2021年6月13日(日)東京ドーム『RIZIN.28』にて、フェザー級相当の66kg契約(5分3R・ヒジ打ちあり)で、クレベル・コイケ(ボンサイ柔術)と対戦する朝倉未来(トライフォース赤坂)が、所属ジムにて5月27日、公開練習&囲み取材に応じた。
元KSWフェザー級王者にして、RIZINでも2連勝中のクレベルを相手に指名した朝倉は、「めっちゃワクワクしています」とリラックスした表情で語った。
また、柔術を武器とするクレベルについて「1,000回くらい動画を見た。理想は判定勝ち。テイクダウンを一度も取らせず、打撃で優勢に、あの荒い打撃に過去の選手がやってこなかったことを俺が合わせる。いつものように踏み込んできたときに入るかな」と、自信を見せた。
挑戦を笑うやつを笑う側に行ってほしい
──クレベル・コイケという、いま3連勝で最も勢いのある相手を選択して、2週間後に試合に臨む気持ちをあらためて教えてください。
「ファンの方も楽しみにしていると思うけど、自分でも楽しみで、めっちゃワクワクしています」
──現在の体重は? 1日の練習スケジュールを教えてください。
「いま72kgくらいですね。朝8時から総合格闘技のスパーを6~7R、ミットを3~4R、家に帰って少し仮眠して、ランニングとスタミナトレーニング、家でバービー、腕立てなどもやっています。たまに整体をやって、週に1回ウェイトトレーニング、身体のバランスを整えています」
──公開練習ではサウスポー構えからミット打ちを見せました。新しく始めた対人でのミット打ちは、サンドバッグとも異なりますか。
「これまではサンドバッグでも打ってないんで。ミット打ちは試合が決まるちょっと前から始めて、打撃のキレがすごく上がってきましたね。打撃のレベル自体が上がっていると思います」
──ミット打ちに加え、魔裟斗さんのアドバイスも受け、新たに始めたというラントレ、グラップラー岩本健汰選手との練習、BRAVE勢とのレスリングなどで、朝倉未来選手が一番変化を感じているところはどこでしょうか。
「極められにくさです」
──対戦相手のクレベル・コイケ選手の関節技に対しても対処を間違うことはない?
「そうですね。そもそもあまりテイクダウンされない自信がありますし、寝技が得意なのも分かっているので対策もしっかりしています」
──「テイクダウンされない」ということですが、クレベル選手は数少ないガードワークが巧みなファイターでもあります。テイクダウンをとられなくても引き込まれた場合、ヒジありルールが活かせると考えますか。
「うーん……ヒジを打つ予定はないです。強いパウンドとかは、あんまり付き合わないと思います、引き込まれても」
──引き込まれても剥がして立つなど対策済みであると。
「問題ないです、全然」
──グラップリングでは、リーチのあるクレベル選手と岩本選手ではタイプが異なりますが、どのような対策になりますか。
「岩本選手をスパーリングパートナーとして呼んでいるのは、クレベル対策というよりも、今後の自分の実力を上げるため。クレベルを仮定しているわけじゃない。グラップリングの強い選手相手に、直した方がいい部分を直してもらったり、寝技に関しては、クレベル選手の技を逃げる方法は教えてもらっています。そもそも、テイクダウンをとられる想定ではないですけど」
──ラントレでは、ここ1、2カ月という短い期間の新たな強化のなかで、スタミナもあるクレベル選手に対して、効果を発揮できそうな実感もありますか。
「ランニングという競技においても体力をつけている気がしますね。それが格闘技に反映されているかはちょっとまだ実感はしていないですけど」
──スパーリングのなかで手応えは?
「打撃のスピードが上がっています。コンビネーションが変わりました。クレベル選手の打撃の癖について、合わせる技をたくさん練習しました。秘策? 秘策は打撃戦になりますね」
──KSWでのクレベルの敗戦も含めて、過去の映像を研究していますか。
「KSWだけじゃなく、1,000回くらい見てますね。過去の試合すべて」
──1,000回……そのうえでクレベルの強み・弱みをどうとらえていますか。
「強みは気持ちの強さと打撃の──そんなに綺麗ではないけど前に出てくるところ──蹴り、リーチの長さ。弱みは……結構ありますけど、ここでは言わないです」
──朝倉選手同様に「喧嘩慣れ」しているクレベルのメンタリティはどう感じていますか。
「メンタルすごい強いなと思います。だから面白い試合になる。どっちにしても」
──「綺麗じゃないけど前に出る力がある」クレベル選手の打撃に、さきほど「合わせる」技があるというのは?
「そうですね、荒いけどそれが弱点でもあるので、過去の選手がやってこなかったことを俺が合わせる。試合を見ていて、これなら出来るんじゃないかというイメージで、スパーリング相手に試したら全員入ったんで」
──理想とする展開は?
「理想は判定勝ち。テイクダウンを一度も取らせず、打撃で優勢に、いつものように踏み込んできたときに入るかなって感じです」
──打撃で圧力をかけていく?
「圧力はかけていくと思いますけど、倒すための圧力でないです。そういう風にしてはいけない相手だと思っています」
──強引に行ってKO、という展開はあまり考えていない?
「そう考えていないけれど、もちろんチャンスがあれば倒していきます」
──言える範囲で構いませんが、打撃で「合わせる」というのは、KOで相手を倒せるようなものか、削るようなものでしょうか。
「KOです」
──KOが決まるようなカウンターが入りやすいと?
「そうです」
──今回、東京ドームで試合を行う特別な思いはありますか。
「ドームでやることに関しては、特に変わりは無いですね。僕ら選手からすると、観客の数は3,000人くらいを超えると変わらない。ただ、今回はこの一戦に賭ける思いが違うんで。最高峰との戦いと自分では思っているので」
──「日本フェザー級の頂上決戦」でターニングポイントにもなり、勝った方がよりベルトにより近づけます。ベルトへの挑戦という意識は強いですか。
「そうですね、もちろんベルトは巻きたいです」
──SNSでは「近々、1億超えの投資を3つする。共通して言えるのはどれも面白い、そしてやりがいがある。結局仕事が一番の遊びってわけ」とツイートしていましたが、そこには格闘技に関する案件もありますか。
「いや、全然違います」
──コロナ禍でのスポーツイベントに関してどう考えますか
「ファイターの僕としては、戦うことが仕事なのでこういう場を与えてもらって嬉しいです」
──応援してくれているファン、特に子どもたちにむけてメッセージをお願いします。
「期待してくれていると思うので、必ず勝ちます。子どもに向けて? そうですね、結構今、いろんなYouTubeとか動画が出回っていて、簡単に匿名でできるけど、挑戦してる人を笑う傾向があって、挑戦している僕からすると、挑戦する人を笑ってる人を僕は逆に笑っているんで、自分で挑戦して、笑うやつを笑う側に行ってほしいと思います」
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