してはどちらかというと楽しいというか、こんな経験なかなかできないぞって気持ちの方が大きいですね」
――ベイノア選手の試合映像を見ていると思いますが、懐の深さと同時にフルコンタクト空手らしく、近い距離での打撃も持っています。特にどの辺りを不安要素と考えますか?
「やはり蹴りじゃないですかね。蹴りの多様さとタイミングの良さ。カウンターでしっかり入って来る蹴りは凄く驚異かなと思います。あと何が怖いかってMMAをあまりやってないところの方が怖いなと思っているんですね。なまじしっかり齧っている人の方が自分はやりやすいんですよ。自分はMMAファイターは凄くやりやすいなって思っていて。逆にあのくらいMMAはできない、自分にはこれしかないって思って戦ってくる選手の方が自分は凄く嫌ですし、驚異だと思っています」
――注目度が高い中で勝ちにこだわりますか、それとも新たな自分を見せるトライをしていきますか?
「今回の試合については、もし勝ちにこだわるのであればそれは初めてのトライなんですよね。今まで勝ちにこだわった試合と言うか、いわゆる判定勝ちできるような試合を自分はあまりやったことがなくて。いつも常に早めに終わらせたいと思っていますし、疲れる前に終わらせたいと思っていますし、すぐにとどめを刺したいと思って試合をしているので。勝ちにこだわる試合をするのであれば、それは自分にとって初めてのトライになるかなと思っています」
――東京ドームで18年ぶりの総合格闘技ですが、その第1試合目を務める意気込みを聞かせてください。
「自分が格闘技をそもそも見始めたのが15年前なんですよね。だから自分が格闘技にハマる前まで遡るということです。自分にとってリアルタイムの格闘技はDREAMですとか、そういうところと一緒に自分は歩んできたので、それよりも前の話になると神話のようなもんなんですよね。そんなことがあったって聞いているけれど本当のことか分からない、神話のような話なので。まさかその中に自分がその1ページに記されると考えると光栄という感じもしないですね、本当に実感がないというか。そもそも上手くハマるかどうかも分からないですし、何も想像がつかないというのが正直なところです」